未払費用とは?未払金との違いと決算仕訳をわかりやすく解説【2026年】

未払費用は継続的な役務でまだ支払期日が来ていない費用を見越し計上する負債です。未払金との違いは役務提供が途中か完了かの1点。買掛金も含めた対照表、給料・利息・家賃の決算仕訳と再振替、消費税を計上しない扱いを解説します。

この記事でわかること

  • 未払費用は「継続的な役務でまだ支払期日が来ていない費用」を見越し計上する負債という定義と、経過勘定4兄弟のなかでの位置づけ
  • 未払費用と未払金の決定的な違い=役務提供が「途中」か「完了」かという1本の判定軸
  • 未払費用・未払金・買掛金を1枚の表で切り分ける対照表
  • 給料・利息・家賃・水道光熱費の決算時の見越計上と翌期首の再振替(逆仕訳)の仕訳例
  • 意外と誤りやすい「未払費用の見越計上に消費税(仮払消費税)は計上しない」という実務の扱い

公的情報源: 国税庁タックスアンサー No.5387(債務確定の判定)No.5380(短期前払費用)No.6165(前受金や前払金があるとき)

未払費用の見越計上と翌期首の再振替は、手作業だと戻し忘れや二重計上が起きやすい部分です。決算整理の仕訳をまとめて管理したい場合は、会計ソフトの活用も選択肢になります。

結論を先に書きます

未払費用とは、家賃・利息・給料のように「契約に従って継続的に受けているサービス」で、すでに提供を受けたのに支払期日が来ていない分を、当期の費用として見越し計上する負債の勘定科目です。決算日をまたいで発生する費用を、正しい期の損益に取り込むための「経過勘定」の1つになります。

未払金とよく混同されますが、切り分けの軸は1本だけ。未払費用は「継続的な役務が履行の途中」、未払金は「役務や物品の提供が完了した確定債務」です。この違いさえ押さえれば、給料・利息・家賃・水道光熱費のどれも迷いません。

この記事の要点
  • 未払費用=継続的役務の期間対応分を見越し計上する負債(経過勘定・流動負債)
  • 未払金との違いは「役務が途中か・完了か」の1軸。完了していれば未払金、継続中なら未払費用
  • 決算で費用/未払費用を計上し、翌期首に未払費用/費用の再振替(逆仕訳)で戻す
  • 見越計上の時点では消費税(仮払消費税)を仕訳に含めないのが実務上の一般的な扱い

目次

未払費用とは?経過勘定としての位置づけ

未払費用とは、一定の契約に従って継続して役務(サービス)の提供を受けている場合に、すでに提供を受けた分で、まだ支払期日が来ていない対価を、当期の費用として計上するときに使う負債の勘定科目です。貸借対照表では原則として流動負債に区分されます。

考え方の根拠は企業会計原則注解 注5の「経過勘定項目」です。役務の対価は時間の経過に伴って当期の費用として発生しているため、支払が済んでいなくても損益計算に計上し、あわせて負債の部に計上しなければならない、と示されています。つまり「お金を払ったか」ではなく「サービスを受けたか」で費用を認識するのが未払費用の出発点です。

経過勘定4兄弟のなかでの未払費用

未払費用は、決算をまたぐ費用・収益を調整する「経過勘定」の1つです。4つをセットで押さえると、どの科目を使うか迷わなくなります。

経過勘定B/S分類内容(継続的役務が前提)
未払費用負債提供を受け済み・未払い(費用の見越し)
未収収益資産提供し済み・未回収(収益の見越し)
前払費用資産未提供・支払済み(費用の繰延べ)
前受収益負債未提供・受取済み(収益の繰延べ)

未払費用と対になるのが未収収益です。自社が「継続的に受けているサービス」の未払分が未払費用、「継続的に提供しているサービス」の未回収分が未収収益、と鏡のような関係になります。勘定科目全体を横断で確認したいときは、勘定科目の用語集もあわせて確認してください。

未払費用と未払金の決定的な違い

未払費用と未払金は、どちらも「まだ払っていない負債」という点では同じです。混同が起きるのはここが理由です。ただし、切り分けの軸は「役務の提供が途中か、完了しているか」の1本だけです。

まずは未払費用・未払金・買掛金の3つを1枚の表で押さえてください。

項目未払費用未払金買掛金
対象継続的役務の期間対応分単発の役務・物品の確定債務本業の仕入(商品・原材料)代金
役務・引渡の状況契約履行の途中(継続中)提供・引渡が完了提供・引渡が完了(営業取引)
典型例未払利息・未払家賃・未払給料固定資産・消耗品・外注費の未払商品・原材料の仕入未払
主な発生タイミング決算での見越し計上期中の取引の都度期中の仕入の都度
経過勘定か該当する該当しない該当しない

