受取手数料は本業以外で受け取る手数料=営業外収益です。売上・雑収入との3択の判定軸、現金受取・未収入金・未収収益までの仕訳、原則課税となる消費税とインボイス、源泉徴収の要否、仲介・紹介・代行など該当する具体例を解説します。
この記事でわかること
- 受取手数料は本業以外で受け取る手数料=営業外収益という基本と、判定の出発点
- 同じ手数料でも「売上/受取手数料/雑収入」に分かれる3択の判定軸
- 現金受取・後日受取(未収入金)・決算(未収収益)まで押さえる仕訳例
- 受取手数料は原則として消費税の課税対象(役務の提供)である理由とインボイスの論点
- 見落とされやすい源泉徴収の要否(法人が受け取る手数料は原則対象外・個人が受け取る特定報酬は支払側が源泉)
- 仲介・紹介・代行・広告運用・講師料など、受取手数料に該当する具体例
公的情報源: 国税庁タックスアンサー No.6105 課税の対象/No.6157 非課税と不課税の違い/No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等
受取手数料は発生タイミングや消費税区分を取り違えやすい科目です。日々の仕訳を自動で振り分けたい場合は、会計ソフトの活用も選択肢になります。
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結論を先に書きます
受取手数料(うけとりてすうりょう)は、本業以外で、役務の提供の対価として受け取った手数料を計上する収益の勘定科目です。損益計算書では「営業外収益」に区分します。あっせん・仲介・紹介・代行などで受け取ったお金が、本業の売上とは別枠で入ってきたとき、この科目を使います。
判定の出発点はシンプルです。「その手数料は本業か、本業以外か」。本業なら「売上高」、本業以外なら「受取手数料」、金額が小さく重要性が低ければ「雑収入」。この3択をまず切り分けてください。
- 受取手数料は営業外収益。本業で得た手数料は「売上高」、少額・重要性の低いものは「雑収入」で処理する
- 受取手数料は原則として消費税の課税対象(国内で事業者が対価を得て行う役務の提供)
- 源泉徴収は、受け取る側が法人なら原則不要。個人が受け取る原稿料・講演料等の特定報酬は、支払う側が源泉徴収する
- 仕訳は収益なので貸方に受取手数料。後日受取は未収入金、決算またぎは未収収益で調整する
結論:受取手数料は「本業外で受け取る手数料=営業外収益」
受取手数料は、事業者が本来の業務とは別に、あっせんや仲介などの役務を提供して受け取った手数料を計上する科目です。会計ソフト各社の解説でも、営業外収益に区分するのが一般的な扱いとされています。
同じ「手数料を受け取った」でも、勘定科目は3つに分かれます。まずは全体像を表で押さえてください。
| 受け取り方 | 判定 | 使う勘定科目 | 表示区分 |
|---|---|---|---|
| 本業として手数料を得た | 主たる事業の対価 | 売上高 | 営業収益 |
| 本業以外で手数料を得た | 副次的な役務の対価 | 受取手数料 | 営業外収益 |
| 少額・重要性が低い | 金額僅少・臨時的 | 雑収入 | 営業外収益 |
たとえば不動産仲介会社が仲介で得た手数料は本業なので「売上高」、飲食店が知人の物件売買を手伝って得た紹介料は本業外なので「受取手数料」になります。業種が変われば、同じ仲介手数料でも科目が変わるのがポイントです。
受取手数料と間違えやすい勘定科目
受取手数料は「受け取る側」の科目です。支払う側で使う似た名前の科目と混同しないでください。
- 支払手数料:自社が手数料を「支払う」ときの費用科目(対の関係)
- 雑収入:本業外の少額・臨時の収入をまとめる科目
- 売上高:本業の対価として受け取る手数料
支払う側の処理を確認したい場合は、対になる支払手数料の勘定科目と仕訳もあわせて確認してください。
受取手数料とは(役務提供の対価として受け取る収益)
受取手数料とは、あっせん・仲介・代行といった役務(サービス)の提供の対価として、取引相手から受け取る手数料を指します。物やお金を無償でもらったわけではなく、「何かをしてあげた見返り」として受け取る点が特徴です。
収益の勘定科目なので、簿記のルール上は発生したら貸方(右側)に記入します。手数料が入金されれば、借方に現金や預金、貸方に受取手数料を書くのが基本形になります。
受取手数料に該当する具体例
実務で受取手数料になりやすい収入には、次のようなものがあります。いずれも「本業ではない」ことが前提です。
| 具体例 | 内容 |
|---|---|
| 仲介手数料 | 取引の間に入り、成約させたことへの手数料 |
