決算利息(未収・未払利息)の勘定科目・仕訳|期間按分と経過勘定の考え方

決算利息の勘定科目は経過勘定で処理し、受け取る側は「未収利息(未収収益・資産)」、支払う側は「未払利息(未払費用・負債)」を使って期間按分します。利息は「元本×年利率×月数÷12」で月割計算し、翌期首に再振替(振戻)するのが基本。消費税は非課税です。

この記事でわかること

  • 決算利息の勘定科目は経過勘定(見越し・繰延)で、受取側=未収利息、支払側=未払利息が基本
  • 期末までに発生した未受取・未払の利息は「見越し」で当期に計上する
  • 前払い・前受けした利息は「繰延」で翌期へ送る(前払利息・前受利息)
  • 利息額は「元本×年利率×月数÷12」で期間按分し、決算整理仕訳を切る
  • 経過勘定は翌期首に再振替(振戻し)して二重計上を防ぐ
  • 利息そのものの消費税は非課税(消費税法施行令第10条)

公的情報源: 企業会計原則 注解【注5】(経過勘定項目について)/国税庁「No.6201 非課税となる取引」(参照

結論を先に書きます

決算利息は、経過勘定を使って当期分と翌期分に按分して処理します。ポイントは「どちら向きか」の2軸です。

利息を受け取る側か・支払う側か。そして、まだ受払していない分を当期に取り込む「見越し」か、すでに受払した分を翌期へ送る「繰延」か。この2軸で使う科目が決まります。

この記事の要点
  • 見越し(当期発生・未受払)→ 受取側は未収利息、支払側は未払利息
  • 繰延(受払済・翌期分)→ 支払側は前払利息、受取側は前受利息
  • 相手科目は受取利息(収益)/支払利息(費用)で、按分した分だけ当期損益を調整
  • 決算で計上した経過勘定は翌期首に逆仕訳(再振替)で戻す

目次

決算利息とは|経過勘定で期間按分する利息

決算利息は受取側か支払側かで分かれ、当期発生・未受払なら見越しで未収利息か未払利息、受払済み・翌期分なら繰延で前受利息か前払利息を使う判定フロー
図:受取か支払か、見越しか繰延かで使う経過勘定科目が決まる

決算利息とは、決算日をまたぐ借入金・貸付金・預金などから生じる利息のうち、受払の時期と発生の時期がズレる分を調整する処理を指します。

利息は日々発生しますが、実際の受払は利払日にまとめて行われます。そのため決算日時点では「発生済みだが未受払」「受払済みだが翌期の分」というズレが生じます。このズレを埋めるのが経過勘定です。

企業会計原則 注解【注5】は、継続的な役務提供にともなう費用・収益は発生主義で期間帰属させるよう定めています。利息はその代表例です。

なぜ按分が必要か

たとえば12月決算の会社が、10月1日に年利6%で1,000万円を借り、利払いは翌年3月末とします。12月末までの3か月分の利息は当期に発生していますが、支払いは翌期です。

この3か月分(1,000万円×6%×3÷12=15万円)を当期の費用に取り込むのが「見越し」です。放置すると当期の利益が過大になり、決算書がゆがみます。

見越しと繰延|4つの経過勘定科目

決算利息で使う経過勘定は、方向(受取・支払)×タイミング(見越し・繰延)の組み合わせで4つに整理できます。

経過勘定4科目の早見表

区分タイミング科目B/S区分相手科目
見越し(受取)当期発生・未受取未収利息資産(未収収益)受取利息
見越し(支払)当期発生・未払未払利息負債(未払費用)支払利息
繰延(支払)支払済・翌期分前払利息資産(前払費用)支払利息
繰延(受取)受取済・翌期分前受利息負債(前受収益)受取利息

「未収利息・未払利息・前払利息・前受利息」は、経過勘定である未収収益・未払費用・前払費用・前受収益を利息に特定した呼び名です。総勘定元帳では利息専用の科目として使い、決算書(B/S)では未収収益・未払費用などの表示科目にまとめるのが一般的です。

見越しと繰延の見分け方
  • 見越し=お金はまだ動いていないが、期間は経過している(当期に取り込む)
  • 繰延=お金はもう動いたが、期間はまだ来ていない(翌期へ送る)

未収利息の仕訳|受け取る側(貸付金・預金)の見越し

貸付金500万円・年利6%・3か月分の未収利息7万5000円を、借方 未収利息75000/貸方 受取利息75000で見越し計上する決算整理仕訳のT字勘定
図:当期発生分の利息を未収利息(資産)で計上し受取利息に振り替える

