関税の勘定科目・仕訳|仕入原価への算入と租税公課・輸入消費税の処理

輸入時に支払う関税の勘定科目は、原則「仕入」(商品の取得価額)に算入します。輸入消費税は「仮払消費税」で仕入税額控除の対象、通関手数料は仕入諸掛か支払手数料で処理します。関税を租税公課や費用で落とせるのは、付随費用が購入代価のおおむね3%以内など少額のときに限られます。

この記事でわかること

  • 関税は原則「仕入」=商品の取得価額に算入する。租税公課ではない理由を整理
  • 付随費用が購入代価のおおむね3%以内なら取得価額に算入せず費用処理もできる
  • 輸入消費税は「仮払消費税」で計上し、仕入税額控除の対象になる
  • 関税・輸入消費税・通関手数料を分けた仕訳例をそのまま転記できる形で掲載
  • 関税自体は消費税の不課税、輸入消費税は控除対象という区別

公的情報源: 国税庁「No.6563 輸入取引」(参照)/国税庁「法人税基本通達5-1-1 購入した棚卸資産の取得価額」(参照)/国税庁「No.6133 輸入する貨物の納税義務者」(参照

結論を先に書きます

関税の勘定科目は、原則として「仕入」(商品の取得価額)に算入します。関税は輸入した商品を仕入れるために直接かかった付随費用(仕入諸掛)だからです。

一方、輸入時に支払う消費税は「仮払消費税」で処理し、後で仕入税額控除の対象になります。この2つを混同すると、原価がずれたり控除を取り損ねたりします。まずは「関税=仕入原価」「輸入消費税=仮払消費税」と分けて覚えてください。

この記事の要点
  • 関税は原則「仕入」に算入(取得価額の一部)。租税公課で処理しないのが基本
  • 付随費用が購入代価のおおむね3%以内なら取得価額に入れず費用処理も可(法基通5-1-1)
  • 輸入消費税は「仮払消費税」で計上し仕入税額控除の対象
  • 通関手数料は仕入諸掛(仕入)か支払手数料で処理
  • 関税そのものは消費税の不課税取引(税に税はかからない)

目次

関税の勘定科目は「仕入」が原則|取得価額に算入する

関税とは、輸入品に課される税金で、会計では原則として仕入(商品の取得価額)に算入する付随費用です。まずはこの分類を押さえます。

図:関税は仕入(取得価額)、輸入消費税は仮払消費税に分けて処理する
図:関税は仕入(取得価額)、輸入消費税は仮払消費税に分けて処理する

商品を仕入れて販売できる状態にするための費用は、本体価格と一体で「取得価額」に含めるのが会計の考え方です。輸入では、この付随費用(仕入諸掛)に関税や通関費用が含まれます。

法人税基本通達5-1-1でも、購入した棚卸資産の取得価額には、購入代価に加えて引取運賃・荷役費・運送保険料・購入手数料・関税などを算入すると定めています(国税庁)。関税は「税金」という名前ですが、扱いは仕入原価の一部です。

なぜ「租税公課」ではないのか
  • 租税公課は固定資産税・自動車税・印紙税など事業全般にかかる税金を処理する科目
  • 関税は特定の商品を仕入れるために直接かかった費用=仕入原価に紐づく
  • 租税公課で処理すると売上原価が過小になり、利益がぶれる

商品を仕入れる会社(三分法)では「仕入」に含めます。仕入諸掛の全体的な考え方は、仕入(仕入高)の勘定科目と仕訳で整理しています。

少額なら費用処理もできる(3%基準)

原則は取得価額への算入ですが、例外もあります。法人税基本通達5-1-1では、買入事務費や移管運賃などの付随費用の合計が、購入代価のおおむね3%以内と少額であれば、取得価額に算入しないことができるとされています(国税庁)。

この場合は費用として処理でき、実務では「販売費及び一般管理費」や場合により「租税公課」で計上する例もあります。ただし恣意的な使い分けは避け、継続して同じ処理を適用するのが基本です。判断に迷う金額なら、原則どおり取得価額に含めるほうが無難です。

