自動車税の消費税は不課税|車検・自賠責・重量税・リサイクル料金の消費税区分表18項目・中古車の未経過分は課税・仕訳例とインボイス

自動車税の消費税は不課税です。税金の納付は「対価を得て行う資産の譲渡等」に当たらず、消費税の課税対象そのものに入りません(消費税法2条1項8号・4条1項、国税庁 No.6209)。重量税も不課税、自賠責保険料と検査手数料は非課税、車検の基本料と整備費は課税10%で、1枚の車検明細に3つの区分が混ざります。中古車を買うときの未経過自動車税相当額だけは売買代金の一部として課税です(消費税法基本通達10-1-6)。

この記事でわかること

  • 自動車税が不課税になる根拠条文と、「非課税」との違いが課税売上割合にどう出るか
  • 自動車税・軽自動車税・重量税・自賠責・任意保険・検査手数料・リサイクル料金・登録代行費用など18項目の消費税区分表
  • 車検の明細を不課税・非課税・課税の3区分に分解する方法と、会計ソフトの税区分の選び方
  • 新車購入時の諸費用を取得価額に含めるかの判定と、中古車購入時の未経過自動車税相当額が課税になる理由
  • 納付・車検・新車購入・中古車購入・売却の仕訳例5本(税区分列つき)と、インボイス制度での法定費用の扱い

公的情報源: 国税庁タックスアンサー No.6209「非課税と不課税の違い」(参照)/No.6201「非課税となる取引」(参照)/No.7192「自動車重量税のあらまし」(参照)/消費税法基本通達 第10章第1節 10-1-6(参照)/兵庫県「令和8(2026)年4月1日、自動車の税が大きく変わりました」(参照)/自動車リサイクル促進センター「リサイクル料金内訳」(参照)

先に答え

自動車税の消費税区分は不課税です。県に納める税金には反対給付がなく、消費税が乗る余地がありません。納税通知書に消費税の記載が無いのはこのためで、会計ソフトでは「対象外」を選びます。

迷いが生まれるのは自動車税そのものより、車検や購入のときに1枚の明細へ税・保険料・手数料・整備費が同居する場面です。区分は項目ごとに決まるので、明細を分解して読めば答えは固定されます。

この記事の要点

  • 自動車税・軽自動車税・自動車重量税は不課税。税金の納付は対価を得て行う取引に当たらない(消費税法2条1項8号・4条1項、No.6209・令和8年4月1日現在法令等)
  • 自賠責保険料・任意保険料は非課税(No.6201(4))。検査登録手数料・車庫証明手数料も法令に基づく手数料として非課税(No.6201(7))
  • 車検の基本料・整備費・部品代・代行手数料、ディーラーの登録代行費用、リサイクル料金のうち資金管理料金は課税10%
  • 中古車購入時の未経過自動車税相当額・未経過自賠責相当額は売買代金の一部で課税(通達10-1-6)。リサイクル預託金相当額は金銭債権の譲渡で非課税
  • 2026年4月1日から「自動車税種別割」は「自動車税」に名称が戻り、環境性能割は2026年3月31日で廃止(兵庫県・東京都主税局)

目次

自動車税の消費税は不課税|税金の納付は対価を得て行う取引に当たらない

自動車税の消費税区分とは、県へ納める自動車税が消費税の課税対象に入るかどうかを判定する区分で、答えは不課税です。消費税法4条1項は課税対象を「国内において事業者が行った資産の譲渡等」と定め、2条1項8号はその資産の譲渡等を「事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供」と定義しています。税金の納付は何かを買った代金でも、サービスを受けた料金でもありません。

国税庁 No.6157「課税の対象とならないもの(不課税)の具体例」(令和8年4月1日現在法令等)は、注2で「対価を得て行う」を「物品の販売などをして反対給付を受けること」と説明しています。自動車税を払っても県から反対給付は受けないため、課税対象の入口で外れます。同じ理由で自動車重量税も、延滞金も不課税です。

