寄付金の消費税は不課税|協賛金・祭りの提灯・チャリティ商品で課税になる境目・現物寄付の仕入税額控除・受け取る側の特定収入・インボイスと仕訳例6本

寄付金の消費税は不課税です(国税庁 No.6463・No.6157・消費税法基本通達5-2-14)。対価を得て行う取引でないため課税仕入れにならず、課税売上割合の分母にも入れません。課税になるのは広告掲載のある協賛金や、物品を購入して寄付するときの購入代金だけ。寄付金の領収書に登録番号は要りません。

この記事でわかること

  • 寄付金が不課税になる理由を、消費税法2条1項8号と通達5-2-14の本文で確認できる
  • 課税になる境目4つ(広告掲載の協賛金・祭りの提灯と広告の線引き・チャリティ商品・現物寄付の購入代金)と、国税庁の文書回答事例
  • NPO・神社・町内会・政治団体・自治体・企業版ふるさと納税・募金箱・クラウドファンディングなど18場面の早見表
  • 物品を寄付したときの仕入税額控除と用途区分(通達11-2-17=共通対応)、法人が第三者に贈与しても「みなし譲渡」にならない理由
  • 受け取る側の処理(普通法人は雑収入で不課税、公益法人等とNPOは特定収入で仕入控除税額を調整)
  • 寄付金の領収書とインボイス、免税の実行委員会へ払う協賛金の経過措置、税区分つきの仕訳例6本

公的情報源: 国税庁タックスアンサー No.6463「寄附金や交際費の取扱い」(参照)/No.6157「課税の対象とならないもの(不課税)の具体例」(参照)/消費税法基本通達 第5章第2節 5-2-14(参照)/第11章第2節 11-2-16・11-2-17(参照)/消費税法(e-Gov法令検索)(参照)

先に答え

寄付金の消費税区分は不課税です。消費税がかかるのは「事業として対価を得て行われる資産の譲渡・貸付け・役務の提供」(消費税法2条1項8号)だけで、見返りのない寄付はここに当たりません。支払う側は仕入税額控除ができず、受け取る側も課税売上にはなりません。

ただし「寄付」「協賛」と書いてあっても、社名広告の掲載や商品の受け取りといった見返りがあれば対価です。そこだけが課税になります。

この記事の要点

  • 寄付金は不課税。金銭による寄付は課税仕入れにならない(No.6463・No.6157(2)・令和8年4月1日現在法令等)
  • 通達5-2-14は名目でなく実質で判定する。寄付金の名目で受け取っても、商品や役務の対価を構成するなら課税
  • 課税になる境目は4つ。①広告掲載のある協賛金 ②祭りの寄付でも広告枠として金額が決まっている場合 ③チャリティ商品の商品代 ④物品を購入して寄付するときの購入代金
  • 現物寄付は購入代金だけ課税仕入れ(No.6463)。個別対応方式では共通対応(通達11-2-17)。法人が第三者に贈与してもみなし譲渡にはならない(消費税法4条5項)
  • 受け取る側は、普通法人なら雑収入で不課税。公益法人等・NPO・町内会は特定収入として仕入控除税額の調整が要る(消費税法60条4項・特定収入割合5%超)
  • 寄付金の領収書に登録番号は不要。課税の協賛金は適格請求書が要り、免税の主催者へ払う分は経過措置80%(2026年9月30日まで)→70%(2026年10月1日から)

目次

寄付金の消費税は不課税|消費税法2条1項8号と通達5-2-14の判定

寄付金の消費税とは、見返りなしに渡すお金が「対価を得て行う取引」に当たるかどうかで課税・不課税を分ける判定です。消費税法2条1項8号は課税の対象になる「資産の譲渡等」を「事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供」と定めています。寄付は反対給付を受けないため、この定義に当たりません。

国税庁 No.6463「寄附金や交際費の取扱い」(令和8年4月1日現在法令等)は、「寄附金の支出は、対価を得て行われる取引ではありませんので、課税仕入れとはなりません」と言い切っています。No.6157「課税の対象とならないもの(不課税)の具体例」でも、(2)に「寄附金、祝金、見舞金、国または地方公共団体からの補助金や助成金等」が並んでいます。

