再振替仕訳とは?決算整理の経過勘定を翌期首に戻す逆仕訳をやさしく解説

再振替仕訳とは、前期末の決算整理で計上した経過勘定(未払費用・前払費用・未収収益・前受収益)を、翌期首に反対仕訳で戻す逆仕訳です。目的は、翌期の会計処理をシンプルにして二重計上や計上漏れを防ぐこと。対象は4つの経過勘定に限られ、決算整理仕訳とちょうど借方・貸方が逆になります。

「そもそも再振替仕訳はなぜ必要なのか」「どの科目が対象か」「しないとどうなるのか」まで、仕訳例と図解で迷わないように整理します。

この記事でわかること

  • 再振替仕訳とは決算整理仕訳を翌期首に戻す逆仕訳という結論と、その目的
  • 対象は4つの経過勘定(未払費用・前払費用・未収収益・前受収益)だけという範囲
  • 未払費用・前払費用の期末→翌期首→期中の仕訳の具体例
  • 再振替仕訳をしない場合に起きる二重計上・計上漏れとの違い
  • 減価償却や貸倒引当金が再振替の対象外である理由など注意点

公的情報源: 企業会計原則 注解【注5】経過勘定項目について/日本商工会議所「簿記検定 出題区分表(3級・決算整理)」を参考に整理

結論を先に書きます

再振替仕訳とは、前期末の決算で計上した経過勘定を翌期首に戻す逆仕訳です。決算整理仕訳と借方・貸方がちょうど反対になります。

目的はシンプルで、翌期の帳簿から前期の見越し・繰延べを消し、二重計上や計上漏れを防ぐことです。対象は未払費用・前払費用・未収収益・前受収益の4つに限られます。

この記事の要点
  • 再振替仕訳=前期の決算整理仕訳の逆仕訳を翌期首(期首の日付)で行う
  • 対象は経過勘定4つ(未払費用・前払費用・未収収益・前受収益)のみ
  • 目的は翌期の処理を簡単にし、二重計上・計上漏れを防ぐこと
  • 減価償却累計額・貸倒引当金・棚卸資産の振替は再振替しない
  • 個人事業主も法人も考え方は同じ。会計ソフトなら期首に自動で戻すことが多い

目次

再振替仕訳とは|決算整理仕訳を翌期首に戻す逆仕訳

再振替仕訳とは、前期末の決算整理で計上した経過勘定を、翌期首の日付で反対に振り替える逆仕訳です。前期に「給料手当/未払費用」と計上したなら、翌期首に「未払費用/給料手当」と戻します。

経過勘定は、その期の損益を正しく計算するために、実際の入出金とは別のタイミングで費用・収益を調整する科目です。この調整は前期だけのものなので、期が変われば不要になります。

経過勘定は前期末に決算整理仕訳で計上し、翌期首に再振替仕訳で戻し、期中は通常どおり仕訳するという3ステップの流れ図
図:再振替仕訳は前期末の決算整理を翌期首にリセットし、期中の取引をシンプルに記録するための処理

再振替仕訳は、この「前期だけの調整」を翌期のはじめにいったんリセットする作業だと考えるとわかりやすくなります。会計処理全体の流れは会計処理とは?流れ・個人事業主と法人の違い・勘定科目の決め方でも整理しています。

ポイントは、再振替仕訳が決算整理仕訳とセットで初めて意味を持つという点です。前期末に見越し・繰延べをしたからこそ、翌期首に戻す必要が生まれます。

なぜ再振替仕訳が必要なのか|二重計上と計上漏れを防ぐ

再振替仕訳が必要な理由は、翌期に実際の入出金が起きたとき、帳簿をシンプルに処理できるようにするためです。前期の見越し分を戻しておかないと、同じ費用や収益を二重に計上してしまいます。

たとえば、前期末に翌月払いの給与20万円を「未払費用」で見越したとします。翌期に実際に給与を払ったとき、もし未払費用を戻していなければ、支払いの仕訳と前期の未払費用が二重に残ってしまいます。

再振替仕訳で期首に未払費用を戻しておけば、翌期の支払いは「給料手当/現金」といういつもどおりの仕訳だけで済みます。前期分を意識せずに、実際の取引をそのまま記録できるわけです。

つまり再振替仕訳は、経理担当者が翌期に前期の調整を覚えておかなくてよいようにする仕組みです。決算整理仕訳を残したままにすると、月次試算表の数値もずれてしまいます。