| 紹介手数料・紹介料 | 顧客や取引先を紹介したことへの手数料 |
| 代行手数料 | 事務・手続きを代行したことへの手数料 |
| 販売手数料 | 受託販売で他社商品を売ったことへの手数料 |
| 広告運用手数料 | 他社の広告運用を代行したことへの手数料 |
| 講師料(本業外) | 従業員が業務外でセミナー講師をして得た報酬 |
紹介料の会計処理をもう少し詳しく確認したい場合は、支払う側の視点になりますが紹介料の勘定科目と仕訳も参考になります。受け取る側と支払う側で科目が変わる関係を掴んでおくと、判断がぶれません。
営業収益(売上)か営業外収益かの判定
受取手数料でいちばん迷うのが、「売上高にするのか、受取手数料にするのか」という区分です。判定軸は「その手数料が主たる事業(本業)によるものかどうか」。継続的・反復的に本業として稼いでいるなら売上高、たまたま副次的に得たなら受取手数料です。
同じ「仲介手数料」でも、業種によって結論が逆になります。次の表で自社のケースを確認してください。
| 受け取った会社 | 手数料の内容 | 判定 | 科目 |
|---|---|---|---|
| 不動産仲介会社 | 物件の仲介手数料 | 本業 | 売上高 |
| 飲食店 | 知人の物件売買の紹介料 | 本業外 | 受取手数料 |
| 人材紹介会社 | 人材あっせん手数料 | 本業 | 売上高 |
| 小売店 | 他社商品の受託販売手数料 | 本業外 | 受取手数料 |
判断に迷うときは、「その手数料が無くなったら、事業として成り立たなくなるか」を考えると整理しやすくなります。無くなると事業が回らないなら本業=売上高、無くても本業は続くなら本業外=受取手数料、という見方です。金額が僅少で毎期発生するわけでもないなら、雑収入にまとめる余地もあります。
雑収入との使い分け
受取手数料と雑収入は、どちらも営業外収益で境界があいまいになりがちです。実務では次のように使い分けます。
- 金額がある程度大きい・継続する見込み → 受取手数料(独立科目で管理)
- 金額が少額・臨時的で管理する必要性が低い → 雑収入
科目をどちらにするかで税額が変わるわけではありませんが、同じ性質の収入は毎期同じ科目で処理する(継続性の原則)ことが大切です。年度によって科目がころころ変わると、比較可能性が失われます。
受取手数料の仕訳例(現金・後日受取・決算)
ここからは具体的な仕訳です。受取手数料は収益なので、必ず貸方に立ちます。金額は税抜経理・消費税10%を前提にした例です。
まずは、その場で現金を受け取ったシンプルなケースから見ていきます。
現金で受け取ったとき(44,000円受領・うち消費税4,000円)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 44,000 | 受取手数料 | 40,000 |
| 仮受消費税 | 4,000 |
摘要:○○社 顧客紹介手数料
次に、役務を提供したものの入金は後日、というケースです。売上と同じく、まだ入金されていなくても手数料が確定した時点で収益を計上します(発生主義)。
後日受け取る約束をしたとき(請求時・55,000円)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 未収入金 | 55,000 | 受取手数料 | 50,000 |
| 仮受消費税 | 5,000 |
実際に入金されたとき
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 55,000 | 未収入金 | 55,000 |
入金時に受取手数料をもう一度計上すると収益の二重計上になります。請求時に計上済みなので、入金時は未収入金を消すだけにしてください。
決算をまたぐとき(未収収益)
役務の提供が済んでいるのに、契約上の受取日が翌期になる継続的な手数料は、当期分を「未収収益」で見越し計上します。
決算時(当期に帰属する未収分3か月・30,000円)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 未収収益 | 30,000 | 受取手数料 | 30,000 |
翌期首に再振替仕訳(借方 受取手数料/貸方 未収収益)を行い、実際の入金時に改めて処理します。「いつの収益か」を期間で正しく区切るのが決算の肝です。
受取手数料は「本業か本業外か」「課税か不課税か」「未収か入金済みか」と判断ポイントが多く、手作業だと取り違えが起きやすい科目です。取引明細から科目・税区分を自動で振り分けたい経理担当の方は、会計ソフトの無料プランで自社の運用に合うか試すのが近道です。
