法定調書合計表は、税務署へ出す支払調書や源泉徴収票を種類ごとに人数と金額で集計する書類です。令和8年分は令和9年2月1日(月)が期限で、給与支払報告書を市区町村へ出せば給与の欄は書きません。退職金・報酬・家賃などの調書を税務署へ出す会社が作ります(国税庁 令和8年分の手引)。
この記事でわかること
- 令和8年分の法定調書合計表で変わる点(給与の欄が不要になる条件・退職所得は全員・30枚基準・用紙の送付なし)
- 支払手数料・外注費・研修費・地代家賃など帳簿の勘定科目から対象の支払を拾い出す手順
- 報酬・料金等の欄(1号〜8号)のⒶ計とⒷの書き分けを、同じ会社の数字で記入した例
- 家賃を個人に払う場合・法人に払う場合・管理会社へ振り込む場合の違い
- 源泉税を預り金と照合する方法、e-Tax等が義務になる枚数、訂正のしかた
公的情報源: 国税庁「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」(参照)/「源泉徴収票のみなし提出の特例に関するQ&A」(PDF)/タックスアンサー No.7400「法定調書の提出義務者」(参照)/所得税法 第204条・第225条・第226条(e-Gov)
先に答え
法定調書合計表は、源泉徴収票や支払調書を税務署へ出すときに表紙として添える集計表です。調書の種類ごとに「人数・支払金額・源泉徴収税額」を合計して書きます。
令和8年分からは書く欄が減ります。給与支払報告書を市区町村へ出すと、給与所得の源泉徴収票は税務署へ出したものとみなされるためです。報酬や家賃などの調書が1枚もなければ、合計表そのものが要りません。
数字は帳簿から拾います。1月〜12月の支払を、支払先ごとに年間で合計するのが出発点です。3月決算の会社も暦年で集計し直します。
この記事の要点
- 令和8年分の期限は令和9年2月1日(月)。合計表は調書と一緒に、支払事務を扱う事業所の所轄税務署へ出す(手引 p.1・No.7400)
- 給与支払報告書を市区町村へ出せば、税務署用の源泉徴収票も合計表の「1 給与」欄も不要。退職・報酬・不動産関係の調書を出すときだけ合計表を作る(みなし提出Q&A 問8)
- 報酬は税理士・社労士・デザイナーなどへの支払を同一人に年5万円超で支払調書に。法人に払った報酬も源泉徴収の有無に関係なく対象(手引 p.24・質疑応答)
- 家賃は個人の大家なら年15万円超で支払調書。法人の大家に家賃だけを払うなら不要で、更新料・礼金などは法人へでも対象(No.7441)
- 前々年に提出すべきだった枚数が種類ごとに30枚以上なら、その調書はe-Tax等で出す(令和9年1月以後の提出分・No.7455)
法定調書合計表とは|対象の6種類と提出期限
法定調書合計表は、正式には「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」といいます。6種類の法定調書を1枚にまとめて集計する兼用の様式です。
所得税法225条(支払調書)と226条(源泉徴収票)は、支払が確定した年の翌年1月31日までに調書を出すよう定めています。令和8年分は1月31日が日曜日のため、手引は令和9年2月1日(月)を期限としています。提出先は、支払事務を取り扱う事務所の所在地を所轄する税務署です(No.7400)。
合計表で集計する6種類と、支払調書の提出範囲(令和8年分)
| 合計表の欄 | 集計する法定調書 | 税務署へ出す範囲 | 提出する人 |
|---|---|---|---|
| 1 | 給与所得の源泉徴収票 | 中途退職で年30万円以下の人を除く全員 | 給与を払う人 |
| 2 | 退職所得の源泉徴収票 | 支払が確定した退職手当等のすべて | 退職金を払う人 |
| 3 | 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書 | 号ごとに同一人に年5万円超・50万円超など | 報酬・料金等を払う人 |
| 4 | 不動産の使用料等の支払調書 | 同一人に年15万円超 | 法人と不動産業者の個人 |
