日本の損益計算書(P/L)で、販売費及び一般管理費(販管費)の中に必ずと言っていいほど登場する勘定科目「租税公課(そぜいこうか)」。固定資産税や自動車税、収入印紙代などがこれに含まれますが、いざ英文決算書を作成したり、海外拠点とやり取りする際に、「具体的な税目を英語でどう表現すればいいのか?」と悩むことが多い科目でもあります。
この記事では、「租税公課」として処理される主な税金や公的な負担金の標準的な英語表記を一覧にまとめました。実務での使い分けのポイントも合わせて解説します。
基本の英語表現
租税公課(勘定科目名)→ Taxes and Dues※ “Taxes”(税金)と “Dues”(会費・公的な料金)を合わせた表現が一般的です。
租税公課の英語表記一覧(税目別)
実務で頻出する具体的な税目ごとの英語表記です。文脈によって複数の表現が使われることもありますが、標準的なものを掲載しています。
日本語 (Japanese)英語 (English)備考固定資産税Property taxFixed assets tax土地・建物・償却資産にかかる税金。Property taxが最も一般的。都市計画税City planning tax固定資産税と合わせて納付されることが多い。事業所税Business office taxEnterprise office tax一定規模以上の事業所にかかる地方税。印紙税(収入印紙)Stamp dutyStamp tax契約書などに貼る収入印紙代。英国系ではStamp dutyがよく使われる。登録免許税Registration and license tax不動産登記や会社の設立登記などにかかる税金。不動産取得税Real estate acquisition tax土地や建物を買った時に一度だけかかる税金。自動車税(種別割)Automobile taxCar tax / Motor vehicle tax毎年かかる自動車の税金。軽自動車税(種別割)Light motor vehicle tax軽自動車にかかる税金。自動車重量税Automobile weight tax車検時に支払う税金。関税Customs dutyImport duty輸入品にかかる税金。仕入原価に含める場合もある。延滞税・加算税(罰科金的なもの)Delinquent taxPenalty tax (on late payment)税金の納付遅れなどによるペナルティ。税務上は損金不算入となる。商工会議所会費(公課の例)Chamber of commerce and industry fee税金ではないが、公的な性格を持つ会費として租税公課に含めることがある。(諸会費とすることもある)
実務上の重要な注意点
「税金=Taxes and Dues」と単純に考えてしまうと、大きな間違いにつながる可能性があります。
- 「法人税等」は租税公課ではない
会社の利益に対してかかる以下の税金は、P/Lの末尾(税引前当期純利益の下)に表示される「法人税、住民税及び事業税」であり、販管費の「租税公課」ではありません。
法人税 (Corporate income tax)
法人住民税 (Inhabitant tax)
事業税 (Enterprise tax) ※所得割部分
英文決算書では、これらをまとめて “Income taxes”(所得に対する税金)と表現するのが一般的です。※ただし、事業税のうち「外形標準課税(資本割・付加価値割)」部分は租税公課として処理します。
- 消費税の扱いに注意(税込経理 vs 税抜経理)
消費税(Consumption tax)は、会社の経理方式によって扱いが変わります。
税抜経理方式(原則):消費税は「仮払消費税」「仮受消費税」という別の科目で処理するため、租税公課には含まれません。(※免税事業者の場合などを除く)
税込経理方式(例外):消費税を商品価格などに含めて処理する場合、決算で確定した消費税の納付額を「租税公課」として費用計上します。
まとめ
「租税公課(Taxes and Dues)」は、事業を行う上で発生する様々な「経費となる税金」の集合体です。
英文会計においては、それぞれの税金の性質を理解し、適切な英単語を選択することが重要です。特に「法人税(Income taxes)」との区別は、財務諸表の構造に関わるため、明確に意識しておきましょう。
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