この記事でわかること
- 受け取った補助金・助成金は原則「雑収入」(営業外収益)で計上する理由
- 収益計上は入金時ではなく「支給決定基準」が原則という落とし穴と仕訳
- 設備に充てる補助金で税金が一気に増えるのを防ぐ圧縮記帳の仕組みと仕訳例
- 補助金収入は不課税でも、買った設備は仕入税額控除の対象という消費税の分け方
公的情報源: 国税庁 タックスアンサー No.5762「国庫補助金等で取得した資産等の圧縮記帳」(参照)
結論を先に書きます
受け取った補助金・助成金は、本業の売上ではないため、原則として「雑収入」(営業外収益)で計上します。雇用調整助成金や各種補助金も同じ扱いです。
ただし論点は科目だけではありません。「いつ収益にするか(支給決定基準)」「設備に充てたとき税金が増えるのをどう防ぐか(圧縮記帳)」「消費税はどうなるか」まで広がります。処理を誤ると、計上時期のずれや過大な納税につながります。
- 科目は雑収入(営業外収益)が原則。固定資産取得に充てる国庫補助金等は圧縮記帳も選べる
- 収益計上は入金時ではなく支給決定があった日が基準(決算をまたぐと特に注意)
- 圧縮記帳は税の「繰り延べ」であって免除ではない
- 補助金収入は消費税不課税、買った課税仕入れは控除対象と分けて判断する
補助金・助成金の勘定科目は「雑収入」
補助金・助成金は本業の収益ではないため、原則として「雑収入」として営業外収益に計上します。事業の本来の売上と混ざらないよう、収益科目で別建てにして把握するのが基本です。
ケース別に整理すると、次のようになります。
| ケース | 勘定科目 | 区分 |
|---|---|---|
| 一般的な補助金・助成金の受給 | 雑収入 | 営業外収益 |
| 固定資産の取得に充てる国庫補助金等 | 雑収入(受贈益等)+圧縮記帳 | 営業外収益+課税繰延 |
| 個人事業主の事業関連の助成金 | 雑収入(事業所得) | 事業所得 |
固定資産の取得に充てる国庫補助金等は、要件を満たせば後述の圧縮記帳を選んで課税を繰り延べることができます。まずは「補助金=雑収入」を押さえておけば十分です。
収益計上のタイミングは「支給決定基準」
補助金・助成金で最も間違えやすいのが、収益にするタイミングです。原則は入金時ではなく支給決定があった日を基準に計上します(支給決定基準)。
交付決定通知などで支給を受けることが確定した時点で「未収入金」と「雑収入」を計上し、後日入金されたときに未収入金を消し込みます。
| 場面 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 支給決定時 | 未収入金 | 雑収入 |
| 入金時 | 普通預金 | 未収入金 |
注意したいのは決算期をまたぐケースです。支給決定が当期・入金が翌期になることもあります。この場合、入金がまだでも支給決定のあった当期に収益計上する点を忘れないでください。
補助金・助成金の仕訳例(借方/貸方)
実際の仕訳を、2つのパターンで確認します。
雇用調整助成金の支給決定→後日入金(法人・1,000,000円)
支給決定時は、入金前でも雑収入を立てます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 未収入金 | 1,000,000 | 雑収入 | 1,000,000 | 雇用調整助成金(支給決定) |
入金時に未収入金を消し込みます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 普通預金 | 1,000,000 | 未収入金 | 1,000,000 | 助成金入金 |
補助金の入金と支給決定が同時期(個人事業主・500,000円)
決定と入金がほぼ同時なら、未収入金を介さず一度で処理して構いません。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 普通預金 | 500,000 | 雑収入 | 500,000 | ○○補助金 |
個人事業主の場合、事業に関連する助成金は事業所得(雑収入)として扱います。
固定資産に補助金を充てる場合の「圧縮記帳」
設備など固定資産の取得に補助金を充てると、論点が一段深くなります。ここが補助金処理の山場です。
圧縮記帳とは
固定資産の取得に国庫補助金等を充てた場合、補助金収入がそのまま課税対象になると、補助を受けた年度に一度に税負担が生じてしまいます。これを緩和し、課税を将来へ繰り延べる仕組みが「圧縮記帳」です。
対象は要件を満たす国庫補助金等で、適用は任意の選択です。方式は主に2つあります。
| 方式 | 概要 |
|---|---|
| 直接減額方式 | 補助金相当額を「固定資産圧縮損」として計上し、資産の取得価額を直接減額する |
| 積立金方式 | 「圧縮積立金」を積み立て、剰余金の処分で対応する(資産の帳簿価額は減額しない) |