判定の分かれ目は「役務提供の完了状況」

未払金は、物やサービスの提供がすでに終わっていて、金額も確定している確定債務に使います。たとえば固定資産や消耗品を購入して代金が翌月払いなら、引渡しは完了済みなので未払金です。

一方の未払費用は、家賃・利息のように契約が続いていて、時間の経過に応じて費用が積み上がっている「途中」の状態で使います。3月決算で、2月分・3月分の家賃が後払い契約でまだ支払期日が来ていない――このように「契約は継続中で、経過した期間分だけ費用が発生している」ものが未払費用です。

支払期日という観点でも整理できます。未払費用は保険料・家賃・給与のように支払期日があらかじめ定められた継続契約に紐づき、未払金は単発取引の確定債務に紐づく、と理解すると実務では迷いにくくなります。

未払費用と買掛金の違い

買掛金は、本業(営業取引)の仕入代金の未払いに限って使う科目です。商品や原材料を仕入れて代金が未払いなら買掛金になります。

未払費用も買掛金も「提供の完了/継続」という軸では立ち位置が異なりますが、実務での分かれ目は「営業取引の仕入かどうか」です。商品仕入の未払は買掛金、継続的な役務(家賃・利息など)の未払は未払費用、営業外の単発取引の未払は未払金――この3分類で切り分けます。買掛金そのものの詳しい扱いは、買掛金の勘定科目と仕訳で確認できます。

未払費用になる具体例(給料・利息・家賃・水道光熱費)

未払費用が登場する典型は、決算日をまたいで継続的に発生する費用です。代表的な4つを整理します。

費用未払費用になる状況借方(相手勘定)
給料給与計算期間が決算をまたぎ、労働提供済みの未払分給料手当
利息借入金利息が日割りで発生し、支払日が未到来支払利息
家賃後払い契約の事務所家賃で、経過期間の未払分地代家賃
水道光熱費決算日までに使用済みで、請求・支払が翌期水道光熱費

いずれも共通するのは、「サービスを受け終えた期間分」を当期の費用に取り込むという発想です。実際に請求書が届くのは翌期でも、当期に使った分は当期の費用として見越し計上します。給料の未払分は「未払賃金」「未払給料」として区分することもありますが、継続的に発生する労働対価という性質から未払費用の枠組みで扱うのが基本です。

未払費用の決算整理仕訳と翌期首の再振替

未払費用は、「決算時に費用を見越し計上」→「翌期首に再振替(逆仕訳)で戻す」の2ステップで処理します。この一往復で、費用が正しい期にだけ乗り、翌期の二重計上を防げます。

具体例として、借入金利息が日割りで発生し、決算日時点で5,000円が未払いのケースを見てみます。

まず、決算時の見越し計上です。

借方金額貸方金額
支払利息5,000未払費用5,000

摘要:借入金利息の当期経過分(○月○日〜決算日)を見越し計上

次に、翌期首の再振替仕訳(逆仕訳)です。決算で立てた未払費用を、期首に反対仕訳で取り消します。

借方金額貸方金額
未払費用5,000支払利息5,000

こうしておくと、翌期に利息をまとめて実際に支払ったとき、いつもどおり「支払利息/現預金」で仕訳するだけで、前期に計上済みの5,000円分が自動的に相殺されます。再振替をしないと、翌期の支払時に前期分まで二重で費用計上してしまうため、期首の逆仕訳はワンセットで覚えてください。

見越し計上と再振替の手順

未払費用の処理は、次の順番で進めると迷いません。

  1. 決算日までに提供を受けた「経過期間分」の金額を計算する(日割り・月割り)
  2. 決算整理仕訳で「費用(借方)/未払費用(貸方)」を計上する
  3. 翌期首に「未払費用(借方)/費用(貸方)」の再振替仕訳で戻す
  4. 翌期に実際の支払・請求が来たら、通常どおり「費用/現預金」で処理する

なお、家賃・給料・水道光熱費でも仕訳の型は同じです。決算時は「地代家賃/未払費用」「給料手当/未払費用」「水道光熱費/未払費用」を計上し、翌期首にそれぞれ逆仕訳で戻します。税務上も、その事業年度終了の日までに債務が確定している費用は損金に算入できるとされており(国税庁タックスアンサー No.5387)、経過期間分の見越し計上はこの債務確定基準の考え方とも整合します。