関税・輸入消費税・通関手数料の仕訳例

輸入では、1回の支払いに「関税」「輸入消費税」「通関手数料」が混ざります。ここでは実務でそのまま使える仕訳を整理します。

輸入取引の支払い内訳(例)

支払い項目勘定科目消費税区分
商品本体(輸入仕入)仕入課税仕入(輸入)
関税仕入(取得価額に算入)不課税
輸入消費税仮払消費税―(控除対象)
通関手数料仕入諸掛(仕入)/支払手数料課税仕入

① 輸入仕入・関税・輸入消費税をまとめて支払う

状況:商品80万円を輸入し、関税4万円・輸入消費税8.4万円・通関手数料1万円を現金で支払った。

関税と通関手数料は仕入に含め、輸入消費税は仮払消費税に立てます。

借方金額貸方金額
仕入850,000現金934,000
仮払消費税84,000

仕入850,000円=商品80万円+関税4万円+通関手数料1万円です。関税と通関手数料を仕入に含めることで、仕入原価が正しく計上されます。

② 通関手数料を「支払手数料」で分ける場合

状況:①のうち通関業者への手数料1万円を、販管費として区分したい。

通関手数料は仕入に含めず、支払手数料で処理することも認められます。

借方金額貸方金額
仕入840,000現金934,000
支払手数料10,000
仮払消費税84,000

どちらで処理するかは会社の方針次第ですが、期ごとに変えないことが大切です。支払手数料の扱いは支払手数料の勘定科目と仕訳もあわせてご確認ください。

③ 関税を少額で費用処理する場合

状況:小口の輸入で、付随費用が購入代価の3%以内に収まる。

3%基準を満たすなら、関税を取得価額に含めず租税公課等で費用処理できます。

借方金額貸方金額
仕入300,000現金315,000
租税公課6,000
支払手数料3,000
仮払消費税6,000

原則は仕入算入である点は変わりません。費用処理はあくまで少額の場合の簡便法と考えてください。

輸入消費税は「仮払消費税」で処理する

関税と並んで迷いやすいのが輸入消費税です。輸入消費税は、国内取引の消費税と同じく「仮払消費税」で計上し、仕入税額控除の対象になります。

図:関税は仕入原価・不課税、輸入消費税は仮払消費税・控除対象という違い
図:関税は仕入原価・不課税、輸入消費税は仮払消費税・控除対象という違い

保税地域から引き取る外国貨物には、原則として消費税がかかります(国税庁「No.6563 輸入取引」)。この税を負担するのは、貨物を引き取る輸入者です(国税庁「No.6133 輸入する貨物の納税義務者」)。

輸入消費税の課税標準と計算

輸入消費税の課税標準は、国内取引と違い「関税課税価格(CIF価格)+関税額+個別消費税額」です(国税庁 No.6563)。式にすると次のとおりです。

項目内容
課税標準CIF価格 + 関税 + 酒税等の個別消費税
税率10%(国税7.8%+地方消費税2.2%)
計算式課税標準 × 10% = 輸入消費税

たとえばCIF価格80万円・関税4万円なら、課税標準は84万円、輸入消費税は約8.4万円(84万円×10%)です。関税を含めた金額に消費税がかかる点が、輸入取引の特徴になります。

輸入消費税は仕入税額控除の対象なので、仮払消費税で計上して決算で精算します。仮払・仮受・未払消費税の全体像は消費税の勘定科目と仕訳で解説しています。

関税と消費税の関係(関税自体は不課税)

関税と消費税は別の税金です。ここを混同すると、消費税区分の設定を誤ります。

税の種類会計上の科目消費税区分
関税仕入(取得価額)不課税
輸入消費税仮払消費税控除対象

関税そのものには消費税がかかりません(不課税)。税に税をかけないためです。会計ソフトで関税を入力するときは、税区分を「不課税」にしておかないと、二重に消費税を計上してしまうおそれがあります。

一方、輸入消費税は仕入税額控除の対象なので、仮払消費税として区分します。国内仕入の消費税とは計算根拠が違うだけで、控除できる点は同じです。租税公課として費用処理できる税金との線引きは、経費で落とせる税金と落とせない税金も参考になります。