お金を貸している側で、決算日までに発生した利息をまだ受け取っていない場合、未収利息(未収収益)を計上します。

貸付金や定期預金の利息が代表例です。決算整理では、当期に発生した利息を「未収利息」(資産)として計上し、同額を「受取利息」(収益)に振り替えます。

ケース:貸付金の未収利息を見越し計上

3月決算の会社が、1月1日に年利6%で500万円を貸し付け、利払いは翌年12月末の一括後払いとします。1〜3月の3か月分が当期分です。

利息額は 500万円 × 6% × 3 ÷ 12 = 7万5,000円 です。

借方金額貸方金額摘要
未収利息75,000受取利息75,000貸付金利息の見越し(1〜3月分)

翌期首の再振替(振戻し)

経過勘定は、翌期首に逆仕訳で振り戻すのが原則です。振り戻さないと、翌期に利息を実際に受け取ったときに二重計上になります。

借方金額貸方金額摘要
受取利息75,000未収利息75,000期首再振替(見越しの戻し)

この振戻しにより、翌期に受け取る利息総額から前期取り込み分が差し引かれ、正しい期間損益に落ち着きます。なお受取利息そのものの科目や源泉徴収の扱いは、受取利息の勘定科目と仕訳で詳しく整理しています。

未払利息の仕訳|支払う側(借入金)の見越し

お金を借りている側で、決算日までに発生した利息をまだ払っていない場合、未払利息(未払費用)を計上します。

決算整理では、当期に発生した利息を「支払利息」(費用)に計上し、同額を「未払利息」(負債)として記帳します。

ケース:借入金の未払利息を見越し計上

12月決算の会社が、10月1日に年利4%で1,000万円を借り入れ、利払いは翌年3月末とします。10〜12月の3か月分が当期分です。

利息額は 1,000万円 × 4% × 3 ÷ 12 = 10万円 です。

借方金額貸方金額摘要
支払利息100,000未払利息100,000借入金利息の見越し(10〜12月分)

翌期首には、未収利息と同様に逆仕訳で振り戻します。

借方金額貸方金額摘要
未払利息100,000支払利息100,000期首再振替(見越しの戻し)

未払金との切り分けに迷う場合は、未払金と未払費用の違いもあわせてご覧ください。利息のように継続的な契約から時の経過で生じる債務は未払費用、確定した個別債務は未払金という切り分けが基本です。

前払利息・前受利息|繰延側の処理

利息を先に受払してしまった場合は、翌期に対応する分を繰延します。見越しの逆パターンです。

支払側で翌期分の利息を前払いしたなら「前払利息(前払費用)」、受取側で翌期分を前受けしたなら「前受利息(前受収益)」を使います。

ケース:翌期分の利息を前払いした

3月決算で、当期3月に翌期4〜6月分の借入利息3万円を前払いした場合、その3万円は翌期の費用です。決算で費用から資産へ振り替えます。

借方金額貸方金額摘要
前払利息30,000支払利息30,000翌期分利息の繰延

前受利息も向きが逆になるだけで考え方は同じです。受け取りすぎた利息のうち翌期分を「受取利息」から「前受利息」へ振り替えます。繰延も翌期首に再振替で戻します。

4パターンの相手科目まとめ
  • 未収利息 ↔ 受取利息(見越し・資産計上)
  • 未払利息 ↔ 支払利息(見越し・負債計上)
  • 前払利息 ↔ 支払利息(繰延・資産計上)
  • 前受利息 ↔ 受取利息(繰延・負債計上)

決算利息の消費税と実務上の注意点

決算利息にまつわる消費税と、按分でつまずきやすい点を押さえます。

利息の消費税は非課税

貸付金・預貯金の利息は消費税の非課税取引です。消費税法施行令第10条で「利子を対価とする金銭の貸付け」が非課税と定められています。

そのため、未収利息・未払利息・前払利息・前受利息を計上する決算整理仕訳でも、消費税は認識しません。会計ソフトの税区分は「非課税」または「対象外」に設定します。

項目消費税区分
借入金・貸付金の利息非課税
預貯金の利息非課税
経過勘定(未収・未払・前払・前受利息)認識しない

按分は月割が基本・日割が必要な場面もある

期間按分は月割(月数÷12)が実務の基本です。ただし貸付日や利払日が月の途中で、金額が大きい場合は日割(経過日数÷365)で精緻に計算することもあります。

どちらを採るかは継続適用が原則です。年度ごとに月割・日割を使い分けると、期間損益の比較可能性が損なわれます。

重要性が乏しい利息は計上を省略できることも

企業会計原則注解【注1】の重要性の原則により、金額的に重要性の乏しい経過勘定は計上を省略し、受払時に一括計上することも認められます。少額の預金利息などが典型です。

ただし借入金利息のように継続的で金額の大きいものは、原則どおり見越し計上が必要です。最終的な処理方針は顧問税理士に確認してください。

決算利息の勘定科目に関するよくある質問

決算での利息処理でつまずきやすい論点を整理します。

Q1:未収利息と未収収益は何が違いますか?

