会議費と交際費の違いは?「1万円基準(旧5,000円)」への変更と判定ルールを解説

会議費と交際費の違いは、社外の人との飲食が1人あたり1万円以下かどうかで決まります。2024年4月以後の支出は基準が旧5,000円から1万円へ倍増し、1万円以下なら会議費として全額経費。超えると交際費ですが、中小企業は年800万円まで経費にできます。

この記事でわかること

  • 会議費と交際費は「金額」より先に「何をしたか」で決まること
  • 2024年4月から接待飲食費の基準が1人5,000円→1万円に倍増したこと
  • 会議費として全額落とすための4つの条件と、欠けたときの扱い
  • 1万円基準を税込で見るか税抜で見るか(経理方式で結論が変わる)
  • 交際費になっても中小企業は年800万円まで経費にできる特例
  • 領収書を受け取ってから科目を決める3ステップの判定フロー

公的情報源: 国税庁「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算」(参照)/「交際費等(飲食費)に関するFAQ」(参照)/「No.5274 交際費等の損金不算入額の計算」(参照

1人1万円をまたぐ会食や、参加人数のメモが残っていない領収書は、判定そのものが揺れます。線引きに迷う領収書が積み上がっているなら、自社の精算ルールごと外の目で確認しておくのも一つの手です。

結論を先に書きます

会議費と交際費の境界は、まず「何をしたか」で決まります。会議の実態がある飲食(お茶・弁当など)は、金額にかかわらず会議費。接待・懇親がメインの会食は、原則として交際費です。

ただし接待であっても、2024年4月以後の支出からは1人あたり1万円以下なら交際費から除外でき、全額を経費にできます。物価高を受け、それまでの「5,000円以下」という基準が引き上げられました。

この記事の要点
  • 会議の実態がある飲食は金額に関係なく会議費(常識的な範囲内に限る)
  • 接待飲食費は1人1万円以下なら交際費から除外(2024年4月以後の支出)
  • 判定は「支払総額 ÷ 参加人数」で1人あたり1万円以下かを見る
  • お中元・ゴルフ接待・社内だけの飲み会は金額に関係なく交際費
  • 適用には参加者・人数・金額などの記録が保存要件として必須

目次

会議費と交際費の基本的な違い

会議費と接待交際費を目的・損金算入・具体例で対比した表。会議費は全額損金、接待交際費は資本金に応じ一部しか損金にならない。
図:違いは金額の大小ではなく「目的・実態」。会議費は全額損金、接待交際費は損金不算入の制限がある。

会議費と交際費の違いは、金額の大小ではなく「目的と実態」にあります。会議費は業務の打ち合わせに必要な費用、交際費は取引先との親睦を深めるための費用です。

まずは言葉の定義から押さえます。会議費は「業務の打ち合わせ・会議のために必要な費用」、交際費は「得意先などへの接待・慰安・贈答など、親睦を深めるための費用」を指します。

会議費と接待交際費の対比(2026年8月時点)

勘定科目内容・目的具体例
会議費業務の打ち合わせ・会議のために必要な費用会議中のコーヒー・お茶/昼食を挟む場合の弁当代/貸会議室の利用料
接待交際費得意先などへの接待・慰安・贈答などの費用(親睦が目的)居酒屋・料亭での会食/お中元・お歳暮/ゴルフ接待

この区分が実務で重視されるのは、経費にできる範囲が大きく違うからです。

会議費は全額が経費(損金)になります。一方の交際費は、資本金の額に応じて「一部しか損金にならない(損金不算入)」という制限があります。

そのため企業としては、できるだけ交際費ではなく「会議費(または交際費等から除かれる飲食費)」として処理したい、というのが本音になります。

重要改正:「1万円の壁(旧5,000円基準)」とは

本来は「接待」にあたる飲食代でも、1人あたり1万円以下であれば交際費から除外できます。これが少額飲食費の損金算入の特例です。

2024年4月から基準額が倍増

接待飲食費の1人あたり基準額の改正。2024年3月末までは5,000円以下、4月1日からは10,000円以下に倍増。
図:接待飲食費の交際費除外ライン。1人5,000円→1万円へ引き上げ(2024年4月1日以後の支出)。

