雑収入の勘定科目と仕訳|消費税の課税区分と雑所得との違い【2026年】

この記事でわかること

  • 雑収入は本業以外の少額・臨時的な収入をまとめる営業外収益。売上・受取手数料との線引き
  • 助成金・還付金・保険金・為替差益・廃品売却・自販機収入など具体例7種の仕訳例(借方・貸方・摘要)
  • 雑収入の消費税は課税・不課税・非課税が1つの科目に混在する。対価性で判定する早見表とフロー
  • 法人の「雑収入」と個人事業主の「雑所得」の違い。取り違えると青色申告特別控除を失う
  • 雑収入が営業外収益の10%目安を超えたら独立科目へ切り替える判断基準

公的情報源: 国税庁 No.6105 課税の対象No.6157 課税の対象とならないもの(不課税)No.6209 非課税と不課税の違いNo.1500 雑所得

雑収入でいちばん間違えやすいのは、消費税の課税区分(課税・不課税・非課税)と、法人の雑収入か個人の雑所得かの線引きです。取引ごとの区分を手作業で判断するのが不安な場合は、会計ソフトで自動判定するのも選択肢になります。

結論を先に書きます

雑収入の勘定科目は、本業以外で発生した少額・臨時的な収入をまとめる「営業外収益」です。収益なので、仕訳では原則として貸方(右側)に計上します。助成金・還付金・保険金・廃品売却・自販機手数料など、独立した科目を立てるほどではない収入の受け皿になる科目、と考えてください。

つまずきやすいのは、金額の大きさではなく消費税の課税区分です。雑収入という1つの科目の中に、課税取引(廃品売却など)・不課税取引(補助金など)・非課税取引(受取利息など)が同居します。判定の軸は「その入金に対価性があるか」の1点です。

この記事の要点
  • 雑収入=営業外収益。仕訳は貸方に計上。金額が大きくなり営業外収益の10%目安を超えたら独立科目へ
  • 消費税は「対価性の有無」で判定。廃品売却・手数料は課税/補助金・保険金・還付金は不課税/受取利息・有価証券売却益は非課税
  • 法人は「雑収入」、個人事業主は事業関連なら「雑収入(事業所得)」・事業と無関係なら「雑所得」。取り違えは青色申告特別控除の喪失に直結
  • 根拠は国税庁 No.6157No.6209。個別判断は顧問税理士へ

目次

雑収入とは?本業以外の少額・臨時収入をまとめる営業外収益

雑収入とは、本業(売上)以外で発生し、他のどの勘定科目にも当てはまらない、または独立させるほど重要でない収入をまとめる勘定科目です。損益計算書では「営業外収益」の区分に表示します。

たとえば製造業の会社が製品を売れば「売上高」ですが、その過程で出た金属くずを売った収入は本業ではありません。こうした付随的な収入の受け皿が雑収入です。

雑収入と売上・受取手数料の線引き

判断のコツは「その収入が事業の主目的から生まれたか」です。主目的の対価なら売上高、それ以外の付随収入なら営業外収益になります。

  • 売上高 … 事業の主目的である商品・サービスの提供対価
  • 受取手数料・受取家賃など … 継続的・金額的に重要で、独立科目で管理すべき営業外収益
  • 雑収入 … 上のどれにも当てはまらない、少額・臨時の営業外収益

ポイントは、同じ内容の収入でも金額や継続性で科目が変わるという点。自販機手数料も年数千円なら雑収入、年数百万円規模なら「受取手数料」として独立表示するのが自然です。

なぜ雑収入を正しく分けるのか

雑収入をざっくり使いすぎると、決算書の営業外収益の中身が見えなくなります。金融機関や税務署から「雑収入の内訳は?」と質問されることも多く、補助科目や摘要で内容を残しておくのが実務の基本です。勘定科目そのものの一覧を確認したい場合は、勘定科目辞典の用語集もあわせて参照してください。

雑収入の具体例7種(助成金・還付金・保険金・為替差益ほか)

