社会保険料の消費税は非課税|不課税と迷う理由・法定福利費と預り金の税区分・課税売上割合への影響と仕訳例3本

社会保険料の消費税は非課税です。健康保険・厚生年金・介護保険・雇用保険・労災保険の保険料は、会社負担分も従業員負担分も仕入税額控除の対象になりません(消費税法別表第二第3号・国税庁 No.6201)。会計ソフトで「不課税(対象外)」を選んでも納税額は同じで、非課税と不課税の違いが数字に出るのは課税売上割合の分母だけです。

この記事でわかること

  • 社会保険料が非課税になる根拠を、消費税法別表第二第3号と消費税法基本通達 6-3-1 の本文で確認
  • 「不課税」と迷う3つの理由と、どちらで入力しても納税額が変わらない仕組み(国税庁 No.6451)
  • 課税売上割合に効くのは支払う保険料でなく、受け取る傷病手当金や助成金の側であること(No.6209)
  • 社会保険・民間保険・労働保険・預り金・代理店手数料・延滞金を課税・非課税・不課税の1表で整理
  • 会社負担分の納付・給与天引き・労働保険の概算払いの仕訳例3本と、会計ソフトで選ぶ税区分

公的情報源: 国税庁タックスアンサー No.6201「非課税となる取引」(参照)/No.6209「非課税と不課税の違い」(参照)/No.6451「仕入税額控除の対象となるもの」(参照)/No.6157「課税の対象とならないもの(不課税)の具体例」(参照)/消費税法基本通達 第6章第3節「利子を対価とする貸付金等関係」(参照)/No.1130「社会保険料控除」(参照

先に答え

社会保険料の消費税区分は非課税です。健康保険料も厚生年金保険料も、会社が払う分は法定福利費、従業員から預かる分は預り金で、どちらも仕入税額控除に入れません。

「不課税」と書いた解説を見かけるのは、対価性の説明と会計ソフトの区分名「対象外」が混ざるからです。支払う側では、非課税でも不課税でも納税額は1円も変わりません。

この記事の要点

  • 社会保険料は「保険料を対価とする役務の提供」として非課税(消費税法別表第二第3号・通達 6-3-1(4))。仕入税額控除はできない
  • 非課税と不課税の違いが出るのは課税売上割合の分母だけ(No.6209)。支払う保険料は売上でないので、どちらの区分でも分母に入らない
  • 従業員負担分の預り金は取引そのものでないため税区分は対象外。給与本体と同じく消費税の計算に入らない(No.6157(1))
  • 個人事業主の国民健康保険料・国民年金保険料は経費でなく事業主貸。所得税の社会保険料控除で引く(No.1130)

目次

社会保険料の消費税が非課税になる理由|別表第二第3号と通達6-3-1

社会保険料の消費税区分とは、健康保険料や厚生年金保険料を払ったときに会計ソフトで選ぶ税区分で、答えは非課税です。会社負担分の法定福利費も、従業員負担分の預り金も、消費税の計算には入りません。

根拠は消費税法別表第二第3号です。「保険料を対価とする役務の提供」が非課税取引に列挙されており、国税庁 No.6201「非課税となる取引」(令和8年4月1日現在法令等)は(4)に「預貯金の利子および保険料を対価とする役務の提供等」を挙げています。

社会保険料の消費税区分を決める判定フロー

  • 払ったお金を上から順に確認する
  • STEP1給与から天引きして預かっただけか従業員負担分の預り金 → 取引でない=対象外(給与本体と同じ)
  • STEP2保険者に払う「保険料」か健康保険・厚生年金・介護・雇用・労災の保険料 → 非課税(別表第二第3号)
  • STEP3保険料に付随する別のサービス代か保険代理店の手数料・健康診断費用 → 課税(10%)
  • STEP4対価のないお金か延滞金・拠出金・受け取る保険給付や助成金 → 不課税