| 5 | 不動産等の譲受けの対価の支払調書 | 同一人に年100万円超 | 法人と不動産業者の個人 |
| 6 | 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書 | 同一人に年15万円超 | 法人と不動産業者の個人 |
出所は令和8年分の手引 p.3・p.19・p.23・p.25・p.27・p.29です。4〜6の不動産関係は、払う側が法人か不動産業者である個人のときだけ提出義務があります(No.7441・No.7442)。
合計表を作る会社と作らなくてよい会社
合計表は、法定調書を税務署へ出すときに併せて出す書類です(みなし提出Q&A 問8)。令和8年分は、給与支払報告書を市区町村へ出せば税務署用の源泉徴収票が要りません。その結果、給与しか払っていない会社は合計表も不要になります。
一方、退職所得の源泉徴収票や報酬・不動産関係の支払調書を1枚でも税務署へ出すなら、合計表を添えます。そのときは実際に出す調書の欄だけを書き、出さない給与の源泉徴収票の欄は空けておきます。
令和8年分の法定調書合計表を作るか・どの欄を書くか
- 令和8年1月〜12月に支払が確定した給与・退職金・報酬・家賃などを確認する
- STEP1給与支払報告書を市区町村へ出すか出す→給与所得の源泉徴収票は税務署へ出したものとみなされ、合計表の「1 給与」欄も書かない
- STEP2退職・報酬・不動産関係の調書を税務署へ1枚でも出すか出す→合計表を作る/1枚もない→合計表も不要(みなし提出Q&A 問8)
- STEP3実際に出す調書の欄だけを書く欄2 退職・欄3 報酬・欄4〜6 不動産関係
- STEP4調書の種類ごとに枚数を数え、提出方法を決める前々年に提出すべきだった枚数が30枚以上の種類はe-Tax等
図:令和8年分は、給与支払報告書を市区町村へ出せば給与の欄は書かない。合計表は、退職・報酬・不動産関係の調書を税務署へ出すときに作る。
令和8年分の法定調書合計表で変わる点
令和8年分は、令和5年度・令和7年度の税制改正と国税システムの更改が重なる年です。手引 p.2 と p.31-32 にある変更を、合計表を作る順に並べると次のとおりです。
令和7年分までと令和8年分の違い(手引・Q&A・タックスアンサーで確認・2026年10月時点)
| 項目 | 令和7年分まで | 令和8年分(令和9年に提出) |
|---|---|---|
| 提出期限 | 令和8年2月2日(月) | 令和9年2月1日(月) |
| 給与所得の源泉徴収票の提出範囲 | 年末調整をした役員は150万円超、その他は500万円超など | 中途退職で年30万円以下を除く全員 |
| 税務署への給与所得の源泉徴収票 | 提出する | 給与支払報告書を市区町村へ出せば不要 |
| 合計表の「1 給与」欄 | 書く | みなし提出なら書かない |
| 退職所得の源泉徴収票 | 法人の役員の分だけ | 全受給者(死亡退職を除く) |
| e-Tax等が義務になる枚数 | 前々年に100枚以上 | 前々年に30枚以上 |
| 合計表の書面の様式 | 従来の様式 | 令和8年9月の国税システム更改で変更 |
合計表の用紙は、令和8年分から税務署が送ってきません。令和7年分の手引は「翌年以降送付」欄の説明で、令和8年分以降は合計表の送付を行わないと書いています。書面で出すなら国税庁ホームページから最新の様式を取り寄せます。
給与の提出範囲が広がっても、税務署へ出す枚数は増えません。給与支払報告書を出せば足りるからです。受給者への源泉徴収票の交付は、これまでどおり全員に必要です(No.7411)。
合計表の各欄で書き方が変わるところ
合計表の様式そのものにも手が入っています。手引 p.31-32 の記載要領で、令和7年分と書き方が違う欄は次のとおりです。
- 各欄の「Ⓐ総額」は、実際に提出する調書の分だけを書いても差し支えないと注記が入った
- 「本店一括」欄は、本店等一括提出なら「1」、しないなら「2」を数字で書く
- 退職所得の欄は、Ⓐ総額とⒷ源泉徴収票を提出するものの両方に全受給者を書く
