賞与(ボーナス)の勘定科目と仕訳|源泉・社保の控除と役員賞与・決算賞与の落とし穴【2026年版】

従業員へのボーナスは勘定科目「賞与」で処理し、支給時に源泉所得税と社会保険料の本人負担分を差し引いて「預り金」に計上します。賞与の源泉・社保は月給と別ルールで計算し、役員賞与は原則損金不算入。決算賞与は3要件を満たせば当期の経費にできます。

この記事でわかること

  • 従業員賞与の勘定科目は「賞与」(給料手当に含める実務もあり)、控除分は「預り金」で処理
  • 賞与支給時の仕訳例(源泉所得税・社会保険料本人負担分の控除と翌月納付の消し込み)
  • 賞与の社会保険料(総報酬制)と源泉所得税(前月給与ベース)が月給と別計算になる理由
  • 役員賞与は原則損金不算入/事前確定届出給与の要件/決算賞与の損金算入3要件
  • 個人事業主の場合=専従者賞与は事前届出額の範囲のみ経費、事業主本人の賞与は経費不可

公的情報源: 国税庁タックスアンサー No.2523 賞与に対する源泉徴収No.5350 使用人賞与の損金算入時期日本年金機構

結論を先に書きます

従業員へのボーナスは、勘定科目「賞与」(または「賞与手当」)で費用計上します。会社によっては月給と同じ「給料手当」にまとめる実務もありますが、金額が大きく管理しやすさが変わるため、賞与は独立した科目に分けるのが実務上おすすめです。

支給時は、額面から源泉所得税と社会保険料の本人負担分を差し引き、その控除分を「預り金」に計上します。手取りだけを見て「賞与/普通預金」と丸めて処理すると、預り金の管理と納付がずれるため注意してください。

この記事の要点
  • 仕訳の骨格は賞与(費用)/預り金(源泉・社保の本人負担)/普通預金(手取り)
  • 賞与の源泉所得税は前月給与ベースの算出率表、社会保険料は標準賞与額×料率(総報酬制)で月給とは別計算
  • 役員賞与は原則損金不算入。損金にするには事前確定届出給与の届出と届出どおりの支給が必要
  • 決算賞与は「通知・支給・損金経理」の3要件を満たせば当期の損金に算入できる

日々こうした賞与・給与・社保の仕訳判断をこなしている方は、経理の実務スキルが着実に積み上がっています。その市場価値が気になる方は、経理・管理部門特化のWARC AGENT(無料)で相場を確かめる選択肢もあります。

目次

賞与(ボーナス)の勘定科目|賞与・給料手当・役員報酬の使い分け

まず結論です。従業員へのボーナスは勘定科目「賞与」で処理し、控除する源泉・社保は「預り金」で受けます。役員へのボーナスは「役員賞与」として分け、税務上の扱いが従業員賞与とは大きく異なります。

賞与まわりで使う中心勘定を、性格ごとに整理します。

勘定科目性格主な使い道税務上の注意
賞与(賞与手当)費用(販管費)従業員へのボーナス本体原則、支給日の属する期の損金
給料手当費用(販管費)月給と賞与を合算管理する場合賞与を独立科目にしない小規模事業者向け
役員賞与費用(P/L計上)役員へのボーナス原則 損金不算入(届出があれば例外)
預り金負債(流動)源泉所得税・社会保険料本人負担分翌月納付で残高ゼロが原則
賞与引当金負債(引当金)翌期支給賞与の当期見越し税務上は原則 損金不算入(会計上の見積り)

「賞与」と「給料手当」のどちらを使うかは、金額規模と管理のしやすさで決めます。年2回でも金額が大きいボーナスは、月給と混ぜず「賞与」で独立させたほうが、人件費分析も年末調整も追いやすくなります。

賞与引当金は使うべき?

賞与引当金は、翌期に支給する賞与のうち当期の労働に対応する分を、当期の費用として見越し計上する会計上の勘定です。上場企業や中堅企業では計上しますが、中小企業の税務では原則として損金算入が認められない点に注意してください。

税務申告では引当金繰入額を加算調整するため、中小企業は「賞与引当金を立てても税金は減らない」のが実情です。実際に翌期の労働に対する未払賞与を当期損金にしたい場合は、後述の決算賞与の3要件で処理します。

賞与支給時の仕訳例|源泉所得税・社会保険料を控除して預り金へ

各見出しの結論を先に言います。賞与の仕訳は、額面を「賞与」で借方計上し、源泉所得税・社会保険料の本人負担分を「預り金」で控除、差引手取りを「普通預金」で支払う——この形が基本です。

