プリント代・印刷代の勘定科目は?消耗品費と印刷製本費の使い分け・仕訳例|コピー代との違い

プリント代の勘定科目は、社内のプリンターで刷る用紙・トナー・インクなら「消耗品費」、印刷会社への外注なら「印刷製本費(外注費)」が基本です。つまり自社で刷るか外部に頼むかの2軸で決まります。10万円未満の消耗品は課税仕入れ10%で全額経費にでき、税込・税抜の仕訳例もそのまま転記できます(2026年7月時点)。

この記事でわかること

  • プリント代の科目は「自社で刷る」か「外注する」かの2軸で決まる(社内=消耗品費/外注=印刷製本費)
  • 社内プリントの用紙・トナー・インクは消耗品費で全額をその期の経費にできる
  • プリンター本体・複合機は10万円基準で科目が変わる(消耗品費か固定資産か)
  • 個人事業主が自宅プリンターを使う場合の家事按分の考え方
  • そのまま転記できるケース別の仕訳例と、コピー代・印刷代との違い

公的情報源: 国税庁「No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示」(参照)/国税庁「No.6451 仕入税額控除の対象となるもの」(参照)/国税庁「No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)」(参照

結論を先に書きます

プリント代の勘定科目は、ひとつに固定されているわけではありません。「自社のプリンターで刷ったか」「外部に発注したか」の2軸で決まる と考えてください。

判断の軸はシンプルです。社内のプリンターで使う用紙・トナー・インクは消耗品費、印刷会社やネット印刷への外注は印刷製本費(外注費)。この2つを押さえれば、ほとんどのプリント代は迷わず仕訳できます

なお、チラシやポスターなど「宣伝目的」で刷ったものは広告宣伝費に振り替わります。ここが判断の3つ目の分かれ道です。

プリント代を消耗品費・印刷製本費(外注費)・広告宣伝費の3科目に分類したツリー図。社内プリントの用紙やトナーは消耗品費、外注印刷は印刷製本費、宣伝目的の印刷は広告宣伝費に振り分ける。
図:プリント代は「社内で刷る消耗品」「外注印刷」「宣伝目的」の3系統で科目が分かれる。

この記事の要点
  • プリント代に専用の固定科目はなく、「刷り方」と「目的」で使い分ける
  • 社内プリントの用紙・トナー・インクは消耗品費(10万円未満・使用可能期間1年未満)
  • 外注の印刷・製本は印刷製本費または外注費
  • プリンター本体は10万円以上なら固定資産として減価償却する
  • 消費税はいずれも課税仕入れ10%。切手のような購入時非課税の特例はない

目次

プリント代の勘定科目 早見表

プリント代でよく使う科目を、刷り方・目的の別に一覧にまとめました。まず全体像をつかんでから、各ケースの詳細に進んでください。

刷り方・目的で選ぶプリント代の科目早見表

状況主な勘定科目具体例
社内のプリンターで刷る消耗品消耗品費コピー用紙・印刷用紙・トナー・インク
外部の印刷会社に発注印刷製本費・外注費冊子・報告書・名刺の印刷
ネット印刷サービスに発注印刷製本費・外注費ポスター・チラシの少量印刷
宣伝・集客が目的の印刷広告宣伝費チラシ・パンフレット・会社案内
プリンター本体(10万円未満)消耗品費小型プリンター・家庭用複合機
プリンター本体(10万円以上)工具器具備品(固定資産)業務用の大型複合機

科目が複数ある理由は、プリント代が「モノの購入」「サービスの外注」「宣伝活動」のどれにもなり得るからです。以下で1つずつ、判断の境界を確認します。

社内プリントの用紙・トナー・インクは消耗品費

自社のプリンターで刷るための用紙・トナー・インクは、原則として消耗品費で処理します。理由は、これらが「使えばなくなる少額の物品」だからです。

消耗品費の目安は、取得価額が10万円未満で、使用可能期間がおおむね1年未満のものとされています(国税庁 No.5403)。コピー用紙やトナーは1つあたり数千円から高くても数万円で、消耗も早いため、迷わず消耗品費で構いません。