- 「提出媒体」欄の「1給与」は、みなし提出なら記載不要
勘定科目から法定調書の対象になる支払を拾う手順
合計表の数字は、支払調書の金額を種類ごとに足し上げて作ります。その支払調書の元になるのが、総勘定元帳に記帳した支払です。科目から拾い出すと、調書の作り漏れと二重計上を同時に防げます。
帳簿から法定調書合計表までの集計の流れ
- 令和8年1月〜12月の総勘定元帳を、対象になりやすい科目ごとに出す
- STEP1支払先ごとに、年間の支払確定額を集める未払金に計上した12月分も含める。決算期ではなく暦年で切る
- STEP2個人か法人か、所得税法204条1項の何号に当たるかを決める工事・運送・清掃などの作業代は各号に当たらず対象外
- STEP3提出範囲の金額で、支払調書を作るかを分ける報酬5万円超(外交員等は50万円超)・家賃15万円超・譲受け100万円超
- STEP4源泉徴収税額を預り金の動きと照合する未払分の未徴収税額は内書きで足す
- STEP5支払調書を作り、号ごと・種類ごとに合計して合計表へ写すⒶ計=対象の支払全部/Ⓑ=そのうち支払調書を出すもの
図:合計表は帳簿の支払を支払先ごとに年合計し、号と提出範囲で振り分けた結果を写す。源泉税は預り金と照合してから転記する。
対象になりやすい勘定科目と、拾うときの見方
どの科目に入れるかは会社ごとに違います。そのため、科目名で決めずに支払の中身(品目と支払先)で判断します。拾い出しの当たりを付けるための一覧です。
勘定科目ごとの拾い出し早見表(法定調書の観点・2026年10月時点)
| 帳簿の勘定科目 | 拾う支払の例 | 載る調書(合計表の欄) | 拾うときの見方 |
|---|---|---|---|
| 支払手数料・支払報酬 | 税理士・社労士・弁護士・司法書士・測量士の報酬 | 欄3 報酬(2号) | 法人への支払も拾う。登録免許税など立替が明らかな分は除く |
| 外注費・業務委託費 | デザイン料・原稿料・翻訳料 | 欄3 報酬(1号) | 工事・運送・清掃などの作業代は対象外 |
| 広告宣伝費 | モデル料・広告宣伝のための賞金・デザイン料 | 欄3 報酬(4号・8号・1号) | 品目で号を決める |
| 研修費・会議費 | 講師への講演料・謝礼 | 欄3 報酬(1号) | 謝礼や車代の名目でも実態が講演料なら含む |
| 地代家賃 | 事務所・駐車場・倉庫の家賃、催事場の一時的な賃借料 | 欄4 使用料等 | 個人の大家は家賃も拾う。法人の大家は家賃を除く |
| 長期前払費用・支払手数料など | 礼金・更新料・権利金 | 欄4 使用料等 | 法人に払った分も拾う |
| 支払手数料 | 不動産会社への仲介手数料 | 欄6 あっせん手数料 | 欄4・5の調書に書けば省略できる |
| 土地・建物 | 不動産の購入代金 | 欄5 譲受けの対価 | 売買のほか交換・現物出資も含む |
| 給料手当・役員報酬・賞与 | 給与 | 欄1 給与 | 令和8年分はみなし提出で通常は書かない |
| 退職金 | 退職手当 | 欄2 退職 | 令和8年分は全受給者 |
根拠は手引 p.23-30、No.7441・No.7442・No.7443、国税庁の質疑応答事例(法定調書)です。給与と外注費の線引きそのものは、源泉徴収票と支払調書のどちらに載るかを分けます。迷う支払は給与と外注費の分け方で先に整理しておくと、拾い出しが速くなります。
3月決算でも1月〜12月で集計し直す
調書の金額は「その年中に支払の確定した」金額です。3月決算の会社なら、令和8年3月期の1〜3月分と令和9年3月期の4〜12月分をつなげて集計します。決算書の科目残高は、そのまま使えません。
「支払の確定」は、相手に支払を請求されうる状態になった時点を指します。12月分を翌年1月に払う報酬は、未払金に計上した時点で令和8年分です。支払調書では、支払金額の上段に未払額を、源泉徴収税額の上段に未徴収税額を内書きします(手引 p.24)。
家賃は、帳簿の地代家賃と調書の金額がずれることがあります。前月末に翌月分を払う契約で10月に借り始めた場合、その年に支払うべき10月〜翌年1月の4か月分を書きます(質疑応答「前払家賃の記載方法」)。期間で費用を按分した帳簿の数字とは一致しません。