雑収入に計上される代表的な収入を、消費税区分とあわせて整理します。まずは全体像を早見表で押さえてください。

具体例内容消費税区分
廃品・作業くず・スクラップ売却製造・加工の過程で出た不用品の売却代金課税
自動販売機設置手数料・仲介手数料場所や役務の提供に対する手数料課税
補助金・助成金持続化給付金・雇用調整助成金など不課税
保険金・損害賠償金火災保険金・損害賠償の受取(対価性なし)不課税
税金の還付金・還付加算金法人税・所得税等の還付、還付加算金不課税
為替差益外貨建取引・預金の為替変動による差益不課税(課税対象外)
受取利息・有価証券売却益預金利息、株式等の売却益(重要性が低い場合)非課税

同じ「雑収入」でも、課税・不課税・非課税がこのように混在します。科目名だけで消費税区分は決まらないため、1件ずつ対価性を見て判定するのが正解です。

なお、収入ではなく費用側で「他に当てはまらない少額支出」をまとめる科目が雑費です。雑収入と雑費は本業外の少額項目を扱う点で対の関係にあります。費用側の判断基準は雑費の勘定科目と使いすぎの目安で詳しく解説しています。

雑収入の仕訳例(借方・貸方・金額・摘要)

雑収入は収益なので貸方に計上します。ここでは代表的な取引の仕訳を、税抜経理を前提に示します(消費税区分は次章で詳述)。

廃品・作業くずを売却したとき(課税)

金属くずを税込55,000円で売却し、現金で受け取ったケースです。作業くず売却は対価性のある資産の譲渡なので課税取引になります。

借方科目金額貸方科目金額
現金55,000雑収入50,000
仮受消費税5,000

摘要:作業くず(金属スクラップ)売却・○○リサイクル

補助金・助成金を受け取ったとき(不課税)

持続化給付金など補助金1,000,000円が普通預金に入金されたケースです。給付者へ資産や役務を提供したわけではないため、不課税取引です。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金1,000,000雑収入1,000,000

摘要:○○助成金 入金(不課税・対価性なし)

税金の還付金・還付加算金を受け取ったとき(不課税)

法人税の還付に伴う還付加算金3,000円が入金されたケースです。還付金・還付加算金はいずれも対価性がないため不課税です。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金3,000雑収入3,000

摘要:法人税 還付加算金

自動販売機の設置手数料を受け取ったとき(課税)

社内に設置した自販機の手数料として税込11,000円が入金されたケースです。場所・役務の提供に対する手数料は対価性があり課税取引になります。

借方科目金額貸方科目金額
普通預金11,000雑収入10,000
仮受消費税1,000

摘要:自動販売機設置手数料

雑収入は「補助金は不課税、廃品売却は課税、利息は非課税」と、1件ずつ消費税区分を切り替えて記帳する必要があります。件数が増えるほど手作業では取り違えが起きやすく、修正申告の原因にもなりがちです。取引の内容から課税区分を自動で判定し、仕訳まで一気通貫で扱えるのが会計ソフトの強みです。

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雑収入の消費税は課税・不課税・非課税が混在する

ここが雑収入の最大の関門です。雑収入という1つの科目の中に、消費税の課税・不課税・非課税が同居します。判定を誤ると、納付税額の計算(課税売上割合)まで狂うため、丁寧に切り分けます。

判定の軸は「対価性があるか」

消費税が課税されるのは、国税庁 No.6105 課税の対象のとおり、次の4要件をすべて満たす取引です。

  1. 事業者が事業として行うものか
  2. 対価を得て行うものか(無償・給付は対象外)
  3. 国内で行われる取引か
  4. 資産の譲渡・貸付け・役務の提供にあたるか

雑収入の判定でカギになるのは2つめの「対価を得て行うか」です。相手に資産や役務を提供した見返りなら課税、そうでない給付や補償なら不課税になります。

課税・不課税・非課税の早見表

消費税区分主な雑収入判定理由
課税廃品・作業くず売却、自販機手数料、仲介手数料資産の譲渡・役務提供で対価性あり
不課税補助金・助成金、保険金、損害賠償金、還付金、為替差益対価性がない(4要件を満たさない)
非課税受取利息、有価証券売却益、土地の売却・貸付対価性はあるが消費税法で非課税と規定

不課税と非課税は混同しやすいのですが、扱いが違います。国税庁 No.6209によると、非課税取引は課税売上割合の計算で分母にのみ算入されるのに対し、不課税取引は計算の外に置かれます。補助金や保険金など対価性のない収入は不課税、というのは国税庁 No.6157の具体例でも示されています。