仕訳例:賞与50万円・社保本人負担7万5千円・源泉所得税2万円

賞与総額50万円の従業員に、社会保険料本人負担分7万5,000円と源泉所得税2万円を控除して、手取り40万5,000円を普通預金から振り込むケースです。

【賞与支給時の仕訳】

借方科目金額(円)貸方科目金額(円)
賞与500,000普通預金(差引手取り)405,000
預り金(社会保険料)75,000
預り金(源泉所得税)20,000

住民税は賞与から特別徴収しないのが原則です(住民税は月割で毎月の給与から徴収)。賞与から差し引くのは「社会保険料」と「源泉所得税」の2つと覚えておくと間違えません。

会社負担分の社会保険料も忘れずに計上する

賞与にも会社負担分の社会保険料が発生します。本人負担分と同額(労使折半)を「法定福利費」で計上し、相手勘定は月末未納付なら「未払金」です。

【会社負担分・社会保険料の計上】

借方科目金額(円)貸方科目金額(円)
法定福利費75,000未払金(社会保険料)75,000

会社負担分の計上を忘れると、法定福利費が漏れて利益が過大に出るため、賞与月は特に確認してください。社会保険料の3勘定(法定福利費・預り金・未払金)の使い分けは、社会保険料の仕訳を完全解説(給与計算・納付・決算の3段階)で詳しく整理しています。

翌月の納付時に預り金を消し込む

賞与から預かった源泉所得税と社会保険料は、翌月に納付して「預り金」を取り崩します。源泉所得税は原則、支給月の翌月10日までに納付します(納期の特例を受けている場合は年2回)。

【源泉所得税の納付時】

借方科目金額(円)貸方科目金額(円)
預り金(源泉所得税)20,000普通預金20,000

社会保険料は本人負担分(預り金)と会社負担分(未払金)を合わせて、翌月末に年金事務所へ納付します。預り金の月末残高が数か月分たまっていたら、納付漏れのサインです。

賞与の社会保険料・源泉所得税は月給と別計算|ここが最大のつまずき

賞与の処理で最も間違えやすいのが、社会保険料も源泉所得税も、月給とは別のルールで計算する点です。給与計算ソフトが自動計算しますが、経理担当者は理由を理解しておく必要があります。

賞与の社会保険料は「総報酬制」で計算する

賞与の社会保険料は、平成15年4月に導入された総報酬制により、月給の標準報酬月額とは別枠で計算します。計算式は「標準賞与額(税引前の賞与額から千円未満を切り捨てた額)×保険料率」です。

項目月給の社会保険料賞与の社会保険料
計算のベース標準報酬月額(等級表)標準賞与額(千円未満切捨)
保険料率健保・厚年の料率(折半)同じ料率(折半)
上限等級表の上限健保 年累計573万円/厚年 1回150万円
年間の扱い毎月発生年3回まで(4回以上は月給扱い)

健康保険は年度累計573万円、厚生年金は1回あたり150万円が上限で、上限を超えた部分には保険料がかかりません。高額賞与のある役員・幹部では、この上限管理が税務調査・社保調査の確認ポイントになります。

賞与の源泉所得税は「前月給与」を基準に算出率を決める

賞与の源泉所得税は、月給の月額表ではなく「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で計算します。手順は次のとおりです。

  1. 前月の給与から社会保険料を差し引いた金額を求める
  2. 扶養親族等の人数と「1」の金額を算出率の表に当てはめ、賞与の税率を求める
  3. 賞与額から社会保険料本人負担分を差し引いた金額に、その税率を掛ける

つまり賞与の源泉税率は、その人の「前月給与の水準」で決まるという独特の仕組みです。前月給与がなかった場合や、賞与が前月給与の10倍を超える場合は、月額表を使う特例に切り替わります。詳しくは国税庁タックスアンサー No.2523 賞与に対する源泉徴収を確認してください。

源泉徴収の勘定科目や納付の流れ全般は、源泉所得税の勘定科目と仕訳(預り金・納付・年末調整)の解説で深掘りしています。

役員賞与と決算賞与の注意点|損金になるか・ならないか

賞与の税務で最も差がつくのが、役員賞与と決算賞与の損金算入です。結論から言うと、役員賞与は原則損金にならず、従業員向けの決算賞与は3要件を満たせば当期損金にできます。

役員賞与は原則「損金不算入」

役員へのボーナス(役員賞与)は、法人税法上、原則として損金に算入できません。会計上は費用計上しても、税務申告で加算調整され、会社の利益に対する法人税は減らないのが原則です。