拾い出しで漏れやすい5つの境目
元帳を眺めていると判断に迷う支払があります。国税庁の質疑応答事例で答えが出ているものは次のとおりです。
- 法人への報酬:測量会社など法人に払った報酬も、204条1項の報酬に当たれば支払調書を出す。源泉徴収をしていないことは理由にならない(質疑応答「法人に対して支払った報酬等」・手引 p.24)
- 行政書士への報酬:官庁への書類作成料は原則として対象外。建築に関する申請書類の作成など建築代理士の業務に当たるものは対象(質疑応答「行政書士に報酬を支払った場合」)
- 司法書士への支払に含まれる登録免許税・印紙代:依頼者が負担すべき税の立替と明らかなら支払金額に含めない(質疑応答「司法書士に支払った登録免許税等」)
- 弁護士に現金で渡した旅費の実費:報酬と合わせて支払金額に含める。会社が乗車券やホテルを直接手配した通常の範囲の費用は含めなくてよい(質疑応答「弁護士に支払う旅費相当額」)
- 源泉徴収をしなかった少額の報酬:限度額以下で源泉徴収していなくても、提出範囲に入れば支払調書を出す(手引 p.24)
報酬・料金等の支払調書合計表(309)の書き方
欄3は、所得税法204条1項の各号に沿って1号〜8号の行に分けて集計します。人員は「個人」と「個人以外(法人等)」に分け、同じ相手を何度払っても1人と数える実人員で書きます(手引 p.32)。
報酬・料金等の号区分と支払調書の提出範囲(令和8年分)
| 号 | 合計表の区分 | 主な支払の例 | 支払調書の提出範囲(同一人・年) |
|---|---|---|---|
| 1号 | 原稿料、講演料等 | 原稿料・デザイン料・翻訳料・講演料・著作権の使用料 | 5万円超 |
| 2号 | 弁護士、税理士等 | 弁護士・税理士・社会保険労務士・司法書士・測量士の報酬 | 5万円超 |
| 3号 | 診療報酬 | 医療情報基盤・診療報酬審査支払機構が支払う診療報酬 | 50万円超 |
| 4号 | 職業野球選手、騎手、外交員等 | 外交員・集金人・プロボクサー/プロ野球選手・モデル | 外交員等は50万円超、プロ野球選手・モデルは5万円超 |
| 5号 | 芸能等の出演・演出 | 映画・演劇の出演料、演出・企画の報酬 | 5万円超 |
| 6号 | ホステス等 | バー・キャバレー等のホステス、コンパニオン | 50万円超 |
| 7号 | 契約金 | 役務の提供を約して一時に受ける契約金 | 5万円超 |
| 8号 | 賞金 | 広告宣伝のための賞金/馬主が受ける競馬の賞金 | 広告宣伝は50万円超、競馬は1回75万円超の人の全額 |
提出範囲は手引 p.23 の表から写しています。金額は原則として消費税等を含めて判定します。請求書で消費税等が明確に区分されていれば、税抜での判定も認められています(手引 p.35・No.7431)。
Ⓐ計とⒷの違い
「Ⓐ計」には、号に当たる報酬・料金等を提出範囲に関係なくすべて書きます。5万円以下で支払調書を作らない相手も含めた数字です。令和8年分は、実際に提出する支払調書の分だけで書いても差し支えないとの注記があります(手引 p.31)。
「Ⓑ Ⓐのうち、支払調書を提出するもの」には、支払調書を作った相手の分だけを合計します。Ⓐ計を全件で書いておくと、1年分の源泉税と突き合わせができて検算に使えます。
記入例|同じ会社の元帳から拾って309欄を埋める
ここからは、ある会社(3月決算・従業員15名)の令和8年1月〜12月の元帳から拾った例です。金額は請求書の支払額(消費税等を含む)で、源泉徴収もその額で計算しています。源泉税は100万円以下の部分が10.21%です(No.2795)。
元帳から拾った支払と、合計表・支払調書の振り分け(令和8年分の例)
| 科目・支払先 | 令和8年の支払確定額 | 合計表の区分 | 支払調書 |
|---|---|---|---|
| 支払手数料・X税理士(個人) | 600,000円(月5万円×12。12月分は未払) | 欄3・2号 | 提出 |