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受取手数料の消費税は「課税」(役務の提供)
受取手数料は、原則として消費税の課税対象です。理由は、国内で事業者が対価を得て行う「役務の提供」にあたるからです。国税庁タックスアンサー No.6105(課税の対象)は、①国内で②事業者が事業として③対価を得て④資産の譲渡・貸付け・役務の提供を行う取引を課税対象とし、役務の提供を明記しています。
あっせん・仲介・代行はまさに役務の提供にあたるため、受け取る手数料には消費税が含まれます。課税事業者は、手数料を請求するときに消費税を上乗せするのを忘れないようにしてください。
課税・不課税・非課税の切り分け
「消費税がかからない」には、そもそも課税の対象外(不課税)と、課税対象だが政策的にかけない(非課税)の2種類があります。国税庁タックスアンサー No.6157が整理しています。
| 区分 | 受取手数料での例 |
|---|---|
| 課税 | 通常の仲介・紹介・代行手数料(役務の提供) |
| 非課税 | 一定の金融取引・保険の手数料など(政策的に非課税) |
| 不課税 | 対価性のない受取(寄附・見舞金など。手数料には通常該当しない) |
ほとんどの受取手数料は課税で処理して差し支えありませんが、金融・保険がからむ手数料は非課税の可能性があるため、個別に確認してください。
インボイス制度(適格請求書)との関係
自社が課税事業者で、取引相手が仕入税額控除を受けたい場合、手数料の請求時に適格請求書(インボイス)の発行を求められることがあります。適格請求書発行事業者の登録番号や税率区分を記載した請求書を交付できる体制かどうか、受け取る側でも確認しておくと安心です(国税庁 インボイス制度特設ページ)。
受取手数料の源泉徴収は必要?(法人は原則不要)
受取手数料でとくに誤解が多いのが源泉徴収です。結論から言うと、受け取る側が法人であれば、手数料は原則として源泉徴収の対象外です。国税庁タックスアンサー No.2792(源泉徴収が必要な報酬・料金等)は、源泉徴収の対象を主に「個人に支払う特定の報酬・料金」と定めており、法人への支払いはごく限られた例外を除き対象外としています。
一方で、個人が受け取る原稿料・講演料・士業への報酬など特定の報酬は、支払う側が源泉所得税を差し引いて納付します。つまり源泉徴収は「受け取る側の属性(法人か個人か)」と「報酬の種類」で決まります。
| 受け取る側 | 手数料・報酬の種類 | 源泉徴収 |
|---|---|---|
| 法人 | 仲介・紹介・代行など通常の手数料 | 原則 不要 |
| 個人 | 通常の仲介・紹介手数料 | 原則 不要 |
| 個人 | 原稿料・講演料・デザイン料など特定の報酬 | 支払側が源泉徴収 |
| 個人 | 弁護士・税理士など士業への報酬 | 支払側が源泉徴収 |
源泉徴収されたときの仕訳
個人事業主が講演料などを受け取り、支払側で源泉徴収された場合は、差し引かれた税額を「仮払税金(事業主貸)」等で受け入れます。
講演料50,000円・源泉所得税5,105円が差し引かれ44,895円が入金
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 44,895 | 受取手数料 | 50,000 |
| 仮払税金 | 5,105 |
差し引かれた源泉所得税は、確定申告で計算した所得税額から精算します。「引かれっぱなし」にせず、必ず記録して申告で取り戻すことが大切です。
受取手数料を仕訳する手順
はじめて受取手数料を処理するときに迷わないよう、判断の順番を整理します。上から順に当てはめてください。
- 本業か本業外かを判定:本業なら売上高、本業外なら受取手数料(少額・臨時なら雑収入)
- 消費税区分を判定:通常の手数料は課税。金融・保険は非課税の可能性を確認
- 収益の計上時期を確定:役務提供が完了した時点で計上(発生主義)
- 入金タイミングで相手科目を選択:現金・預金/後日なら未収入金/期またぎは未収収益
- 源泉徴収の有無を確認:法人受取は原則なし。個人が特定報酬を受け取る場合は差引額を記録
この5ステップを毎回たどれば、受取手数料の処理はほぼ迷いません。とくにステップ1(本業か本業外か)とステップ2(課税か否か)を最初に固めると、後の仕訳がぶれなくなります。
freeeでの科目一覧や入力の考え方を確認したい場合は、freee確定申告の勘定科目一覧もあわせて参照してください。用語の意味を調べたいときは勘定科目 用語集が便利です。
よくある質問
受取手数料の処理で、現場から繰り返し出てくる質問をまとめます。
Q1:受取手数料と売上高はどう使い分けますか?