図:社会保険料の本体は非課税、預り金は対象外、付随サービスは課税、対価のないお金は不課税に落ちる。

通達6-3-1(4)の「保険料」に社会保険料が入る

消費税法基本通達 6-3-1(金融取引及び保険料を対価とする役務の提供等)は、別表第二第3号で非課税になるものを17項目で列挙しています。その(4)が「保険料(厚生年金基金契約等に係る事務費用部分を除く。)」、(15)が「共済掛金」です。

この通達は生命保険・損害保険と社会保険を分けていません。協会けんぽ・日本年金機構・国(労働保険の保険者)が保険料を受け取り、給付という役務を提供する関係は、民間保険と同じ形です。実務ではこの(4)の保険料に社会保険料も含めて読みます

厚生年金基金契約の事務費用部分だけを除いているのは、通達 6-3-2 と施行令10条2項が、保険のうち事務手数料に当たる部分を課税にしているからです。保険代理店の手数料が課税になるのも同じ理由です。

「社会保険料」を名指しした条文はない

消費税法施行令10条3項(e-Gov 法令API v2・2026年9月17日取得)を全文検索しても、「健康保険」「雇用保険」「社会保険」の語は1つも出てきません。国税庁 No.6157「課税の対象とならないもの(不課税)の具体例」にも、社会保険料は載っていません。

つまり社会保険料は、非課税の側にも不課税の側にも名指しで書かれていない項目です。だから解説によって表記が割れます。税額に差が出ない以上、法律の条文に近い「非課税」で押さえておけば十分です。

仕入税額控除ができない根拠はNo.6451

国税庁 No.6451「仕入税額控除の対象となるもの」(令和8年4月1日現在法令等)は、課税仕入れの範囲を次のように書いています。

「課税仕入れとは、事業者が、事業として他の者から資産の譲り受けや借り受けを行うこと、または役務の提供を受けることをいいます。ただし、非課税や免税となる取引、給与等の支払は含まれません」

社会保険料は非課税取引、給与は給与等の支払、預り金はそもそも取引でない。3つとも課税仕入れに入らないので、仕入税額控除の計算に載せません。

「不課税」と迷う3つの理由と、納税額が変わらない仕組み

「社会保険料 消費税 非課税 不課税」で調べる人が多いのは、次の3つが混ざるからです。

  • 対価性の説明: 社会保険は強制加入で、払った保険料と受ける給付が比例しない。だから「対価を得て行う取引でない=不課税」と説明する解説がある
  • 会計ソフトの区分名: freee や マネーフォワードの税区分は「対象外」「非課税仕入」など名前が分かれる。「対象外」を選ぶ運用が「不課税」の言い方に変わる
  • 保険金との混同: No.6157(4)は「保険金や共済金」を不課税に挙げている。これは受け取る側の話で、払う保険料の区分ではない

社会保険料を 非課税 と 不課税 のどちらで入力した場合

非課税仕入で入力
仕入税額控除
できない
課税売上割合
影響なし(売上でない)
個別対応方式の区分
不要(課税仕入れだけを3区分)
対象外(不課税)で入力
仕入税額控除
できない
課税売上割合
影響なし(売上でない)
個別対応方式の区分
不要

図:支払う社会保険料はどちらの区分でも結果が同じ。消費税申告書のどの欄にも金額が動かない。

どちらで入力しても納税額は同じ

仕入税額控除の対象は課税仕入れだけです(No.6451)。非課税仕入れも不課税仕入れも控除の外にあるので、税区分を「非課税仕入」にしても「対象外」にしても納付税額は1円も変わりません

課税売上割合が95%未満で個別対応方式を使う会社でも同じです。「課税売上対応」「非課税売上対応」「共通対応」の3区分に分けるのは課税仕入れだけで、社会保険料はその手前で外れています。

課税売上割合に効くのは「受け取る側」だけ

国税庁 No.6209「非課税と不課税の違い」(令和8年4月1日現在法令等)は、両者の差を課税売上割合で説明しています。「非課税取引は、原則として分母のみに算入しますが、これに対して、不課税取引は、そもそも消費税の適用の対象にならない取引ですから、分母にも分子にも算入しません」という記述です。