社内プリントで消耗品費に含めやすいものは、次のとおりです。

  • コピー用紙・写真用紙・ラベル用紙などの各種用紙
  • トナーカートリッジ・インクカートリッジ
  • 詰め替えインク・プリンター用のロール紙

なお、日常の少額な事務プリントは事務用品費で処理する会社もあります。消耗品費と事務用品費のどちらでも誤りではありません。大切なのは、一度決めた科目を毎期使い続ける(継続性の原則)ことです。

外注のプリント・印刷は印刷製本費(外注費)

印刷会社やネット印刷サービスに刷ってもらった場合は、印刷製本費または外注費で処理します。社内の消耗品費とは分けて考えるのがポイントです。

印刷製本費は、印刷や製本を外部に依頼したときの費用をまとめる科目です。報告書・パンフレット・冊子・名刺などを外注したケースが典型例になります。

印刷製本費という科目を設けていない会社では、外注費や支払手数料で処理しても問題ありません。ここでも継続して同じ科目を使うことが要件です。

一方で、同じ外注でもチラシやポスターなど「宣伝・集客が目的」のものは広告宣伝費へ振り替わります。目的が売上につながる販促かどうかが、印刷製本費と広告宣伝費の分かれ目です。

プリンター本体・複合機は10万円基準で科目が変わる

プリンターや複合機の「本体」を買った場合は、プリント代(消耗品)とは別の判断が必要です。金額によって科目が変わります。

判断の軸は取得価額10万円です。国税庁 No.5403 の少額判定に沿うと、次のように分かれます。

  • 10万円未満:消耗品費として、購入した期に全額を経費にできる
  • 10万円以上:工具器具備品などの固定資産として計上し、耐用年数にわたり減価償却する

家庭用の小型プリンターは10万円未満が多く、消耗品費で処理できます。業務用の大型複合機は10万円を超えることがあり、その場合は固定資産です。

なお、青色申告をしている中小企業者等には、30万円未満の資産を一括で経費にできる少額減価償却資産の特例があります。適用には要件があるため、詳しくは消耗品費の勘定科目と仕訳|消耗品との違い・10万円基準もあわせてご確認ください。

個人事業主と法人でのプリント代の違い

プリント代の科目そのものは、個人事業主でも法人でも大きく変わりません。ただし、個人事業主は「家事按分」という論点が加わります。

自宅のプリンターを事業とプライベートの両方で使っている場合、プリント代の全額を経費にはできません。事業で使った割合だけを経費にします。これが家事按分です。

按分の目安は、印刷枚数や使用時間など「合理的に説明できる基準」で決めます。たとえば事業利用が7割なら、トナー代の70%だけを消耗品費に計上します。

法人の場合は、原則として事業用の支出として全額を経費にできます。ただし、私的な印刷が混ざらないよう区分しておくことが前提です。

プリント代の仕訳例

ここまでの判断を、実際の仕訳に落とし込みます。そのまま帳簿に転記できる形でまとめました。

社内プリント:トナーを現金で購入(消耗品費)

プリンター用のトナー1本(税込8,800円)を現金で購入したケースです。

社内プリント用のトナー1本を税込8,800円で現金購入した仕訳のT字勘定。借方は消耗品費8,800円、貸方は現金8,800円で、課税仕入れ10%として全額をその期の経費にできる。
図:社内プリント用トナー(税込8,800円)を消耗品費で処理するT字勘定。
借方金額貸方金額
消耗品費8,800現金8,800

外注印刷:報告書の製本を発注(印刷製本費・普通預金払い)

報告書の印刷・製本を印刷会社に発注し、22,000円(税込)を普通預金から支払ったケースです。

借方金額貸方金額
印刷製本費22,000普通預金22,000

宣伝目的:集客チラシをネット印刷(広告宣伝費)

集客用のチラシをネット印刷サービスに発注し、11,000円(税込)をクレジットカードで支払ったケースです。

借方金額貸方金額
広告宣伝費11,000未払金11,000

同じ「プリント代」でも、刷り方と目的で借方の科目が変わります。金額の大小ではなく、用途で科目を選ぶのが実務の基本です。

消費税:プリント代は課税仕入れ(10%)