本業(主たる事業)として得た手数料は「売上高」、本業以外で副次的に得た手数料は「受取手数料」で処理します。たとえば不動産仲介会社の仲介手数料は本業なので売上高ですが、飲食店がたまたま物件を紹介して得た紹介料は本業外なので受取手数料です。同じ「仲介手数料」でも業種によって科目が変わる点に注意してください。判断に迷う場合は「その収入が無くなると事業が成り立たなくなるか」を基準にすると整理しやすくなります。
Q2:受取手数料に消費税はかかりますか?
原則として課税対象です。受取手数料は「国内で事業者が対価を得て行う役務の提供」にあたるため、消費税の課税取引になります(国税庁タックスアンサー No.6105)。課税事業者は手数料を請求する際に消費税を上乗せしてください。ただし、金融取引や保険にからむ一部の手数料は非課税となる場合があるため、該当しそうなときは個別に確認することをおすすめします。
Q3:受取手数料は源泉徴収の対象になりますか?
受け取る側が法人であれば、通常の手数料は原則として源泉徴収の対象外です(国税庁タックスアンサー No.2792)。源泉徴収が必要になるのは、主に個人が原稿料・講演料・士業報酬などの特定の報酬を受け取る場合で、この場合は支払う側が源泉所得税を差し引いて納付します。通常の仲介手数料・紹介手数料は、受け取る側が個人であっても原則として源泉徴収の対象ではありません。
Q4:受取手数料と雑収入はどちらを使えばいいですか?
金額がある程度大きい、または継続的に発生する見込みがあるものは「受取手数料」として独立科目で管理します。金額が少額で臨時的、管理する必要性が低いものは「雑収入」にまとめて構いません。どちらを使っても税額は変わりませんが、同じ性質の収入は毎期同じ科目で処理する(継続性の原則)ことが大切です。年度ごとに科目が変わると、決算書の比較可能性が損なわれます。
Q5:手数料が翌期に入金される場合、いつ収益にしますか?
役務の提供が完了した時点で収益に計上します(発生主義)。入金がまだでも、手数料が確定した時点で「未収入金/受取手数料」で計上し、実際の入金時は「普通預金/未収入金」で未収入金を消します。継続的な手数料で受取日が翌期になる場合は、当期に帰属する分を決算で「未収収益」として見越し計上し、翌期首に再振替仕訳を行います。入金時に受取手数料を再計上すると二重計上になるため注意してください。
Q6:個人事業主でも受取手数料は使えますか?
使えます。個人事業主が本業以外であっせん・紹介・代行などを行い手数料を受け取った場合、営業外収益として受取手数料で処理できます。ただし、その活動が事業の主たる収入になっているなら売上として計上します。少額・臨時のものは雑収入でも構いません。なお、個人が原稿料や講演料など源泉徴収の対象となる報酬を受け取った場合は、差し引かれた源泉所得税を記録し、確定申告で精算してください。
まとめ:受取手数料の判定チェックリスト
受取手数料の勘定科目・消費税・源泉徴収の判定を、最後に整理します。
- 受取手数料は本業外で受け取る手数料=営業外収益。本業は「売上高」、少額・臨時は「雑収入」
- 仕訳は収益なので貸方に受取手数料。後日受取は未収入金、期またぎは未収収益で調整
- 消費税は原則課税(役務の提供)。金融・保険がらみは非課税の可能性を確認
- 源泉徴収は法人受取なら原則不要。個人が受け取る原稿料・講演料等の特定報酬は支払側が源泉徴収
- 判定は「本業か→課税か→計上時期→相手科目→源泉の有無」の順で固めるとぶれない
受取手数料は「本業か本業外か」を最初に切り分けるだけで、大半の処理は迷わなくなります。あとは消費税は原則課税、源泉徴収は法人受取なら原則不要、という2つの原則を押さえておけば十分です。金融・保険や個人受取の特定報酬など、例外にあたりそうなときだけ一次情報や顧問税理士で確認してください。
受取手数料の課税区分・未収管理・源泉税の記録までまとめて扱い、手作業の取り違えを減らしたい方は、クラウド会計ソフトの無料プランで自社の運用に合うか試すのが近道です。複数人での確認や税理士との共有もしやすくなります。
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