宅急便の勘定科目は、商品を発送したときは「荷造運賃」、請求書など書類を送ったときは「通信費」、仕入商品の引取運賃は「仕入高(仕入諸掛)」です。同じ宅急便でも「何を・誰の負担で送ったか」で科目が変わります。国内の宅急便運賃は課税10%、海外向けの国際宅急便は輸出免税(消費税0%)です。
この記事でわかること
- 宅急便・宅配便の勘定科目は「送った中身」で決まる(商品=荷造運賃/書類=通信費/仕入=仕入高)
- 商品発送・書類送付・仕入引取それぞれの仕訳例と、迷いやすい荷造運賃と通信費の線引き
- 宅急便コレクト(代引き)・着払い・宅急便コンパクトなどサービス別の注意点
- 宅急便運賃の消費税は国内10%・国際宅急便は輸出免税という区分の境目
- 「同じ宅急便を毎回同じ科目で処理する」という継続性の原則の守り方
公的情報源: 国税庁タックスアンサー No.6105「課税の対象」(参照)/No.6551「輸出取引の免税」(参照)/国税庁 確定申告書等作成コーナー(荷造運賃)(参照)・2026年7月時点
結論を先に書きます
宅急便・宅配便の勘定科目に「これ1択」という正解はありません。判断の起点は「宅急便で何を送ったか」です。
商品を売って送れば「荷造運賃」、請求書や契約書を送れば「通信費」、仕入れた商品を受け取る引取運賃なら「仕入高(仕入諸掛)」。この3つを押さえれば、日々の宅急便代の仕訳はほぼ迷いません。
- 商品・製品を発送した宅急便は「荷造運賃」、書類を送った宅急便は「通信費」
- 仕入商品の引取運賃は仕入高(仕入諸掛)として売上原価に含めるのが原則
- 宅急便コレクト(代引き)の代引き手数料は支払手数料で分ける
- 国内の宅急便運賃は課税10%、海外向け国際宅急便は輸出免税
宅急便の勘定科目は「何を送ったか」で決まる
宅急便の勘定科目は、送った中身が「商品」か「書類」か「仕入品」かでほぼ決まります。宅急便という配送サービスそのものに固定の科目があるわけではありません。
まず、宅急便で何かを送ったときの科目を一覧で押さえてください。この振り分けがすべての土台になります。

宅急便の勘定科目 早見表
| 宅急便で送ったもの | 勘定科目 | 表示区分 |
|---|---|---|
| 売った商品・製品の発送 | 荷造運賃 | 販売費及び一般管理費 |
| 請求書・契約書など書類の送付 | 通信費 | 販売費及び一般管理費 |
| 仕入れた商品の引取運賃 | 仕入高(仕入諸掛) | 売上原価 |
| 固定資産(10万円以上)の搬入 | 取得価額に加算 | 資産(減価償却) |
| 取引先への贈答品の発送 | 接待交際費 | 販売費及び一般管理費 |
「宅急便=荷造運賃」と機械的に覚えると、書類を送ったときや仕入品を受け取ったときに科目を間違えます。中身を確認してから科目を決めるのが安全です。
なぜ「宅急便=荷造運賃」ではないのか
荷造運賃は、国税庁の確定申告書等作成コーナーでも「販売商品の包装材料費、荷造りのための賃金、運賃など」と説明されています(参照: 国税庁 確定申告書等作成コーナー)。
つまり荷造運賃は「販売した商品を届ける費用」の科目です。宅急便で書類を送った費用や、仕入品を受け取った運賃は、この定義から外れます。だから中身で分けるわけです。
まず確認する2つの軸
科目を決めるとき、最初に確認するのは次の2点です。
- 何を送ったか:商品なら荷造運賃、書類なら通信費、仕入品なら仕入高
- 誰が運賃を負担するか:自社負担か、顧客が負担する立替か
この2軸で、宅急便代の科目はほとんど確定します。以降で、3つの主要ケースを仕訳例つきで整理します。
商品を発送した宅急便は「荷造運賃」
商品・製品を売って発送したときの宅急便代は、荷造運賃で処理します。これが宅急便の勘定科目で最も多いパターンです。
梱包に使った段ボール・緩衝材・テープなどの梱包材費も、運賃とまとめて荷造運賃に計上できます。運賃と梱包材を別科目に散らさず、荷造運賃に集約すると発送コストの管理がしやすくなります。
ケース1:商品を宅急便で発送し、現金で運賃を支払った