同じ経過勘定で、未収利息は未収収益の一種です。未収収益は役務提供の対価全般(利息・地代・家賃など)をまとめた科目で、そのうち利息に限定したのが未収利息です。総勘定元帳では利息専用の「未収利息」を使い、貸借対照表では「未収収益」に集約して表示するのが一般的です。

Q2:未払費用と未払利息はどう使い分けますか?

未払利息は未払費用の一種です。未払費用は継続的な契約で時の経過により発生する未払いの費用全般を指し、そのうち借入金などの利息分が未払利息です。仕訳の相手科目は「支払利息」で、B/Sでは「未払費用」に含めて表示します。確定した個別債務は未払金で処理し、混同しないよう注意します。

Q3:翌期首の再振替(振戻し)は必ず必要ですか?

原則として必要です。経過勘定を翌期首に逆仕訳で戻さないと、翌期に実際の利息を受払したときに前期取り込み分と重複し、二重計上になります。ただし洗替法を採る場合など、再振替を省略して翌期末に差額調整する方法もあります。継続適用が前提です。

Q4:利息の期間按分は月割と日割のどちらですか?

実務では月割(月数÷12)が基本です。「元本×年利率×月数÷12」で計算します。貸付・借入が月の途中から始まり金額が大きい場合は、日割(経過日数÷365)でより正確に按分することもあります。いったん採用した方法は継続適用します。

Q5:決算利息の仕訳で消費税は認識しますか?

認識しません。利息そのものが消費税の非課税取引(消費税法施行令第10条)のため、未収利息・未払利息・前払利息・前受利息を計上する決算整理でも消費税は発生しません。会計ソフトでは税区分を「非課税」または「対象外」に設定します。

Q6:個人事業主も決算(年末)で利息を見越し計上しますか?

事業用の借入金利息は見越し計上します。事業に関連する借入利息のうち、12月末までに発生した未払分は「支払利息/未払利息」で当期の必要経費に算入できます。一方、事業用預金の受取利息は利子所得(源泉分離課税)で完結するため、事業所得の未収計上はしないのが原則です。

まとめ|決算利息は「方向×タイミング」で科目が決まる

決算利息は、受払と発生の時期のズレを経過勘定で調整する処理です。方向とタイミングの2軸で科目を選べば迷いません。

この記事のまとめ
  • 決算利息の勘定科目は経過勘定。見越しは未収利息・未払利息、繰延は前払利息・前受利息
  • 受け取る側で未受取=未収利息(資産)/受取利息、支払う側で未払=支払利息/未払利息(負債)
  • 利息額は「元本×年利率×月数÷12」で期間按分(月割が基本・継続適用)
  • 決算で計上した経過勘定は翌期首に再振替(逆仕訳)で戻し、二重計上を防ぐ
  • 利息は消費税非課税(施行令第10条)。決算整理仕訳でも消費税は認識しない
  • 重要性の乏しい少額利息は計上省略も可。判断は顧問税理士に確認

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免責事項

※本記事は2026年7月時点の会計基準・税法に基づく一般的な情報の整理です。個別の会計・税務処理は、所轄税務署または税理士にご相談ください。


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この記事を書いた人

会計事務所で10年以上、法人や個人事業主の帳簿づけと税務申告の手伝いをしてきたTanakaです。決算が近づくと、経営者から「この支払いはどの科目で処理すればいいですか」という電話を何度も受けました。答えは業種や会社の規模で変わります。そこを一つずつ、相手に合わせて説明してきました。

独立してからは、中小企業の経理担当者向けの研修や、freee・マネーフォワード・弥生の科目設定の相談にも応じています。教科書の説明は抽象的で、現場では「とりあえず雑費」で片づけてしまうことも少なくありません。このサイトでは、勘定科目の選び方の判断軸を、具体例をそえて整理しています。最終的な税務判断は、顧問税理士にご相談ください。

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