ここで分母に入るのは売上、つまり会社が受け取る側のお金です。支払う社会保険料は売上でないので、非課税でも不課税でも分母に入りません。区分の違いが数字に出るのは、社会保険から会社がお金を受け取る場面だけです。

社会保険まわりで受け取るお金の課税売上割合への影響(2026年9月時点)

受け取るお金区分課税売上割合の分母根拠
傷病手当金・出産手当金・労災の給付(会社経由で受領)不課税(保険金・共済金)入れないNo.6157(4)
雇用調整助成金・キャリアアップ助成金などの助成金不課税(補助金・助成金)入れないNo.6157(2)
過納した社会保険料の還付支払った保険料の戻り(売上でない)入れないNo.6209
会社が払う社会保険料(法定福利費)非課税仕入れ(売上でない)入れない別表第二第3号・No.6451
従業員から預かる社会保険料(預り金)取引でない入れないNo.6157(1)

社会保険に関するお金は、受け取る側も払う側も分母に入らない結果になります。課税売上割合が動くのは、受取利息や社宅家賃のような非課税売上を持つ場合で、社会保険料はその仲間ではありません。

社会保険・民間保険・労働保険・預り金の消費税区分早見表

保険料まわりの支払いと受取を、課税・非課税・不課税の3区分で1表にまとめます。会計ソフトの税区分は「非課税仕入」「対象外」「課税仕入 10%」のどれを選ぶかで読み替えてください。

保険料まわりの消費税区分・仕入税額控除の可否(2026年9月時点)

項目区分仕入税額控除勘定科目根拠
健康保険料・介護保険料(会社負担分)非課税できない法定福利費別表第二第3号・通達 6-3-1(4)
厚生年金保険料(会社負担分・料率18.3%)非課税できない法定福利費同上・日本年金機構
雇用保険料・労災保険料(労働保険)非課税できない法定福利費同上
子ども・子育て拠出金不課税(対価なし)できない法定福利費No.6157 の考え方
従業員負担分の社会保険料(天引き)対象外(取引でない)預り金No.6157(1)
給与・賞与の本体不課税できない給料手当No.6157(1)
生命保険料・損害保険料(会社契約)非課税できない保険料No.6201(4)
保険代理店に払う手数料・事務手数料部分課税 10%できる支払手数料通達 6-3-2・施行令10条2項
社会保険料の延滞金不課税(対価なし)できない租税公課など保険料本体と分けて計上
健康診断・人間ドックの費用課税 10%できる福利厚生費詳細は福利厚生費の消費税区分へ
通勤手当(通常必要な額)課税仕入れ 10%できる(帳簿のみ)給料手当通達 11-6-5・No.6496
受け取る傷病手当金・助成金不課税雑収入No.6157(2)(4)

厚生年金保険料率は日本年金機構「厚生年金保険料額表」のとおり、平成29年9月を最後に引上げが終わり18.3%で固定です。健康保険料率は協会けんぽの都道府県ごとに違い、雇用保険料率は厚生労働省が年度ごとに公表します。料率と負担割合の全体像は法定福利費の勘定科目と仕訳で整理しています。

保険料は非課税・保険にまつわる手数料は課税

同じ保険会社に払うお金でも、保険料は非課税、代理店手数料や事務手数料は課税です。通達 6-3-2 は、施行令10条2項の契約に係る保険料のうち「事務に要する費用の額に相当する部分」を課税としています。

社会保険でも同じ線引きです。協会けんぽに払う保険料は非課税ですが、社会保険労務士に払う手続き代行料は課税仕入れ(10%)で、適格請求書があれば控除できます。健康診断や産業医の報酬も課税仕入れで、区分は福利厚生費の消費税区分にまとめています。