ECサイトで商品を販売し、宅急便の運賃1,200円(税込)を現金で支払ったケースです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 荷造運賃 | 1,090 | 現金 | 1,200 | 宅急便運賃(発送) |
| 仮払消費税 | 110 | 消費税10% |
消費税区分は課税仕入れ(10%)です。国内で運送会社に払う運賃は消費税の課税の対象になります(参照: 国税庁タックスアンサー No.6105)。
ケース2:運送会社から月末締めで請求された
宅急便を月にまとめて使い、運送会社から33,000円(税込)を月末締めで請求され、翌月末に振り込むケースです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 荷造運賃 | 30,000 | 未払金 | 33,000 | ○月分 宅急便運賃 |
| 仮払消費税 | 3,000 | 消費税10% |
翌月の支払時は「未払金 33,000/普通預金 33,000」で相殺します。件数が多い事業では、月末に未払金でまとめて計上する方法が実務的です。
梱包材だけをまとめ買いしたとき
商品発送用の段ボールと緩衝材を、税込11,000円分まとめて購入したケースです。用途が商品発送用と明確なら、梱包材も荷造運賃で処理します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 荷造運賃 | 10,000 | 現金 | 11,000 | 商品発送用 梱包材 |
| 仮払消費税 | 1,000 |
荷造運賃の範囲や仕入諸掛との切り分けをさらに詳しく確認したい場合は、荷造運賃の勘定科目と仕訳もあわせてご確認ください。
書類を送った宅急便は「通信費」
宅急便で請求書・契約書・カタログなど商品以外の書類を送った費用は「通信費」で処理します。ここが荷造運賃と最も混同しやすいポイントです。
判断軸はシンプルで、「何を送るか」の一点です。同じ宅急便を使っても、中身が商品なら荷造運賃、中身が書類なら通信費になります。

荷造運賃と通信費の線引き
商品発送に関わる費用は荷造運賃、それ以外の発送(請求書・納品書・案内状など)は通信費です。切手やレターパックを使った郵送も、中身が書類なら同じ通信費で処理します。
| 送る中身 | 手段の例 | 勘定科目 |
|---|---|---|
| 販売した商品 | 宅急便・ゆうパック | 荷造運賃 |
| 商品サンプル(販売に付随) | 宅急便コンパクト | 荷造運賃 |
| 請求書・契約書・納品書 | 宅急便・切手・レターパック | 通信費 |
| カタログ・案内状・DM | 宅急便・普通郵便 | 通信費 |
変動費か固定費かでも見分けられる
荷造運賃は売れた数だけ増える変動費、通信費は毎月ほぼ一定の固定費という性質の違いもあります。「売上に連動して動く送料」は荷造運賃、「売上に関係なく発生する事務的な発送」は通信費、と考えると迷いにくくなります。
大切なのは社内で基準を統一し、毎回同じルールで処理することです。担当者ごとに判断が割れると、月次の費用比較ができなくなります。通信費の範囲は通信費の勘定科目、切手の扱いは切手の勘定科目で詳しく整理しています。
仕入商品を受け取った宅急便は「仕入高」
商品を仕入れる際に自社が負担した宅急便の引取運賃は、荷造運賃ではなく「仕入諸掛」として仕入高(取得原価)に含めるのが原則です。ここも取り違えが多いところです。
ケース3:仕入商品を着払いの宅急便で受け取った
仕入商品の引取運賃2,000円(税込)を着払いの宅急便で受け取り、現金で支払ったケースです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 仕入高 | 2,000 | 現金 | 2,200 | 仕入諸掛(着払い運賃) |
| 仮払消費税 | 200 |
仕入時の宅急便代を荷造運賃で処理すると、その分だけ売上原価が過小・販管費が過大になり、粗利(売上総利益)が実態とずれます。1件は小さくても、年間で積み上がると利益管理を狂わせます。