2024年度(令和6年度)の税制改正で、このボーダーラインが引き上げられました。国税庁「交際費等(飲食費)に関するFAQ」(2026年8月時点)でも、2024年4月1日以後に支出する飲食費から1万円基準が適用されると案内されています。

1人あたり基準額の改正(支出時期別)

支出時期1人あたりの基準額(税抜または税込・経理方式による)
2024年3月31日まで5,000円以下
2024年4月1日から10,000円以下

これにより、以前なら交際費として処理していた「1人8,000円の会食」なども、会議費(交際費除外)として全額経費にできるようになりました。

判定は「総額」ではなく「1人あたり」

注意したいのは、基準額の判定が支払総額ではなく「1人あたりの金額」で行われる点です。

支払総額 ÷ 参加人数 ≦ 10,000円

たとえば取引先2名・自社2名の計4名で会食し、総額が38,000円だったとします。

このときは「38,000円 ÷ 4名 = 9,500円」。1人あたり1万円以下なので、全額を会議費として処理できます

割る人数には、社外の相手だけでなく自社のメンバーも含めます。人数の記録がないと、この計算自体ができません。

「会議費」で落とすための4つの条件

1万円以下なら無条件で会議費になる、というわけではありません。会議費(交際費からの除外)が認められるのは、次の4条件をすべて満たしたときだけです。

会議費にする4条件。飲食目的の支出・社外の人が参加・1人1万円以下・記録の保存をすべて満たすと会議費、1つでも欠けると交際費になる。
図:4条件をすべて満たせば会議費、1つでも欠ければ交際費になる。

  1. 飲食等のための支出であること
  2. 社外の人が参加していること
  3. 1人あたり1万円以下であること
  4. 所定の事項を記録・保存していること

条件1・2:飲食のための支出で、社外の人が参加している

対象になるのはランチ・ディナー・弁当代などの飲食です。お土産代・ゴルフ・観劇・旅行は飲食ではないため、金額にかかわらず交際費になります。

さらに、取引先・顧客・下請業者など外部の人が1人でも含まれていることが必要です。役員や従業員だけの飲み会は、たとえ1人3,000円でもこの基準は使えません。

ただし社内だけの飲食にも例外はあります。弁当を食べながら会議した実態があれば会議費、全社員が対象の忘年会などは福利厚生費として処理できます。

条件3:1人あたり1万円以下である

判定は「支払総額 ÷ 参加人数(社内・社外を含む)」で計算します。国税庁「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算」(2026年8月時点)では、この1人あたり金額が1万円以下の飲食費を交際費等から除外できるとされています。

1円でも超えれば全額が交際費です。1万円までを会議費、超過分を交際費に分けるといった按分はできません。

条件4:所定の4項目を記録・保存している

税務調査で否認されないために、領収書や経費精算書へ次の事項を記録しておくことが保存要件として義務付けられています。

記録すべき4項目
  • 飲食等のあった年月日
  • 参加した得意先等の氏名・名称および関係(「〇〇株式会社 田中部長 他2名」など)
  • 参加人数
  • 飲食費の金額と、飲食店の名称・所在地(領収書に記載があればそれでOK)

特に致命的なのが「参加人数」のメモ漏れです。人数が分からなければ割り算ができず、1人あたりの判定そのものができません。

結果として特例が適用できず、交際費として扱わざるを得なくなります。領収書の裏面や精算書に、必ず人数を書き残しておきましょう。

金額に関係なく交際費になるもの

1万円基準が使えるのは飲食だけです。次の支出は、いくら少額でも最初から交際費として扱います。

飲食・接待支出の分類。1人1万円以下は会議費、1万円超は交際費、贈答品や遊興・社内だけの飲み会は金額に関係なく交際費になる。
図:社外との飲食は1人1万円以下なら会議費、1万円超や贈答・遊興・社内飲みは交際費。