| 支払手数料・Y社会保険労務士(個人) | 360,000円(月3万円×12) | 欄3・2号 | 提出 |
| 支払手数料・Z司法書士(個人) | 40,000円(登録免許税の立替3万円は除く) | 欄3・2号 | 作らない(5万円以下) |
| 支払手数料・F行政書士(個人) | 100,000円(官庁への書類作成) | 対象外 | 作らない |
| 外注費・Bデザイナー(個人) | 400,000円(25万円と15万円の2回) | 欄3・1号 | 提出 |
| 外注費・C社(デザイン会社) | 300,000円(源泉徴収なし) | 欄3・1号 | 提出 |
| 外注費・E(配送の個人事業主) | 480,000円 | 対象外 | 作らない |
| 研修費・D講師(個人) | 30,000円(講演料) | 欄3・1号 | 作らない(5万円以下) |
Z司法書士は、立替の3万円を足すと7万円になり、誤って支払調書を作る側に入ってしまいます。立替を除いてから5万円と比べるのが要点です。
源泉徴収税額は、支払のたびに計算した額を足します。X税理士は5,105円×12回で61,260円です。Bデザイナーは25,525円+15,315円=40,840円になります。
記入例|報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書合計表(309)
| 区分 | 人員(個人) | 人員(個人以外) | 支払金額(円) | 源泉徴収税額(円) |
|---|---|---|---|---|
| 1号 原稿料、講演料等 | 2 | 1 | 730,000 | 43,903 |
| 2号 弁護士、税理士等 | 3 | — | 1,000,000 | 102,100 |
| Ⓐ 計 | 5 | 1 | 1,730,000 | 146,003 |
| Ⓑ Ⓐのうち、支払調書を提出するもの | 3 | 1 | 1,660,000 | 138,856 |
Ⓐ計とⒷの差は、支払調書を作らないD講師(30,000円・3,063円)とZ司法書士(40,000円・4,084円)の分です。C社は法人なので源泉徴収税額は0円で、人員は「個人以外」に1と数えます。
源泉徴収税額を預り金と照合する
Ⓐ計の源泉徴収税額は、預り金(源泉所得税)に計上した報酬分と照合できます。この例で令和8年中に実際に預かった税額は140,898円です。12月分の税理士報酬が未払なので、未徴収の5,105円を足すと146,003円になり、Ⓐ計と一致します。
照合するときは、次の2点で数字がずれやすくなります。
- 前年12月分の報酬を令和8年1月に払った場合、その源泉税は前年分の調書に入るので照合から除く
- 給与の源泉税と報酬の源泉税を同じ補助科目で管理していると突き合わせられない。報酬分は補助科目を分けておく
納付書(報酬・料金等の所得税徴収高計算書)の合計とも照合できます。ただし、12月に徴収した分の納付は翌年1月10日です。納付日でなく支払日で年を切ってから比べます。
不動産の使用料等・譲受け・あっせん手数料の欄
欄4〜6は、払う側が法人か不動産業者である個人のときに使います。経理担当が毎年触るのは、ほぼ欄4の不動産の使用料等です。
欄4の対象は、土地・建物の賃借料だけではありません。返還されない保証金・敷金、礼金、更新料、承諾料、名義書換料も対象です。催事場や陳列ケース、広告用の壁面の一時的な賃借料も含まれます(No.7441・手引 p.26)。
地代家賃の支払先で変わる「不動産の使用料等の支払調書」の扱い
- 家賃
- 同一人に年15万円超で支払調書を出す
- 更新料・礼金
- 家賃と合わせて15万円超かで判定
- 支払を受ける者
- 大家本人の住所・氏名とマイナンバー
- 家賃
- 所有者(個人)への支払として15万円超で提出
- 支払を受ける者
- 管理会社でなく物件の所有者を書く
- 摘要
- 管理会社へ家賃を払っている旨を書く
- 家賃・賃借料
- 支払調書は不要
- 権利金・更新料・礼金
- 15万円超なら法人へでも提出
- 見分け方