車にかかるお金の消費税区分を決める判定フロー

  • その支払いは「誰に」「何の見返りで」払うものかを明細で確認する
  • STEP1県・市区町村・国へ納める税金か(自動車税・軽自動車税・重量税・延滞金)反対給付がない → 不課税(消法2条1項8号・4条1項)。会計ソフトは「対象外」
  • STEP2保険料か(自賠責・任意保険)保険料を対価とする役務の提供 → 非課税(No.6201(4))。「非課税仕入」で入力
  • STEP3国や運輸支局・警察署へ払う法定手数料か(検査登録印紙・車庫証明)法令に基づく手数料 → 非課税(No.6201(7))
  • STEP4リサイクル料金か預託4項目は預託時は不課税で廃車時に課税仕入れ、資金管理料金だけ支払時に課税10%
  • STEP5ディーラー・整備工場・販売店へ払うサービスの対価か登録代行・車検基本料・整備費・部品代・未経過自動車税相当額 → 課税10%

図:役所へ納める税金だけが不課税。同じ「自動車税」の名前でも、中古車の売主へ払う未経過分は売買代金の一部として課税になる。

「非課税」と「不課税」の違いは課税売上割合に出る

「自動車税 消費税 非課税 不課税」と検索されますが、区分は不課税です。国税庁 No.6209「非課税と不課税の違い」は、不課税を「国内において事業者が事業として対価を得て行う取引」に当たらないもの、非課税をその取引に当たるが「課税対象になじまないものや社会政策的配慮から」課税しないものと分けています。

自動車税を払う側にとって数字の差は出ません。どちらも仕入税額控除の対象外で、納める消費税は動かないからです。差が出るのは受け取る側で、非課税売上は課税売上割合の分母に入り、不課税の受取額は分母にも分子にも入りません。中古車を売って未経過自動車税相当額を受け取る場面で、この違いが効いてきます。

2026年4月1日から「自動車税種別割」は「自動車税」に戻った

2019年10月から2026年3月までの名称は「自動車税種別割」で、車の取得時に「自動車税環境性能割」が別にかかっていました。兵庫県の案内「令和8(2026)年4月1日、自動車の税が大きく変わりました」によると、2026年4月1日から環境性能割は廃止され、種別割は「自動車税」に名称変更されています。軽自動車も同じで、軽自動車税環境性能割は廃止、軽自動車税種別割は「軽自動車税」に戻りました。

消費税の区分は名称が変わっても動きません。2026年3月31日までに取得した車の環境性能割も税金なので不課税で、会計ソフトの過去仕訳を直す必要はありません。2026年4月以降のディーラー明細には環境性能割の行そのものが無くなります。

車の税金・保険料・手数料の消費税区分表18項目

車にかかるお金は、税金(不課税)・保険料と法定手数料(非課税)・民間のサービス(課税)の3層に分かれます。18項目を1枚にまとめました。会計ソフトの税区分は freee・マネーフォワード・弥生で名称が少しずつ違うため、一般的な呼び方で示しています。

車の税金・保険料・手数料の消費税区分表(2026年9月時点・税抜経理)

項目消費税区分会計ソフトの税区分根拠
自動車税(毎年4月1日の所有者に県が課税)不課税対象外消法2条1項8号・4条1項、No.6209
軽自動車税(市区町村が課税)不課税対象外同上
自動車重量税(車検・新規登録時に印紙で納付する国税)不課税対象外No.7192、消法4条1項
環境性能割(2026年3月31日で廃止・それ以前の取得分)不課税対象外兵庫県・東京都主税局
自動車税の延滞金不課税対象外地方税法1条1項14号
自賠責保険料非課税非課税仕入No.6201(4)
任意保険(自動車保険)の保険料非課税非課税仕入No.6201(4)
検査登録手数料(自動車検査登録印紙・証紙)非課税非課税仕入No.6201(5)(7)
車庫証明の手数料(警察署へ納める分)非課税非課税仕入No.6201(7)
納税証明書の発行手数料非課税非課税仕入No.6201(7)
リサイクル料金の預託4項目(シュレッダーダスト・エアバッグ類・フロン類・情報管理料金)不課税(預託時)→廃車時に課税10%対象外→課税仕入10%消法2条1項8号、JARC
リサイクル料金の資金管理料金(新車購入時290円)課税10%課税仕入10%JARC
車両本体・付属品・オプション課税10%課税仕入10%消法4条1項
登録代行費用・車庫証明代行費用・納車費用(ディーラーの手数料)課税10%課税仕入10%消法4条1項
ナンバープレート代(標板の交付代金)課税10%課税仕入10%消法4条1項
車検基本料・整備費・部品代・車検代行手数料課税10%課税仕入10%消法4条1項
中古車購入時の未経過自動車税相当額・未経過自賠責相当額課税10%(売買代金の一部)課税仕入10%消基通10-1-6
中古車購入時のリサイクル預託金相当額非課税(金銭債権の譲渡)非課税仕入No.6201(2)、消令48条5項