損金にするには「事前確定届出給与」として、支給時期と金額を事前に税務署へ届け出る必要があります。要件は厳格です。

  1. 株主総会等で支給時期・支給額を定める
  2. 原則、決算日から一定期間内(新設や改定は所定期限内)に税務署へ届け出る
  3. 届け出た「時期」「金額」どおりに実際に支給する(1円でも違うと全額否認リスク)

注意したいのは、役員賞与は決算賞与のように「未払計上して当期損金」にはできない点です。届け出たうえで実際に支給して初めて損金になります。判断は国税庁タックスアンサー No.5209 役員に対する給与を確認し、迷う場合は顧問税理士に相談してください。

決算賞与(使用人賞与)を当期損金にする3要件

従業員(使用人)への決算賞与は、支給が翌期になっても、次の3要件をすべて満たせば当期の損金に算入できます。中小企業の節税で使われる代表的な手法です。

要件内容
① 通知決算日までに、支給額を各人別に、支給を受ける全員へ通知する
② 支給通知した金額を、決算日の翌日から1か月以内に全員へ支払う
③ 損金経理通知した事業年度に未払賞与として損金経理する

3要件のうち1つでも欠けると当期損金にできず、実際に支給した翌期の損金になります。特に「決算日までに全員へ各人別の金額を通知した証跡(通知書・受領サイン等)」が調査で問われます。根拠は国税庁タックスアンサー No.5350 使用人賞与の損金算入時期です。

【決算賞与の未払計上(決算日)】

借方科目金額(円)貸方科目金額(円)
賞与1,000,000未払費用(決算賞与)1,000,000

翌期の支給時に「未払費用/預り金・普通預金」で消し込み、源泉・社保はこのときに控除します。支給が1か月を1日でも過ぎると当期損金は否認されるため、支給日の管理を徹底してください。

法人と個人事業主の違い|専従者への賞与・事業主本人の賞与

賞与の経費計上は、法人と個人事業主で扱いが変わります。結論は、法人は従業員賞与を損金にできる一方、個人事業主は専従者への賞与を事前届出額の範囲でしか経費にできず、事業主本人の賞与は経費にできません

支払先法人個人事業主
一般従業員への賞与損金算入可(賞与)必要経費算入可(給料賃金)
役員・事業主本人役員賞与=原則損金不算入事業主本人の賞与は経費不可
家族への賞与役員なら役員賞与ルール青色事業専従者は届出額の範囲のみ

個人事業主の専従者賞与は「事前届出額の範囲」だけ

個人事業主が生計を一にする家族(青色事業専従者)へ賞与を支払う場合、経費にできるのは「青色事業専従者給与に関する届出書に記載した金額の範囲内**」に限られます。届出に賞与の記載がなければ、賞与を払っても経費になりません。

  1. 「青色事業専従者給与に関する届出書」に賞与の支給時期・金額(上限)を記載して提出しておく
  2. 届出の範囲内で、労務の対価として相当な金額を支給する
  3. 実際に支給し、源泉徴収・記帳を行う

届出額を超える賞与、届出にない賞与は必要経費に算入できません。詳細は国税庁タックスアンサー No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除を確認してください。なお、事業主本人が自分に払う賞与は、そもそも経費になりません(事業の利益がそのまま本人の所得になるため)。

よくある質問

賞与の勘定科目・仕訳について、現場で頻出する質問を整理します。

Q1:ボーナスの勘定科目は「賞与」と「給料手当」のどちらですか?

従業員へのボーナスは勘定科目「賞与」(または「賞与手当」)で処理するのが基本です。会社によっては月給とまとめて「給料手当」で管理する実務もあり、どちらでも会計上は認められます。ただし金額が大きく、人件費分析や年末調整で追いやすくするため、月給とは別に「賞与」で独立させるのがおすすめです。役員へのボーナスは「役員賞与」として必ず区分してください。

Q2:賞与から差し引くのは何ですか?住民税も引きますか?

賞与から差し引くのは「社会保険料の本人負担分」と「源泉所得税」の2つです。いずれも「預り金」で受けて、翌月に納付して消し込みます。住民税は月割で毎月の給与から特別徴収するのが原則で、賞与からは住民税を差し引かないのが通常です。

Q3:賞与の社会保険料は月給と同じ計算ですか?

いいえ、別計算です。賞与の社会保険料は平成15年4月導入の総報酬制により、「標準賞与額(賞与額の千円未満切捨)×保険料率」で計算します。月給の標準報酬月額とは別枠です。健康保険は年累計573万円、厚生年金は1回あたり150万円の上限があり、上限超の部分に保険料はかかりません。年3回までが賞与扱いで、年4回以上支給すると月給(標準報酬月額)に組み込まれます。

Q4:賞与の源泉所得税はどう計算しますか?