決算の見越し計上と翌期首の再振替は、件数が増えるほど「戻し忘れ」「二重計上」が起きやすい部分です。決算整理仕訳の登録から翌期の自動戻し・帳簿への反映まで一気通貫で扱えるのが会計ソフトの強みです。

freee会計で決算の未払費用を管理する(PR)詳細はリンク先をご確認ください

未払費用と消費税の関係(見越し計上時は不課税)

未払費用でつまずきやすいのが消費税の扱いです。結論は明確で、未払費用として見越し計上する時点では、消費税(仮払消費税)を仕訳に含めないのが実務上の一般的な扱いになります。消費税は、実際の支払い・請求が確定するタイミングで課税仕入れとして認識します。

理由は、課税仕入れを計上する時期が原則として「役務の提供を受けた日」とされ、決算での見越し計上段階では請求金額が確定しておらず、税額を切り出す前提が整っていないためです。前受金・前払金と同様に、消費税は資金の授受や見越しの時点ではなく、資産の譲渡等・役務提供の事実に対応して認識します(国税庁タックスアンサー No.6165)。

費用の種類ごとに、消費税の区分もあわせて整理しておきます。

費用消費税区分見越し計上時実際の支払・請求時
支払家賃(事務所)課税仕入れ消費税を計上しない課税仕入れとして認識
水道光熱費課税仕入れ消費税を計上しない課税仕入れとして認識
支払利息非課税仕入れ消費税なしそもそも非課税
給料不課税(対象外)消費税なし対象外のまま

支払利息はそもそも非課税仕入れ、給料は不課税(対象外)取引なので、見越し計上でも支払時でも消費税は生じません。一方、事務所家賃や水道光熱費は課税仕入れですが、未払費用の見越し計上の段階では税額を分けず、実際に支払・請求が確定した期に課税仕入れとして処理するのが基本になります。会計ソフトの標準的な運用も、未払費用の計上時は不課税、支払時に課税、という流れに沿っています。

未払費用を計上するときの実務ポイント

未払費用は決算でまとめて登場するため、処理の型を固めておくとミスが減ります。実務で押さえたいポイントを整理します。

  • 再振替はワンセット:決算で見越したら、翌期首の逆仕訳を必ず対で登録する(戻し忘れ=二重計上の温床)。
  • 科目の一貫性:同じ性質の費用は毎期同じ相手勘定(支払利息・地代家賃など)で処理し、未払費用の内訳を追えるようにしておく。
  • 金額根拠を残す:日割り・月割りの計算根拠(契約書・利率・利用期間)をメモや台帳に残すと、翌期の照合や税務調査で説明しやすい。
  • 未払金・買掛金との区分:継続的役務は未払費用、単発の確定債務は未払金、本業の仕入は買掛金――この3分類を決算前に一度チェックする。

税務では、当期の損金にできるのは「その事業年度終了の日までに債務が確定しているもの」に限られます(国税庁タックスアンサー No.5387)。逆に、翌期以降のサービス分まで当期に計上すると否認される余地があります。継続的な費用を支払時に一括で損金にしたい場合は、要件を満たせば短期前払費用(No.5380)の特例も選択肢になりますが、これは「前払費用」側の話であり、未払費用の見越し計上とは方向が逆である点に注意してください。実際の勘定科目の入力に迷ったときは、freee確定申告の勘定科目一覧も参考になります。

よくある質問

未払費用について、実務で頻出する疑問を整理します。

Q1:未払費用と未払金の違いを一言で言うと?

未払費用は「継続的な役務が履行の途中で、経過期間分の対価が未払い」の状態に使い、未払金は「役務や物品の提供が完了した確定債務が未払い」の状態に使います。判定軸は「サービスの提供が途中か・完了しているか」の1本です。家賃・利息のように契約が続いているものは未払費用、固定資産や消耗品の購入代金の未払いのように取引が完結しているものは未払金と考えると迷いません。

Q2:未払費用は貸借対照表のどこに載りますか?

未払費用は負債の勘定科目で、貸借対照表では原則として流動負債に区分されます。通常は1年以内に支払われる短期の費用が対象になるためです。決算日時点で、契約に従って提供を受けた役務のうち、まだ支払期日が来ていない金額を負債として計上します。

Q3:なぜ翌期首に再振替(逆仕訳)をするのですか?