表の読み方は3点あります。第1に、払う相手が役所なら不課税か非課税、民間なら課税という大枠で9割が決まるでしょう。第2に、リサイクル料金だけは5項目の中で区分が割れる点に注意してください。第3に、「自動車税」「自賠責」の名前がついていても、中古車の売主へ払う未経過分は税金でも保険料でもなく売買代金です。

軽自動車税の区分と税額は軽自動車税の勘定科目は「租税公課」で扱っています。自動車税の勘定科目と家事按分、支払方法別の仕訳は自動車税の勘定科目は「租税公課」|仕訳・家事按分・重量税との違いをご覧ください。

車検費用の明細を消費税区分ごとに分解する

車検費用は1枚の請求書に不課税・非課税・課税の3区分が同居するのが特徴です。整備工場やディーラーの明細は「法定費用」と「車検基本料・整備費」に分かれていて、法定費用の中に不課税(重量税)と非課税(自賠責・検査手数料)が混ざるため、法定費用を1行で「対象外」にすると自賠責の非課税仕入が漏れます。

車検費用の明細と消費税区分(自家用乗用車・金額は例・2026年9月時点)

明細の行金額(円)消費税区分誰に払うお金か
自動車重量税(24か月分)24,600不課税国(印紙で納付・No.7192)
自賠責保険料(24か月)17,650非課税損害保険会社(No.6201(4))
検査登録手数料(印紙・証紙)2,100非課税国・自動車技術総合機構(No.6201(7))
車検基本料(点検・検査代)22,000(税込)課税10%整備工場
整備費・交換部品代33,000(税込)課税10%整備工場
車検代行手数料11,000(税込)課税10%整備工場
合計110,3503区分が混在

この例では課税仕入れは66,000円(税抜60,000円・消費税6,000円)だけで、残りの44,350円には消費税が1円も含まれていません。整備工場が法定費用を立て替えて請求する形なので、法定費用の部分は整備工場の売上にもなりません。

国土交通省「車検の有効期間を更新するために必要な書類」のとおり、重量税は自動車重量税納付書に重量税印紙を貼って納め、検査手数料は手数料納付書に自動車検査登録印紙を貼って納めます。どちらも国へ納めるお金ですが、重量税は税金で不課税、検査手数料は法令に基づく手数料で非課税と区分が分かれるのが見落としやすいところでしょう。払う側の納税額は変わらないものの、会計ソフトの税区分は別に入力します。

車検費用の勘定科目(租税公課・保険料・車両費・修繕費の分け方)は車検費用の勘定科目一覧で扱っています。自賠責保険料の24か月分を前払費用で按分する処理は自賠責保険料の勘定科目・仕訳にまとめました。

新車購入時の諸費用の消費税区分と取得価額に含めるかの判定

新車を買うときの見積書は、車両本体・オプション・諸費用の3ブロックに分かれます。消費税区分と「車両運搬具の取得価額に含めるか」は別の判定で、課税かどうかと取得価額に入れるかは連動しません。

新車購入時の諸費用の消費税区分と取得価額の判定(法人・税抜経理・2026年9月時点)

見積書の行消費税区分取得価額に含めるか根拠
車両本体・メーカーオプション・付属品課税10%含める法基通7-3-1の2
納車費用・登録代行費用・車庫証明代行費用課税10%含めないことができる(登録のために要する費用)法基通7-3-3の2(1)ニ
自動車税(月割分)・自動車重量税不課税含めない(租税公課)法基通7-3-3の2(1)
自賠責保険料非課税含めない(保険料・前払費用)─
検査登録手数料・車庫証明手数料非課税含めないことができる法基通7-3-3の2(1)ニ
リサイクル料金の預託4項目不課税含めない(預託金として資産計上)JARC
資金管理料金課税10%含めない(支払手数料)JARC

法人税基本通達7-3-3の2は、「登録免許税その他登記又は登録のために要する費用」を固定資産の取得価額に算入しないことができると定めています。ディーラーの登録代行費用はこの登録のための費用に当たるので、費用処理を選べるわけです。一方で車両本体と一緒に取り付けるメーカーオプションは車の代価そのものなので、取得価額に含めて減価償却します。

