福利厚生費の消費税は課税・非課税・不課税の3区分|内訳20項目の早見表とインボイス後の仕入税額控除

福利厚生費の消費税は、内訳ごとに課税・非課税・不課税の3区分に分かれます。健康診断や社員旅行(国内)は課税10%、社宅家賃・社会保険料・商品券は非課税、慶弔見舞金は不課税です。仕入税額控除ができるのは課税の項目だけで、インボイス後は税込1万円未満なら帳簿のみで控除できます(2029年9月30日まで)。

この記事でわかること

  • 福利厚生費の内訳20項目の消費税区分(課税・非課税・不課税)と税率・仕入税額控除の可否を1枚の早見表で確認
  • 慶弔見舞金は不課税、同じお祝いでも商品券は非課税。区分が割れる根拠を国税庁タックスアンサーの条文で確認
  • インボイス後の仕入税額控除の条件を、原則課税・少額特例・帳簿のみ特例・経過措置・簡易課税・免税事業者で整理
  • 従業員が立て替えた領収書、税込3万円未満特例の終了、通勤手当の扱いなど経理で迷う場面の答え
  • 健康診断(課税)・社宅家賃(非課税)・慶弔見舞金(不課税)の仕訳例3本と会計ソフトで選ぶ税区分

公的情報源: 国税庁タックスアンサー No.6201「非課税となる取引」(参照)/No.6157「課税の対象とならないもの(不課税)の具体例」(参照)/No.6229「商品券やプリペイドカードなど」(参照)/No.6496「仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存」(参照

先に答え

福利厚生費の消費税は、科目ではなく中身で区分します。「福利厚生費だから課税」「福利厚生費だから対象外」という一括りの答えはありません。

同じ福利厚生費でも、健康診断の受診料は課税10%、社宅の家賃は非課税、結婚祝いの現金は不課税です。仕入税額控除ができるのは課税の項目だけなので、区分を間違えると納める消費税が変わります。

この記事の要点

  • 健康診断・社員旅行(国内)・制服・レク費・食事補助・通勤手当は課税。仕入税額控除の対象
  • 社宅家賃・生命保険料・商品券は非課税。対価はあるが法律で消費税をかけない取引(No.6201)
  • 慶弔見舞金・海外社員旅行の現地費用は不課税。対価性がない、または国外取引(No.6157・No.6210)。社会保険料の会社負担分は非課税(別表第二第3号・通達 6-3-1(4))
  • インボイス後は税込1万円未満なら帳簿のみで控除できる少額特例あり(2029年9月30日まで・No.6496)。通勤手当は金額に関係なく帳簿のみで控除できる

目次

福利厚生費の消費税区分は「課税・非課税・不課税」の3つ

福利厚生費の消費税区分とは、内訳ごとに課税・非課税・不課税のどれに当たるかの仕分けです。区分は勘定科目で決まらず、「対価があるか」「国内取引か」「法律の非課税リストに入るか」の3段階で決まります。

消費税は、国内で事業者が対価を得て行う資産の譲渡・貸付け・役務の提供にかかります。福利厚生費は「従業員のために会社が払うお金」の集まりなので、この要件に当てはまる支出と当てはまらない支出が混ざっています。

福利厚生費の消費税区分を決める判定フロー

  • 内訳ごとに上から順に確認する
  • STEP1支払いに見合うモノ・サービスを受け取るか受け取らない(祝金・見舞金)→ 不課税
  • STEP2国内の取引か海外旅行の現地費用など国外の取引 → 不課税
  • STEP3非課税の列挙(No.6201)に入るか住宅の貸付け・保険料(社会保険料を含む)・商品券 → 非課税
  • STEP4どれにも当たらない健康診断・旅行・制服・食事・レク費 → 課税(10%または8%)

図:対価性→国内取引→非課税リストの順に確認すると、福利厚生費の内訳は課税・非課税・不課税のどれかに落ちる。

消費税の3区分の意味(2026年9月時点)

区分意味福利厚生費で該当する例仕入税額控除
課税対価のある国内取引で、非課税の列挙に入らないもの健康診断・社員旅行(国内)・制服・レク費できる
非課税対価はあるが、法律で消費税をかけないと決めた取引社宅家賃・保険料(社会保険料を含む)・商品券できない
不課税(対象外)そもそも消費税の対象にならない取引慶弔見舞金・海外の現地費用できない

非課税と不課税は、どちらも消費税を払わない点では同じです。違いは課税売上割合の計算に入るかどうかで、非課税は分母に入り、不課税は入りません。福利厚生費の支払い側で問題になるのは「控除できない」という結果の方で、こちらは両者共通です。