- 契約書の貸主欄の名義で判定
図:家賃の支払調書は「実際に家賃を受け取る人が個人か法人か」で決まる。管理会社に振り込んでいても所有者が個人なら個人への支払として扱う。法人の大家には、家賃以外の更新料・礼金などだけを出す。
記入例|不動産の使用料等の支払調書合計表(313)
先ほどの会社で、地代家賃とその周辺の科目から拾った結果です。
地代家賃まわりの支払と振り分け(令和8年分の例)
| 科目・支払先 | 令和8年の支払確定額 | 支払調書 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 地代家賃・G(個人の大家・事務所) | 960,000円(管理会社J経由) | 提出 | 所有者が個人・15万円超 |
| 地代家賃・H(個人・駐車場) | 120,000円 | 作らない | 15万円以下 |
| 地代家賃・I社(法人・倉庫) | 1,800,000円 | 作らない | 法人への家賃 |
| 長期前払費用など・I社の更新料 | 300,000円 | 提出 | 法人への更新料・15万円超 |
この例を、提出する支払調書の分だけで書くと次のようになります。Gの調書の摘要には、管理会社Jへ家賃を払っている旨を書きます(質疑応答「不動産の賃借料を管理会社へ支払っている場合」)。
記入例|不動産の使用料等の支払調書合計表(313)・提出する分だけで書く場合
| 区分 | 人員 | 支払金額(円) |
|---|---|---|
| Ⓐ 使用料等の総額 | 2 | 1,260,000 |
| Ⓑ Ⓐのうち、支払調書を提出するもの | 2 | 1,260,000 |
Ⓐは「支払の確定した使用料等の総額」の欄です。15万円以下で調書を作らないHの駐車場代も含めるなら、Ⓐは3人・1,380,000円になります。令和8年分はどちらの書き方も手引で認められています(手引 p.31)。
譲受けの対価(376)とあっせん手数料(314)
欄5は、土地や建物を買ったときに使います。同一人に年100万円を超える対価を払えば支払調書を出し、売買のほか交換・競売・現物出資による取得も含みます(No.7442)。補償金があるときは総額に含め、補償金の額を摘要に書きます。
欄6は、不動産の売買や賃貸借の仲介手数料です。同一人に年15万円を超えると対象になります。ただし、欄4・5の支払調書の「あっせんをした者」欄に仲介業者の情報を書けば、あっせん手数料の調書は省略できます(No.7443)。省略した分は、合計表の欄6の摘要に人員と支払金額の合計を書きます(手引 p.32)。
給与所得・退職所得の源泉徴収票合計表の欄
令和8年分の給与の欄(375)は、税務署へ給与所得の源泉徴収票を出す場合にだけ書きます。給与支払報告書は市区町村へ出す決まりの書類で、出せば源泉徴収票の提出とみなされます。そのため通常はこの欄を空けたままです。
逆向きの扱いはありません。源泉徴収票を税務署へ出しても、給与支払報告書を出したことにはならないからです(みなし提出Q&A 問6)。給与支払報告書の期限も令和9年2月1日(月)です(手引 p.3)。
給与の欄を書く場合の注意
税務署へ源泉徴収票を出す場合の書き方は、手引 p.31 にあります。
- 「人員」は給与を払った実人員(丙欄の日雇労務者を除く)。通常は源泉徴収簿の枚数と同じで、納付書に書いた人員の累計ではない
- 「左のうち、源泉徴収税額のない者」は、源泉徴収票の税額が0円の人の数。手引が記載漏れが多いと注意している欄
- Ⓐの支払金額・源泉徴収税額には、中途入社の人が前の勤務先で受けた給与と税額を含めない。Ⓑには含める
- 年末調整の超過額が徴収税額を上回る人の源泉徴収税額は「0」と書く
年末調整の超過額と源泉徴収税額の関係は、年末調整の仕訳で預り金の動きとあわせて確認できます。
退職の欄は全受給者を書く
令和8年分から、退職所得の源泉徴収票は法人の役員以外の分も税務署へ出します。提出範囲は「令和8年中に支払が確定した退職手当等のすべて」です(手引 p.19)。死亡退職で払った退職金は、相続税法の「退職手当金等受給者別支払調書」の側で出すので、この欄には入りません。
