社員だけの飲み会は「福利厚生費」になる?忘年会や歓送迎会を経費にするための3つの条件

取引先がいない「社内だけの飲み会」費用。これらは原則として「交際費」になりますが、忘年会や歓送迎会など一定の条件を満たせば「福利厚生費」として全額経費にできます。「全社員対象」「金額の妥当性」など、税務調査で否認されないための重要ポイントを解説します。

社員だけの飲み会は原則「交際費」で、①機会均等②金額の妥当性③公式行事の3条件を満たしたときだけ「福利厚生費」にできます。「1人1万円=会議費」基準は社外参加が前提で社内飲み会には使えず、高額すぎると給与(賞与)認定で源泉所得税の対象になります。

この記事でわかること

  • 社員だけの飲み会は原則「交際費」で、福利厚生費にできるのは例外という前提
  • 福利厚生費として認められる3条件(機会均等・金額の妥当性・公式行事)の中身
  • 社外の飲食で使う「1人1万円=会議費」基準は社内飲み会に使えないこと
  • 二次会・ランチミーティングなど判断に迷うケースの落としどころ
  • 給与(賞与)認定の追徴リスクを避ける社内規程の整え方

公的情報源: 国税庁「交際費等の範囲」(タックスアンサー No.5265)/所得税基本通達36-30(課税しない経済的利益)

結論を先に書きます

社員だけの飲み会は、原則は「交際費」、3条件を満たしたときだけ「福利厚生費」になります。「社内の慰労だから福利厚生費」と直感で処理すると、税務調査で否認されることがあります。

理由はシンプルです。税法上「事業に関係ある者」には自社の役員・従業員も含まれ、社内の人をねぎらう飲食は原則として社内交際費にあたります。福利厚生費は、その例外として認められる枠です。

この記事の要点
  • 社内だけの飲み会は原則「交際費」。福利厚生費は例外扱い
  • 例外として認められる条件は①機会均等 ②金額の妥当性 ③公式行事の3つ
  • 「1人1万円以下なら会議費」は社外参加が前提で、社内飲み会には適用されない
  • 高額すぎると給与(賞与)認定され、源泉所得税の対象になるリスク

目次

社員だけの飲み会が原則「交際費」になる理由

最初に押さえたいのは、社内飲み会は何もしなければ交際費という出発点です。

税法では、事業に関係ある者への接待・慰安のための支出を「交際費」と定めています。この「事業に関係ある者」に自社の役員・従業員も含まれるため、社内の人をねぎらう飲み会も原則は社内交際費です。

交際費は、中小企業の特例(年800万円の損金算入枠など)を使わない限り、損金になりません。「社内なら当然経費」という思い込みが、最初のつまずきになりやすいところです。

ただし例外があります。「従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用」は交際費から除外され、福利厚生費として全額経費にできます。忘年会や歓送迎会をこの例外に乗せるための要件が、次の3条件です。

この前提を踏まえると、社外の人が入る飲食とは判定軸が変わります。社外を含む飲食の交際費・会議費の切り分けは「交際費と会議費の違いは?1人1万円基準の判定方法と仕訳例」で整理しています。

福利厚生費になるための3つの条件

例外を適用するための壁は3つあります。見出しのとおり、誰が・いくらで・何のためにという3点です。

  1. 機会均等の壁(誰が?)
  2. 金額の壁(いくら?)
  3. 行事の壁(なんのために?)

条件1:機会均等(特定の人だけ得をしていないか)

最も重視されるのが「特定の誰かだけが得をしていないか」という点です。全社員、または支店・部署単位で全員に平等に声がけされている必要があります。

区分
OK全社員対象の忘年会、営業部全員の達成会、新入社員歓迎会
NG役員だけの慰労会、同期の仲良しメンバー飲み会、特定社員だけの食事

部署単位であっても、その部署の全員に案内があり、参加の機会が平等であることが条件です。「役員だけ」「仲良しグループだけ」は、この時点で福利厚生費から外れます。

条件2:金額の妥当性(社会通念上の範囲か)