寄付金の消費税区分を決める判定フロー

  • 払ったお金(受け取ったお金)に、社名広告・商品・サービスなどの見返りがあるか
  • STEP1見返りが何もない金銭の寄付かNPO・赤十字・神社の祭礼・町内会・政治団体・自治体 → 不課税(No.6463・通達5-2-14)
  • STEP2社名や広告が掲載され、その掲載枠として金額が決まっているかパンフレット広告・看板・ユニフォーム → 広告の対価として 課税仕入れ(文書回答事例)
  • STEP3商品やチケットなど物・サービスを受け取るかチャリティ商品・購入型クラウドファンディング → 商品の対価として 課税(5-2-14の「実質」)
  • STEP4物品を買って寄付するか物品の購入代金は課税仕入れ・寄付そのものは不課税(No.6463・通達11-2-17)

図:見返りがなければ名目に関係なく不課税。見返りがあれば、その見返りの対価として課税になる。

通達5-2-14「寄附金、祝金、見舞金等」の本文|名目でなく実質

No.6463の根拠は消費税法基本通達5-2-14で、本文は次のとおりです。

「寄附金、祝金、見舞金等は原則として資産の譲渡等に係る対価に該当しないのであるが、例えば、資産の譲渡等を行った事業者がその譲渡等に係る対価を受領するとともに別途寄附金等の名目で金銭を受領している場合において、当該寄附金等として受領した金銭が実質的に当該資産の譲渡等の対価を構成すべきものと認められるときは、その受領した金銭はその資産の譲渡等の対価に該当する」

前半が原則、後半が例外です。商品を売った相手から「寄付金」の名目で追加のお金を受け取り、それが実質的に商品代の一部なら、寄付金と書いてあっても課税売上になります。判定の物差しは領収書の但し書きでなく、お金の実質です。

「非課税」でなく「不課税」|課税売上割合に入れない

「寄付金 消費税 非課税 不課税」と検索されますが、区分は不課税です。国税庁 No.6209「非課税と不課税の違い」は、不課税の例として「対価を得て行うことに当たらない寄附や単なる贈与」を挙げています。非課税は土地の譲渡や利子のように、対価がある取引を政策的に課税しないものです。

違いが数字に出るのは、受け取った側の課税売上割合です。No.6209のとおり、非課税売上は分母に入りますが、不課税の寄付金は分母にも分子にも入れません。会計ソフトでは「対象外」「不課税」を選び、「非課税売上」を選ばないようにします。

所得税の「非課税」と混同しない

従業員が会社から受け取る結婚祝いや、個人が受け取る祝儀は所得税基本通達28-5で所得税が非課税になる場合があります。これは受け取る個人の所得税の話で、本記事の消費税の区分とは別の判定です。祝儀の科目と所得税側の条件は祝儀の勘定科目で扱っています。

寄付金が課税になる境目|協賛金・祭りの提灯・チャリティ商品・現物寄付

寄付金と呼ばれるお金が課税になるのは、見返りの対価になっている4つの場面だけです。No.6463は「名目は寄附であっても、その寄附に対価性が認められる場合には課税仕入れとなります」と定めています。境目を場面ごとに切り分けます。

寄付金・協賛金が課税になる4つの境目(支払う側の区分・2026年9月時点)

場面消費税区分何の対価か根拠
①イベントのパンフレット・看板・ホームページに社名や広告が掲載される協賛金課税仕入れ10%広告掲載という役務の提供消費税法2条1項8号・大阪国税局 文書回答事例(平成27年度インターハイ プログラム協賛広告)
②神社の祭礼・町内会の祭りへの寄付で、提灯や奉納札に社名が書かれる不課税(原則)見返りなし。社名の掲示は寄付者の慣行で、広告枠の対価ではないNo.5281・No.5262「神社の祭礼等の寄贈金」=寄附金
②’ 祭りでも「広告協賛A枠 5万円=パンフレット半ページ」のように枠と金額が決まっている課税仕入れ10%広告掲載の対価2条1項8号・通達5-2-14の「実質」
③チャリティ商品(売上の一部が寄付される商品)の購入代課税仕入れ10%(商品代の全額)商品の譲渡。寄付に回る部分も商品代の一部通達5-2-14
④物品を購入して寄付する場合の購入代金課税仕入れ10%(購入時)物品の譲渡を受けた対価。寄付そのものは不課税No.6463・通達11-2-17

