受取利息の勘定科目は「受取利息」!仕訳例と源泉徴収・法人税申告の実務ポイント

預金口座に入金される利息や、貸付金から得られる利息の処理に迷っていませんか。受取利息の勘定科目は原則として 「受取利息」(営業外収益)ですが、法人と個人事業主では源泉徴収の扱いが大きく異なります。本記事では、受取利息 勘定科目の基本ルールから、源泉所得税の仕訳、法人税申告書 別表六(一)での処理、消費税が非課税となる理由、個人事業主の確定申告の要否までを実務目線で網羅的に解説します。

この記事の要点 – 受取利息の勘定科目は「受取利息」(営業外収益)、消費税区分は 非課税 が原則 – 受取利息は 預金利息/貸付金利息/有価証券利息 の3つに大別され、源泉徴収の有無や仕訳が異なる – 法人の預金利息は 源泉所得税15.315% が控除されて入金されるため、総額主義で「法人税等」を計上する – 法人税申告書 別表六(一) で控除した源泉所得税を申告し、所得税額控除として法人税額から差し引く – 個人事業主の事業用預金の利息は 利子所得(源泉分離課税)として課税完結し、原則確定申告は不要 – 会計ソフトを使えば、源泉徴収・消費税区分・営業外収益の自動仕訳でミスを防げる

目次

受取利息とは|営業外収益に区分される利子収入

受取利息とは、企業や個人事業主が 金銭の貸付け・預入れ の対価として受け取る利子収入を指す勘定科目です。営業活動から生じる売上ではなく、財務活動の副産物として発生するため、損益計算書では 営業外収益 に区分されます。

区分損益計算書の表示位置代表的な勘定科目
営業収益売上高売上高、役務収益
営業外収益営業利益の下受取利息、受取配当金、有価証券利息、為替差益
特別利益経常利益の下固定資産売却益、保険差益

受取利息は、株式の配当金(受取配当金)とは別の勘定科目で処理する点に注意が必要です。配当金は剰余金の分配であり、利息は金銭の使用料という性質の違いがあるため、税務上の取扱いも区別されています(参考: 国税庁「No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)」)。

なお、企業会計原則では、毎月発生する受取利息のうち重要性の乏しいものは、現金主義での計上(入金時に収益認識)も認められています。

受取利息は3種類ある|預金利息・貸付金利息・有価証券利息の違い

「受取利息」と一口に言っても、実務上は 発生源によって3つの分類 に分かれ、それぞれ仕訳や税務処理が異なります。多くの記事ではここが曖昧に書かれていますが、混同すると源泉徴収の処理や法人税申告で誤りが生じます。

種類内容源泉徴収(法人)勘定科目
預金利息普通預金・定期預金などから生じる利息あり(15.315%)受取利息
貸付金利息金銭を貸し付けた相手から受け取る利息なし(取引相手次第)受取利息
有価証券利息国債・社債・公社債投信などから生じる利息あり(15.315%)有価証券利息

預金利息(最も発生頻度が高い)

普通預金・定期預金・通知預金などに付く利息で、金融機関が源泉徴収したうえで入金されます。法人・個人とも、入金額は 税引後の金額 である点を必ず確認してください。

貸付金利息

子会社や役員、取引先などへの金銭貸付に対する利息です。法人間取引では原則として源泉徴収は不要ですが、個人への貸付の場合は支払側で源泉徴収が必要になるケースがあります。

有価証券利息

国債・地方債・社債・公社債投資信託の分配金などが該当します。勘定科目は厳密には 「有価証券利息」 として「受取利息」とは区別するのが原則ですが、金額が僅少な場合はまとめて「受取利息」で処理する企業もあります。

受取利息の仕訳例|法人・個人事業主の4パターン

ここでは実務でよく出てくる4つの仕訳パターンを取り上げます。源泉徴収の有無と税抜・税込経理の違いに注意してください。

ケース1:法人 普通預金に利息が入金された(税抜経理)