新車のときの自動車税は、購入月の翌月から3月までの月割分をディーラーが預かって県へ納めます。買主が納税義務者になる税金なので不課税で、科目は租税公課です。中古車で売主に払う「未経過分」とは性質が違うため、次の章で分けて扱います。

リサイクル料金は5項目のうちシュレッダーダスト・エアバッグ類・フロン類・情報管理料金の4項目が預託金です。自動車リサイクル促進センター「リサイクル料金内訳」によると、資金管理料金は新車購入時290円・引取時410円で、預けた資金の管理に対する手数料なので支払時に課税仕入れになります。預託金の資産計上と廃車時の振替はリサイクル預託金の勘定科目と仕訳をご覧ください。

中古車購入時の未経過自動車税相当額は売買代金の一部で課税

中古車を買うと、売主へ「自動車税相当額(未経過分)」「自賠責保険料相当額」「リサイクル預託金相当額」を車両価格とは別に払います。このうち未経過自動車税相当額と未経過自賠責相当額は売買代金の一部で課税10%、リサイクル預託金相当額は金銭債権の譲渡で非課税です。「自動車税」の名前がついていても、売主へ払うお金は税金ではありません。

中古車購入時に売主へ払う3つの「相当額」の消費税区分

  • 車両価格とは別に請求書へ並ぶ3行を、それぞれ何の対価かで分ける
  • 1未経過自動車税相当額売主が納めた税のうち買主が乗る期間分の上乗せ → 売買代金の一部で課税10%(通達10-1-6)。車両運搬具に含める
  • 2未経過自賠責保険料相当額保険契約の権利が車と一緒に移る対価 → 課税10%。車両運搬具に含める
  • 3リサイクル預託金相当額廃車時に処理を受ける権利(金銭債権)の引継ぎ → 非課税(No.6201(2))。預託金として資産計上

図:3行のうち課税は2行、非課税は1行。租税公課・保険料の科目は使わず、車の代金と預託金に振り分ける。

消費税法基本通達10-1-6「未経過固定資産税等の取扱い」の本文

通達10-1-6は、固定資産税と自動車税を並べて「固定資産税等」と呼び、次のように定めています。

「固定資産税、自動車税等の課税の対象となる資産の譲渡に伴い、当該資産に対して課された固定資産税等について譲渡の時において未経過分がある場合で、その未経過分に相当する金額を当該資産の譲渡について収受する金額とは別に収受している場合であっても、当該未経過分に相当する金額は当該資産の譲渡の金額に含まれる」

納税義務者は4月1日の所有者である売主で、買主が県へ納める税金は1円もありません。買主が払っているのは「売主が納めた税金のうち、自分が乗る期間に見合う額」を上乗せした車の代金です。だから区分は課税で、契約書や請求書で「自動車税相当額」と別建てにしても判定は変わりません。自賠責保険料相当額も、保険契約の権利が車と一緒に移る対価として同じ扱いです。

不動産売買の固定資産税の精算金も、同じ通達10-1-6で売買代金の一部と扱われます。車と建物で読み方は変わりません。

名義変更が遅れて売主に課された税を受け取る場合は不課税

通達10-1-6の注は、資産を譲り受けた人に課されるべき税が「名義変更をしなかったこと等により」譲渡した事業者に課された場合、譲渡者がその相当額を譲受者から受け取っても対価に該当しないと定めています。3月に車を引き渡したのに名義変更が4月1日をまたぎ、翌年度分の自動車税が売主に課された場面がこれです。

この場合の受け渡しは立替分の精算で、不課税になります。同じ「自動車税相当額」でも、引渡し前に課された税の未経過分は課税、引渡し後に課されるべき税の肩代わりは不課税と、時点で区分が分かれます。

リサイクル預託金相当額は非課税|課税売上割合には5%だけ入る

リサイクル預託金は、廃車時に処理を受ける権利を表す金銭債権です。中古車の売買で預託金相当額を受け渡す取引は金銭債権の譲渡に当たり、国税庁 No.6201「非課税となる取引」の(2)有価証券・金銭債権の譲渡として非課税になります。自動車リサイクル促進センター「リサイクル料金の支払い・受け取りの流れ」のとおり、受け取るのは資金管理料金を除いたリサイクル料金相当額です。

