青色申告決算書の勘定科目は、損益計算書①〜㉛の印刷された科目へ、帳簿の同じ名前の科目を転記するのが基本です。雑収入と家事消費は①に含め、専従者給与は⑳給料賃金ではなく㊳へ入れます。印刷されていない科目は空欄㉕〜㉚の6行に科目名を書いて使います。
この記事でわかること
- 帳簿の勘定科目を損益計算書のどの欄番号へ写すかの対応表(令和7年分の様式)
- 雑収入・家事消費・専従者給与など、名前どおりの欄に入らない科目
- 印刷されていない科目を空欄㉕〜㉚に立てるときの決め方
- 事業主貸・元入金など、損益計算書に写さない科目
- 帳簿の利益と㊸を突き合わせる検算の手順
公的情報源: 国税庁 所得税青色申告決算書(一般用)【令和5年分以降用】(参照)/令和7年分 青色申告決算書(一般用)の書き方(参照)/令和7年分 確定申告関係の様式と手引き(参照)
先に答え
青色申告決算書(一般用)の1ページ目、損益計算書には、売上と経費の科目があらかじめ印刷されています。帳簿で同じ名前の科目を使っていれば、決算整理後の残高をそのまま写せば足ります。
迷うのは、名前どおりの欄に入らない科目です。雑収入は①、専従者給与は㊳、印刷のない科目は空欄㉕〜㉚。この3つと、写さない科目(事業主貸・元入金など)を押さえれば、対応表はほぼ埋まります。
この記事の要点
- ①売上(収入)金額は雑収入と家事消費を含む。2ページの月別売上の「計」を写す
- 青色事業専従者の給与は⑳給料賃金に書かず㊳専従者給与へ(国税庁の書き方)
- ⑱減価償却費は、3ページ「減価償却費の計算」の本年分の必要経費算入額の計
- 印刷されていない科目は空欄㉕〜㉚(6行)に科目名を書く。雑費㉛は空欄の下
- 帳簿の青色申告特別控除前の利益と㊸(㉝+㊲−㊷)が一致すれば転記は合っている
青色申告決算書の勘定科目対応表|損益計算書①〜㊺
青色申告決算書の勘定科目対応表とは、帳簿の勘定科目を損益計算書の欄番号に置き換えた一覧です。国税庁の令和7年分の様式(令和5年分以降用)で欄番号を確かめて作りました。
帳簿の勘定科目と損益計算書の欄(青色申告決算書 一般用・令和7年分)
| 帳簿の勘定科目 | 写す欄 | 写し方 |
|---|---|---|
| 売上高・雑収入・家事消費 | ① | 2ページ「月別売上(収入)金額」の計 |
| 期首商品棚卸高 | ② | 前年の⑤と同じ額 |
| 仕入高 | ③ | 2ページ「仕入金額」の計 |
| 期末商品棚卸高 | ⑤ | 12月31日の棚卸表の合計 |
| 租税公課 | ⑧ | 税込経理なら消費税等の納付税額を含む |
| 荷造運賃〜修繕費 | ⑨〜⑯ | 同じ名前の科目をそのまま |
| 消耗品費 | ⑰ | 同上 |
| 減価償却費 | ⑱ | 3ページ「減価償却費の計算」の⑪の計 |
| 福利厚生費 | ⑲ | 同じ名前の科目をそのまま |
| 給料賃金 | ⑳ | 青色事業専従者の分は除く |
| 外注工賃・利子割引料・地代家賃・貸倒金 | ㉑〜㉔ | 同じ名前の科目をそのまま |
| 印刷されていない科目 | ㉕〜㉚ | 空欄に科目名を書いて記入 |
| 雑費 | ㉛ | 同じ名前の科目をそのまま |
| 貸倒引当金戻入 | ㉞ | 繰戻額等 |
| 専従者給与 | ㊳ | 繰入額等の欄 |
| 貸倒引当金繰入 | ㊴ | 繰入額等の欄 |
⑦・④・⑥・㉜・㉝・㊲・㊷・㊸・㊺は、ほかの欄から計算で出す欄です。帳簿から直接写す科目はありません。
青色申告決算書(一般用)損益計算書の組み立て
- ㊺所得金額=㊸青色申告特別控除前の所得金額−㊹青色申告特別控除額
- 売上と原価 ①〜⑦①売上(雑収入・家事消費を含む)−⑥差引原価(②+③−⑤)=⑦差引金額
- 経費 ⑧〜㉜印刷17科目(⑧〜㉔)+空欄6行(㉕〜㉚)+雑費㉛=㉜計
- 差引金額 ㉝⑦−㉜
- 引当金・専従者給与 ㉞〜㊷繰戻額等の計㊲、繰入額等の計㊷(㊳専従者給与を含む)
- 控除前の所得 ㊸㉝+㊲−㊷
図:専従者給与は経費(⑧〜㉛)ではなく、繰入額等の㊳に入る。そのため㉝の差引金額は、専従者給与を引く前の金額になる。
名前どおりの欄に入らない科目
帳簿の科目名と決算書の欄名が同じでも、欄の中身が違うものがあります。転記で間違えやすい4つを並べます。
雑収入と家事消費は①に含める
