固定資産税の勘定科目は「租税公課」!仕訳のタイミングや家事按分の注意点を徹底解説

固定資産税の勘定科目と仕訳方法を専門家が詳しく解説。法人・個人事業主別の書き方、自宅兼事務所の按分ルール、不動産売買時の精算金の扱いなど、実務で迷うポイントを網羅。正しく処理して節税に繋げましょう。

毎年春ごろに届く「固定資産税」の納税通知書。経理担当者や個人事業主の方にとって、「どの勘定科目で処理すればいいのか?」「いつの時点で経費に落とせるのか?」は非常に迷いやすいポイントです。

固定資産税は、事業で使用する土地や建物にかかるものであれば、全額または一部を事業の経費として計上できます。しかし、計上するタイミングや、自宅兼事務所の場合の「按分(あんぶん)」の方法を間違えると、税務調査で修正を求められるリスクもあります。

本記事では、固定資産税の正しい勘定科目と仕訳例はもちろん、実務で差がつく「節税につながる計上時期」や「不動産売買時の特殊な処理」について、会計のプロの視点で分かりやすく解説します。

この記事の結論:固定資産税の処理ルール

  • 勘定科目: 原則として「租税公課(そぜいこうか)」を使用する。
  • 経費性の判断: 事業用の土地・建物・償却資産は経費になるが、私用分は「事業主貸」で処理。
  • 計上時期: 「納税通知書が届いた日」に全額未払計上するのが、最も早く経費化できてお得。
  • 売買時の注意: 不動産購入時に支払う「精算金」は、税金ではなく取得価額(資産の原価)に含める。
目次

固定資産税の勘定科目は「租税公課」

固定資産税を支払った際の勘定科目は、法人・個人事業主問わず「租税公課(そぜいこうか)」を使用します。租税公課とは、国税や地方税などの「租税」と、公的な団体への会費や手数料などの「公課」を合わせた科目です。

固定資産税以外にも、自動車税、印紙税、不動産取得税などもこの「租税公課」で処理します。一方で、所得税や法人税、住民税、延滞税などは経費にならないため、租税公課には含めないよう注意が必要です。

「租税公課」として認められる条件

固定資産税が経費(租税公課)として認められるのは、その資産を「事業の用」に供している場合に限られます。

  • 全額経費: 事務所、店舗、工場、事業用倉庫、事業用の土地など
  • 一部経費: 自宅兼事務所(仕事で使っている面積割合に応じて按分)
  • 経費不可: 完全にプライベートで使用している自宅や別荘

【ケース別】固定資産税の仕訳例と計上タイミング

固定資産税の仕訳で最も重要なのは「いつ経費にするか」というタイミングです。実は、以下の3つのタイミングから選択することができますが、実務上は「1」が最も推奨されます。

  1. 賦課決定の日(納税通知書が届いた日):その年度分をまとめて経費にできる
  2. 納期限の日:各期(第1期〜第4期)の期限ごとに経費にする
  3. 実際に支払った日:現金主義的な処理(管理は楽だが、決算跨ぎに注意)

1. 納税通知書が届いた日に「未払金」として計上する場合

通知書が届いた時点で、その年1年分の税額をすべて経費に計上する方法です。節税の観点からは、経費を早期に確定させられるこの方法が最も有利です。

借方科目金額貸方科目金額摘要
租税公課100,000未払金100,000R6年度固定資産税 通知分

2. 実際に現金で支払った場合(第1期分など)

分割払いの都度、支払った分だけを経費にする一般的な方法です。

借方科目金額貸方科目金額摘要
租税公課25,000現金(預金)25,000固定資産税 第1期分

3. 【個人事業主】自宅兼事務所の固定資産税を支払った場合

自宅の30%を仕事部屋として使っている場合などは、「家事按分」を行います。事業用以外の部分は「事業主貸」という科目を使います。

借方科目金額貸方科目金額摘要
租税公課3,000普通預金10,000事業分(30%)
事業主貸7,000個人分(70%)

税務調査で狙われる!「不動産売買時」の固定資産税精算金

不動産を年度の途中で購入・売却した際、売主と買主の間で固定資産税を日割り計算して精算することがあります。ここには税務上の大きな落とし穴があります。

買主が支払った「精算金」は、勘定科目の「租税公課」を使ってはいけません。

なぜなら、固定資産税は「1月1日時点の所有者」に納税義務があるため、年の途中で買った人は法律上の納税義務者ではないからです。この場合、支払った精算金は「税金」ではなく「売買対価の一部」とみなされます。

正しい処理:
買主が支払った固定資産税精算金は、建物の取得価額(資産)に含め、減価償却を通じて数年かけて経費化します。これを「租税公課」として一括経費にすると、税務調査で否認される可能性が高いため注意してください。

個人事業主が知っておくべき「家事按分」の妥当な基準

「自宅の固定資産税、何パーセントまで経費にしていいの?」という質問をよく受けます。税務署に根拠を説明できるようにするためには、以下のいずれかの基準で算出するのが一般的です。

  • 床面積比: 総床面積のうち、仕事専用で使用している部屋の面積割合。
  • 使用時間比: 共有スペースなどの場合、1日のうち仕事で占有している時間の割合。

「なんとなく半分」といった曖昧な根拠ではなく、間取り図などから算出した正確なパーセンテージを用いることが、税務調査対策の第一歩です。

まとめ:固定資産税を正しく処理してクリーンな決算を

固定資産税の処理は、一見シンプルですが、計上時期の選択や按分計算、売買時の取り扱いなど、専門的な判断が求められる場面が多々あります。

  • 勘定科目は「租税公課」
  • 節税したいなら「通知書が届いた日」に未払計上する。
  • 自宅兼事務所は「面積比」などで客観的に按分する。
  • 不動産購入時の精算金は「取得価額」に含める。

これらのルールを一度整理してしまえば、毎年の仕訳で迷うことはなくなります。もし、「計算が面倒」「毎年按分比率を忘れてしまう」という方は、自動計算機能が充実したクラウド会計ソフトの導入を検討してみてください。

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この記事を書いた人

会計・経理アドバイザー / 中小企業支援コンサルタント

経歴
大学卒業後、会計事務所で10年以上勤務し、法人・個人事業主の会計処理、税務申告、経理業務改善を多数経験。特に「勘定科目の設定・運用」に関して、企業規模や業種ごとに最適化したアドバイスを提供してきた。現在は独立し、経理の効率化や会計初心者向けの研修も実施。

専門分野
・勘定科目の選定・運用ルール作り
・会計ソフト導入と科目設定支援
・経理担当者の教育・研修
・中小企業の経営数字可視化サポート

サイトの目的
「勘定科目は難しい…」という声をなくし、初心者でも迷わず正しい科目選択ができるようにすること。具体例・図解・テンプレートを用いて、経理や会計業務の現場で即使える情報を発信しています。

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