この記事でわかること
- 貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)が、どの区分でどう分かれているかの全体像
- 「流動」と「固定」を分ける1年基準(ワンイヤールール)の考え方
- 流動資産・固定資産・流動負債・固定負債・純資産という5つの資産負債区分の意味
- 販売費及び一般管理費・営業外損益・特別損益という3つの損益区分の違い
- 各区分に属する代表的な勘定科目と、迷ったときの調べ方
結論を先に書きます
勘定科目は、まず「BS(貸借対照表)に載るものか、PL(損益計算書)に載るものか」で大きく2つに分かれます。
BS側はさらに資産・負債・純資産の3つ、PL側は損益の発生源によって本業・本業以外・臨時の3つに区分されます。この8区分の地図を持っておくと、個別の科目に迷ったときも「どの引き出しに入れるか」で考えられるようになります。
- BS(資産・負債・純資産)と PL(損益)の2系統・8区分でほとんどの科目が整理できる
- 資産と負債は「1年以内に動くか」で流動/固定に分かれる(ワンイヤールール)
- 損益は本業=販管費/本業以外=営業外/臨時かつ巨額=特別の3層
- 区分を間違えると財務指標や税務判断がずれるため、境界が曖昧な科目は個別記事で確認するのが安全
勘定科目の全体像|BSとPLの8区分
最初に、勘定科目がどの区分に属するかを一覧で押さえます。
勘定科目は、貸借対照表(BS)に載るストック項目と、損益計算書(PL)に載るフロー項目に大別されます。
| 系統 | 区分 | 内容 | 代表的な科目 |
|---|---|---|---|
| BS | 流動資産 | 1年以内に現金化できる資産 | 現金預金・売掛金・棚卸資産 |
| BS | 固定資産 | 長期保有・継続使用する資産 | 建物・土地・機械・ソフトウェア |
| BS | 流動負債 | 1年以内に支払う負債 | 買掛金・短期借入金・未払金 |
| BS | 固定負債 | 1年超で支払う負債 | 長期借入金・社債 |
| BS | 純資産 | 資産から負債を引いた正味の持分 | 資本金・利益剰余金 |
| PL | 販売費及び一般管理費 | 本業を運営・管理する費用 | 給料・地代家賃・通信費 |
| PL | 営業外損益 | 本業以外(財務・投資)の損益 | 受取利息・支払利息 |
| PL | 特別損益 | 臨時かつ巨額の損益 | 固定資産売却損益・災害損失 |
このうち資産と負債は「1年基準(ワンイヤールール)」で流動と固定に分かれます。決算日の翌日から1年以内に回収・支払いが起きるなら「流動」、それを超えるなら「固定」です。
英語表記をまとめて確認したい場合は、勘定科目の英語表記一覧【BS・PL科目から仕訳英語まで】もあわせてどうぞ。
資産の区分|流動資産と固定資産
資産は「どれだけ早く現金に戻せるか」で2つに分かれます。
流動資産とは
流動資産は、原則1年以内に回収・現金化される資産です。土地・建物・権利など長期保有する固定資産に対する概念で、貸借対照表の資産の部では次の3グループに整理されます。
- 当座資産:現金預金・営業債権(売掛金・受取手形)・有価証券など
- 棚卸資産:商品・製品・原材料・仕掛品など
- その他の短期性資産:前払費用・短期貸付金など
流動資産は、会社の短期的な支払い能力を映す鏡。当座資産がどれだけあるかで、当面の資金繰りの余裕が読み取れます。
固定資産とは
固定資産は、販売目的ではなく、継続的に会社で使用する資産です。1年を超えて事業に使い続ける前提のもので、有形固定資産(建物・機械・車両)・無形固定資産(ソフトウェア・特許権)・投資その他の資産に分かれます。
固定資産は買った年に全額を経費にできず、耐用年数に応じて減価償却で費用化していくのが原則です。仕組みは減価償却とは?定額法・定率法の違いと計算方法で詳しく整理しています。
負債の区分|流動負債と固定負債
負債も資産と同じく、支払期限が1年以内かどうかで2つに分かれます。
流動負債とは
流動負債は、原則として決算日から1年以内に支払期限が到来する負債です。買掛金・支払手形・短期借入金・未払金・未払費用などが該当します。
流動負債が流動資産を上回っている状態は、短期的な支払い負担が重いサインです。資産側と負債側をセットで見るのが実務の基本になります。
固定負債とは
固定負債は、支払期限が1年を超え、それまで支出や費用化が発生しない負債で、長期負債とも呼ばれます。長期借入金・社債・退職給付引当金などが代表例です。
純資産とは|資産から負債を引いた正味の持分
純資産は、会社の資産総額から負債総額を差し引いた金額です。