決算で「費用/未払費用」を計上したままにすると、翌期に実際の支払いをしたとき、前期分まで二重で費用計上されてしまうためです。翌期首に「未払費用/費用」の逆仕訳を入れておくと、翌期の支払時に通常どおり「費用/現預金」で処理するだけで、前期計上分が自動的に相殺されます。見越し計上と再振替は必ずワンセットで行うのが原則です。

Q4:未払費用に消費税(仮払消費税)は計上しますか?

未払費用として見越し計上する時点では、消費税(仮払消費税)を仕訳に含めないのが実務上の一般的な扱いです。消費税は、実際の支払い・請求が確定した期に課税仕入れとして認識します。なお、支払利息はそもそも非課税仕入れ、給料は不課税(対象外)取引のため、いずれの時点でも消費税は生じません。家賃や水道光熱費は課税仕入れですが、見越し計上時は不課税で処理し、支払時に課税仕入れとして扱います。

Q5:給料の未払分は未払費用と未払金のどちらですか?

給与計算期間が決算をまたいでいて、すでに労働提供を受けた分がまだ支払われていない場合は、継続的な役務の対価という性質から未払費用(または未払賃金・未払給料)で処理するのが基本です。一方、賞与や退職金のように支給額が確定した単発の債務は、未払金で処理する場面もあります。継続的に発生する労働対価か、確定した単発債務かで切り分けます。

Q6:未払費用と未払金を間違えて計上したらどうなりますか?

いずれも負債である点は同じなので当期の損益(費用の金額)は変わりませんが、貸借対照表の表示区分が実態とずれます。継続的役務なのに未払金で処理していると、経過勘定としての内訳管理がしにくくなり、翌期の再振替や照合でも混乱が生じます。気づいた時点で正しい科目に振り替え、以降は3分類(未払費用・未払金・買掛金)の基準を決算前にチェックする運用にしておくと再発を防げます。

まとめ:未払費用は「役務が途中」の見越し負債

未払費用の判定を、最後にチェックリストで整理します。

この記事のまとめ
  • 未払費用=継続的役務で提供を受け済み・未払いの費用を見越し計上する負債(経過勘定・流動負債)
  • 未払金との違いは「役務が途中か・完了か」の1軸。完了=未払金、継続中=未払費用、本業の仕入=買掛金
  • 仕訳は決算で「費用/未払費用」→翌期首に「未払費用/費用」の再振替をワンセットで
  • 見越し計上時は消費税を計上しない(実際の支払・請求時に課税仕入れとして認識)
  • 当期に損金化できるのは債務が確定している経過期間分まで(翌期分の先取り計上はしない)

未払費用でつまずくのは、ほとんどが「未払金との違い」と「再振替の戻し忘れ」の2点です。役務が途中なら未払費用、完了していれば未払金という1本の軸と、見越したら翌期首に必ず逆仕訳で戻すという型さえ固めれば、給料・利息・家賃・水道光熱費のどれも同じように処理できます。

決算の見越し計上・翌期首の再振替・消費税区分の切り替えを手作業で回すのは、件数が増えるほど負担になります。決算整理の仕訳や自動戻しをまとめて扱いたい経理担当の方は、会計ソフトの無料プランで自社の運用に合うかを試してみるのが近道です。

マネーフォワード クラウド会計を無料で試す(公式)(PR)詳細はリンク先をご確認ください


関連記事


免責事項

※本記事は国税庁・企業会計原則の公開情報をもとに整理した一般的な情報です。契約形態が特殊な場合・高額な費用の期間按分・消費税の個別判定・税務調査対応など、個別の税務判断は所轄税務署の事前照会(書面照会・無料)または顧問税理士にご相談ください。


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

会計・経理アドバイザー / 中小企業支援コンサルタント

経歴
大学卒業後、会計事務所で10年以上勤務し、法人・個人事業主の会計処理、税務申告、経理業務改善を多数経験。特に「勘定科目の設定・運用」に関して、企業規模や業種ごとに最適化したアドバイスを提供してきた。現在は独立し、経理の効率化や会計初心者向けの研修も実施。

専門分野
・勘定科目の選定・運用ルール作り
・会計ソフト導入と科目設定支援
・経理担当者の教育・研修
・中小企業の経営数字可視化サポート

サイトの目的
「勘定科目は難しい…」という声をなくし、初心者でも迷わず正しい科目選択ができるようにすること。具体例・図解・テンプレートを用いて、経理や会計業務の現場で即使える情報を発信しています。

目次