①広告掲載のある協賛金|国税庁の文書回答事例

大阪国税局の文書回答事例「平成27年度インターハイ(大阪開催)において協賛者が支出する費用(プログラム協賛広告)の税務上の取扱いについて」は、広告や社名が掲載されるプログラムへの協賛金について、「課税仕入れに係る対価の額に該当するとして差し支えない」と回答しています。広告の大きさに応じて協賛金額が変わる仕組みで、法人税・所得税では広告宣伝期間(各競技の開催期間)で期間配分する扱いです。

同じ構造の文書回答事例は広島国税局(第66回国民体育大会)にもあり、ホームページ・印刷物・看板への社名掲載を対価とする広告協賛は課税仕入れに当たると整理されています。

同じ「協賛金」でも消費税区分が3つに分かれる

広告掲載あり(広告宣伝費)
消費税
課税仕入れ10%
仕入税額控除
できる(適格請求書が必要)
典型例
パンフ広告・看板・ユニフォーム・HP掲載
根拠
2条1項8号・文書回答事例
見返りなし(寄付金)
消費税
不課税(対象外)
仕入税額控除
できない
典型例
祭礼の寄贈金・NPOへの協賛・災害義援金
根拠
No.6463・5-2-14・No.5262
取引先の行事(交際費)
消費税
不課税(金銭のみの場合)
仕入税額控除
できない(景品を買って渡せば購入分は課税仕入れ)
典型例
取引先主催のゴルフコンペ・周年行事への協賛
根拠
No.6463(祝金・餞別は課税仕入れでない)

図:科目が広告宣伝費になる協賛金だけ課税仕入れ。寄付金・交際費の協賛金は金銭なら不課税で、控除できる税額は0円。

②祭りの寄付|提灯の社名は広告か

「祭り 寄付金 消費税」で迷うのは、提灯や奉納札に社名が書かれるためです。国税庁 No.5281「寄附金の範囲と損金不算入額の計算」と No.5262「交際費等と寄附金との区分」は、「神社の祭礼等の寄贈金」を原則として寄附金に挙げています。寄付者の名前を掲示するのは寄付を受けた側の慣行で、掲示枠を売っているわけではありません。消費税も対価なしとして不課税で処理するのが原則です。

線を越えるのは、主催者側が「広告協賛」として枠と金額を設定している場合です。パンフレットの半ページ5万円・1ページ10万円のように、掲載面積で金額が変わるなら広告の対価になります。この場合は広告宣伝費として課税仕入れになるので、主催者が適格請求書発行事業者かどうかを確認してください。

③チャリティ商品・購入型クラウドファンディング|商品代は全額が対価

「売上の10%を寄付します」という商品を1,100円で買った場合、買い手の課税仕入れは1,100円の全額です。売り手が寄付に回す100円も、買い手から見れば商品の対価の一部で、通達5-2-14の「実質的に資産の譲渡等の対価を構成する」金銭に当たります。買い手側で「100円は寄付金・不課税」と分けることはしません。

売り手が後日NPOへ払う100円は、売り手の寄付金として不課税です。クラウドファンディングも同じ物差しで判定でき、リターンが商品やサービスなら購入(課税)、リターンが礼状だけなら寄付(不課税)になります。

④ふるさと納税|個人は消費税と無関係・返礼品は一時所得

個人がふるさと納税をしても、個人は事業者として寄付するわけではないので消費税の話は生じません。返礼品として受け取る特産品の経済的利益は、国税庁の質疑応答事例「『ふるさと納税』を支出した者が地方公共団体から謝礼を受けた場合の課税関係」のとおり所得税の一時所得です。控除の仕組みは No.1155「ふるさと納税(寄附金控除)」に整理されています。

法人が自治体へ寄付する企業版ふるさと納税は、見返りのない金銭の寄付なので不課税です。

寄付金の消費税区分 場面別早見表18場面

寄付金の消費税区分は、場面ごとに「見返りがあるか」「物を買っているか」の2点を当てはめれば決まります。不課税が12場面・課税が6場面で、課税になるのは広告の対価と物品の購入だけです。