福利厚生費の内訳20項目|消費税区分の早見表

福利厚生費でよく出る20項目を、区分・税率・仕入税額控除の可否・根拠で並べます。課税は13項目、非課税は4項目、不課税は3項目です。

福利厚生費の内訳別 消費税区分・税率・控除可否(2026年9月時点)

内訳消費税区分税率仕入税額控除根拠
定期健康診断・人間ドックの受診料課税10%できるNo.6201(9)の非課税は保険診療のみ
予防接種(インフルエンザ等)課税10%できる同上
社員旅行(国内)の旅行代金課税10%できる国内の役務提供
社員旅行(海外)の現地費用不課税できないNo.6210 国外取引
慶弔見舞金(結婚祝・出産祝・香典)を現金で不課税できないNo.6157(2)祝金・見舞金
お祝いを商品券・ギフト券で非課税できないNo.6229 物品切手等
お祝いを花・品物で課税10%できる物品の購入
借上社宅の家賃(会社が大家に払う分)非課税できないNo.6201(17)住宅の貸付け
社宅の修繕・クリーニング課税10%できる役務の提供
社員食堂での食事提供課税10%できるNo.6102 外食は軽減税率の対象外
弁当・食材の購入支給課税8%できるNo.6102 飲食料品
残業時の食事代(飲食店)課税10%できる外食
制服・作業着・安全靴課税10%できる物品の購入
忘年会・歓迎会の飲食代課税10%できる外食
社内レク(ボウリング・BBQ等)の費用課税10%できる役務の提供
通勤手当(通常必要と認められる額)課税10%できる(帳簿のみ)No.6496 ⑩
社会保険料の会社負担分(法定福利費)非課税できない別表第二第3号・通達 6-3-1(4)保険料を対価とする役務の提供
生命保険・養老保険・団体傷害保険の保険料非課税できないNo.6201(4)保険料
永年勤続の記念品(物品)課税10%できる物品の購入
永年勤続の旅行券・商品券非課税できないNo.6229 旅行券

表のうち迷いやすいのは「同じ目的なのに渡し方で区分が変わる」項目です。お祝いは現金なら不課税、商品券なら非課税、花なら課税と3通りに割れます。

不課税になる福利厚生費|慶弔見舞金・海外の現地費用

不課税になるのは、払っても見返りのモノ・サービスを受け取らない支出です。国税庁 No.6157「課税の対象とならないもの(不課税)の具体例」(令和8年4月1日現在法令等)は、(2)に「寄附金、祝金、見舞金」を挙げ、理由を「一般的に対価を得て行う取引ではないから」と書いています。

結婚祝・出産祝・香典・災害見舞金を現金で渡す場合は、この(2)に当たります。同じ No.6157 の(1)「給与・賃金」も対価性がない取引の例です。給与は不課税ですが、社会保険料の会社負担分(法定福利費)は「保険料を対価とする役務の提供」として非課税で、給与とは別物です。

海外社員旅行の現地での宿泊・食事・観光は、国内取引ではありません。国税庁 No.6210「国外取引」は「国外取引については、消費税は課税されません(不課税)」と明記しています。国際線の航空運賃は輸出免税(No.6551)で、こちらも控除する消費税がありません。

非課税になる福利厚生費|社宅家賃・保険料・商品券

非課税は、対価がある取引のうち法律が列挙した取引です。国税庁 No.6201「非課税となる取引」(令和8年4月1日現在法令等)は17項目を列挙しており、福利厚生費に関係するのは次の3つです。

  • (4)「預貯金の利子および保険料を対価とする役務の提供等」→ 会社が払う生命保険料・養老保険料・共済掛金
  • (6)「商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡」→ 慶弔や記念品の商品券・ギフト券・旅行券
  • (17)「住宅の貸付け」→ 借上社宅で会社が大家に払う家賃

社会保険料の会社負担分(法定福利費)もこの列です。健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険の保険料は「保険料を対価とする役務の提供」として非課税で(消費税法別表第二第3号・通達 6-3-1(4)・No.6201(4))、給与本体の不課税とは区分が違います。

社宅家賃は「契約において人の居住の用に供することが明らかにされているもの」が非課税です。ただし No.6201 は「1か月未満の貸付けなどは非課税取引には当たりません」とし、駐車場などの施設利用に伴う土地の使用も非課税から外しています。社宅に駐車場が付いている場合、駐車場部分の賃料は課税になります。

商品券は No.6229 が「商品券、ギフト券、旅行券のほか…プリペイドカードの譲渡は、物品切手等の譲渡として非課税」と定めています。購入時は非課税で、後日その商品券を使って買い物をした時が課税の時期です。従業員に渡す商品券は会社が使わないので、控除できる消費税は最後まで発生しません