賞与の源泉所得税は、月給の月額表ではなく「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で計算します。まず前月給与から社会保険料を引いた金額と扶養親族の人数で税率を決め、その税率を「賞与額-社会保険料本人負担分」に掛けます。賞与の税率は前月給与の水準で決まるのが特徴です。前月給与がない場合や、賞与が前月給与の10倍を超える場合は、月額表を使う特例に切り替わります。

Q5:役員賞与は経費(損金)になりますか?

原則として損金になりません。役員へのボーナスは、会計上は費用計上できても、税務上は原則として損金不算入で、法人税の計算では加算調整されます。損金にするには「事前確定届出給与」として支給時期・金額を事前に税務署へ届け出て、届け出たとおりの時期・金額で実際に支給する必要があります。1円でも金額がずれると全額否認されるリスクがあるため、慎重な運用が必要です。

Q6:決算賞与を当期の経費にする条件は?

従業員への決算賞与は、次の3要件をすべて満たせば、支給が翌期でも当期の損金に算入できます。①決算日までに支給額を各人別に全員へ通知する、②決算日の翌日から1か月以内に全員へ支払う、③通知した事業年度に未払賞与として損金経理する——の3つです。1つでも欠けると当期損金にできず、実際に支給した翌期の損金になります。決算日までの通知の証跡を必ず残してください。

Q7:個人事業主は家族への賞与を経費にできますか?

青色申告の個人事業主が、生計を一にする家族(青色事業専従者)へ賞与を支払う場合、「青色事業専従者給与に関する届出書」に記載した金額の範囲内でのみ経費にできます。届出に賞与の記載がなければ、賞与を払っても必要経費になりません。届出額を超える部分も経費不算入です。なお、事業主本人が自分に払う賞与は、そもそも経費にできません。

まとめ|賞与仕訳の最終チェックリスト

賞与(ボーナス)の勘定科目・仕訳の判定を、最後にチェックリストで整理します。

この記事のまとめ
  • 従業員賞与は勘定科目「賞与」、控除する源泉・社保は「預り金」で処理
  • 賞与の社会保険料は総報酬制(標準賞与額×料率)源泉所得税は前月給与ベースの算出率表で月給と別計算
  • 賞与から差し引くのは社会保険料と源泉所得税の2つ(住民税は原則差し引かない)
  • 役員賞与は原則損金不算入。事前確定届出給与の届出+届出どおりの支給で損金化
  • 決算賞与は通知・支給・損金経理の3要件を満たせば当期損金に算入可
  • 個人事業主は専従者賞与は届出額の範囲のみ経費、事業主本人の賞与は経費不可

賞与の処理で揉めないコツは、「賞与本体は費用、控除分は預り金」の骨格を守り、社保・源泉が月給と別計算であること、役員賞与と決算賞与の損金判定を混同しないことの2点を押さえることです。判断に迷う場面では、必ず顧問税理士に確認してください。

賞与・給与・社会保険料の仕訳や、役員賞与・決算賞与の損金判定をこなせる方は、経理の実務スキルが高いレベルで積み上がっています。その経験が今の職場で正当に評価されているか気になる方は、経理・管理部門に特化した転職エージェントで市場価値や求人の相場を確かめてみるのも一つの手です。会計士・税理士としてのキャリアを視野に入れているならツインプロの無料キャリア面談という選択肢もあります。

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免責事項

※本記事は公的情報をもとに整理した一般的な情報であり、個別の会計処理・税務判断を保証するものではありません。賞与の社会保険料・源泉所得税の計算、役員賞与の損金算入、決算賞与の3要件、専従者賞与の経費算入など、個別事情がある場面では、必ず顧問税理士または所轄税務署にご相談ください。

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この記事を書いた人

会計事務所で10年以上、法人や個人事業主の帳簿づけと税務申告の手伝いをしてきたTanakaです。決算が近づくと、経営者から「この支払いはどの科目で処理すればいいですか」という電話を何度も受けました。答えは業種や会社の規模で変わります。そこを一つずつ、相手に合わせて説明してきました。

独立してからは、中小企業の経理担当者向けの研修や、freee・マネーフォワード・弥生の科目設定の相談にも応じています。教科書の説明は抽象的で、現場では「とりあえず雑費」で片づけてしまうことも少なくありません。このサイトでは、勘定科目の選び方の判断軸を、具体例をそえて整理しています。最終的な税務判断は、顧問税理士にご相談ください。

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