①の欄名は「売上(収入)金額(雑収入を含む)」です。2ページの「月別売上(収入)金額及び仕入金額」には、1〜12月の行の下に「家事消費等」と「雑収入」の行があり、その合計が「計」になります。①にはこの計を写します(令和7年分の書き方 p.2・p.3)。
白色申告の収支内訳書は、雑収入を③「その他の収入」に分けて書く様式です。収支内訳書の対応表は収支内訳書の勘定科目対応表にあり、青色とは雑収入の行き先が違います。
専従者給与は⑳でなく㊳
国税庁の書き方は、⑳給料賃金について「青色事業専従者に支給した給与は、この欄には記入しないで『専従者給与㊳』欄に記入」としています。帳簿で給料賃金にまとめて入れている場合は、専従者の分を抜き出して㊳へ移します。
減価償却費は3ページの計算表から
⑱減価償却費は、帳簿の残高ではなく、3ページ「減価償却費の計算」の「⑪本年分の必要経費算入額」の計を写します。車や自宅兼事務所のように事業で使う割合を掛けている資産は、この表で割合を掛けた後の額が⑱になります。
減価償却の仕組みは減価償却とは?初心者でもわかる仕組みと計算方法で確認できます。
租税公課に入る消費税
消費税の課税事業者で税込経理をしている場合は、その年の消費税等の納付税額を⑧租税公課に含めます。翌年に納める分を未払金に計上したときは、その未払金の額です(令和7年分の書き方 p.2)。税抜経理の場合は、この扱いになりません。
名前どおりに写すと間違える科目
| 科目 | 間違えやすい写し方 | 正しい欄 |
|---|---|---|
| 雑収入 | 経費の欄でマイナスにする | ①に含める |
| 家事消費(自家消費) | 書かない | ①に含める(2ページの家事消費等の行) |
| 専従者給与 | ⑳給料賃金 | ㊳専従者給与 |
| 減価償却費 | 帳簿の残高をそのまま | 3ページの⑪の計 |
印刷されていない科目は空欄㉕〜㉚に立てる
損益計算書の経費には、⑧租税公課から㉔貸倒金までの17科目が印刷されています。その下の㉕〜㉚の6行は空欄で、雑費㉛は空欄のさらに下にあります。
帳簿で使っている科目が印刷されていなければ、空欄に科目名を書いて金額を入れます。6行しかないので、金額の大きい科目から順に立てるのが分かりやすい方法です。
空欄㉕〜㉚に立てることが多い科目の例
| 帳簿の科目 | 中身の例 | 空欄に立てるか |
|---|---|---|
| 支払手数料 | 振込手数料・決済手数料 | 金額が大きければ立てる |
| 車両費 | ガソリン代・車検・駐車料 | 同上 |
| 新聞図書費 | 書籍・業界誌 | 少額なら雑費へ寄せる |
| 会議費 | 打合せの飲食代 | 同上 |
| 研修費・諸会費 | セミナー代・組合費 | 同上 |
| 法定福利費 | 従業員の社会保険料の事業主負担分 | 従業員がいれば立てる |
空欄に立てる科目は、毎年同じにしておくと前年との比べ方が楽になります。少額の科目をまとめた雑費が大きくなりすぎたら、中身の多い科目を空欄に出してください。
帳簿の科目をどの欄に写すかの判定
- 帳簿の科目は、損益計算書に印刷された科目と同じ名前か
- 同じ印刷された欄(⑧〜㉔・㉛)へ写すただし給料賃金は専従者分を除き、減価償却費は3ページの計を使う
- 収益雑収入・家事消費は①に含める2ページの月別売上の「家事消費等」「雑収入」の行に書き、計を①へ
- 専従者専従者給与は㊳経費ではなく繰入額等の欄
- 無い空欄㉕〜㉚に科目名を書く6行を超えるなら、少額の科目を雑費㉛へ寄せる
- 資産・負債損益計算書には写さない事業主貸・事業主借・元入金などは4ページの貸借対照表へ
図:帳簿の費用の科目は、印刷された欄・空欄・雑費のどれかに入る。資産・負債・資本の科目は損益計算書に出てこない。
損益計算書に写さない科目|事業主貸・元入金など
帳簿にあっても、損益計算書には写さない科目があります。資産・負債・資本の科目は、4ページの貸借対照表の側に載ります。
損益計算書に写さない主な科目
| 帳簿の科目 | 載る場所 | 理由 |
|---|---|---|
| 事業主貸・事業主借 | 4ページ 貸借対照表 | 事業と家計の間のお金の出入り |
| 元入金 | 4ページ 貸借対照表 | 期首の資本 |
| 普通預金・売掛金・買掛金など | 4ページ 貸借対照表 | 年末の残高 |
| 減価償却累計額 | 3ページの計算表・貸借対照表 | 費用は⑱として別に入る |