関税の会計処理でよくある間違い

最後に、実務で起こりやすいミスをまとめます。

ありがちな3つの誤り
  • 関税を租税公課で処理→ 原則は仕入。売上原価が過小になり利益がぶれる
  • 輸入消費税を仕入に含める→ 仮払消費税で計上しないと控除を取り損ねる
  • 関税に消費税をかける→ 関税は不課税。税区分の設定ミスに注意

いずれも「関税=仕入原価」「輸入消費税=仮払消費税」「関税は不課税」の3点を押さえれば防げます。判断が難しいケースや金額が大きい取引は、顧問税理士に確認するのが安全です。

よくある質問

Q1:関税の勘定科目は「租税公課」ではだめですか?

原則は「仕入」(取得価額への算入)です。関税は特定の商品を仕入れるための付随費用だからです。

ただし、付随費用の合計が購入代価のおおむね3%以内と少額であれば、取得価額に算入せず費用(租税公課等)で処理することも認められます(法人税基本通達5-1-1)。恣意的に使い分けず、継続して同じ処理を適用してください。

Q2:関税と輸入消費税は同じ科目でまとめてよいですか?

分けて処理します。関税は「仕入」(取得価額)、輸入消費税は「仮払消費税」です。輸入消費税は仕入税額控除の対象なので、仮払消費税で区分しないと控除を受けられません。まとめて仕入に入れると、原価が過大になり控除も取り損ねます。

Q3:関税に消費税はかかりますか?

関税そのものには消費税はかかりません(不課税)。ただし輸入消費税の課税標準は「CIF価格+関税+個別消費税」で計算するため、関税を含めた金額に対して消費税が課されます(国税庁 No.6563 輸入取引)。関税を会計ソフトに入力するときは、税区分を「不課税」に設定してください。

Q4:通関手数料はどの勘定科目で処理しますか?

仕入諸掛として「仕入」に含めるか、「支払手数料」で処理します。どちらも認められますが、期ごとに処理を変えないことが大切です。原価を正確に把握したい場合は仕入に含め、販管費として管理したい場合は支払手数料で区分します。

Q5:個人事業主(輸入販売)の場合も同じ処理ですか?

考え方は法人と同じで、関税は仕入原価、輸入消費税は仮払消費税(課税事業者・税抜経理の場合)です。免税事業者は税込経理となり、仮払消費税は使いません。輸入消費税を含めた金額で仕入・経費を記帳します。

まとめ

関税の会計処理は、「関税は仕入原価」「輸入消費税は仮払消費税」「関税は不課税」の3点を押さえれば整理できます。

この記事のまとめ
  • 関税は原則「仕入」(取得価額)に算入。租税公課で処理しないのが基本
  • 付随費用が購入代価のおおむね3%以内なら費用処理も可(法基通5-1-1)
  • 輸入消費税は「仮払消費税」で計上し仕入税額控除の対象
  • 輸入消費税の課税標準はCIF価格+関税+個別消費税×10%
  • 通関手数料は仕入諸掛(仕入)か支払手数料で処理
  • 関税自体は消費税の不課税取引。税区分の設定に注意

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免責事項

※本記事は一般的な会計処理の解説です。個別の税務判断は、最新の国税庁情報をご確認のうえ、必要に応じて税理士等の専門家にご相談ください。


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この記事を書いた人

会計事務所で10年以上、法人や個人事業主の帳簿づけと税務申告の手伝いをしてきたTanakaです。決算が近づくと、経営者から「この支払いはどの科目で処理すればいいですか」という電話を何度も受けました。答えは業種や会社の規模で変わります。そこを一つずつ、相手に合わせて説明してきました。

独立してからは、中小企業の経理担当者向けの研修や、freee・マネーフォワード・弥生の科目設定の相談にも応じています。教科書の説明は抽象的で、現場では「とりあえず雑費」で片づけてしまうことも少なくありません。このサイトでは、勘定科目の選び方の判断軸を、具体例をそえて整理しています。最終的な税務判断は、顧問税理士にご相談ください。

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