減価償却とは?なぜ一括で経費にできない?計算方法と耐用年数の基礎知識

10万円以上の固定資産(パソコン、車、オフィス家具など)を数年に分けて経費にする「減価償却」。なぜ一括で落とせないのか、定額法と定率法の計算方法の違い、耐用年数の調べ方など、決算前に知っておきたい基礎知識をわかりやすく解説します。

「300万円の社用車を買ったのに、今年の経費は50万円だけ? 残りの250万円は?」

高額な備品や車両を購入した際、支払ったお金がそのままその年の「経費」にならないことに驚く経営者の方は少なくありません。この「数年に分けて少しずつ経費にする」という仕組みが減価償却(げんかしょうきゃく)です。

この記事では、減価償却の基本的な考え方から、計算方法の種類、耐用年数の調べ方までを解説します。

結論:価値が減る分だけ経費にする

対象10万円以上で、時間の経過とともに価値が減るもの(固定資産)。※土地は価値が減らないため、減価償却できません。

考え方「買った時」ではなく「使っている期間」に合わせて経費を配分する。

メリット数年にわたって利益を圧縮し、長期的な節税効果が得られる。

  1. なぜ「一括」で経費にしてはいけないのか?

一番の理由は、「収益と費用の期間を合わせるため」です(費用収益対応の原則)。

例えば、300万円の車を買って5年間使う場合、その車は5年間にわたって売上(利益)を作るために貢献します。それなのに初年度だけに300万円の経費を載せてしまうと、1年目は大赤字、2年目以降は経費ゼロで大黒字……という、実態とかけ離れた決算書になってしまいます。

「使って古くなった(価値が減った)分だけ、その年の経費にする」のが減価償却のルールです。

  1. 2つの計算方法:定額法と定率法

減価償却の計算には、主に2つの方法があります。どちらを使うかで「いつ、いくら経費になるか」が変わります。

定額法(ていがくほう)

毎年同じ金額を償却する方法です。計算がシンプルで、計画が立てやすいのが特徴です。

$$ 取得価額 \times 償却率(または \div 耐用年数) = 毎年の償却費 $$

定率法(ていりつほう)

未償却の残高(今の価値)に一定の率をかける方法です。「最初は多く、年々少なく」償却するため、早めに経費を作りたい(節税したい)場合に有利です。

$$ 未償却残高 \times 償却率 = その年の償却費 $$

💡 法人と個人で原則が違います・法人:原則「定率法」(建物等は除く)・個人:原則「定額法」※届出を出すことで変更することも可能です。

  1. 「耐用年数(たいよねんすう)」はどう決める?

「何年かけて償却するか」は、会社が自由に決めることはできません。国が品目ごとに決めた「法定耐用年数」に従います。

主な資産耐用年数パソコン(サーバー以外)4年事務机・椅子(金属製)15年普通自動車(新車)6年ソフトウェア(自社利用)5年建物(鉄筋コンクリート造・事務所)50年

中古資産を購入した場合は、この法定耐用年数ではなく、簡便法という計算式で求めた短い年数で償却できるため、大きな節税メリットが生まれます。

  1. 仕訳例:期末の減価償却

減価償却は、お金を払った時ではなく、通常は「決算時」にまとめて仕訳を行います。

例:期首に120万円で買った営業車(耐用年数6年・定額法)を償却する$120万円 \div 6年 = 20万円$

借方金額摘要貸方金額減価償却費200,000営業車 減価償却車両運搬具200,000

※上記は「直接法」の仕訳です。資産の額をそのまま残す「間接法(減価償却累計額)」を使う場合もあります。

まとめ

減価償却を理解すると、会社の利益とキャッシュフロー(現金残高)のズレの正体が見えてきます。

10万円以上の資産は、数年に分けて経費にする。

耐用年数は法律で決まっている。

土地や骨董品など、古くならないものは対象外。

最初は「定率法」の方が節税効果が高い。

まずは自社の備品が「何年で経費になるのか」を把握することから始めてみましょう。もし「早く経費にしたい!」という場合は、前回の記事で紹介した「30万円未満の特例」の活用を検討してください。

あわせて読みたい

▶ 30万円未満を一括経費にする「少額減価償却資産」の特例

▶ 消耗品と固定資産の境界線(10万円の壁)

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この記事を書いた人

会計・経理アドバイザー / 中小企業支援コンサルタント

経歴
大学卒業後、会計事務所で10年以上勤務し、法人・個人事業主の会計処理、税務申告、経理業務改善を多数経験。特に「勘定科目の設定・運用」に関して、企業規模や業種ごとに最適化したアドバイスを提供してきた。現在は独立し、経理の効率化や会計初心者向けの研修も実施。

専門分野
・勘定科目の選定・運用ルール作り
・会計ソフト導入と科目設定支援
・経理担当者の教育・研修
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