合計表の欄2は、Ⓐ退職手当等の総額とⒷ源泉徴収票を提出するものの両方に全受給者を書きます(手引 p.31)。従業員の退職金の源泉徴収票も、令和8年分は税務署へ出す点を見落としやすくなります。特別徴収票の市区町村への提出は、当面不要とされています(手引 p.2)。退職金を払ったときの預り金の処理は退職金の仕訳にまとめています。
合計表の提出方法とe-Tax等が義務になる枚数
提出方法は、e-Tax・認定クラウド等・光ディスク等(CD・DVD)・書面の4つです(手引 p.1)。手引で扱う6種類の調書は、e-Taxソフト(WEB版)で作成から提出までできます。e-Taxを使うには、事前に開始届出書を出して利用者識別番号を取得します。
30枚基準は調書の種類ごと・前々年で判定する
令和9年1月1日以後に提出する法定調書は、前々年に提出すべきだった枚数が30枚以上なら書面で出せません(No.7455)。判定は調書の種類ごとに行います。
令和8年分(令和9年1月提出)の判定の例
| 調書の種類 | 令和7年1月に提出すべきだった枚数(令和6年分) | 令和9年1月の提出方法 |
|---|---|---|
| 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書 | 32枚 | e-Tax等が必要 |
| 不動産の使用料等の支払調書 | 5枚 | 書面でも出せる |
| 退職所得の源泉徴収票 | 2枚 | 書面でも出せる |
給与支払報告書にも同じ電子的提出の義務があります。こちらは基準年に税務署へ提出すべきだった源泉徴収票の枚数で判定します。改正前の提出範囲で数え、みなし提出の分も含めます(みなし提出Q&A 問9)。
提出者欄・提出区分・提出媒体の書き方
合計表の上段には、提出先の税務署、法人番号、名称、所在地、代表者氏名、電話番号、作成担当者を書きます。作成税理士の欄と税理士番号は任意です(手引 p.32)。
「調書の提出区分」と「提出媒体」に書くコード(手引 p.32)
| 欄 | 書く内容 | コード |
|---|---|---|
| 調書の提出区分 | 新規/追加/訂正/無効 | 1/2/3/4 |
| 提出媒体(調書の種類ごと) | 電子/FD/MO/CD/DVD/書面/その他 | 14/15/16/17/18/30/99 |
| 本店一括 | 本店等一括提出をする/しない | 1/2 |
手書きで作るなら黒のボールペンを使い、金額の欄に「¥」や「円」を書きません。税務署整理欄には何も書かないでください(手引 p.32)。
出した後に誤りに気づいたら
誤った調書は、無効分と訂正分をセットで出し直します。手引 p.33 の手順は次のとおりです。
- 先に出した調書と同じ内容の調書を作り、「無効区分」に「1」を書く
- 無効にした調書の金額を書いた合計表を作り、「調書の提出区分」に「4」を書く
- 正しい内容の調書を作り、「無効区分」に「0」を書く
- 訂正分の金額を書いた合計表を作り、「調書の提出区分」に「3」を書く
出し忘れた調書を後から出すときは、追加分として合計表の提出区分を「2」にします。未払で見積もった源泉税と実際に徴収した額が違ったときも、この手順で訂正します(手引 p.24)。
よくある質問
法定調書合計表で実際によく検索される質問です。
Q1:給与支払報告書を市区町村へ出したら、法定調書合計表は要りませんか?
給与しか払っていない会社なら要りません。給与所得の源泉徴収票の税務署への提出が不要になり、合計表の提出も不要になります(みなし提出Q&A 問8)。退職所得の源泉徴収票や報酬・不動産関係の支払調書を1枚でも税務署へ出すなら合計表を添え、出す調書の欄だけを書きます。
Q2:3月決算の会社も1月〜12月で集計しますか?
1月〜12月で集計します。調書の金額は「その年中に支払の確定した」金額で、事業年度とは関係ありません。令和8年分なら、前期の1〜3月分と当期の4〜12月分の元帳をつないで支払先ごとに合計します。
Q3:法人に払った報酬も支払調書と合計表に入れますか?
