法人の帳簿の保存期間は、法人税法では確定申告書の提出期限の翌日から7年です。青色申告で欠損金が出た事業年度は10年になります。株式会社の会計帳簿は、会社法で閉鎖の時から10年の保存が別に求められます。3月決算の会社なら、2027年3月期の帳簿は税法上2034年5月31日まで保存します。
この記事でわかること
- 法人税法・消費税法・会社法の保存期間と起算日の違いを1枚の表で
- 3月決算の会社で、いつまで保存するかを暦で示した例
- 保存義務がある帳簿と書類の具体名の一覧
- 古い帳簿を捨ててよいか判断する順番
- 令和8年4月から始まった関連者間取引の書類の保存
公的情報源: 国税庁 No.5930 帳簿書類等の保存期間(参照)/e-Gov法令検索 会社法(参照)/消費税法施行令(参照)/法人税法(参照)/法人税法施行規則(参照)
先に答え
法人の帳簿と書類は、税法上は7年保存すれば足りる期が多くあります。ただし、欠損金が出た期は10年に延び、株式会社は会社法でも10年の保存が求められます。
そのため実務では、帳簿と決算書は10年、それ以外の書類は7年か10年で管理する会社が多くなります。どの期を捨ててよいかは、期ごとに欠損金の有無を確かめてから決めてください。
この記事の要点
- 法人税法の原則は確定申告書の提出期限の翌日から7年(国税庁 No.5930)
- 青色申告で欠損金が出た事業年度は10年。欠損金を10年繰り越せることと対になっている
- 株式会社の会計帳簿は閉鎖の時から10年、計算書類は作成の時から10年(会社法432条・435条)
- 消費税の帳簿・請求書等は、課税期間の末日の翌日から2か月を過ぎた日から7年(消費税法施行令50条)
- 令和8年4月1日以後に始まる事業年度は、関連者に払う経営指導料・ライセンス料などの明細を書いた書類も7年保存する
法人の帳簿の保存期間|法人税法・消費税法・会社法の一覧
法人の帳簿の保存期間は、どの法律の義務かで長さと数え始めが違います。3つの法律を1枚の表にまとめました。
法人の帳簿・書類の保存期間(2026年10月時点の法令)
| 法律 | 対象 | 保存期間 | 数え始め(起算日) |
|---|---|---|---|
| 法人税法 | 帳簿と取引の書類 | 7年 | 確定申告書の提出期限の翌日 |
| 法人税法 | 青色申告で欠損金が出た期の帳簿・書類 | 10年 | 同上 |
| 消費税法 | 仕入税額控除の帳簿 | 7年 | 帳簿を閉鎖した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を過ぎた日 |
| 消費税法 | 仕入税額控除の請求書等 | 7年 | 受け取った日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を過ぎた日 |
| 会社法 | 株式会社の会計帳簿と重要な資料 | 10年 | 会計帳簿を閉鎖した時 |
| 会社法 | 株式会社の計算書類と附属明細書 | 10年 | 計算書類を作成した時 |
法人税の10年は、平成30年4月1日以後に始まった事業年度の場合です。それより前に始まった期は9年でした(No.5930)。
欠損金の期が10年になる理由
法人税法57条1項は、各事業年度の開始の日前10年以内に始まった期の欠損金を、その期の所得から差し引けると定めています。欠損金を10年先まで使える以上、その金額の元になった帳簿も10年残す必要があります。
欠損金がまだ残っている期の帳簿を7年で捨てると、繰越控除の根拠を示せなくなります。黒字の期と赤字の期で、捨てる時期を分けて管理してください。
いつまで保存するか|3月決算の会社の例
「提出期限の翌日から7年」を、実際の暦に当てはめます。2026年4月1日〜2027年3月31日の事業年度(2027年3月期)の会社の例です。
2027年3月期の帳簿の保存期限(申告期限の延長が無い場合)
| 区分 | 起算日 | 保存期限の目安 |
|---|---|---|
| 確定申告書の提出期限 | ― | 2027年5月31日(月) |
| 法人税法の7年 | 2027年6月1日 | 2034年5月31日まで |
| 欠損金が出た場合の10年 | 2027年6月1日 | 2037年5月31日まで |
| 消費税の帳簿・請求書等の7年 | 2027年6月1日 | 2034年5月31日まで |
| 会社法の会計帳簿の10年 | 帳簿の閉鎖の時 | 閉鎖から10年 |
法人税の申告期限は、事業年度の終了の日の翌日から2か月以内です(法人税法74条)。3月31日が期末なら5月31日が期限で、その翌日の6月1日から数えます。