事業主個人の所得税や住民税の支払、予定納税は、帳簿では事業主貸で処理します。経費の欄には入りません。予定納税の仕訳は予定納税の仕訳と勘定科目にまとめています。
転記が合っているかの検算|帳簿の利益と㊸
全部の欄を写したら、帳簿の利益と決算書の数字を突き合わせます。数字の例で、検算の流れを示します。
検算の例(数字は説明のための例)
| 決算書の欄 | 金額 | 計算 |
|---|---|---|
| ① 売上(収入)金額 | 6,000,000 | 売上5,950,000+雑収入50,000 |
| ⑥ 差引原価 | 2,500,000 | ②300,000+③2,400,000−⑤200,000 |
| ⑦ 差引金額 | 3,500,000 | ①−⑥ |
| ㉜ 経費の計 | 1,800,000 | ⑧〜㉛の合計(専従者給与を除く) |
| ㉝ 差引金額 | 1,700,000 | ⑦−㉜ |
| ㊷ 繰入額等の計 | 600,000 | ㊳専従者給与600,000 |
| ㊸ 控除前の所得金額 | 1,100,000 | ㉝+㊲(0)−㊷ |
帳簿の損益計算書で、収益の合計から売上原価・経費・専従者給与を引いた利益も1,100,000円になるはずです。帳簿の利益と㊸が一致すれば、転記の漏れや二重計上は無いと判断できます。
ずれたときは、次の順に確かめると見つかりやすくなります。
- ①に雑収入と家事消費を入れ忘れていないか
- 専従者給与を⑳と㊳の両方に入れていないか
- ⑱が帳簿の減価償却費と3ページの計で食い違っていないか
- 空欄㉕〜㉚に立てた科目を、雑費㉛にも重ねて入れていないか
- ②期首商品棚卸高が前年の決算書の⑤と同じか
よくある質問
青色申告決算書の勘定科目で迷いやすい6問です。
Q1:青色申告決算書に無い勘定科目はどこに書けばいいですか?
経費の下にある空欄㉕〜㉚の6行に、科目名を書いて金額を入れます。支払手数料や車両費など、金額の大きい科目から立てるのが一般的です。6行を超える場合は、少額の科目を雑費㉛にまとめます。
Q2:雑収入は青色申告決算書のどこに書きますか?
①売上(収入)金額に含めます。2ページの「月別売上(収入)金額及び仕入金額」の「雑収入」の行に書き、計を①へ写します。白色申告の収支内訳書とは書く場所が違います。
Q3:専従者給与は給料賃金の欄に書いてよいですか?
書きません。国税庁の令和7年分の書き方は、青色事業専従者に支給した給与を⑳給料賃金に記入せず、㊳専従者給与の欄に記入するとしています。2ページの「専従者給与の内訳」にも氏名と金額を書きます。
Q4:事業主貸や元入金は損益計算書に書きますか?
書きません。事業主貸・事業主借・元入金は、4ページの貸借対照表に載る科目です。事業主個人の所得税や住民税の支払は、事業主貸で処理して経費にはしません。
Q5:減価償却費は帳簿の金額を写せばいいですか?
3ページ「減価償却費の計算」の「⑪本年分の必要経費算入額」の計を写します。事業で使う割合を掛けた資産は、割合を掛けた後の金額です。帳簿の減価償却費と一致しているかを、あわせて確かめてください。
Q6:令和8年分の青色申告決算書でも欄番号は同じですか?
本記事は令和7年分の様式(令和5年分以降用)で欄番号を確かめています。2026年10月17日時点で、国税庁の令和8年分の様式と書き方はまだ掲載されていません。申告の前に、令和8年分の様式で欄番号を見比べてください。
まとめ
青色申告決算書の勘定科目の写し方の要点です。
この記事のまとめ
- 印刷された科目は、帳簿の同じ名前の科目の決算整理後の残高を写す
- ①は雑収入と家事消費を含む。2ページの月別売上の計を写す
- 専従者給与は⑳でなく㊳。㉝は専従者給与を引く前の金額になる
- ⑱は3ページの減価償却費の計算表の計。税込経理の消費税等は⑧に含める
- 印刷されていない科目は空欄㉕〜㉚に科目名を書く。雑費㉛は空欄の下
- 事業主貸・元入金・資産と負債の科目は4ページの貸借対照表へ
- 帳簿の利益と㊸(㉝+㊲−㊷)が一致すれば転記は合っている
免責事項
※本記事は青色申告決算書(一般用)の欄と勘定科目の対応を、国税庁の令和7年分の様式と書き方(2026年10月時点で確認)に基づいて整理したものです。令和8年分の様式は公開後に照合が必要です。検算の数字は説明のための例です。必要に応じて顧問税理士など有資格者へご相談ください。