入れます。所得税法204条1項の報酬に当たれば、支払先が法人でも支払調書の対象です。源泉徴収をしていないことは関係しません(手引 p.24・質疑応答「法人に対して支払った報酬等」)。合計表では人員を「個人以外」の列に数え、源泉徴収税額は0円で集計します。
Q4:金額は消費税込みと税抜のどちらで判定・記入しますか?
原則は消費税等を含めた金額です。請求書などで消費税等の額が明確に区分されていれば、税抜で判定しても差し支えありません。税抜の金額を書いた場合は、支払調書の摘要欄に消費税等の額を書きます(手引 p.35)。
Q5:12月分を翌年に払う未払の報酬はどう書きますか?
令和8年分に含めます。支払が確定した年で集計するためです。支払調書は支払金額の上段に未払額を、源泉徴収税額の上段に未徴収税額を内書きし、合計表には含めた金額で集計します(手引 p.24)。翌年に実際の徴収額が見積りと違ったら、調書を訂正します。
Q6:合計表の人員は延べ人数ですか?
実人員です。報酬の欄は、同じ相手に何回払っても1人と数え、個人と個人以外に分けて書きます。給与の欄を書く場合も実人員で、納付書に書いた人員の累計を足し上げないよう手引が注意しています(手引 p.31-32)。
Q7:法定調書合計表の用紙が届きません。どこで手に入りますか?
令和8年分からは税務署から送られてきません。令和7年分の手引が、令和8年分以降は合計表の送付を行わないと書いています。書面で出すなら、国税庁ホームページから令和8年9月の様式変更後の最新様式をダウンロードしてください。e-Taxソフト(WEB版)なら用紙は要りません。
まとめ
法定調書合計表の書き方を、作業の順に整理します。
この記事のまとめ
- 令和8年分の期限は令和9年2月1日(月)。合計表は6種類の調書の兼用様式で、出す調書の欄だけを書く
- 給与支払報告書を市区町村へ出せば、源泉徴収票と「1 給与」欄は不要。給与しか払っていない会社は合計表も不要
- 数字は1月〜12月の元帳から支払先ごとに年合計して拾う。3月決算でも暦年で切り、12月の未払分も含める
- 報酬は号ごとに集計し、人員は個人と個人以外の実人員。Ⓐ計は全件、Ⓑは支払調書を出す分
- 法人への報酬も対象。行政書士は原則対象外、司法書士の登録免許税の立替は除く、弁護士の旅費の実費は含む
- 家賃は所有者が個人なら15万円超で提出、法人の大家には更新料・礼金などだけ。管理会社経由でも所有者で判定する
- 前々年に提出すべきだった枚数が種類ごとに30枚以上ならe-Tax等。用紙は送られてこないので最新様式を使う
法定調書合計表 早見表(令和8年分・2026年10月時点)
| 欄 | 書く場面 | 提出範囲(同一人・年) | Ⓐ・Ⓑの書き方 |
|---|---|---|---|
| 1 給与 | 税務署へ源泉徴収票を出すときだけ | 中途退職30万円以下を除く全員 | Ⓐは前職分を除く、Ⓑは前職分を含む |
| 2 退職 | 退職金を払ったとき | すべて(死亡退職を除く) | Ⓐ・Ⓑとも全受給者 |
| 3 報酬 | 号に当たる報酬を払ったとき | 5万円超(外交員等50万円超など) | Ⓐ計は全件(提出分だけも可)、Ⓑは提出分 |
| 4 使用料等 | 家賃・更新料・礼金を払ったとき | 15万円超(法人へは家賃以外) | Ⓐは総額(提出分だけも可)、Ⓑは提出分 |
| 5 譲受け | 不動産を買ったとき | 100万円超 | Ⓐは総額、Ⓑは提出分 |
| 6 あっせん | 仲介手数料を払ったとき | 15万円超 | 省略した分は摘要に人員と金額 |
免責事項
※本記事は法定調書合計表と支払調書の一般的な作成方法を、国税庁の公開情報(令和8年分の手引〈令和8年8月1日現在法令・9月18日訂正版〉・タックスアンサー〈令和8年4月1日現在法令等〉、2026年10月時点)に基づいて整理したものです。記入例の会社と金額は説明用の設例です。個々の支払が調書の対象になるかは契約の内容によって異なります。最新の手引をご確認のうえ、必要に応じて顧問税理士など有資格者へご相談ください。