課税になる福利厚生費|健康診断・食事・制服・レク費・通勤手当

課税は「対価のある国内取引で、非課税の列挙に入らないもの」です。福利厚生費の大半はここに落ちます。

健康診断や人間ドックが課税になるのは、No.6201(9)で非課税とされる医療が「健康保険法、国民健康保険法などによる医療」に限られるためです。健康診断は保険給付の対象ではないので、自由診療と同じく課税10%になります。

食事補助は税率が2通りに割れます。国税庁 No.6102「消費税の軽減税率制度」は、飲食料品の譲渡を8%としつつ「外食やケータリング等は軽減税率の対象には含まれません」と書いています。弁当を買って支給すれば8%、社員食堂や飲食店で食べれば10%です。給与課税の側で使う「月7,500円以下」の判定(No.2594)は消費税を除いた金額で行うため、税区分を先に確定させておく必要があります。

通勤手当は従業員に現金で渡すため、不課税に見えます。実際は電車代やガソリン代という役務・物品の対価に充てるお金なので、通常必要と認められる金額は課税仕入れです。国税庁 No.6496 は「従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当および通勤手当)」を、適格請求書がなくても帳簿のみの保存で控除できる取引の⑩に挙げています。課税仕入れになる理由と支給形態別の帳簿要件は通勤手当の消費税区分で扱っています。

福利厚生費の仕入税額控除|インボイス後に控除できる条件

福利厚生費の消費税を控除できるかどうかは、課税の項目であること+自社の課税方式+保存書類の3点で決まります。区分が課税でも、書類が足りなければ控除は取れません。

課税方式・書類別 福利厚生費の仕入税額控除(2026年9月時点)

自社の状況控除できるか必要な保存書類根拠
原則課税・適格請求書あり全額控除適格請求書(宛名なしの簡易型でも可)+帳簿No.6498
原則課税・税込1万円未満の支払い全額控除(少額特例)帳簿のみ(2029年9月30日まで・売上1億円以下等の事業者)No.6496
原則課税・通勤手当や3万円未満の公共交通機関全額控除帳簿のみ(金額・期限の制限なし)No.6496 ①⑩
原則課税・適格請求書発行事業者以外からの仕入れ一定割合のみ控除(経過措置)区分記載請求書+経過措置の旨を記した帳簿No.6498
簡易課税を選択個別の控除計算なし(みなし仕入率)請求書の保存要件なしNo.6505
2割特例を適用個別の控除計算なし(納付税額=売上税額の2割)同上No.6498
免税事業者控除なし(税込金額をそのまま経費)

従業員が立て替えた領収書でも控除できる

社員旅行の手土産や残業の食事代は、従業員が立て替えて後日精算する形が多くなります。この場合、領収書の宛名が従業員名や無記名でも、会社の課税仕入れとして控除できます

小売店・飲食店・タクシーなどが交付する領収書は「適格簡易請求書」に当たり、宛名の記載が不要です。レシートに登録番号(T+13桁)と税率ごとの金額が載っていれば、それが会社のインボイスになります。精算時は立替金精算書を添えて、誰が・いつ・何のために払ったかを帳簿に残します(No.6497 の記載事項)。

税込3万円未満の特例は終了・代わりの少額特例は税込1万円未満

インボイス前は「税込3万円未満の課税仕入れは請求書がなくても帳簿のみで控除できる」という特例がありました。この特例は2023年10月1日のインボイス制度開始で廃止されています。福利厚生費で多い数千円〜数万円の支払いは、原則として適格請求書の保存が要ります。

代わりに設けられたのが少額特例です。国税庁 No.6496 によると、基準期間の課税売上高が1億円以下または特定期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者は、2023年10月1日から2029年9月30日までの間の税込1万円未満の課税仕入れを帳簿のみの保存で控除できます。慶弔の花代や残業食事代の多くはこの範囲に収まります。

金額の上限がないのは通勤手当と出張旅費等(⑩)、税込3万円未満の公共交通機関(①)です。No.6496 はこの2つを「適格請求書の交付を受けることが困難な場合」として、別枠で帳簿のみの保存を認めています。

経過措置は2026年10月1日から70%に下がり、2031年9月末で終了

飲食店や個人の講師など、適格請求書発行事業者でない相手に払った福利厚生費は、経過措置で一定割合だけ控除できます。控除できる割合は、2026年9月30日までが仕入税額相当額の80%、2026年10月1日からは70%です(国税庁 No.6498・令和8年度税制改正で見直し後の区分)。