法人の預金利息には 所得税15.315%(復興特別所得税を含む)が源泉徴収されます。利息1,000円が発生した場合、入金額は 1,000 − 153 = 847円となります(1円未満切捨)。

借方金額貸方金額摘要
普通預金847受取利息1,000預金利息 〇月分
法人税等(仮払税金)153源泉所得税15.315%

ポイントは 総額主義(グロスアップ) で受取利息1,000円を計上し、控除された源泉所得税153円を「法人税等」または「仮払法人税等」として別建てで仕訳することです。これを怠ると、後述の別表六(一)で所得税額控除を取れず、税負担が増える結果になります。

ケース2:法人 子会社への貸付金の利息を受け取った

法人間の貸付金利息は源泉徴収が 不要 なため、シンプルな仕訳になります。

借方金額貸方金額摘要
普通預金50,000受取利息50,000子会社貸付金利息(年率2%)

ただし、グループ法人間や同族会社間の貸付では、税務上 適正な利率(市中金利を参考にした合理的利率、概ね年1〜2%以上)でなければ寄附金課税のリスクがあります。

ケース3:個人事業主 事業用口座に利息が入金された(税込経理)

個人事業主の預金利息は、所得区分が 利子所得(源泉分離課税)となるため、事業所得とは区分して処理します。事業用口座であっても、利息部分は事業所得には含めず、「事業主借」 で処理するのが一般的です。

借方金額貸方金額摘要
普通預金80事業主借80預金利息(利子所得・分離課税完了)

個人事業主の場合、預金利息は源泉徴収(所得税15.315% + 住民税5%=合計20.315%)で課税が完結するため、確定申告に含める必要はありません。会計帳簿上は「事業主借」で資本取引として処理し、損益計算書には載せません(参考: 国税庁「No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)」)。

ケース4:法人 源泉所得税を法人税申告で控除する流れ

決算時に、期中に控除された源泉所得税の合計を集計し、法人税申告書 別表六(一)で 所得税額控除 として処理します。

借方金額貸方金額摘要
法人税、住民税及び事業税200,000未払法人税等199,847当期法人税等の確定
仮払税金(源泉所得税)153期中源泉徴収済額の充当

期中に「法人税等」または「仮払税金」で計上した源泉所得税を取り崩し、申告書上で法人税額から差し引きます。

受取利息の消費税は非課税|利子が対価に当たらない理由

受取利息の消費税区分は 非課税取引 です。これは消費税法 別表第二(旧 別表第一)および消費税法施行令第10条で「利子を対価とする貸付金」が非課税として明示されているためです。

取引内容消費税区分
預金利息非課税
貸付金利息非課税
国債・社債の利息非課税
公社債投資信託の分配金非課税
株式の受取配当金不課税

利子が非課税となる理由は、利子そのものが「資産の譲渡」「役務の提供」の対価ではなく、金銭の使用料という金融取引の対価 だからです。消費税は「消費」に対して課税する仕組みであり、金融取引は消費とは性質が異なるため、政策的に非課税扱いとされています。

実務上の注意点として、売上に占める非課税売上の割合(課税売上割合) に受取利息は影響します。課税売上割合が95%未満になると、課税仕入の消費税控除に制限がかかる「個別対応方式」「一括比例配分方式」の検討が必要になるため、預金利息が多額になる金融業・不動産業では特に注意が必要です(参考: 国税庁「No.6391 課税売上割合の計算方法」)。

法人税申告書 別表六(一)での処理|源泉所得税の所得税額控除

法人が預金利息や有価証券利息から源泉徴収された所得税は、法人税の前払い と位置づけられ、法人税申告書 別表六(一)「所得税額の控除に関する明細書」で集計して、最終的に法人税額から控除します。これを忘れると、せっかく控除された源泉所得税が「払い損」になります。