仕訳例3本|会社負担分の納付・給与天引きの預り金・労働保険の概算払い

仕訳は税抜経理でも税込経理でも同じ形になります。社会保険料には仮払消費税が出ないので、消費税の行がそもそも発生しないのが課税仕入れとの違いです。

社会保険料 60,000円(会社負担30,000円・預り金30,000円)を納付

借方

法定福利費 30,000

預り金 30,000

貸方

普通預金 60,000

図:法定福利費は非課税仕入、預り金は対象外。どちらにも仮払消費税の行は付かない。

仕訳例1|月末に前月分の社会保険料60,000円を口座振替で納付

借方金額(円)貸方金額(円)税区分
法定福利費30,000普通預金60,000非課税仕入
預り金30,000対象外

会社負担分は法定福利費(非課税仕入)、給与から預かっていた分は預り金の取り崩し(対象外)です。健康保険・厚生年金・介護保険・子ども・子育て拠出金は1枚の納付書で引き落とされるので、内訳は年金事務所の「保険料納入告知額・領収済額通知書」で確認します。

仕訳例2|給与300,000円から社会保険料30,000円と源泉所得税6,000円を天引きして支給

借方金額(円)貸方金額(円)税区分
給料手当300,000預り金(社会保険料)30,000対象外
預り金(源泉所得税)6,000対象外
普通預金264,000対象外

給与本体は不課税(No.6157(1))、預り金は従業員のお金を一時的に預かるだけの負債になります。この仕訳に消費税の対象になる行は1つもありません。給与計算ソフトから連携すると、通勤手当だけが「課税仕入 10%」になるので、その1行だけを別に扱います(通勤手当の消費税区分)。

預り金の科目としての扱い、住民税や源泉所得税と分けて管理する方法は預り金の勘定科目と仕訳で扱っています。

仕訳例3|労働保険の年度更新で概算保険料240,000円(会社負担180,000円・従業員負担相当60,000円)を一括納付

借方金額(円)貸方金額(円)税区分
法定福利費180,000普通預金240,000非課税仕入
立替金60,000対象外

労働保険料は前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を、年度更新でまとめて申告・納付します。会社負担分(労災保険料の全額と雇用保険料の事業主負担分)は法定福利費、従業員負担分の雇用保険料は先に会社が立て替え、毎月の給与から天引きして回収します。

翌年度の確定精算で不足額を追加納付すれば法定福利費(非課税仕入)、払い過ぎが戻れば法定福利費のマイナスです。概算・確定・精算のどの段階でも税区分は非課税仕入のままで、課税売上割合にも影響しません。前払費用で処理する方法と年度更新の手順は労働保険料の勘定科目と仕訳にあります。

納付書・領収書に登録番号がなくても問題ない

インボイス制度が始まってから、「年金事務所の納付書に適格請求書発行事業者の登録番号がない」と気にする声があります。社会保険料は非課税取引なので、適格請求書を保存しなくても消費税の計算に何の影響もありません

領収済通知書や口座振替の通知は、消費税の帳簿要件でなく法人税の経費の証拠として保管します。労働保険の領収書も同じ扱いです。

個人事業主の国民健康保険・国民年金は経費でなく社会保険料控除

個人事業主が自分の国民健康保険料や国民年金保険料を事業用口座から払った場合、勘定科目は事業主貸で、消費税区分は選びません。事業の取引でなく、所得税の社会保険料控除として確定申告で引くからです。

国税庁 No.1130「社会保険料控除」(令和8年4月1日現在法令等)は、控除の対象に「国民健康保険の保険料または国民健康保険税」「健康保険、国民年金、厚生年金保険および船員保険の保険料で被保険者として負担するもの」「雇用保険の被保険者として負担する労働保険料」などを挙げています。控除できる金額は、その年に実際に支払った金額の全額です。

個人事業主と法人で変わる社会保険料の処理(2026年9月時点)