その後は2028年10月1日から50%、2030年10月1日から30%と下がり、2031年9月30日で経過措置が終わります。2031年10月1日以降は、適格請求書のない相手への福利厚生費は控除ゼロです。

切り替え日をまたぐ社員旅行や忘年会は、支払日ではなく役務提供日で判定します。日付別の確認手順は2026年10月1日のインボイス経過措置の切り替えで整理しています。

従業員からの自己負担分は「課税売上」になる

社員旅行の費用を一部従業員に負担させたり、社員食堂の食事代を給与から天引きしたりする場合、会社が受け取る負担金は課税売上です。旅行や食事という役務を従業員に提供し、対価を受け取る取引になるためです。

借上社宅の家賃を従業員から徴収する場合は、住宅の貸付けなので非課税売上になります。支払い側だけでなく受取り側の区分も会計ソフトで分けておくと、課税売上割合の計算で迷いません。

福利厚生費の消費税区分別 仕訳例3本|課税・非課税・不課税

仕訳は税抜経理を前提に、課税・非課税・不課税で1本ずつ示します。税込経理なら仮払消費税の行を省き、合計額を福利厚生費に計上します。どちらの方式でも、会計ソフトで付ける税区分は同じです。

健康診断料 110,000円(税込・税抜経理)

借方

福利厚生費 100,000

仮払消費税 10,000

貸方

普通預金 110,000

図:課税の福利厚生費は本体100,000円と仮払消費税10,000円を分けて計上し、仮払消費税が仕入税額控除の対象になる。

仕訳例1|健康診断料(課税10%)を振込で支払い

借方金額(円)貸方金額(円)税区分
福利厚生費100,000普通預金110,000課税仕入 10%
仮払消費税10,000

仕訳例2|借上社宅の家賃(非課税)を支払い、従業員負担分を給与から天引き

借方金額(円)貸方金額(円)税区分
地代家賃(または福利厚生費)80,000普通預金80,000非課税仕入
給与250,000預り金(社宅負担分)20,000非課税売上
普通預金230,000

仕訳例3|結婚祝金(不課税)を現金で支給

借方金額(円)貸方金額(円)税区分
福利厚生費30,000現金30,000対象外(不課税)

仕訳例2の家賃は勘定科目を地代家賃にする会社と福利厚生費にする会社があり、どちらでも消費税区分は非課税です。科目の選び方は福利厚生費の勘定科目と仕訳にまとめています。

結婚祝いを 現金で渡す と 商品券で渡す

現金30,000円
消費税
不課税(No.6157)
控除
なし
会計ソフト
対象外
商品券30,000円
消費税
非課税(No.6229)
控除
なし
会計ソフト
非課税仕入

図:同じ結婚祝いでも、現金は不課税・商品券は非課税。控除できない点は共通だが、会計ソフトの税区分は分けて入力する。

会計ソフトで選ぶ税区分

会計ソフトの税区分は、健康診断・旅行・制服・レク費が「課税仕入 10%」、弁当や食材が「課税仕入 8%(軽減)」、社宅家賃・保険料・社会保険料・商品券が「非課税仕入」、祝金が「対象外」です。

銀行明細を自動取込すると、福利厚生費の行がまとめて「課税仕入 10%」に初期設定されることがあります。祝金と社宅家賃の行だけは手で直すと覚えておくと、月次の確認が短く済みます。課税・非課税・不課税の全体像は課税仕入れの勘定科目と消費税区分で確認できます。

消費税区分と「給与課税」の判定は別物

「福利厚生費 課税」で調べると、消費税の話と所得税の話が混ざって出てきます。所得税の「課税・非課税」は従業員の給与として源泉徴収するかどうかの判定で、消費税の区分とは基準も結果も違います。

たとえば役員だけが受ける高額な人間ドックは、所得税では給与課税されますが、消費税では課税10%のまま変わりません。社宅家賃は消費税では非課税ですが、所得税では従業員の負担額が「賃貸料相当額」を下回ると差額が給与になります。

2つの判定は独立して行います。福利厚生費として認められる3条件(機会均等・金額妥当・換金性なし)と現物給与の境界は福利厚生費の境界線ルールで扱っており、本記事は消費税の区分に絞っています。

よくある質問

福利厚生費の消費税で実際によく検索される6問です。

Q1:福利厚生費に消費税はかかりますか?

内訳によって違います。健康診断・社員旅行(国内)・制服・忘年会などは課税10%で、仕入税額控除の対象です。社宅家賃・保険料・社会保険料・商品券は非課税、慶弔見舞金は不課税で、どちらも控除できません。「福利厚生費」という科目でひとまとめに判定せず、支払いごとに区分します。

Q2:慶弔見舞金の消費税区分は非課税ですか、不課税ですか?