見落とされやすい「為替差益」の扱い

競合記事であまり触れられていないのが為替差益です。外貨預金や外貨建取引で生じた為替差益は、資産の譲渡等にあたらないため課税対象外(不課税)として処理します。金額が大きくなると「為替差益」の独立科目に振り替える会社もありますが、少額なら雑収入で問題ありません。

法人の「雑収入」と個人事業主の「雑所得」の違い

「雑収入」と「雑所得」は名前が似ていますが、性質がまったく違います。雑収入は会計の勘定科目、雑所得は税法の所得区分です。ここを取り違えると、個人事業主は税金面で損をします。

雑収入と雑所得の違い

項目雑収入雑所得
性質会計上の勘定科目(営業外収益)税法上の所得区分
使う主体法人・個人事業主の両方個人のみ
青色申告特別控除事業所得の一部として対象対象外
具体例廃品売却、補助金、還付金など公的年金等、副業の所得など

国税庁 No.1500 雑所得によると、雑所得は給与所得や事業所得など他の9区分に当てはまらない所得を指し、公的年金等・業務に係るもの・その他に区分されます。

個人事業主が取り違えると損をする理由

個人事業主が事業に付随して得た収入は「事業所得の雑収入」として扱えます。ところが、これを「雑所得」で申告してしまうと青色申告特別控除(最大65万円)が使えなくなる場合があります。

  • 事業関連の付随収入 → 事業所得の一部(雑収入)として記帳。青色申告特別控除の対象
  • 事業と無関係の臨時収入 → 雑所得として申告。青色申告特別控除の対象外

たとえば本業の付随収入15万円を、事業所得の雑収入として処理すれば控除の枠内に収まる一方、雑所得として切り出すと所得が上乗せされ、所得税が増えることがあります。判断に迷う収入は、事業との関連性を摘要に残しておくと安全です。

個人事業主の勘定科目「事業主借」との関係

事業と無関係の個人的な入金(私的な保険金など)は、帳簿上は「事業主借」で処理し、必要に応じて雑所得として申告します。事業の帳簿に載せる雑収入と、確定申告で区分する雑所得を分けて考えるのがコツです。確定申告ソフトでの科目の当て方はfreeeの確定申告 勘定科目一覧も参考になります。

雑収入・営業外収益の線引きと独立科目化の判断基準

最後に、雑収入を「使いすぎない」ための基準を整理します。雑収入は便利な受け皿ですが、膨らみすぎると決算書の透明性が下がるためです。

営業外収益の10%目安

実務では、雑収入の金額が営業外収益の合計のおおむね10%までを目安とし、それを超える継続的な収入は独立した科目に切り出すのが一般的です。金額が大きい・毎期継続する収入を雑収入のまま放置すると、内訳が見えず金融機関や税務署から説明を求められます。

  1. 金額:営業外収益の10%を超える大きさか
  2. 継続性:毎期・定期的に発生するか(一時的か)
  3. 該当科目:受取手数料・受取家賃など既存科目に当てはまらないか

3つのうち「大きい・継続する・既存科目に当てはまる」に近いほど、独立科目化を検討します。自販機手数料が年間数百万円になったら「受取手数料」、外貨建の差益が常態化したら「為替差益」へ、という判断です。

雑費(費用側)との対で整理する

雑収入が収益側の受け皿なら、費用側の受け皿は雑費です。どちらも「①少額 ②臨時的 ③他に当てはまらない」の3条件で判断する点が共通しています。収益と費用をセットで見直すと、決算書全体の見通しが良くなります。

よくある質問

雑収入の勘定科目・仕訳について、現場で頻出する質問を整理します。

Q1:雑収入は借方と貸方のどちらに計上しますか?

雑収入は収益の勘定科目なので、原則として貸方(右側)に計上します。入金があった場合は、借方に現金・普通預金など、貸方に雑収入を記帳します。ただし過年度の雑収入を取り消すような場合は借方に雑収入が来ることもあります。基本は「収益=貸方」と覚えておけば問題ありません。

Q2:補助金・助成金は雑収入で計上しますか?消費税はかかりますか?