消費税は、課税期間の末日(3月31日)の翌日から2か月を過ぎた日が起算日です。3月決算でこの課税期間なら、法人税と同じ2027年6月1日になります。
2027年3月期の帳簿は、いつまで残すか
- 2027年3月31日に事業年度が終わる会社
- 起点2027年5月31日(月)が確定申告書の提出期限その翌日の6月1日から数え始める
- 7年2034年5月31日まで(法人税・消費税)黒字の期は、税法上はここまで
- 10年2037年5月31日まで(欠損金が出た期)欠損金を翌期以降に繰り越す期は10年
- 会社法会計帳簿は閉鎖の時から10年株式会社は、黒字の期でも帳簿を10年残す
図:税法の7年が過ぎても、株式会社の会計帳簿は会社法で10年の保存が続く。捨てる時期は長い方に合わせる。
保存義務がある帳簿と書類の一覧
国税庁 No.5930 は、保存が必要な「帳簿」と「書類」の例を挙げています。社内でよく使う名前に置き換えて並べました。
保存が必要な帳簿と書類の例(No.5930 の例示から)
| 区分 | 例 | 社内での呼び方の例 |
|---|---|---|
| 帳簿 | 総勘定元帳・仕訳帳 | 会計ソフトの元帳・仕訳データ |
| 帳簿 | 現金出納帳・売掛金元帳・買掛金元帳 | 出納帳・得意先元帳・仕入先元帳 |
| 帳簿 | 固定資産台帳・売上帳・仕入帳 | 資産台帳・売上一覧 |
| 書類 | 棚卸表・貸借対照表・損益計算書 | 在庫表・決算書 |
| 書類 | 注文書・契約書・領収書 | 発注書・覚書・レシート |
表は例示なので、ここに無い名前の帳簿でも、取引を記録したものは保存の対象になります。見積書・納品書・請求書の控えなど、取引に関して作ったり受け取ったりした書類も含まれます。
電子データで受け取った書類
メールやクラウドで受け取った請求書・領収書は、電子取引のデータとして保存します。保存の要件は電子帳簿保存法で定められていて、紙の書類とは扱いが違います。
紙で受け取った領収書をスキャンして捨てる場合の扱いは、電子帳簿保存法で「紙の領収書」は捨てていい?で確認できます。
古い帳簿を捨ててよいか判断する順番
税法の7年が過ぎた帳簿でも、すぐに捨ててよいとは限りません。次の順番で確かめてから処分してください。
- その事業年度の確定申告書の提出期限を確かめ、翌日から7年が過ぎたかを見る
- その期に欠損金が出ていないかを、申告書の別表で確かめる。出ていれば10年
- 株式会社なら、会計帳簿の閉鎖から10年が過ぎたかを見る
- 消費税の仕入税額控除に使った帳簿・請求書等の7年が過ぎたかを見る
- 係争中の取引や、税務調査で指摘を受けた取引の書類が無いかを確かめる
5番目は法律の期間ではありません。ただ、相手と金額で争っている取引の書類は、期限が過ぎても判断がつくまで残しておくのが無難です。
捨ててよいかの早見表(株式会社の場合)
| その期の状態 | 帳簿・決算書 | 領収書・契約書などの書類 |
|---|---|---|
| 黒字で欠損金なし | 会社法で10年 | 税法で7年 |
| 欠損金が出た | 10年 | 10年 |
| 計算書類(決算書)の附属明細書 | 作成から10年 | ― |
株式会社では、会計帳簿と「事業に関する重要な資料」も10年の保存が求められます(会社法432条2項)。どの書類が重要な資料に当たるかは条文に列挙が無いため、契約書のように後で争いになりうる書類は10年で管理する会社が多くなります。
令和8年4月から加わった関連者間取引の書類
令和8年4月1日以後に始まる事業年度から、関連者との一部の取引について、書類の保存の定めが加わりました(国税庁 No.5930・法人税法施行規則59条の2)。対象は、関連者から受けて費用になる取引のうち、次の2種類です。
- 関連者から受ける特許権・著作権・プログラムなど(工業所有権等)の譲渡や使用許諾
- 関連者から受ける経営の管理・指導、情報の提供、研究開発や広告宣伝の費用分担などの役務の提供
関連者は、発行済株式等の50%以上を直接・間接に持つ関係や、同じ者に50%以上を持たれている関係などにある法人です(同条3項)。親会社に払う経営指導料や、グループ会社に払う特許・ソフトウエアの使用料などが当たりやすい取引です。
これらの取引の契約書・請求書などに、対価の額の明細や計算の方法など決められた事項が書かれていない場合、その事項を明らかにする書類(特定事項記載書類)を申告書の提出期限までに用意し、7年間保存します。
関連者間取引の書類で確かめること(令和8年4月1日以後に始まる事業年度)
- 相手