現金で渡す慶弔見舞金は不課税です。国税庁 No.6157 は「寄附金、祝金、見舞金」を「一般的に対価を得て行う取引ではない」として不課税の具体例に挙げています。商品券で渡す場合は No.6229 により物品切手等の譲渡として非課税、花や品物で渡す場合は課税10%になります。

Q3:健康診断の費用に消費税はかかりますか?

かかります。消費税が非課税になる医療は、国税庁 No.6201(9)のとおり「健康保険法、国民健康保険法などによる医療」に限られます。定期健康診断や人間ドックは保険給付の対象ではないため課税10%で、会社が負担した分は仕入税額控除の対象になります。医療機関の領収書に登録番号があれば、それが適格請求書です。

Q4:社員旅行の費用は仕入税額控除できますか?

国内旅行なら控除できます。旅行会社や宿泊先からの適格請求書を保存すれば全額控除です。海外旅行は、現地の宿泊・食事が国外取引で不課税(No.6210)、国際線の航空運賃が輸出免税なので、控除する消費税がありません。従業員に一部を負担させた場合、会社が受け取った負担金は課税売上として計上します。

Q5:通勤手当の消費税はどう処理しますか?インボイスは必要ですか?

通常必要と認められる通勤手当は課税仕入れ(10%)で、適格請求書は不要です。国税庁 No.6496 は「従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当および通勤手当)」を帳簿のみの保存で控除できる取引に挙げています。金額の上限はなく、少額特例の1万円未満という条件も関係ありません。

Q6:従業員が立て替えた領収書で仕入税額控除できますか?

できます。飲食店や小売店の領収書は宛名不要の適格簡易請求書に当たるため、従業員名や無記名でも会社の課税仕入れとして扱えます。登録番号と税率ごとの金額が載っていることを確認し、立替金精算書とあわせて保存します。税込1万円未満なら少額特例で帳簿のみでも控除できます(2029年9月30日まで・No.6496)。

まとめ

福利厚生費の消費税区分と仕入税額控除の条件を、1枚に整理します。

この記事のまとめ

  • 福利厚生費の消費税は内訳ごとに課税・非課税・不課税に分かれる。科目でまとめて判定しない
  • 健康診断・社員旅行(国内)・制服・レク費・食事補助・通勤手当は課税。弁当の購入支給だけ8%
  • 社宅家賃・保険料・社会保険料・商品券は非課税(No.6201・No.6229・通達 6-3-1)、慶弔見舞金・海外の現地費用は不課税(No.6157・No.6210)
  • 控除できるのは課税の項目だけ。税込1万円未満は帳簿のみで控除できる少額特例あり(2029年9月30日まで・No.6496)
  • 通勤手当は金額に関係なく帳簿のみで控除。従業員立替の領収書は宛名なしでも会社のインボイスになる

渡し方で区分が変わる項目の早見表(2026年9月時点)

場面渡し方・支払い方消費税区分仕入税額控除
結婚祝・出産祝現金不課税できない
結婚祝・出産祝商品券・ギフト券非課税できない
結婚祝・出産祝花・品物課税10%できる
食事補助弁当・食材を購入して支給課税8%できる
食事補助社員食堂・飲食店課税10%できる
社員旅行国内課税10%できる
社員旅行海外の現地費用不課税できない
永年勤続の記念物品課税10%できる
永年勤続の記念旅行券非課税できない
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免責事項

※本記事は消費税の一般的な取扱いを国税庁の公開情報(2026年9月時点)に基づいて整理したものです。課税方式の選択や仕入税額控除の適用可否などの個別判断は、事業者の状況により異なります。最新の法令をご確認のうえ、必要に応じて顧問税理士など有資格者へご相談ください。


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この記事を書いた人

会計事務所で10年以上、法人や個人事業主の帳簿づけと税務申告の手伝いをしてきたTanakaです。決算が近づくと、経営者から「この支払いはどの科目で処理すればいいですか」という電話を何度も受けました。答えは業種や会社の規模で変わります。そこを一つずつ、相手に合わせて説明してきました。

独立してからは、中小企業の経理担当者向けの研修や、freee・マネーフォワード・弥生の科目設定の相談にも応じています。教科書の説明は抽象的で、現場では「とりあえず雑費」で片づけてしまうことも少なくありません。このサイトでは、勘定科目の選び方の判断軸を、具体例をそえて整理しています。最終的な税務判断は、顧問税理士にご相談ください。

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