かつては「資本の部」と呼ばれていた区分で、資本金・資本剰余金・利益剰余金などで構成されます。返済義務のある負債とは違い、株主の持分や会社が積み上げた利益にあたる部分です。
純資産は、会社の体力そのもの。ここが厚いほど、外部からの借入に頼らずに事業を続けられる地力があると判断できます。
損益の区分|販管費・営業外・特別の3層
ここからは損益計算書(PL)側です。損益は「どこで生まれた損益か」で3つの層に分かれます。
- 販売費及び一般管理費:本業を運営・管理するための費用
- 営業外損益:本業以外(財務・投資)で生じる損益
- 特別損益:臨時かつ巨額の損益
販売費及び一般管理費とは
販売費及び一般管理費(販管費)は、総務など企業全体を運営・管理するために要した費用で、本業の収入を得るために使う経費です。給料・地代家賃・通信費・広告宣伝費・消耗品費などが含まれます。
科目数がもっとも多く、どの費用科目に入れるか迷いやすいのがこの区分です。判断に困る経費は、個別の勘定科目記事で確認するのが確実です。
営業外損益とは
営業外損益は、財務活動や投資活動など、本業以外の活動によって発生する損益です。受取利息・受取配当金は営業外収益、支払利息・社債利息は営業外費用に区分されます。
本業のもうけ(営業利益)に、この営業外損益を加減したものが経常利益になります。
特別損益とは
特別損益は、非経常的な損益のうち、臨時かつ巨額のものです。固定資産売却損益・災害による損失・固定資産除却損などが該当します。
毎期は起きない一時的な損益なので、会社の通常の収益力を見るときは特別損益を除いて評価するのが実務の見方です。詳しくは特別損益の区分と科目を参照してください。
区分に迷ったときの調べ方
個別の取引が「どの区分・どの科目か」で迷ったときは、次の順番で考えると整理しやすくなります。
- まずBSかPLかを決める(残高として残るもの=BS/その期の損益=PL)
- 資産・負債なら1年以内に動くかで流動/固定を判定
- 損益なら本業か・本業以外か・臨時かで販管費/営業外/特別を判定
- 区分が決まったら、その中の具体的な勘定科目を選ぶ
損益計算書の科目を体系的に押さえたい場合は損益の勘定科目と損益勘定の仕訳が、決算で各科目の内訳をまとめる場面では勘定科目内訳明細書の書き方ガイドが役立ちます。
よくある質問
勘定科目の区分について、つまずきやすい点を整理します。
Q1:流動と固定はどこで線引きするのですか?
原則は「1年基準(ワンイヤールール)」です。決算日の翌日から1年以内に回収・支払いが起きるものが流動、1年を超えるものが固定になります。なお、仕入や販売など通常の営業サイクルの中で生じる債権・債務は、1年を超えても流動に分類する「正常営業循環基準」が優先される点に注意してください。
Q2:営業外損益と特別損益はどう違いますか?
どちらも本業以外という点は共通ですが、営業外損益は「経常的に発生する」損益(受取利息・支払利息など)で、特別損益は「臨時かつ巨額で毎期は起きない」損益(固定資産売却損益・災害損失など)です。経常利益までに含めるのが営業外、その先で加減するのが特別、という位置づけになります。
Q3:純資産と資本金は同じものですか?
同じではありません。資本金は純資産を構成する一部です。純資産は資本金のほかに、資本剰余金・利益剰余金・自己株式などを合わせた正味の持分全体を指します。資産から負債を引いた残り、と覚えると整理しやすいです。
Q4:減価償却資産の償却率はどこで確認できますか?
償却率は資産の耐用年数と償却方法(定額法・定率法)によって決まり、国税庁が公表する「減価償却資産の償却率表」で確認できます。考え方の基礎は減価償却とは?定額法・定率法の違いと計算方法で解説しています。
まとめ:8区分の地図で科目を整理する
最後に、勘定科目の全体像を区分の地図として整理します。
- 勘定科目はBS(資産・負債・純資産)と PL(損益)の2系統・8区分で大別できる
- 資産・負債は1年基準で流動/固定に分かれる(通常の営業取引は正常営業循環基準が優先)
- 純資産は資産から負債を引いた正味の持分で、会社の体力を示す
- 損益は本業=販管費/本業以外=営業外/臨時かつ巨額=特別の3層
- 境界が曖昧な科目は、区分を決めてから個別記事で確認するのが安全
区分の地図を持っておくと、見慣れない取引が出てきても「どの引き出しに入れるか」で落ち着いて判断できます。個別の科目に迷ったら、関連記事で具体例を確認してみてください。
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免責事項
※本記事は会計・税務の一般的な情報を整理したものです。勘定科目の区分は取引の実態や会計基準により判断が分かれる場合があります。個別の処理判断は、顧問税理士など有資格者にご相談ください。