法人・個人事業主とも、補助金や助成金は「雑収入」で計上するのが一般的です。消費税は、給付者へ資産や役務を提供した対価ではないため不課税取引になります。仕訳は「借方 普通預金/貸方 雑収入」で、摘要に助成金名と不課税である旨を残しておくと、消費税申告時の集計が楽になります。

Q3:作業くずやスクラップの売却は課税・不課税どちらですか?

作業くず・スクラップの売却は、資産を引き渡して代金を得る取引なので対価性があり、課税取引になります。同じ雑収入でも補助金(不課税)とは扱いが逆なので注意が必要です。税抜経理なら売却代金を雑収入と仮受消費税に分けて記帳します。

Q4:雑収入と雑所得はどう違いますか?

雑収入は会計上の勘定科目(営業外収益)で、法人・個人の帳簿に使います。雑所得は個人の税法上の所得区分で、給与所得や事業所得など他の区分に当てはまらない所得を指します。個人事業主が事業に付随する収入を「雑所得」と誤って申告すると、青色申告特別控除が使えず税額が増える場合があるため、事業関連かどうかの見極めが重要です。

Q5:受取利息や株式の売却益も雑収入になりますか?

金額が少額で独立科目を立てるほどでない場合は、雑収入に含めることがあります。ただし消費税区分は「非課税取引」で、廃品売却などの課税取引とは区分が異なります。受取利息が継続的に多額になる場合は「受取利息」として独立表示するのが自然です。

Q6:雑収入はいくらまで計上してよいですか?

会計上、雑収入として計上できる金額に明確な上限はありません。ただし実務では営業外収益の合計の10%程度を目安とし、それを超える継続的な収入は「受取手数料」などの独立科目へ切り替えるのが一般的です。金額が大きいまま雑収入に放置すると、決算書の内訳が不透明になり説明を求められやすくなります。

まとめ:雑収入は「対価性」で消費税区分を判定する

雑収入の勘定科目と仕訳を、最後にチェックリストで整理します。

この記事のまとめ
  • 雑収入=本業以外の少額・臨時収入をまとめる営業外収益。仕訳は貸方に計上
  • 消費税は「対価性の有無」で判定。廃品売却・手数料=課税/補助金・保険金・還付金・為替差益=不課税/利息・有価証券売却益=非課税
  • 1つの雑収入に課税・不課税・非課税が混在する。科目名だけで区分を決めない
  • 法人は「雑収入」、個人事業主は事業関連なら雑収入(事業所得)・無関係なら雑所得。取り違えは青色申告特別控除の喪失に直結
  • 営業外収益の10%目安を超える継続収入は独立科目へ。費用側の雑費と対で見直す

雑収入で迷ったら、金額の大小よりも「その入金に対価性があるか」「事業に関連するか」の2点に立ち返ってください。この2つを摘要に残しておけば、消費税申告でも確定申告でも判断がぶれません。

雑収入は取引ごとに消費税区分が変わり、法人と個人でも扱いが分かれる、判断の多い科目です。区分の判定・仕訳・消費税集計・申告書類の作成までまとめて自動化したい場合は、会計ソフトの無料プランで自社の運用に合うかを試してみるのが近道です。クラウド型なら税理士との共有もしやすくなります。

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免責事項

※本記事は国税庁の公開情報をもとに整理した一般的な情報です。補助金・保険金・為替差益・海外取引など個別の消費税区分や、事業所得か雑所得かの判定は、取引の実態により結論が変わります。具体的な税務判断は所轄税務署の事前照会(書面照会・無料)または顧問税理士にご相談ください。


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この記事を書いた人

会計・経理アドバイザー / 中小企業支援コンサルタント

経歴
大学卒業後、会計事務所で10年以上勤務し、法人・個人事業主の会計処理、税務申告、経理業務改善を多数経験。特に「勘定科目の設定・運用」に関して、企業規模や業種ごとに最適化したアドバイスを提供してきた。現在は独立し、経理の効率化や会計初心者向けの研修も実施。

専門分野
・勘定科目の選定・運用ルール作り
・会計ソフト導入と科目設定支援
・経理担当者の教育・研修
・中小企業の経営数字可視化サポート

サイトの目的
「勘定科目は難しい…」という声をなくし、初心者でも迷わず正しい科目選択ができるようにすること。具体例・図解・テンプレートを用いて、経理や会計業務の現場で即使える情報を発信しています。

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