別表六(一)の記載手順

  1. 期中に発生したすべての預金利息・有価証券利息を金融機関別に集計する
  2. 各支払日における源泉所得税額(15.315%)を集計する
  3. 別表六(一)に「銘柄」「収入金額」「所得税額」を転記する
  4. 集計した所得税額を別表一(一)の「控除税額」欄に転記する
項目内容
適用条文法人税法第68条(所得税額の控除)
申告書別表六(一)
控除額期中に控除された所得税の合計額
注意点元本所有期間で按分(公社債等は所有期間月数 / 計算期間月数)

公社債の利息については、保有期間に応じた 按分計算 が必要となるケースがあります。期中売買がある場合は、利払日時点で保有していた期間分のみが控除対象です(参考: 国税庁「No.5760 所得税額の控除」)。

この別表六(一)の処理は、多くの記事や入門書では省略されがちですが、 法人税の還付額を最大化する重要な手続き です。期中の仕訳で「法人税等」「仮払税金」として源泉所得税を別建てしておくと、決算時の集計がスムーズになります。

個人事業主の受取利息|利子所得は確定申告不要が原則

個人事業主が事業用口座で受け取る預金利息は、利子所得(源泉分離課税) として処理が完結するため、原則として 確定申告は不要 です。所得税15.315% + 住民税5% = 合計20.315% が金融機関で源泉徴収され、これで課税関係が終了します。

ケース利子所得の確定申告
国内銀行の預金利息不要(源泉分離課税で完結)
国外銀行の預金利息必要(総合課税)
友人・親族への貸付金利息必要(雑所得として総合課税)
国内公社債の利息(2026年改正以降)申告分離課税 or 申告不要を選択

注意したい例外ケース

  1. 国外口座の利息:海外銀行の預金利息は国内で源泉徴収されないため、確定申告で雑所得として申告が必要
  2. 貸付金利息(個人間):友人や親族への金銭貸付の利息は事業所得ではなく 雑所得 として申告
  3. 個人事業の貸付金利息:金融業を営んでいない個人事業主の貸付金利息は、原則 雑所得 または 事業所得(金融業の場合)として総合課税

事業用口座と私用口座を兼用している場合、利息部分は事業の損益とは無関係なので「事業主借」で処理し、生活費としての引出と区別して帳簿に残しておきましょう。これは青色申告の事業所得計算を正確に行うために重要です。

会計ソフトで受取利息の仕訳を自動化するには

受取利息の源泉徴収や消費税区分の設定は、クラウド会計ソフトに任せると入力ミスを防げます。

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  • 銀行口座の自動同期で利息入金を自動取得
  • 「受取利息」勘定の消費税区分は 非課税売上 に固定
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  • AIによる勘定科目提案で、誤って「雑収入」に振り分けるミスを防止

どちらのソフトも、銀行口座を連携しておけば利息入金を自動取得し、勘定科目の振り分けまで提案してくれます。手動入力では見落としがちな源泉所得税の集計・別表六(一)対応が大幅に楽になります。

受取利息に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 受取利息と受取配当金の違いは何ですか?

A. 受取利息は 金銭の使用料(預金・貸付金)として受け取るもの、受取配当金は 株式の剰余金分配 として受け取るものです。勘定科目も税務上の取扱いも別物です。受取配当金は法人税法上 益金不算入 の対象(一部または全部)になりますが、受取利息は全額益金になります。

Q2. 預金利息に源泉徴収される税率はいくらですか?

A. 法人は 所得税15.315%(復興特別所得税0.315%含む)が源泉徴収されます。個人は所得税15.315% + 住民税5% = 合計 20.315% です。法人には住民税利子割が課されないのが特徴で、これは2026年1月以降の制度です。

Q3. 受取利息は消費税の課税売上割合に影響しますか?