寄付金・協賛金・見舞金の消費税区分 場面別早見表(支払う側の区分・2026年9月時点)

場面消費税区分判定のポイント根拠
NPO法人・公益財団法人への金銭の寄付不課税見返りなしNo.6463・5-2-14
日本赤十字社・共同募金会への寄付、災害義援金不課税見返りなしNo.6463
神社の祭礼・町内会の祭りへの寄付(提灯に社名)不課税社名の掲示は慣行。祭礼等の寄贈金は寄附金No.5281・No.5262
祭りの「広告協賛」枠(掲載面積で金額が決まる)課税10%広告掲載の対価2条1項8号・5-2-14
イベントのパンフレット・看板・HPへの広告掲載つき協賛金課税10%広告掲載の対価文書回答事例(インターハイ・国体)
スポーツチームのユニフォームに社名が入るスポンサー料課税10%広告掲載の対価同上
取引先主催のゴルフコンペ・周年行事への金銭の協賛不課税交際費でも金銭なら対価なしNo.6463
政治団体への寄付不課税対価性なし。「政治団体に対する拠金」は寄附金No.5281・No.5262
学校法人・大学への寄付不課税見返りなしNo.6463
国・地方公共団体への寄付、企業版ふるさと納税不課税見返りなしNo.6463
チャリティ商品の購入(売上の一部が寄付される)課税10%(商品代の全額)商品の対価。寄付部分を分けない5-2-14
購入型クラウドファンディング(商品・サービスのリターンあり)課税10%商品・役務の対価2条1項8号
寄付型クラウドファンディング(リターンは礼状・活動報告のみ)不課税見返りなしNo.6463
物品を購入して寄付(飲料水・文房具・パソコン)購入代金は課税10%・寄付は不課税購入は課税仕入れ。用途区分は共通対応No.6463・11-2-17
自社商品・自社の固定資産を寄付不課税(贈与時)対価なし。仕入れ時の課税仕入れはそのまま4条5項・11-2-17
取引先への見舞金・災害見舞金(金銭)不課税対価なしNo.6157(2)・No.6463
従業員への結婚祝い・出産祝い(金銭)不課税対価はない。所得税は所基通28-5で別判定No.6463
募金箱への小口の寄付・街頭募金不課税見返りなし。領収書がなくても区分は変わらないNo.6463

見舞金・祝金・餞別も同じ不課税

No.6463は交際費の節で、「得意先へ商品券の交付をする場合や、祝金、餞別、弔慰金などを支出した場合には、課税仕入れとなりません」と定めています。寄付金と同じく金銭を渡すだけで対価がないためです。反対に、お中元やお歳暮の贈答品の購入代金や接待の飲食代は課税仕入れになります。

事故や損害の補てんとして受け取るお金は損害賠償金の消費税で扱っています。

現物寄付の消費税|購入代金は課税仕入れ・贈与は不課税・用途区分は共通対応

物品を寄付する場合、消費税は「買う」と「渡す」を分けて考えるのが基本です。No.6463は「金銭による寄附は課税仕入れとなりませんが、物品を購入して寄附した場合には、その物品の購入代金は課税仕入れとなります」と定めています。買う場面は物品の譲渡を受ける対価があり、渡す場面には対価がありません。

災害支援で飲料水55,000円(税込)を購入して寄付した(原則課税・税抜経理)

借方

寄付金 50,000

仮払消費税 5,000

貸方

普通預金 55,000

図:購入代金の消費税5,000円は仮払消費税として控除できる。寄付として渡す行為には仕訳が発生しない。

個別対応方式なら「共通対応」に区分する(通達11-2-17)

購入代金が課税仕入れでも、個別対応方式を使う事業者は用途区分が要ります。消費税法基本通達11-2-17(金銭以外の資産の贈与)は、「金銭以外の資産を贈与した場合の当該資産の取得が課税仕入れ等に該当するときにおける個別対応方式の適用に当たっては、当該課税仕入れ等は、原則として課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに該当する」と定めています。