「通常要する費用=社会通念上妥当な金額」であることが必要です。明確な金額基準はありませんが、一般的な居酒屋の飲食代(数千円〜1万円程度)が目安になります。

注意したいのは高額のケースです。1人5万円の料亭などになると、福利厚生の範囲を超えていると判断され、参加した個人への給与(賞与)とみなされる可能性があります。この場合は源泉所得税の対象になり、追徴のリスクが高まります。

条件3:会社の公式行事であること

「ただ飲みたいから集まった」では認められません。会社の公式行事としての実態が求められます。次のような名目は福利厚生費として認められやすいものです。

  1. 忘年会・新年会
  2. 歓送迎会
  3. 創立記念パーティー
  4. プロジェクト完了の打ち上げ

一方で、明確な名目のない突発的な飲み会や、後述する二次会は認められにくくなります。

「1人1万円=会議費」の基準は社内飲み会に使えない

ここで一つ、勘違いの多いポイントを補足します。「1人1万円以下なら会議費」というルールは、社外の人が参加している場合の基準です。

社内だけの飲み会には、この基準は使えません。たとえ1人3,000円でも、前述の3条件を満たさなければ原則「交際費」になります。「金額が低いから会議費で大丈夫」という判断は通らない、という点に注意してください。

よくある疑問:二次会・ランチミーティングの扱い

判断に迷いやすい2つのケースを整理します。

Q1:二次会の費用は福利厚生費にできますか?

原則NG(個人負担または交際費)です。一次会が公式行事として福利厚生費に認められても、自由参加となる二次会以降は「個人的な遊興」とみなされやすいためです。

会社が補助する場合でも福利厚生費とするのはリスクが高く、参加者の自己負担とするか、どうしても会社が出すなら交際費処理が無難です。

Q2:社内だけのランチミーティングはどうなりますか?

社内の人だけでお弁当を食べながら会議をした場合、3条件(全社員対象など)を満たすのは難しく、福利厚生費にはなりません

ただし、実態として「会議」が主目的で、食事は付随的(金額も常識の範囲)と証明できれば、例外的に会議費として認められる余地があります。その場合は議事録を残し、会議の実態を証明できるようにしておくことが前提です。

Q3:給与(賞与)認定を避けるには何をすればよいですか?

特定の個人だけが著しく得をする支出を避けることが第一です。そのうえで、社内規程(慶弔見舞金規程・厚生費規程)に「忘年会費用の補助」などを明文化しておくと、税務調査の際にも説明しやすくなります。

機会均等・金額の妥当性・公式行事の3点を満たし、規程で裏づけておく。この備えが、追徴リスクを下げる現実的な対策です。

まとめ:社内飲み会を福利厚生費にする実務ポイント

社員だけの飲み会を福利厚生費として処理するための要点を、最後に整理します。

この記事のまとめ
  • 社内だけの飲み会は原則「交際費」、福利厚生費は3条件を満たした例外
  • 条件は①全社員(全部署員)を対象 ②常識的な金額 ③公式行事の名目
  • 一次会のみを経費とし、二次会は個人負担または交際費が無難
  • 「1人1万円=会議費」は社外参加が前提で社内飲み会には使えない
  • 高額・特定個人への偏りは給与認定のリスク。社内規程の明文化で備える

3条件を満たさないものは「交際費」、特定の個人だけが著しく得をするものは「給与認定」のリスクがある——この2つの落とし穴を避けることが、社内飲み会の処理では最重要です。

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免責事項

※本記事は勘定科目・税務処理の一般的な整理です。実際の判定は契約内容や事業の実態によって異なるため、個別の判断は顧問税理士・所轄税務署にご確認ください。


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この記事を書いた人

会計・経理アドバイザー / 中小企業支援コンサルタント

経歴
大学卒業後、会計事務所で10年以上勤務し、法人・個人事業主の会計処理、税務申告、経理業務改善を多数経験。特に「勘定科目の設定・運用」に関して、企業規模や業種ごとに最適化したアドバイスを提供してきた。現在は独立し、経理の効率化や会計初心者向けの研修も実施。

専門分野
・勘定科目の選定・運用ルール作り
・会計ソフト導入と科目設定支援
・経理担当者の教育・研修
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