直接減額方式では、補助金で受贈益等を計上する一方、同額の圧縮損を計上して、その年度の課税所得への影響を相殺します。資産の取得価額が減るぶん、以後の減価償却費は小さくなります。つまり免除ではなく、将来の各年度へ税を繰り延べているだけです。減価償却の基本は減価償却とは?仕組みと計算方法で確認できます。
直接減額方式の仕訳例(補助金600,000円で機械1,000,000円を取得)
まず補助金を受給します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 普通預金 | 600,000 | 雑収入 | 600,000 | 設備補助金 |
次に機械を取得します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 機械装置 | 1,000,000 | 普通預金 | 1,000,000 | 機械購入 |
最後に補助金相当額を圧縮損として計上します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 固定資産圧縮損 | 600,000 | 機械装置 | 600,000 | 圧縮記帳(直接減額) |
これにより機械の帳簿価額は400,000円となり、翌期以降はこの金額をもとに減価償却を行います。圧縮記帳には要件・適用手続があり、対象となる補助金の範囲や方式の選択は個別判断を要します。適用にあたっては顧問税理士に確認してください。
補助金・助成金の消費税の扱い
消費税では、補助金収入と、その使い道を分けて考えるのがポイントです。
補助金・助成金は、特定の資産の譲渡やサービスの提供に対する対価ではないため、消費税の不課税(対象外)取引です。受け取っても課税売上にはならず、消費税の計算には含めません。
一方で注意したいのは、補助金で購入した物品・設備の側です。補助金で支払った経費や固定資産でも、それが課税仕入れに該当すれば、原則どおり仕入税額控除の対象になります。
| 項目 | 消費税区分 |
|---|---|
| 補助金・助成金の受給 | 不課税(対象外・対価性なし) |
| 補助金で購入した課税対象の物品・設備 | 課税仕入れ(10%など) |
「補助金が不課税だから、買った設備も控除できない」と思い込むと、控除を取りこぼします。収入側と仕入れ側の課税区分は別々に判断してください。消費税の科目全体は消費税の勘定科目と仕訳例で整理しています。
よくある質問
Q1:補助金・助成金の勘定科目は何になりますか?
原則として「雑収入」(営業外収益)で処理します。本業の売上ではないため、売上高とは区別して収益計上するのが基本です。固定資産の取得に充てる国庫補助金等は、要件を満たせば圧縮記帳を選択して課税を繰り延べることもできます。
Q2:補助金はいつ収益に計上しますか?
原則は入金時ではなく「支給決定があった日」を基準に計上します(支給決定基準)。支給決定通知などで受給が確定した時点で未収入金と雑収入を計上し、入金時に未収入金を消し込みます。決算期をまたぐ場合は計上時期に注意してください。
Q3:設備購入に補助金を使うと、その年に税金が増えますか?
補助金収入がそのまま所得に含まれると、一時的に税負担が増えます。これを緩和する仕組みが圧縮記帳です。要件を満たす国庫補助金等であれば、課税を将来の各年度へ繰り延べることができます。免除ではなく繰り延べである点に注意してください。
Q4:圧縮記帳の直接減額方式と積立金方式の違いは何ですか?
直接減額方式は圧縮損を計上して資産の取得価額を直接減らす方法、積立金方式は圧縮積立金を積み立てて対応し資産の帳簿価額は減らさない方法です。いずれも課税の繰り延べが目的ですが、要件や適用手続があるため、選択は個別判断を要します。
Q5:補助金・助成金に消費税はかかりますか?
かかりません。補助金・助成金は対価性がないため不課税(対象外)取引です。ただし、補助金で購入した課税対象の物品・設備の仕入れは、原則どおり仕入税額控除の対象になります。収入側と仕入れ側の課税区分は分けて判断してください。
まとめ:補助金・助成金の勘定科目チェックリスト
2026年時点の実務として、補助金・助成金は「科目」「計上タイミング」「圧縮記帳」「消費税」の4点を押さえると整理しやすくなります。
- 受給した補助金・助成金は原則「雑収入」(営業外収益)で計上する
- 収益計上は入金時ではなく「支給決定基準」が原則
- 支給決定時に未収入金/雑収入、入金時に未収入金を消し込む
- 固定資産取得に充てる国庫補助金等は圧縮記帳を選択できる
- 圧縮記帳は課税の「繰り延べ」であり免除ではない
- 補助金収入は消費税の不課税、購入した課税仕入れは控除対象
- 圧縮記帳の適用要件・方式選択は個別判断を要する
特に圧縮記帳は要件や手続があり、影響も大きいテーマです。判断に迷うケースは、必ず顧問税理士に確認してください。
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免責事項
※本記事は2026年時点の一般的な会計・税務の取り扱いを整理したものです。圧縮記帳の適用要件や個別の処理判断は、最新の国税庁情報を確認のうえ、必要に応じて顧問税理士へご相談ください。