事務用品を仕入れたときの宅急便代
ネットでコピー用紙などの事務用品を購入し、宅急便代がかかったケースでは、仕入商品ではないため消耗品費・事務用品費にまとめて処理するのが一般的です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 3,500 | 未払金 | 3,850 | コピー用紙+宅急便代 |
| 仮払消費税 | 350 |
仕入諸掛の詳しい処理(仕入への算入・期末調整)は、仕入(仕入高)の勘定科目と仕訳で解説しています。仕入側の運賃に迷ったら、まずこちらを確認してください。
宅急便コレクト・着払い・宅急便コンパクトの注意点
宅急便には支払い方式やサービスの種類がいくつかあり、仕訳が少しずつ変わります。実務でつまずきやすい3点を整理します。
元払い・着払いで負担者が変わる
元払いは発送人が運賃を負担する方式で、発送側が荷造運賃で処理します。受取側には運賃負担がないため仕訳は発生しません。
着払いは受取人が運賃を負担する方式です。仕入品の着払いなら仕入高(仕入諸掛)、事務用品の着払いなら消耗品費など、受け取ったものの科目に含めて処理します。
宅急便コレクト(代引き)の手数料は支払手数料
宅急便コレクトは、運送会社が商品代金の集金を代行する代引きサービスです。運賃に加えて「代引き手数料」が別途かかります。代引き手数料は支払手数料で処理するのが一般的です。
商品10,000円+代引き手数料330円(税込)を運送会社に支払ったケースの仕訳例です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 仕入高 | 10,000 | 現金 | 10,330 | 商品代(代引き) |
| 支払手数料 | 300 | 代引き手数料 | ||
| 仮払消費税 | 30 |
支払手数料の使い分けは支払手数料の勘定科目で詳しく整理しています。
宅急便コンパクト・ネコポスなどサービス別は科目を変えない
宅急便コンパクト・ネコポス・宅急便タイムサービスなど、サービスの種類が違っても科目はサービス名でなく「中身」で決める点は同じです。
商品発送ならどのサービスでも荷造運賃、書類送付ならどれでも通信費。サービス名で科目をふらつかせないのが、継続性を保つコツです。
宅急便の消費税は国内課税・海外は輸出免税
宅急便運賃の消費税は、国内配送は課税10%・海外発送は輸出免税が基本ラインです。仕訳時の消費税区分を間違えると、消費税の申告額に影響します。
国内の宅急便は課税10%
国内で運送会社に払う宅急便運賃は課税取引です。国内で事業者が対価を得て行う役務の提供(配送サービス)は消費税の課税の対象になります(参照: 国税庁タックスアンサー No.6105)。仮払消費税10%を分けて記帳します。
国際宅急便(海外発送)は輸出免税
商品を海外の顧客へ発送する国際宅急便・EMSなどの輸出取引は、消費税が免除されます(参照: 国税庁タックスアンサー No.6551)。
| 発送区分 | 消費税の扱い |
|---|---|
| 国内の宅急便・宅配便 | 課税(10%) |
| 海外向け国際宅急便・EMS | 輸出免税(証明書類の保存が要件) |
| 輸入時の国際輸送 | 国際区間は免税、通関後の国内輸送は課税 |
海外顧客向けにEMSで発送し、送料3,000円を現金で支払ったケースの仕訳例です。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 荷造運賃 | 3,000 | 現金 | 3,000 | EMS送料(米国宛・免税) |
消費税区分は免税仕入れ(輸出免税該当)です。
インボイスの確認
支払った消費税を差し引く(仕入税額控除を受ける)には、原則として適格請求書(インボイス)等の保存が必要です。大手運送会社はインボイス登録済みが一般的ですが、個人の配送業者などに払う場合は登録番号の有無を確認してください。
よくある質問
宅急便の勘定科目で迷いやすいポイントを、質問形式で整理します。
Q1:宅急便代はすべて荷造運賃でよいですか?