売る側の課税売上割合には注意点があります。消費税法施行令48条5項は、対価として取得したもの以外の金銭債権を譲渡した場合、譲渡対価の5%に相当する金額を分母に算入すると定めています。預託金相当額15,000円を受け取ったなら、非課税売上として分母に入るのは750円です。全額を非課税売上に入れると課税売上割合が実際より下がります。

自動車税と車関連費用の仕訳例5本|納付・車検・新車・中古車・売却

仕訳は税抜経理・法人を前提に、税区分列を付けて5本示します。科目より税区分列の付け方が納める消費税を決めます。個人事業主は事業用割合を掛けたうえで、同じ区分を使います。

仕訳例1(自動車税の納付)|5月に自動車税36,000円を口座振替で納めた

借方金額(円)貸方金額(円)税区分
租税公課36,000普通預金36,000対象外

不課税なので仮払消費税は立ちません。クレジットカード払いや PayPay 払いの場合の仕訳は自動車税の勘定科目は「租税公課」で扱っています。

仕訳例2(車検)|前章の明細110,350円を整備工場へ振り込んだ

借方金額(円)貸方金額(円)税区分
租税公課(重量税)24,600普通預金110,350対象外
保険料(自賠責)17,650非課税仕入
租税公課(検査手数料)2,100非課税仕入
車両費(基本料・整備・代行)60,000課税仕入10%
仮払消費税6,000

車検費用110,350円を1本の仕訳で3区分に分ける(法人・税抜経理)

借方

租税公課(重量税) 24,600 対象外

保険料(自賠責) 17,650 非課税仕入

租税公課(検査手数料) 2,100 非課税仕入

車両費 60,000 課税仕入10%

仮払消費税 6,000

貸方

普通預金 110,350

図:仮払消費税が立つのは整備工場のサービス部分だけ。法定費用44,350円は対象外と非課税仕入に分けて入力する。

検査手数料の科目は租税公課と支払手数料のどちらも見かけます。どちらを使っても税区分は非課税仕入で、ここを「対象外」にしないことだけ守れば申告の数字は合うはずです。

仕訳例3(新車購入)|車両本体2,200,000円(税込)・登録代行費用33,000円(税込)・自動車税月割20,000円・重量税36,900円・自賠責17,650円・検査登録手数料2,100円・リサイクル料金12,290円(うち資金管理料金290円)を振り込んだ

借方金額(円)貸方金額(円)税区分
車両運搬具2,000,000普通預金2,321,940課税仕入10%
仮払消費税200,000
支払手数料(登録代行)30,000課税仕入10%
仮払消費税3,000
租税公課(自動車税・重量税)56,900対象外
保険料(自賠責)17,650非課税仕入
租税公課(検査登録手数料)2,100非課税仕入
預託金(リサイクル)12,000対象外
支払手数料(資金管理料金)290課税仕入10%

資金管理料金290円は税込表示なので、厳密には税抜264円と消費税26円に分かれます。金額が小さいため実務では税込のまま課税仕入10%で入力し、会計ソフトに内税計算させる方法で足りるでしょう。登録代行費用は法基通7-3-3の2により費用処理を選び、この例では支払手数料にしています。

仕訳例4(中古車購入)|車両価格1,100,000円(税込)・未経過自動車税相当額22,000円(税込)・未経過自賠責相当額8,800円(税込)・リサイクル預託金相当額12,000円を販売店へ振り込んだ

借方金額(円)貸方金額(円)税区分
車両運搬具1,028,000普通預金1,142,800課税仕入10%
仮払消費税102,800
預託金(リサイクル)12,000非課税仕入

未経過自動車税相当額と未経過自賠責相当額は売買代金の一部なので、車両運搬具の取得価額に含めて課税仕入10%で処理します(通達10-1-6)。租税公課や保険料にしないのがポイントで、「自動車税」の名前で租税公課に入れると課税仕入れが30,800円漏れます。販売店が適格請求書発行事業者なら、これらの相当額も税率ごとの対価に含めて記載されています。

仕訳例5(売却)|帳簿価額500,000円の社用車を660,000円(税込)で売り、未経過自動車税相当額11,000円(税込)とリサイクル預託金相当額12,000円を別に受け取った

借方金額(円)貸方金額(円)税区分
普通預金683,000車両運搬具500,000
固定資産売却益110,000課税売上10%
仮受消費税61,000
預託金(リサイクル)12,000非課税売上