  • お中元・お歳暮・贈答品:金額にかかわらず交際費
  • ゴルフ・麻雀・観劇などの接待:飲食ではないので交際費
  • 社内の人間だけの飲み会:社外がいないので原則交際費

ここを取り違えると、金額が基準内でも否認の原因になります。「1万円基準は、社外の人を含む飲食にだけ使える」と覚えておくのが安全です。

1万円基準は税込・税抜どちらで判定するか

1万円基準を判定するとき、消費税を含める(税込)か抜く(税抜)かは、会社が採用している経理方式に合わせます。同じ金額でも経理方式で結論が変わるため、実務でつまずきやすいところです。

1万円基準の税込・税抜判定。税抜9,500円(税込10,450円)の飲食は、税抜経理では会議費、税込経理では交際費になる。
図:同じ税抜9,500円の飲食も、税抜経理なら会議費・税込経理なら交際費。

同じ飲食(税抜9,500円/税込10,450円)の判定結果(2026年8月時点)

経理方式判定に使う金額結論
税抜経理税抜9,500円1万円以下→会議費
税込経理税込10,450円1万円超→交際費

同じ飲食でも、税抜経理なら会議費、税込経理なら交際費という分かれ方をします。自社がどちらの方式かを最初に確認しておくのが安全です。

なお、インボイスの登録番号がない店で経過措置が適用される場合は、控除できる仕入税額が段階的に変わるため計算が複雑になります。判断に迷ったら税理士に確認するのが確実です。

税抜経理か税込経理かで科目が変わる会食は、社内の精算ルールを決めておかないと毎回判断がぶれます。インボイスの経過措置が絡む領収書もあわせて、一度まとめて整理しておくと処理が安定します。

交際費でも経費にできる中小企業の特例

「1人1万円を超えた=交際費だから経費にならない」と諦めるのは早いです。資本金1億円以下の中小企業には、交際費を一定額まで経費にできる特例があります。

中小企業の交際費特例。年800万円までの定額控除と飲食接待費50%控除のうち有利な方を選べ、計算が簡単な①800万円定額控除を選ぶ会社がほとんど。
図:中小企業は①年800万円定額控除と②飲食50%控除の有利な方を選べる(多くは①)。

国税庁「No.5274 交際費等の損金不算入額の計算」(2026年8月時点)によれば、中小法人は次のどちらか有利な方を選べます。

中小法人が選べる2つの控除方式(年額・2026年8月時点)

選択肢内容向いている会社
① 年800万円まで定額控除交際費の合計のうち年800万円まで全額経費交際費がそれほど多くない(年1,600万円以下)
② 飲食接待費の50%控除交際費のうち飲食代の50%を経費(贈答品は対象外)飲食の交際費が非常に多い

実務では、計算が簡単な①年800万円までの定額控除を選ぶ中小企業がほとんどです。つまり中小企業なら、よほど派手な接待を繰り返さない限り、実質的に交際費も経費にできると考えて差し支えありません。

よくある質問

会議費と交際費の境界について、実務で迷いやすい質問を整理します。

Q1:会議費と交際費の違いは何で決まりますか?

会議費と交際費の違いは、社外の人との飲食が「1人1万円以下」か否かで決まります。1人1万円以下なら会議費として全額を経費にでき、1万円を超えると原則は交際費です。お中元・ゴルフ接待・社内だけの飲み会は、金額に関係なく交際費になります。

Q2:社員だけの飲み会も1万円以下なら会議費になりますか?

