車やパソコン、内装工事など、ビジネスで高額な買い物をしたときに出てくる用語「減価償却(げんかしょうきゃく)」。
「なんとなく費用を分割することだとは知っているけれど、詳しい計算方法や仕組みはよく分からない」という方は多いのではないでしょうか?
減価償却は、決算書の利益をコントロールし、正しい税金を計算するために非常に重要なルールです。
この記事では、減価償却の基本的な考え方から、代表的な2つの計算方法(定額法・定率法)の違いまで、初心者の方にもわかるように解説します。
減価償却の3つのポイント
- 仕組み:高額な資産の購入代金を、買った年に一度に経費にせず、使える年数(耐用年数)に分けて少しずつ経費にする手続き。
- 目的:資産の価値減少を正しく記録し、毎年の利益を正確に計算するため。
- 例外:土地や骨董品など、時間が経っても価値が減らないものは減価償却できない。
減価償却のイメージ:なぜ分割するのか?
例えば、営業車を300万円で現金購入したとします。
もし、この300万円を買った年に全額「経費」にしてしまったらどうなるでしょうか?
その年だけ経費が急増して大赤字になり、翌年からは車を使って利益が出ているのに経費はゼロ(大黒字)になってしまいます。
これでは、会社の正しい業績が見えなくなってしまいます。
車は数年にわたって使い、売上に貢献してくれるものです。
だからこそ、「車が使われる期間(=耐用年数)」に合わせて、費用も少しずつ配分しようというのが減価償却の考え方です。
計算の2大ルール:「定額法」と「定率法」
減価償却の計算方法にはいくつか種類がありますが、実務で使うのは主に「定額法(ていがくほう)」と「定率法(ていりつほう)」の2つです。
| 計算方法 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 定額法 | 毎年「同じ金額」ずつ経費にする。 計算がシンプルで計画が立てやすい。 | 建物、ソフトウェア、 個人事業主の原則 |
| 定率法 | 毎年「未償却残高の〇%」ずつ経費にする。 初年度の経費が一番大きく、年々減っていく。 | 機械装置、車両、備品、 法人の原則 |
💡 個人と法人で原則が違います
事前に税務署へ届け出をしない場合、自動的に適用されるルールが決まっています。
・個人事業主:原則すべて「定額法」
・法人:「建物・建物附属設備・ソフトウェア」は定額法、それ以外(車両・備品など)は「定率法」
シミュレーション:100万円の車を償却してみる
違いをイメージするために、「100万円の車(耐用年数4年)」を購入した場合で比較してみましょう。
※わかりやすくするため、償却率は概算(定額法0.250、定率法0.500)とし、1円単位の端数処理等は省略しています。
| 年数 | 定額法(毎年25万円) | 定率法(残高×50%) |
|---|---|---|
| 1年目 | 250,000円 | 500,000円 |
| 2年目 | 250,000円 | 250,000円 |
| 3年目 | 250,000円 | 125,000円 |
| 4年目 | 250,000円 | 125,000円 ※ |
| 合計 | 1,000,000円 | 1,000,000円 |
- 定額法:毎年一定の費用計上なので、利益の予測がしやすいです。
- 定率法:買った直後の節税効果が高い(利益を圧縮できる)ため、早く投資資金を回収したい場合に有利です。
注意点:減価償却できない資産(非減価償却資産)
すべての固定資産が減価償却できるわけではありません。
減価償却は「時の経過とともに価値が減るもの」が対象です。そのため、以下のようなものは対象外となります。
- ❌ 土地(時間が経っても土地自体はなくならない)
- ❌ 借地権(土地を使う権利)
- ❌ 骨董品・美術品(時が経つと価値が上がることもある)
- ❌ 稼働休止中の資産(事業に使っていないもの)
特に不動産を購入した際、「建物代金」は経費化できますが、「土地代金」は売却するまで一切経費にならないという点は、非常に重要なので覚えておきましょう。
まとめ
減価償却は、会社の「利益」と「税金」に直結する重要な仕組みです。
- 基本は「耐用年数で分割して経費にする」こと。
- 「定額法」はずっと同額、「定率法」は最初が多くなる。
- 30万円未満なら特例で一発経費も可能(青色申告)。
高額な設備投資をする際は、「今期の利益がどれくらい出そうか?」「定率法で早めに経費にすべきか?」などをシミュレーションしてから購入することをお勧めします。
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