対象は4つの経過勘定|見越しと繰延べ

再振替仕訳の対象は、次の4つの経過勘定に限られます。見越し(当期に計上)と繰延べ(翌期へ送る)の2種類に分かれます。

経過勘定種類内容貸借の区分
未払費用見越し当期の費用だが未払い負債
未収収益見越し当期の収益だが未入金資産
前払費用繰延べ翌期分を当期に前払い資産
前受収益繰延べ翌期分を当期に前受け負債

見越しは「まだお金は動いていないが、当期の損益に入れるべきもの」を計上する処理です。未払費用と未収収益が該当します。詳しくは未払費用とは?未払金との違いと決算仕訳未収収益の勘定科目と仕訳|未収入金との違いで解説しています。

繰延べは「すでにお金は動いたが、翌期分を当期の損益から除く」処理です。前払費用と前受収益が該当します。前受けの扱いは前受金の勘定科目と仕訳は?前受収益・預り金との違いもあわせてご覧ください。

  • 再振替する:未払費用・未収収益・前払費用・前受収益(経過勘定4つ)
  • 再振替しない:減価償却累計額・貸倒引当金・商品(棚卸資産)の振替

再振替仕訳の具体例|未払費用の仕訳

未払費用を例に、期末・翌期首・期中の流れを見ていきます。ここでは翌月払いの給与20万円を前期末に見越したケースで考えます。

期末:決算整理で未払費用を計上する

前期の3月決算で、まだ払っていない当期分の給与20万円を「未払費用」として計上します。当期の費用にするため、借方に給料手当を立てます。

前期末の決算整理では借方に給料手当200,000円、貸方に未払費用200,000円を計上するT字勘定図
図:前期末は当期分の未払給与を「給料手当/未払費用」で見越し計上する
借方金額貸方金額摘要
給料手当200,000未払費用200,0003月分給与の見越し

これで前期の損益に3月分の給与が正しく反映されます。給与の科目の使い方は給料手当の勘定科目と仕訳|総額・控除・差引支給の流れで整理しています。

翌期首:再振替仕訳で未払費用を戻す

翌期の4月1日(期首)に、前期の決算整理仕訳を逆にした再振替仕訳を入れます。借方と貸方が期末とちょうど反対になります。

翌期首の再振替仕訳では借方に未払費用200,000円、貸方に給料手当200,000円を計上し前期の決算整理を戻すT字勘定図
図:翌期首は「未払費用/給料手当」と決算整理の逆仕訳を入れて前期分を戻す
借方金額貸方金額摘要
未払費用200,000給料手当200,000未払費用の再振替

この時点で、給料手当は貸方に20万円のマイナスが立った状態になります。前期分をいったん打ち消しているためです。

期中:実際に給与を支払う

4月に3月分の給与20万円を実際に支払ったとき、いつもどおり「給料手当/現金(普通預金)」で仕訳します。

借方金額貸方金額摘要
給料手当200,000普通預金200,0003月分給与の支払

再振替で貸方に立てた20万円と、支払時の借方20万円が相殺され、翌期の給料手当は結果ゼロになります。前期分を翌期の費用にしてしまう二重計上を防げるわけです。

前払費用も考え方は同じで、期末に「前払費用/支払保険料」と繰り延べ、翌期首に「支払保険料/前払費用」と戻します。翌期の費用として自動的に振り替わります。

再振替仕訳をしない場合との違い

再振替仕訳をしないと、翌期に費用・収益の二重計上や計上漏れが起きます。前期の見越し・繰延べが帳簿に残ったまま、実際の取引も記録されるためです。

再振替する場合は翌期の支払を通常仕訳で処理でき試算表が正確、しない場合は消し込み忘れで二重計上が起きるという比較図
図:再振替をすれば翌期の取引を通常どおり処理でき、しない場合は前期分の消し込みを忘れると二重計上になる

未払費用の例でいうと、再振替をせずに翌期の支払いを「給料手当/現金」と処理すると、前期の未払費用20万円が負債に残り続けます。実際には払い終わっているのに、帳簿上は未払いのままです。

これを避ける方法は2つあります。1つは再振替仕訳を入れて期首に戻す方法、もう1つは支払時に「未払費用/現金」と直接消し込む方法です。

再振替を使うほうが実務では主流です。理由は、支払時にいつもどおりの仕訳をするだけでよく、前期分を覚えておく必要がないからです。会計ソフトでは期首に自動で再振替を行う設定が多くあります。

項目再振替する再振替しない
翌期の支払仕訳通常どおり(給料手当/現金)未払費用を直接消す必要あり
前期分の記憶不要必要(忘れると二重計上)
試算表の正確さ保たれるずれやすい