なりません。この特例(交際費除外)は、あくまで「社外の人」が含まれる飲食に限られます。

社員だけの飲み会は、全員参加なら福利厚生費、一部のメンバーだけなら交際費(社内交際費)または給与の扱いになります。判定の詳細は社員だけの飲み会と福利厚生費の条件で整理しています。

Q3:1万円基準は税込・税抜のどちらで判定しますか?

会社が採用している経理方式に合わせます。税抜経理なら税抜金額で、税込経理なら税込金額で判定します。たとえば税抜9,500円(税込10,450円)の飲食は、税抜経理なら会議費、税込経理なら交際費になります。

Q4:会議中の弁当代(2,000円)はどう扱いますか?

会議費です。会議の実態がある場合のお茶やお弁当は、1万円基準に関係なく、会議に必要な費用として会議費になります。

ただし常識の範囲を超えて高額(例:1万円の高級弁当など)な場合は、交際費とみなされるリスクがあります。

Q5:1人あたりが1万円を超えたら、全額が交際費ですか?

はい。1人あたりが1万円を超えると、その飲食費は全額が接待交際費となります。1万円までを会議費、超過分を交際費に分ける、といった按分はできません。

なお、交際費に区分された後の損金算入の上限は接待交際費の損金算入の上限(800万円ルール)で解説しています。

Q6:お中元やゴルフ接待は1万円以下でも会議費にできますか?

できません。贈答品や遊興(ゴルフ・観劇など)は飲食ではないため、金額に関係なく交際費になります。1万円基準が使えるのは飲食代に限られます。

Q7:会議費にするのに必要な記録は何ですか?

①飲食の年月日、②参加した得意先等の氏名・名称・関係、③参加人数、④金額・飲食店名・所在地、の4項目です。これらの記録がないと、金額が基準内でも否認される可能性があります。

まとめ:3ステップの判定フロー

飲食費の領収書を受け取ったら、「誰と・1人いくら・会社規模」の3点を順に当てはめるだけで科目が決まります。

3ステップ判定フロー。社外の人の有無、1人1万円以下か、中小企業かの順に当てはめ、会議費・交際費の科目と経費可否を判定する。
図:誰と・1人いくら・会社規模の順で当てはめると科目が決まる。

この記事のまとめ
  • 誰と?:社外の人がいなければ交際費(または福利厚生費)
  • 1人いくら?:1万円以下なら会議費、超えれば交際費
  • 会社規模は?:中小企業なら交際費でも年800万円まで経費OK
  • 接待飲食費の基準が1人5,000円→1万円へアップ(2024年4月以後の支出)
  • ただし「誰と・何人で」の記録がないと否認リスクは変わらない

これまで「5,000円を超えたから交際費か…」と諦めていた領収書も、今後は経費で落とせる可能性があります。社員の経費精算ルールやマニュアルも、この機会に見直しておくと安心です。


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免責事項

※本記事は税務・会計の一般的な情報を整理したものです。具体的な勘定科目の判定や税務処理は、自社の経理方針や個別事情によって異なります。最終的な判断は国税庁の最新情報をご確認のうえ、必要に応じて税理士にご相談ください。


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この記事を書いた人

会計・経理アドバイザー / 中小企業支援コンサルタント

経歴
大学卒業後、会計事務所で10年以上勤務し、法人・個人事業主の会計処理、税務申告、経理業務改善を多数経験。特に「勘定科目の設定・運用」に関して、企業規模や業種ごとに最適化したアドバイスを提供してきた。現在は独立し、経理の効率化や会計初心者向けの研修も実施。

専門分野
・勘定科目の選定・運用ルール作り
・会計ソフト導入と科目設定支援
・経理担当者の教育・研修
・中小企業の経営数字可視化サポート

サイトの目的
「勘定科目は難しい…」という声をなくし、初心者でも迷わず正しい科目選択ができるようにすること。具体例・図解・テンプレートを用いて、経理や会計業務の現場で即使える情報を発信しています。

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