売却側の課税売上は車両660,000円と未経過自動車税相当額11,000円を合わせた671,000円(税抜610,000円)です。固定資産売却益は差額の110,000円になります。預託金相当額12,000円は非課税売上で、課税売上割合の分母には5%の600円だけを算入します(消令48条5項)。個人事業主が事業用の車を売ったときも課税売上で、簡易課税なら第4種事業に当たります(国税庁 No.6509)。

インボイス制度での扱い|法定費用の立替金精算と免税事業者からの中古車購入

インボイス制度で変わるのは課税仕入れの控除要件だけで、不課税・非課税の部分に適格請求書は要りません。車まわりで実務上迷うのは、整備工場やディーラーが立て替えた法定費用の請求書の読み方と、免税事業者や個人から中古車を買う場合の2つです。

整備工場・ディーラーの請求書で見る場所

適格請求書に載る「税率ごとに区分した対価の額と消費税額」には、車検基本料・整備費・代行手数料・登録代行費用などの課税部分だけが入ります。重量税・自賠責・検査手数料は整備工場が国や保険会社へ立て替えて払ったお金で、請求書では「立替金」「法定費用」として消費税額の外に区分記載されます。控除できる仕入税額は、この区分記載の課税部分に対する消費税額だけです。

会計ソフトに1枚の請求書を取り込むとき、合計額を課税仕入10%で1行にすると仕入税額が過大になります。仕訳例2のように課税・非課税・対象外の3行以上に分けて入力してください。

免税事業者・個人から中古車を買う場合の経過措置

中古車を免税事業者の販売店や個人から買うと適格請求書が出ません。国税庁 No.6498「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」(令和8年4月1日現在法令等)は、適格請求書発行事業者以外からの課税仕入れについて、2031年9月30日までの期間は仕入税額相当額の一定割合(80パーセント、7・5・3割)を控除できる経過措置を定めています。2026年9月30日までは80%、2026年10月1日からは7割に下がるため、購入日がこの境目をまたぐ場合は控除額が変わります。

未経過自動車税相当額も売買代金の一部なので、同じ経過措置の対象です。控除するには帳簿に「80%控除対象」などの記載と、相手方の区分記載請求書の保存が要ります。中古車販売店が課税事業者なら登録番号の有無を請求書で確認し、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで照合します。

簡易課税・2割特例を選んでいる場合

簡易課税や2割特例では、実際の課税仕入れの区分が納税額に影響しません。売上税額から一定割合を差し引く計算なので、車検や購入の課税仕入れをどれだけ正確に区分しても納税額は同じです。No.6498 のとおり2割特例は2026年9月30日までの日の属する課税期間で終わり、個人事業者には2027年から3割特例が設けられています。特例を抜けて原則課税に戻る年から、本記事の区分がそのまま納税額に効き始めます。

よくある質問

自動車税と消費税で実際によく検索される6問です。

Q1:自動車税に消費税はかかりますか?

かかりません。自動車税は県へ納める税金で、消費税の課税対象である「対価を得て行う資産の譲渡等」に当たらない不課税取引です(消費税法2条1項8号・4条1項、国税庁 No.6209)。納税通知書の金額をそのまま租税公課で計上し、会計ソフトの税区分は「対象外」を選びます。軽自動車税と自動車重量税も同じ扱いです。

Q2:自動車税の消費税区分は非課税ですか、不課税ですか?

不課税です。非課税は対価を得る取引のうち土地の譲渡や保険料のように政策的に課税しないもの、不課税はそもそも対価を得る取引に当たらないものを指します(国税庁 No.6209)。税金の納付には反対給付がないため不課税で、会計ソフトでは「非課税仕入」でなく「対象外」を選びます。払う側の納税額はどちらでも変わりませんが、区分は分けて入力します。

Q3:車検代の消費税は全部にかかりますか?

かかるのは車検基本料・整備費・部品代・代行手数料の部分だけです。自動車重量税は不課税、自賠責保険料と検査登録手数料は非課税で、消費税は含まれていません(国税庁 No.7192・No.6201(4)(7))。整備工場の請求書では法定費用が立替金として消費税額の外に区分記載されるので、その部分を課税仕入れに入れないように分けて入力します。

Q4:中古車を買ったときの自動車税相当額に消費税がかかるのはなぜですか?