立場保険料勘定科目消費税区分税務上の扱い
個人事業主本人国民健康保険料・国民年金保険料事業主貸選ばない(事業の取引でない)所得税の社会保険料控除(No.1130)
個人事業主本人国民健康保険税(自治体が税方式の場合)事業主貸選ばない同上
従業員を雇う個人事業主従業員分の健康保険・厚生年金・労働保険の事業主負担分法定福利費非課税仕入必要経費
法人役員・従業員分の事業主負担分法定福利費非課税仕入損金
法人従業員負担分の天引き預り金対象外損益に影響しない

個人事業主が従業員を雇って社会保険に加入させた場合、事業主負担分は法人と同じく法定福利費(非課税仕入)です。本人分だけを事業主貸に分ける点で間違いが起きます。国民健康保険の仕訳と事業主貸の使い方は国民健康保険料の勘定科目・仕訳で扱っています。

会計ソフトの税区分と課税方式別の扱い|原則・簡易・2割特例・免税

会計ソフトで法定福利費を入力するとき、税区分は「非課税仕入」か「対象外」のどちらかを選びます。どちらでも消費税申告書の数字は同じで、「課税仕入 10%」にだけはしないのが唯一の注意点です。

課税仕入 10% で入力すると、仕入税額控除を取りすぎて納税額が少なくなります。従業員20人・会社負担分が月60万円の会社なら、年間で約65万円の控除を誤って計上する計算です。

課税方式別 社会保険料の税区分が納税額に与える影響(2026年9月時点)

自社の課税方式社会保険料の税区分納税額への影響補足
原則課税(本則課税)非課税仕入または対象外影響なし。課税仕入 10% にすると過大控除個別対応方式でも3区分の対象外
簡易課税非課税仕入または対象外影響なし売上税額×みなし仕入率で計算(No.6505)
2割特例非課税仕入または対象外影響なし納付税額=売上税額の2割(2026年9月30日の属する課税期間まで)
免税事業者区分不要影響なし税込の支払額をそのまま経費に計上

簡易課税と2割特例は売上税額から控除額を計算するので、仕入の区分を分けても納税額は変わりません。原則課税の会社だけが、社会保険料を課税仕入れにしないよう気をつければ足ります。課税仕入れ全体の区分の考え方は課税仕入れの勘定科目と消費税区分で確認できます。

給与計算ソフトとの連携で起きる税区分のずれ

給与計算ソフトから会計ソフトへ仕訳を連携すると、給与本体・社会保険料・通勤手当がまとめて同じ税区分で取り込まれることがあります。正しい形は、給与本体と預り金が対象外、法定福利費が非課税仕入または対象外、通勤手当だけが課税仕入 10% です。

月次で確認するのは1点だけです。法定福利費の行に仮払消費税が付いていないかを見れば、社会保険料の区分ミスは防げます。

よくある質問

社会保険料の消費税で実際によく検索される6問です。

Q1:社会保険料に消費税はかかりますか?

かかりません。健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料・雇用保険料・労災保険料は、消費税法別表第二第3号の「保険料を対価とする役務の提供」として非課税取引です(国税庁 No.6201(4))。会社負担分の法定福利費にも従業員負担分の預り金にも、消費税は含まれていません。

Q2:社会保険料の消費税区分は非課税ですか、不課税ですか?

法律上の区分は非課税です。消費税法基本通達 6-3-1(4)の「保険料」に社会保険料も含めて読みます。ただし「社会保険料」を名指しした条文や通達はなく、対価性の説明から不課税と書く解説もあります。支払う側では、どちらの区分でも仕入税額控除ができない点と課税売上割合に影響しない点が同じなので、納税額は変わりません。

Q3:法定福利費を会計ソフトで入力するときの税区分は何を選びますか?

「非課税仕入」または「対象外」を選びます。どちらでも消費税申告書の数字は同じです。選んではいけないのは「課税仕入 10%」で、仕入税額控除を取りすぎて納税額が少なくなります。国税庁 No.6451 のとおり、課税仕入れには非課税取引と給与等の支払が含まれません。

Q4:従業員から天引きした社会保険料(預り金)の消費税はどうなりますか?

