労働保険料の勘定科目は?仕訳・年度更新・確定精算のやり方をプロが徹底解説

労働保険料(労災・雇用保険)の勘定科目や仕訳でお困りですか?公認会計士が、会社負担分と本人負担分の切り分け、年度更新時の概算・確定精算の手順を初心者向けに図解でわかりやすく解説します。

労働保険料(労災保険・雇用保険)の勘定科目は、会社負担分が「法定福利費」、従業員負担分が「預り金」です。年度更新による概算・確定精算という特殊なサイクルがあるため、仕訳が複雑に感じられます。この記事では基本の仕訳から年度更新・確定精算まで、実務ですぐ使えるパターンを解説します。


目次

1. 誰がどれだけ負担するか

保険の種類会社負担従業員負担会社の勘定科目
労災保険全額なし法定福利費
雇用保険一部(約2/3)一部(約1/3)法定福利費(会社分)・預り金(従業員分)

労災保険は100%会社負担のため全額「法定福利費」です。雇用保険は給与から従業員分を天引きし「預り金」で管理します。


2. 仕訳パターン3選

年度更新で概算保険料を支払う(7月)

仕訳例:概算保険料100,000円を銀行振込で支払った

借方金額摘要貸方金額
法定福利費100,000労働保険料概算普通預金100,000

毎月の給与から雇用保険料を天引きする

仕訳例:給与250,000円・雇用保険1,500円・源泉所得税10,000円天引き

借方金額貸方金額
給与手当250,000預り金(雇用保険)1,500
預り金(源泉所得税)10,000
普通預金238,500

確定精算で不足分を追加納付する

仕訳例:確定精算5,000円不足・次年度概算100,000円を合わせて105,000円を支払った

借方金額摘要貸方金額
法定福利費5,000前年度確定精算普通預金105,000
法定福利費100,000次年度概算保険料

3. 年度更新のスケジュール

時期作業内容
毎年6〜7月年度更新申告書の提出・概算保険料の納付
申告時前年度の確定保険料との差額を精算
毎月給与から雇用保険料(従業員分)を天引き
翌年6〜7月再び年度更新(繰り返し)

4. 間違えやすいポイント4選

役員には雇用保険が適用されない

法人の代表取締役・役員には雇用保険は適用されません。役員報酬から雇用保険料を天引きすることはできません(従業員兼務役員を除く)。

延滞金・追徴金は「租税公課」かつ損金不算入

期限を過ぎた場合の延滞金は「租税公課」で処理しますが、税務上の損金(経費)にはなりません。

消費税区分は「対象外(不課税)」

労働保険料は公的な支出で対価を伴わないため消費税はかかりません。会計ソフト入力時は「対象外」または「不課税」を選択してください。

建設業などの「二元適用事業」は手順が異なる

建設業・農林水産業など、労災・雇用保険を別々に申告する事業者は申告書が2種類になります。


よくある質問

労働保険料を3分割で支払っている(延納)場合の仕訳は?

各分割払いのタイミングで「法定福利費」として計上します。初回に全額計上して残額を「前払費用」で管理する方法と、支払う都度計上する方法があります。毎期同じ方法を継続してください。

従業員が退職した月の雇用保険料はどうなりますか?

退職時の給与からも雇用保険料を天引きします。最後の給与支払時に「預り金」として計上し、次回の年度更新に含めます。

概算保険料を払いすぎた場合(還付)の処理は?

次年度の概算保険料と相殺する「充当」が一般的です。還付を受ける場合は「未収入金」で処理し、入金時に消し込みます。


まとめ

確認ポイント内容
会社負担分法定福利費
従業員負担分(給与天引き)預り金
年度更新の概算払い法定福利費
確定精算の不足額法定福利費(追加計上)
消費税区分対象外(不課税)

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この記事を書いた人

会計・経理アドバイザー / 中小企業支援コンサルタント

経歴
大学卒業後、会計事務所で10年以上勤務し、法人・個人事業主の会計処理、税務申告、経理業務改善を多数経験。特に「勘定科目の設定・運用」に関して、企業規模や業種ごとに最適化したアドバイスを提供してきた。現在は独立し、経理の効率化や会計初心者向けの研修も実施。

専門分野
・勘定科目の選定・運用ルール作り
・会計ソフト導入と科目設定支援
・経理担当者の教育・研修
・中小企業の経営数字可視化サポート

サイトの目的
「勘定科目は難しい…」という声をなくし、初心者でも迷わず正しい科目選択ができるようにすること。具体例・図解・テンプレートを用いて、経理や会計業務の現場で即使える情報を発信しています。

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