いいえ、中身で分けます。商品を発送した宅急便代は荷造運賃ですが、請求書・契約書など書類を送った宅急便代は通信費、仕入商品の引取運賃は仕入高(仕入諸掛)になります。
「宅急便=荷造運賃」と一律にすると、書類送付や仕入引取で科目を間違えます。送った中身を確認してから科目を決めるのが安全です。
Q2:宅急便と宅配便で勘定科目は変わりますか?
変わりません。宅急便はヤマト運輸のサービス名、宅配便は一般名称ですが、勘定科目の判断はどちらも同じです。
商品発送なら荷造運賃、書類送付なら通信費、仕入引取なら仕入高。ゆうパック・佐川急便の飛脚宅配便なども、判断軸は「送った中身」で共通です。
Q3:宅急便で書類を送った場合は通信費ですか荷造運賃ですか?
通信費です。判断軸は「何を送るか」で、商品なら荷造運賃、請求書・契約書・カタログなど商品以外なら通信費になります。
同じ宅急便でも、中身が商品か書類かで科目が変わります。社内で「商品発送=荷造運賃/書類発送=通信費」とルール化しておくと、担当者が変わっても処理がぶれません。
Q4:宅急便コレクト(代引き)の手数料はどの科目ですか?
代引き手数料は支払手数料で処理するのが一般的です。宅急便コレクトは運送会社が代金集金を代行するサービスで、運賃とは別に代引き手数料が発生します。
運賃部分は荷造運賃(または仕入諸掛)、代引き手数料は支払手数料と分けて記帳すると、1件あたりの本当のコストが見えるようになります。
Q5:海外に宅急便(国際宅急便)で発送した送料の消費税は?
海外に向けて発送する国際宅急便・EMS・国際郵便は、輸出取引として消費税が免税になります。仕訳時の消費税区分は「免税仕入れ」を選択します。
一方、海外から日本への輸入時の送料は、国際輸送区間は免税、通関後の国内輸送区間は課税と扱いが分かれるため、運送会社の請求書を確認して区分してください。
Q6:個人事業主が私用の宅急便に使った代金は経費になりますか?
事業に関係しない私的な発送の宅急便代は経費にできません。事業用と私用の発送が混在している場合は、事業用の発送分のみを経費計上するのが原則です。
事業用かどうか判断に迷う場合は、送り状の控えや領収書に発送内容をメモしておくと、税務調査時の説明がしやすくなります。
まとめ:宅急便の勘定科目は「中身」で決める
宅急便の勘定科目選びは、送った中身が商品か書類か仕入品かを確認すれば、ほとんど迷いません。
- 商品を発送した宅急便は荷造運賃、書類を送った宅急便は通信費
- 仕入商品の引取運賃は仕入高(仕入諸掛)として売上原価に含める
- 宅急便コレクト(代引き)の手数料は支払手数料で分ける
- 宅急便・宅配便で科目は変わらない。判断軸は「送った中身」で共通
- 国内の宅急便運賃は課税10%、海外向け国際宅急便は輸出免税
- 同じ宅急便を毎回同じ科目で処理する継続性の原則を守る
宅急便代は件数が多い経費です。まず「商品発送=荷造運賃」「書類送付=通信費」「仕入引取=仕入高」の3基準を社内で固定します。あとは同じ取引に同じ科目を使い続けることが、月次仕訳を安定させる近道です。
個別の消費税区分や輸出入・按分が絡む複雑なケースは、所轄税務署の事前照会(書面照会・無料)または顧問税理士にご相談ください。
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免責事項
※本記事は国税庁の公開情報をもとに整理した一般的な情報です。勘定科目の判断や消費税区分は事業形態や個別事情により異なる場合があるため、最終的な処理は国税庁の最新情報をご確認のうえ、個別の判断は税理士にご相談ください。