再振替仕訳の注意点・よくある間違い

実務でつまずきやすいポイントを整理します。いずれも決算・翌期の帳簿に影響するため、先に押さえておくと安心です。

  1. 減価償却や貸倒引当金まで再振替してしまう
  2. 再振替の日付を期末にしてしまう
  3. 再振替をしたのに支払時も未払費用を消してしまう

間違い1:経過勘定以外まで再振替する

再振替の対象は経過勘定4つだけです。減価償却累計額・貸倒引当金・棚卸資産(商品)の振替は、翌期首に戻しません。これらは翌期以降も残高が続く科目のためです。

間違い2:日付を期末にする

再振替仕訳は翌期首(期首の日付)で計上します。決算整理と同じ期末日で入れると、前期の損益がゼロに戻ってしまい、決算そのものが崩れます。

間違い3:再振替と消し込みの二重処理

再振替で未払費用を戻したのに、支払時にもう一度「未払費用/現金」と処理すると、未払費用がマイナス残高になります。再振替をしたら、支払時は通常の費用仕訳だけにします。仕訳の考え方に不安があれば経理の「仕分け」とは?正しくは「仕訳」で基本を確認してみてください。

よくある質問

再振替仕訳でつまずきやすい5問を整理します。

Q1:再振替仕訳はいつ行いますか?

翌期首(期首の日付)に行います。前期末の決算整理仕訳を、翌期の最初の日付で借方・貸方を逆にして計上します。期末の日付で入れると決算が崩れるため注意してください。

Q2:再振替仕訳の対象になる科目は何ですか?

経過勘定の4つ(未払費用・未収収益・前払費用・前受収益)です。減価償却累計額・貸倒引当金・棚卸資産の振替は対象外で、翌期首に戻しません。

Q3:再振替仕訳をしないとどうなりますか?

翌期に費用・収益の二重計上や計上漏れが起きます。前期の見越し分が帳簿に残ったまま実際の取引も記録されるためです。再振替をしない場合は、支払時に未払費用を直接消し込む処理が必要になります。

Q4:個人事業主でも再振替仕訳は必要ですか?

必要になる場合があります。年をまたぐ未払費用や前払費用を計上したなら、翌年の1月1日に再振替します。ただし経過勘定を使っていなければ、再振替そのものが発生しません。

Q5:会計ソフトでは再振替仕訳を自分で入力しますか?

多くの会計ソフトでは、期首に自動で再振替する設定があります。決算整理仕訳に「翌期首に自動で戻す」フラグを付けると、手入力せずに逆仕訳が生成されます。設定を確認しておくと入力ミスを減らせます。

まとめ:再振替仕訳は「前期の調整を翌期首に戻す」だけ

最後に、再振替仕訳のポイントを整理します。

この記事のまとめ
  • 再振替仕訳=前期末の決算整理仕訳を翌期首に戻す逆仕訳
  • 対象は経過勘定4つ(未払費用・未収収益・前払費用・前受収益)だけ
  • 目的は二重計上・計上漏れを防ぎ、翌期の処理を簡単にすること
  • 減価償却累計額・貸倒引当金・棚卸資産の振替は再振替しない
  • 日付は翌期首。会計ソフトなら自動で戻す設定が多い

再振替仕訳は、決算整理仕訳とセットで覚えると仕組みがすっきり見えてきます。前期に見越し・繰延べをしたら、翌期首に同額を逆に戻す。これだけで翌期の帳簿は前期を気にせず回せます。年をまたぐ処理や個別の判断に迷う場合は、最新の会計基準を確認のうえ、税理士など有資格者に相談すると確実です。

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免責事項

※本記事は2026年時点の公開情報をもとに、簿記・会計の一般的な考え方を整理したものです。会計基準や実務の取り扱いは改正や個別の事情により異なる場合があります。個別の会計処理・決算判断は、最新の企業会計基準・国税庁の公式情報をご確認のうえ、税理士など有資格者にご相談ください。


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この記事を書いた人

会計事務所で10年以上、法人や個人事業主の帳簿づけと税務申告の手伝いをしてきたTanakaです。決算が近づくと、経営者から「この支払いはどの科目で処理すればいいですか」という電話を何度も受けました。答えは業種や会社の規模で変わります。そこを一つずつ、相手に合わせて説明してきました。

独立してからは、中小企業の経理担当者向けの研修や、freee・マネーフォワード・弥生の科目設定の相談にも応じています。教科書の説明は抽象的で、現場では「とりあえず雑費」で片づけてしまうことも少なくありません。このサイトでは、勘定科目の選び方の判断軸を、具体例をそえて整理しています。最終的な税務判断は、顧問税理士にご相談ください。

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