寄付は課税売上にも非課税売上にも対応しないため、11-2-16の「資産の譲渡等に該当しない取引に要する課税仕入れ」と同じく共通対応です。課税売上対応にすると控除しすぎになります。一括比例配分方式を選んでいる場合や、課税売上高5億円以下かつ課税売上割合95%以上で全額控除できる場合は、用途区分を付けずに控除できます(消費税法30条2項)。用途区分の全体像は課税仕入れの勘定科目と消費税区分で扱っています。

法人が第三者に贈与しても「みなし譲渡」にはならない

消費税法4条5項が「事業として対価を得て行われた資産の譲渡とみなす」のは、①個人事業者が事業用資産を家事のために消費・使用した場合 ②法人が資産をその役員に贈与した場合の2つだけです。法人がNPOや被災地に自社商品を贈与しても、この条文には当たりません。対価がないので不課税になり、課税売上を立てる必要もないわけです。

自社商品を寄付した場合、仕入れたときの課税仕入れは取り消しません。用途区分だけを11-2-17に沿って共通対応へ見直してください。法人税では寄附金の額を「贈与の時における時価」で計算するため(No.5281)、消費税の不課税と法人税の時価評価を分けて記録します。

寄付金の仕訳例6本|寄付金・広告宣伝費・交際費・現物寄付・受け取る側

仕訳は税抜経理を前提に、支払う側4本・現物寄付1本・受け取る側1本です。科目の選び方より税区分の列が納税額を決めるので、会計ソフトでは「対象外」と「課税仕入10%」の選択を確認します。

仕訳例1|NPO法人へ50,000円を普通預金から寄付した

借方金額(円)貸方金額(円)税区分
寄付金50,000普通預金50,000対象外

見返りのない金銭の寄付です。仮払消費税は立てず、課税売上割合の計算にも影響しません。

仕訳例2|神社の祭礼へ10,000円を現金で寄付し、提灯に社名が書かれた

借方金額(円)貸方金額(円)税区分
寄付金10,000現金10,000対象外

「神社の祭礼等の寄贈金」は寄附金(No.5281)で、消費税は不課税です。提灯の社名は広告枠の購入ではないので、仮払消費税を立てません。

仕訳例3|地域イベントのパンフレットに広告を掲載する協賛金110,000円(税込)を振り込んだ

借方金額(円)貸方金額(円)税区分
広告宣伝費100,000普通預金110,000課税仕入 10%
仮払消費税10,000

広告掲載つき協賛金110,000円(税込)を支払った(原則課税・税抜経理)

借方

広告宣伝費 100,000

仮払消費税 10,000

貸方

普通預金 110,000

図:広告掲載の対価は課税仕入れ。主催者の適格請求書(登録番号つき)を保存して10,000円を控除する。

広告掲載の対価なので課税仕入れです。控除には主催者が交付する適格請求書の保存が要ります。主催者が実行委員会などの免税事業者なら、次章の経過措置で控除額を計算します。

仕訳例4|取引先主催のゴルフコンペへ協賛金30,000円を現金で渡した(広告掲載なし)

借方金額(円)貸方金額(円)税区分
交際費30,000現金30,000対象外

特定の取引先との関係維持が目的なので科目は交際費です。金銭を渡すだけで対価がなく、No.6463の祝金・餞別と同じく課税仕入れになりません。景品を自社で購入して持ち込む場合は、その購入代金が課税仕入れになります。

仕訳例5|自社商品(帳簿価額30,000円)を福祉施設へ寄付した

借方金額(円)貸方金額(円)税区分
寄付金30,000仕入(他勘定振替)30,000対象外

贈与に対価はないので不課税です。仕入れたときの課税仕入れは取り消さず、個別対応方式なら用途区分を共通対応に付け替えます(11-2-17)。法人税の寄附金の額は時価で計算します(No.5281)。

仕訳例6(受け取る側)|NPO法人が個人から寄付100,000円を普通預金で受け取った

借方金額(円)貸方金額(円)税区分
普通預金100,000受取寄付金100,000対象外(特定収入)