プリント代の消費税は、用紙・トナー・外注印刷のいずれも課税仕入れの標準税率10%です。切手のように購入時が非課税になる特例はありません。

税抜経理でも税込経理でも、仕入税額控除の対象になります(国税庁 No.6451)。控除を受けるには、原則として適格請求書(インボイス)の保存が必要です。

インボイス制度の下では、次の点を確認しておくと安心です。

  • 印刷会社やネット印刷が適格請求書発行事業者か(登録番号の記載があるか)
  • 領収書・請求書に税率ごとの金額と消費税額が記載されているか
  • 税込3万円未満の少額取引でも、原則は請求書等の保存が必要(少額特例の対象期間・要件は国税庁 No.6498 で確認)

コンビニのマルチコピー機で少額プリントをした場合も、受け取ったレシートは保存しておきましょう。

よくある質問

プリント代の勘定科目は消耗品費でいいですか?

社内のプリンターで刷る用紙・トナー・インクなら、消耗品費で問題ありません。10万円未満で消耗の早い物品はその期に全額を経費にできます。ただし外部の印刷会社に発注した分は印刷製本費(外注費)に分けて処理します。

プリント代とコピー代・印刷代の勘定科目は違いますか?

基本的な考え方は同じで、いずれも用途で科目を選びます。社内の少額作業は消耗品費・事務用品費、外注は印刷製本費・外注費、宣伝目的は広告宣伝費です。呼び方が違っても判定軸は共通と考えてください。

プリンター本体を買ったら何費になりますか?

取得価額10万円未満なら消耗品費として全額を経費にできます。10万円以上は工具器具備品などの固定資産として計上し、耐用年数にわたり減価償却します。青色申告なら30万円未満の少額減価償却資産の特例も検討できます。

自宅のプリンターで刷ったプリント代は全額経費にできますか?

個人事業主が自宅のプリンターを事業とプライベートで兼用している場合は、家事按分が必要です。印刷枚数や使用割合など合理的な基準で、事業に使った分だけを消耗品費に計上します。全額の計上はできません。

プリント代の消費税は何%で、インボイスは必要ですか?

プリント代は用紙・トナー・外注印刷のいずれも課税仕入れの10%です。仕入税額控除を受けるには、原則として適格請求書(インボイス)の保存が必要です。発注先の登録番号や税率ごとの記載を確認しておきましょう。

まとめ:プリント代の勘定科目チェックリスト

プリント代の勘定科目は、刷り方と目的で決まります。最後に判断の流れを整理します。

  • 社内のプリンターで刷る用紙・トナー・インクは消耗品費
  • 印刷会社・ネット印刷への外注は印刷製本費(外注費)
  • チラシ・パンフレットなど宣伝目的は広告宣伝費
  • プリンター本体は10万円基準で消耗品費か固定資産かが分かれる
  • 個人事業主の自宅プリンターは家事按分で事業割合だけ計上
  • 消費税はいずれも課税仕入れ10%。インボイスの保存を忘れない

迷ったら「自社で刷ったか、外注したか」をまず考えてください。そのうえで宣伝目的かどうかを確認すれば、プリント代のほとんどは正しく仕訳できます。最終的な判断は顧問税理士にご確認ください。

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免責事項

※本記事は2026年7月時点の公開情報をもとにした一般的な整理です。勘定科目の最終判断や個別の税務処理は、顧問税理士など有資格者にご相談ください。


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この記事を書いた人

会計事務所で10年以上、法人や個人事業主の帳簿づけと税務申告の手伝いをしてきたTanakaです。決算が近づくと、経営者から「この支払いはどの科目で処理すればいいですか」という電話を何度も受けました。答えは業種や会社の規模で変わります。そこを一つずつ、相手に合わせて説明してきました。

独立してからは、中小企業の経理担当者向けの研修や、freee・マネーフォワード・弥生の科目設定の相談にも応じています。教科書の説明は抽象的で、現場では「とりあえず雑費」で片づけてしまうことも少なくありません。このサイトでは、勘定科目の選び方の判断軸を、具体例をそえて整理しています。最終的な税務判断は、顧問税理士にご相談ください。

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