A. はい、影響します。受取利息は 非課税売上 として課税売上割合の分母に含まれます。預金利息が多額になると課税売上割合が95%を下回り、課税仕入の控除に制限がかかる可能性があります。一般事業会社では金額が小さいため通常は影響しませんが、不動産業・金融業では特に注意が必要です。

Q4. 法人税申告書 別表六(一)の記入を忘れた場合、源泉所得税はどうなりますか?

A. 別表六(一)に記載がない場合、 所得税額控除を受けられず 源泉所得税が払い損になります。気づいた時点で 更正の請求(法定申告期限から5年以内)を行えば、控除を受けることができます。期中に源泉所得税を別建て仕訳しておくことで、決算時の漏れを防げます。

Q5. 個人事業主が事業用口座の利息を売上に計上してしまった場合、どうすればよいですか?

A. 利子所得は源泉分離課税で完結しているため、事業所得に含めると 二重課税 になります。修正仕訳で売上から「事業主借」に振り替え、利息部分を事業所得から除外してください。確定申告書を提出済みの場合は更正の請求(法定申告期限から5年以内)を検討します。

Q6. 海外銀行の預金利息はどう処理すればいいですか?

A. 国外口座の利息は国内で源泉徴収されないため、 総合課税 として確定申告が必要です。法人は受取利息(営業外収益)として全額益金算入、個人は雑所得として申告します。外国で源泉徴収された分は 外国税額控除 の対象になります(参考: 国税庁「No.1240 居住者に係る外国税額控除」)。

Q7. 受取利息は「営業外収益」と「特別利益」のどちらに表示しますか?

A. 営業外収益 です。受取利息は経常的に発生する利子収入であり、企業の財務活動から定常的に生じるため、損益計算書では営業利益の下の「営業外収益」区分に表示します。臨時的・例外的な利益(固定資産売却益など)が表示される「特別利益」とは異なります。

まとめ|受取利息は「非課税・源泉徴収・別表六(一)」がポイント

  • 受取利息の勘定科目は 「受取利息」(営業外収益)。有価証券の利子は「有価証券利息」で区別が原則
  • 消費税区分は 非課税取引(消費税法施行令第10条)。利子は資産譲渡・役務提供の対価ではないため
  • 法人の預金利息は 15.315% 源泉徴収 が前提。総額主義(グロスアップ)で仕訳し、控除分は「法人税等」または「仮払税金」に計上
  • 法人税申告書 別表六(一) で源泉所得税を集計し、所得税額控除として法人税額から差し引く(漏らすと払い損)
  • 個人事業主の事業用預金利息は 利子所得(源泉分離課税) で完結。事業所得には含めず「事業主借」で処理
  • freee・マネーフォワードなどのクラウド会計ソフトを使えば、消費税区分・別表六(一)集計まで自動化できる

受取利息は金額が小さいことが多い一方で、源泉徴収と別表六(一)の処理を誤ると税負担が増えてしまう要注意の勘定科目です。本記事の仕訳例と申告ポイントを参考に、決算時の漏れがないよう注意して処理してください。

免責事項:本記事は2026年5月時点の税法・会計基準に基づいた一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は、税理士または所轄税務署にご相談ください。

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この記事を書いた人

会計・経理アドバイザー / 中小企業支援コンサルタント

経歴
大学卒業後、会計事務所で10年以上勤務し、法人・個人事業主の会計処理、税務申告、経理業務改善を多数経験。特に「勘定科目の設定・運用」に関して、企業規模や業種ごとに最適化したアドバイスを提供してきた。現在は独立し、経理の効率化や会計初心者向けの研修も実施。

専門分野
・勘定科目の選定・運用ルール作り
・会計ソフト導入と科目設定支援
・経理担当者の教育・研修
・中小企業の経営数字可視化サポート

サイトの目的
「勘定科目は難しい…」という声をなくし、初心者でも迷わず正しい科目選択ができるようにすること。具体例・図解・テンプレートを用いて、経理や会計業務の現場で即使える情報を発信しています。

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