受け取る側も不課税です。株式会社が受け取った場合も雑収入で、同じく対象外です。NPO法人や公益法人等は、この金額が次章の特定収入になるため、会計ソフトで「特定収入」の補助区分を付けておくと申告時に集計できます。

受け取る側の消費税|普通法人は雑収入で不課税・公益法人等とNPOは特定収入で調整

寄付金を受け取る側の消費税も不課税ですが、普通法人と公益法人等では申告への影響が違います。株式会社が受け取れば雑収入で終わりです。公益法人等・NPO法人・宗教法人・人格のない社団等(町内会・実行委員会)が受け取ると、仕入控除税額の調整が要る場合があります。

寄付金を受け取った側の処理は法人の種類で分かれる

株式会社などの普通法人
消費税区分
不課税(雑収入)
課税売上割合
分母にも分子にも入れない
仕入控除税額の調整
なし
根拠
No.6209・5-2-14
公益法人等・NPO・宗教法人・町内会
消費税区分
不課税(受取寄付金)
課税売上割合
分母にも分子にも入れない
仕入控除税額の調整
特定収入割合が5%超なら、特定収入で賄った課税仕入れの税額を控除から除く
根拠
消費税法60条4項・消令75条3項・通達16-2-1(4)

図:不課税という区分は同じでも、公益法人等は「寄付金で買ったものの消費税」を控除できない仕組みが入る。免税事業者と簡易課税の法人は対象外。

特定収入とは何か(消費税法60条4項・通達16-2-1)

消費税法60条4項は、国・地方公共団体・別表第三の法人(公益法人等)・人格のない社団等が課税仕入れを行った課税期間に「資産の譲渡等の対価以外の収入」=特定収入があり、その割合が僅少でない場合に、特定収入で賄われた課税仕入れの税額を控除から除くと定めています。消費税法基本通達16-2-1は特定収入の例として(1)租税 (2)補助金 (3)交付金 (4)寄附金 (5)出資に対する配当金 (6)保険金 (7)損害賠償金 (8)会費等・喜捨金等を挙げています。

「僅少でない」の線は消費税法施行令75条3項で、特定収入割合が5%を超える場合です。特定収入割合は「特定収入÷(資産の譲渡等の対価の額+特定収入)」で計算します。寄付金で運営費の大半を賄うNPO法人は、この割合を超えるのが普通です。

調整の対象外になる法人

60条4項のかっこ書きと本文で、免税事業者(9条1項)と簡易課税(37条)を選んでいる法人は調整の対象外です。基準期間の課税売上高が1,000万円以下の町内会や小規模NPOは免税事業者なので、寄付金を受け取っても消費税の申告自体がありません(No.6501)。

調整の計算が要るのは、課税事業者で一般課税のNPO法人・公益財団法人・宗教法人などです。寄付金の使途が課税仕入れに特定されているか、使途が決まっていないかで計算式が分かれます(消令75条4項)。公益社団法人・公益財団法人が特定支出のためにのみ使うと文書で明らかにし、行政庁の確認を受けた寄付金は特定収入から外れます(消令75条1項)。

インボイスと領収書|寄付金に登録番号は不要・課税の協賛金は適格請求書・免税の主催者は経過措置

寄付金は不課税なので、寄付金の領収書に適格請求書発行事業者の登録番号は要りません。仕入税額控除の対象になる取引がないためです。NPO法人や神社が発行する「寄附金受領証明書」は、所得税の寄附金控除や法人税の損金算入のための書類で、消費税とは別の目的です。

寄付金・協賛金とインボイスの要否(2026年9月時点)

支払の内容消費税区分適格請求書主催者が免税事業者の場合根拠
金銭の寄付(NPO・神社・自治体・政治団体)不課税不要。領収書に登録番号がなくてよい影響なしNo.6463
広告掲載つき協賛金課税10%必要(登録番号・税率・税額の記載)経過措置で80%→70%控除No.6498
広告掲載つき協賛金・税込1万円未満(基準期間の課税売上高1億円以下の事業者)課税10%帳簿のみで可(少額特例・2029年9月30日まで)同左No.6496
物品を購入して寄付購入は課税10%販売店の適格請求書が必要販売店が免税なら経過措置No.6463・No.6498
受け取る側(NPO・神社)が発行する寄附金受領証明書不課税登録番号不要――