売主へ払う未経過自動車税相当額は税金でなく、売買代金の一部だからです。消費税法基本通達10-1-6は、未経過分に相当する金額を車の代金と別に受け渡ししていても「資産の譲渡の金額に含まれる」と定めています。納税義務者は4月1日の所有者である売主で、買主が県へ納めているわけではありません。車両運搬具の取得価額に含めて課税仕入10%で処理します。

Q5:リサイクル料金に消費税はかかりますか?

項目で分かれます。シュレッダーダスト・エアバッグ類・フロン類・情報管理料金の預託4項目は、預けた時点では不課税で、廃車で処理を受けた時点に課税仕入れへ変わるのが特徴です。資金管理料金(新車購入時290円・自動車リサイクル促進センター)だけは支払時に課税仕入れです。中古車の売買で受け渡す預託金相当額は金銭債権の譲渡で非課税になります(国税庁 No.6201(2))。

Q6:環境性能割はいつ廃止されましたか?消費税の区分は変わりますか?

2026年3月31日で廃止され、2026年4月1日から「自動車税種別割」は「自動車税」に名称が戻りました(兵庫県・東京都主税局)。消費税の区分は変わりません。廃止前に取得した車の環境性能割も税金なので不課税のままで、過去の仕訳を直す必要はありません。2026年4月以降のディーラー明細から環境性能割の行が無くなるだけです。

まとめ

自動車税と車関連費用の消費税区分を1枚に整理します。

この記事のまとめ

  • 自動車税・軽自動車税・自動車重量税は不課税。税金の納付は対価を得て行う取引に当たらない(消費税法2条1項8号・4条1項、No.6209)
  • 自賠責・任意保険の保険料、検査登録手数料、車庫証明手数料は非課税(No.6201(4)(7))。会計ソフトでは「対象外」と分けて「非課税仕入」で入力する
  • 車検基本料・整備費・登録代行費用・資金管理料金は課税10%。1枚の明細を3区分に分解してから入力する
  • 中古車の未経過自動車税相当額・未経過自賠責相当額は売買代金の一部で課税(通達10-1-6)。名義変更遅れで売主に課された税の肩代わりは不課税(同注)
  • リサイクル預託金相当額は金銭債権の譲渡で非課税。売却側の課税売上割合には5%だけ算入(消令48条5項)
  • 2026年4月1日から種別割は「自動車税」に戻り環境性能割は廃止。免税事業者からの中古車購入は2026年10月1日から控除が80%→7割(No.6498)

自動車税と車関連費用の消費税 早見表(2026年9月時点)

場面消費税区分適格請求書会計ソフトの税区分
自動車税・軽自動車税・重量税の納付不課税不要対象外
自賠責保険料・任意保険料非課税不要非課税仕入
検査登録手数料・車庫証明手数料・納税証明書非課税不要非課税仕入
車検基本料・整備費・登録代行費用・資金管理料金課税10%必要課税仕入10%
中古車の未経過自動車税・自賠責相当額課税10%(売買代金の一部)必要(免税事業者からは経過措置)課税仕入10%
中古車のリサイクル預託金相当額非課税不要非課税仕入/非課税売上(5%算入)
名義変更遅れで売主に課された税の精算不課税不要対象外
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免責事項

※本記事は消費税・法人税・地方税の一般的な取扱いを国税庁・国土交通省・自動車リサイクル促進センター・各都道府県の公開情報(2026年9月時点)に基づいて整理したものです。区分は契約書・請求書の記載や取引実態により異なります。最新の法令をご確認のうえ、必要に応じて顧問税理士など有資格者へご相談ください。


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この記事を書いた人

会計事務所で10年以上、法人や個人事業主の帳簿づけと税務申告の手伝いをしてきたTanakaです。決算が近づくと、経営者から「この支払いはどの科目で処理すればいいですか」という電話を何度も受けました。答えは業種や会社の規模で変わります。そこを一つずつ、相手に合わせて説明してきました。

独立してからは、中小企業の経理担当者向けの研修や、freee・マネーフォワード・弥生の科目設定の相談にも応じています。教科書の説明は抽象的で、現場では「とりあえず雑費」で片づけてしまうことも少なくありません。このサイトでは、勘定科目の選び方の判断軸を、具体例をそえて整理しています。最終的な税務判断は、顧問税理士にご相談ください。

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