- 50%以上の資本関係などがある関連者
- 取引
- 工業所有権等の譲渡・使用許諾、経営指導などの役務の提供(費用になるもの)
- 契約書・請求書
- 対価の明細と計算の方法が書いてあるか
- 無い場合
- その事項を明らかにする書類を用意する
- 用意する期限
- その事業年度の申告書の提出期限
- 保存
- 起算日から7年
図:親会社への経営指導料やグループ内のライセンス料など、関連者に払う費用の契約書に明細が無いときは、明細を書いた書類を別に用意して7年残す(法人税法施行規則59条の2)。
No.5930 は、青色申告法人以外の普通法人なども同様としています。グループ会社に経営指導料やライセンス料を払っている会社は、契約書・請求書に対価の計算方法の欄があるかを先に見直しておくと、決算期の作業が減ります。
保存の実務|置き場所と期ごとの管理
保存期間は事業年度ごとに数えるので、帳簿と書類は期ごとにまとめて保管すると管理が楽になります。箱やフォルダの表に、事業年度と捨ててよい日を書いておく方法がよく使われます。
期ごとの保管ラベルの書き方(例)
| 書く項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 事業年度 | 2026年4月〜2027年3月 |
| 中身 | 総勘定元帳・仕訳帳・決算書 |
| 欠損金の有無 | なし |
| 税法の保存期限 | 2034年5月31日 |
| 会社法の保存期限 | 会計帳簿の閉鎖から10年 |
立替の精算書や経費の領収書も、期ごとに綴じておくと、税務調査で求められたときにすぐ出せます。精算書の様式は立替金精算書の書き方と記載例で紹介しています。
決算後の申告と提出物の時期は、1月の経理業務一覧|2027年1〜3月の期限カレンダーで決算月別に確認できます。
よくある質問
法人の帳簿の保存期間で迷いやすい6問です。
Q1:法人の帳簿の保存期間は何年ですか?
法人税法では、確定申告書の提出期限の翌日から7年です(国税庁 No.5930)。青色申告で欠損金が出た事業年度は10年になります。株式会社は、会社法で会計帳簿を閉鎖の時から10年保存する義務も別にあります。
Q2:7年はいつから数えますか?
その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日からです。3月決算で期限が5月31日なら、6月1日から数えます。事業年度の終了日や、実際に申告書を出した日から数えるのではありません。
Q3:欠損金が出た年はなぜ10年保存なのですか?
欠損金は、10年以内に始まった期の分まで翌期以降の所得から差し引けるためです(法人税法57条1項)。繰越控除の根拠になる帳簿を、その期間分残しておく必要があります。
Q4:会社法の10年と税法の7年はどちらを守ればいいですか?
両方の義務がかかるので、長い方に合わせます。株式会社の会計帳簿と計算書類は10年です。税法の7年が過ぎても、会社法の10年が残っている帳簿は捨てられません。
Q5:固定資産台帳も7年で捨ててよいですか?
固定資産台帳は保存義務のある帳簿の例に挙がっています(No.5930)。資産を持っている間は毎期の償却に使い続けるので、資産を除却・売却した期から数えて保存期間を考えるのが実務的です。
Q6:消費税の帳簿や請求書も7年ですか?
7年です。帳簿は閉鎖した日、請求書等は受け取った日の属する課税期間の末日の翌日から、2か月を過ぎた日から数えます(消費税法施行令50条)。3月決算の会社なら、法人税と同じ6月1日が起算日になります。
まとめ
法人の帳簿の保存期間の要点です。
この記事のまとめ
- 法人税法の原則は確定申告書の提出期限の翌日から7年
- 青色申告で欠損金が出た期は10年。欠損金の繰越期間10年と対応している
- 株式会社の会計帳簿は閉鎖の時から10年、計算書類は作成の時から10年(会社法)
- 消費税の帳簿・請求書等は、課税期間の末日の翌日から2か月を過ぎた日から7年
- 3月決算の2027年3月期なら、税法上の7年は2034年5月31日まで
- 令和8年4月1日以後に始まる事業年度は、関連者に払う経営指導料・ライセンス料などの明細の書類も7年保存
- 捨てる前に、欠損金の有無・会社法の10年・係争中の取引を確かめる
免責事項
※本記事は法人の帳簿書類の保存期間を、国税庁タックスアンサーとe-Gov法令検索の条文(2026年10月時点)に基づいて整理したものです。保存期限の日付は申告期限の延長が無い場合の目安です。会社の形態や事情によって保存の期間・方法が変わる場合があります。必要に応じて顧問税理士など有資格者へご相談ください。