免税の実行委員会へ払う広告協賛金|経過措置80%→70%(2026年10月1日切替)

祭りの実行委員会や町内会は免税事業者であることが多く、適格請求書を交付できません。この場合、広告掲載つき協賛金の仕入税額は経過措置で一部だけ控除します。国税庁 No.6498は、免税事業者等からの課税仕入れについて「令和5年10月1日から令和13年9月30日までの期間は、仕入税額相当額の一定割合(80パーセント、7・5・3割)を仕入税額として控除できる」と定めています。

割合の切替日は次のとおりです(国税庁 インボイスQ&A 問113・令和8年4月改訂)。

課税仕入れを行った日控除できる割合
2023年10月1日〜2026年9月30日80%
2026年10月1日〜2028年9月30日70%
2028年10月1日〜2030年9月30日50%
2030年10月1日〜2031年9月30日30%

税込110,000円の広告協賛金を免税の実行委員会へ2026年10月1日以降に払うと、仮払消費税は7,000円(10,000円×70%)で、残り3,000円は広告宣伝費に含めます。帳簿には「70%控除対象」のように経過措置の適用を受ける旨を書きます。寄付金として不課税で処理する分には、この計算は出てきません。

課税方式別の影響|原則課税・簡易課税・2割特例・免税

課税方式別・寄付金と課税の協賛金の扱い(2026年9月時点)

課税方式金銭の寄付(不課税)広告掲載つき協賛金(課税)根拠
原則課税(個別対応方式)控除なし。課税売上割合に入れない課税仕入れ。用途は広告の目的に応じて区分No.6451・11-2-18
原則課税(一括比例配分方式・全額控除)同上課税仕入れとして控除No.6451
簡易課税控除なし仕入税額は売上税額×みなし仕入率で計算するため、個別の協賛金は控除額に影響しないNo.6505
2割特例(免税事業者が登録した場合・2026年9月30日までの日の属する課税期間)控除なし納付税額は売上税額の2割。協賛金の税額は使わないNo.6498
免税事業者申告なし申告なしNo.6501

2割特例は令和8年9月30日までの日の属する課税期間で終わり、個人事業者には令和9年・令和10年の3割特例が続きます(No.6498)。簡易課税と2割特例では、協賛金を課税にしても不課税にしても納付税額は変わりません。区分の違いが納税額に出るのは原則課税の事業者だけです。

よくある質問

寄付金と消費税で実際によく検索される6問です。

Q1:寄付金に消費税はかかりますか?

かかりません。国税庁 No.6463は「寄附金の支出は、対価を得て行われる取引ではありませんので、課税仕入れとはなりません」と定めています。受け取る側も課税売上になりません。例外は、寄付の名目でも社名広告の掲載や商品の受け取りといった見返りがある場合で、その部分は対価として課税になります。

Q2:寄付金の消費税区分は非課税ですか、不課税ですか?

不課税です。国税庁 No.6209は不課税の例として「対価を得て行うことに当たらない寄附や単なる贈与」を挙げています。非課税は対価のある取引を政策的に課税しないもので、土地の譲渡や利子が該当します。違いは課税売上割合で、非課税売上は分母に入りますが、不課税の寄付金は分母にも分子にも入れません。会計ソフトでは「対象外」を選びます。

Q3:お祭りの寄付金で提灯に社名が出る場合、消費税の課税仕入れになりますか?

原則としてなりません。国税庁 No.5281と No.5262は「神社の祭礼等の寄贈金」を寄附金に挙げており、消費税も対価なしとして不課税です。提灯や奉納札の社名は寄付者を掲示する慣行で、広告枠の購入ではありません。主催者が「広告協賛」として掲載面積ごとに金額を設定している場合だけ、広告の対価として課税仕入れになります。

Q4:寄付金の領収書にインボイスの登録番号は必要ですか?

必要ありません。寄付金は不課税で、仕入税額控除の対象になる取引がないためです。NPO法人や神社が発行する寄附金受領証明書は、所得税の寄附金控除や法人税の損金算入に使います。登録番号が要るのは、広告掲載つき協賛金のように課税仕入れになる支払だけで、主催者が免税事業者なら経過措置で80%(2026年9月30日まで)または70%(2026年10月1日から)を控除する形です。

Q5:物品を購入して寄付した場合、消費税は控除できますか?