消費税の対象外です。預り金は従業員が負担する保険料を会社が一時的に預かっているだけで、会社の仕入れでも売上でもありません。給与本体が不課税(No.6157(1))であるのと同じく、給与支給時の仕訳には消費税の対象になる行が1つもありません。納付時に預り金を取り崩す仕訳も対象外のままです。

Q5:社会保険料は課税売上割合の計算に影響しますか?

影響しません。国税庁 No.6209 のとおり、非課税取引は課税売上割合の分母に、不課税取引は分母にも分子にも入りませんが、どちらも「売上」の話です。支払う社会保険料は売上でないので分母に入りません。受け取る傷病手当金や助成金も不課税(No.6157(2)(4))なので分母に入らず、社会保険まわりのお金は課税売上割合を動かしません。

Q6:個人事業主の国民健康保険料や国民年金保険料は経費になりますか?

なりません。個人事業主本人の国民健康保険料・国民年金保険料は事業主貸で処理し、消費税区分は選びません。所得税の確定申告で社会保険料控除として、その年に支払った全額を所得から引きます(国税庁 No.1130)。従業員を雇って社会保険に加入させた場合の事業主負担分は、法人と同じく法定福利費(非課税仕入)で必要経費です。

まとめ

社会保険料の消費税区分と、迷いやすい点を1枚に整理します。

この記事のまとめ

  • 社会保険料は非課税(消費税法別表第二第3号・通達 6-3-1(4)・No.6201)。会社負担分の法定福利費も従業員負担分の預り金も、仕入税額控除に入れない(No.6451)
  • 「不課税」と書く解説があっても、支払う側の納税額は同じ。会計ソフトは「非課税仕入」か「対象外」で、「課税仕入 10%」だけ選ばない
  • 非課税と不課税の差が出るのは課税売上割合の分母だけ(No.6209)。支払う保険料は売上でないので分母に入らず、受け取る傷病手当金・助成金も不課税で分母に入らない
  • 労働保険料は概算・確定・精算のどの段階でも非課税仕入。納付書に登録番号がなくても適格請求書は不要
  • 個人事業主本人の国民健康保険料・国民年金保険料は事業主貸。所得税の社会保険料控除で引く(No.1130)

社会保険料の消費税 早見表(2026年9月時点)

場面勘定科目消費税区分仕入税額控除
会社負担分の健康保険・厚生年金・介護保険料を納付法定福利費非課税仕入できない
従業員負担分を給与から天引き預り金対象外
労働保険の概算保険料を年度更新で納付法定福利費(+立替金)非課税仕入できない
社会保険労務士への手続き代行料支払手数料課税仕入 10%できる
社会保険料の延滞金租税公課など不課税できない
個人事業主本人の国民健康保険料・国民年金保険料事業主貸選ばない
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免責事項

※本記事は消費税・所得税の一般的な取扱いを国税庁・日本年金機構・厚生労働省の公開情報(2026年9月時点)に基づいて整理したものです。課税売上割合の計算や個別対応方式の区分などの個別判断は、事業者の状況により異なります。最新の法令をご確認のうえ、必要に応じて顧問税理士など有資格者へご相談ください。


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この記事を書いた人

会計事務所で10年以上、法人や個人事業主の帳簿づけと税務申告の手伝いをしてきたTanakaです。決算が近づくと、経営者から「この支払いはどの科目で処理すればいいですか」という電話を何度も受けました。答えは業種や会社の規模で変わります。そこを一つずつ、相手に合わせて説明してきました。

独立してからは、中小企業の経理担当者向けの研修や、freee・マネーフォワード・弥生の科目設定の相談にも応じています。教科書の説明は抽象的で、現場では「とりあえず雑費」で片づけてしまうことも少なくありません。このサイトでは、勘定科目の選び方の判断軸を、具体例をそえて整理しています。最終的な税務判断は、顧問税理士にご相談ください。

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