購入代金の消費税は控除できます。国税庁 No.6463は「物品を購入して寄附した場合には、その物品の購入代金は課税仕入れとなります」と定めています。寄付として渡す行為には対価がないので不課税です。個別対応方式を使う場合、この課税仕入れの用途区分は消費税法基本通達11-2-17により共通対応になります。

Q6:NPO法人が受け取った寄付金に消費税はかかりますか?

かかりません。受け取った寄付金は不課税で、課税売上割合の計算にも入れません。ただし課税事業者で一般課税のNPO法人は、寄付金が消費税法60条4項の特定収入に当たります(通達16-2-1(4))。特定収入割合が5%を超える場合、寄付金で賄った課税仕入れの税額を仕入税額控除から除く調整が要ります。免税事業者と簡易課税を選んでいる法人は調整の対象外です。

まとめ

寄付金の消費税区分を1枚に整理します。

この記事のまとめ

  • 寄付金は不課税。対価を得て行う取引でない(消費税法2条1項8号・No.6463・No.6157(2)・通達5-2-14)
  • 名目でなく実質で判定する。寄付金の名目で受け取っても、商品や役務の対価を構成するなら課税(5-2-14)
  • 課税になる境目は4つ。広告掲載のある協賛金(文書回答事例)・祭りの「広告協賛」枠・チャリティ商品の商品代・物品を購入して寄付するときの購入代金
  • 神社の祭礼への寄付で提灯に社名が出ても原則は寄附金・不課税(No.5281・No.5262)
  • 現物寄付は購入が課税仕入れ・贈与は不課税。個別対応方式は共通対応(11-2-17)。法人が第三者に贈与してもみなし譲渡でない(4条5項)
  • 受け取る側は普通法人なら雑収入で不課税。公益法人等・NPOは特定収入で仕入控除税額を調整(60条4項・消令75条3項の5%超)
  • 寄付金の領収書に登録番号は不要。課税の協賛金は適格請求書が要り、免税の主催者へ払う分は経過措置80%→70%(切替日 2026年10月1日・No.6498)

寄付金の消費税 早見表(2026年9月時点)

場面消費税区分適格請求書会計ソフトの税区分
NPO・赤十字・神社の祭礼・町内会・政治団体・自治体への金銭の寄付不課税不要対象外
広告掲載つき協賛金・スポンサー料課税10%必要(免税の主催者は経過措置80%→70%)課税仕入 10%
取引先の行事への金銭の協賛(交際費)不課税不要対象外
チャリティ商品・購入型クラウドファンディング課税10%必要課税仕入 10%
物品を購入して寄付購入代金は課税10%販売店の適格請求書課税仕入 10%(共通対応)
自社商品を寄付不課税不要対象外
寄付金を受け取った(普通法人)不課税発行不要対象外
寄付金を受け取った(公益法人等・NPO・町内会)不課税発行不要対象外(特定収入)
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免責事項

※本記事は消費税・法人税の一般的な取扱いを国税庁の公開情報(2026年9月時点)に基づいて整理したものです。寄付金・協賛金の区分は募集要項・契約書・領収書の内容により異なります。最新の法令をご確認のうえ、必要に応じて顧問税理士など有資格者へご相談ください。


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この記事を書いた人

会計事務所で10年以上、法人や個人事業主の帳簿づけと税務申告の手伝いをしてきたTanakaです。決算が近づくと、経営者から「この支払いはどの科目で処理すればいいですか」という電話を何度も受けました。答えは業種や会社の規模で変わります。そこを一つずつ、相手に合わせて説明してきました。

独立してからは、中小企業の経理担当者向けの研修や、freee・マネーフォワード・弥生の科目設定の相談にも応じています。教科書の説明は抽象的で、現場では「とりあえず雑費」で片づけてしまうことも少なくありません。このサイトでは、勘定科目の選び方の判断軸を、具体例をそえて整理しています。最終的な税務判断は、顧問税理士にご相談ください。

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