書籍・本の勘定科目は、新聞図書費が基本です。事業の情報収集で買う一般書籍・専門誌・電子書籍は新聞図書費、資格取得や研修に直結する教材は研修費、少額でどこにも当てはまらない本は消耗品費や雑費で処理します。単価10万円以上で長く使う資料集などは資産計上します。電子書籍や海外購入は消費税の区分にも注意が必要です。
この記事でわかること
- 書籍・本の勘定科目は「新聞図書費」が基本。ただし「何のための本か」で研修費・消耗品費にも分かれる
- ケース別の使い分け(一般書籍・資格本・高額資料・少額の本)を判定フロー+早見表で整理
- 迷ったときの3つの判断軸(目的/金額10万円/私的利用の混在)で科目が一つに絞れる
- 個人事業主は私的な本を家事按分、法人は事業目的なら原則全額経費
- 借方・貸方つきの仕訳例と、電子書籍・定期購読新聞・海外購入の消費税まで網羅
公的情報源: 国税庁 No.2210 やさしい必要経費の知識/国税庁 No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の特例/国税庁 No.6118 国境を越えた役務の提供に係る消費税
結論を先に
書籍・本の勘定科目は、基本が「新聞図書費」です。事業に必要な情報や知識を得るために買う本は、紙でも電子でも新聞図書費で処理します。
ただし「書籍=新聞図書費」で固定ではありません。何のために買った本かによって、研修費・消耗品費・資産計上にも分かれます。まず本の目的を見て、内容に合う科目へ振り分けるのが基本です。
この記事では、ケース別の勘定科目・使い分けの判断軸・仕訳例・消費税までを、国税庁の一次情報をもとに整理します。
- 書籍の科目は目的で判断。情報収集=新聞図書費、資格・研修=研修費、少額=消耗品費/雑費
- 単価10万円以上で長く使う資料は費用でなく資産計上(青色申告は30万円未満の特例あり)
- 個人事業主は私的な本を家事按分。趣味の本まで経費にしない
- 消費税は書籍・雑誌が10%、定期購読の新聞が8%。電子書籍・海外購入は区分が変わる
書籍・本の勘定科目は「新聞図書費」が基本
書籍・本の勘定科目は、まず新聞図書費を基本に考えます。事業のために情報や知識を得る目的で買う本は、この科目で処理するのが自然だからです。
新聞図書費とは、事業に必要な書籍・雑誌・新聞などの購入費をまとめる費用科目です。専門書・業界誌・電子書籍・年間購読料・データベースの利用料なども、ここに含めて問題ありません。
だからこそ、書籍で迷うのは「経費かどうか」ではなく「どの科目を使うか」です。目的で振り分けられれば、本の処理はほぼ完了します。
なぜ「新聞図書費」が基本なのか
書籍は、事業の情報収集や調査のために買うことがほとんどです。業務に役立つ知識を得るための支出なので、その用途を表す新聞図書費がいちばん実態に合います。
専用の科目を設けていない場合は、消耗品費や雑費でも間違いではありません。ただし金額がまとまるなら、新聞図書費で独立させたほうが「何にいくら使ったか」が決算書で見やすくなります。勘定科目の基本的な考え方は勘定科目とは(資産・負債・純資産・収益・費用の5区分)もあわせて確認してください。
金額ではなく「何のための本か」で決まる
書籍の科目は、金額の大小では決まりません。1,000円の実務書でも3万円の専門書セットでも、情報収集が目的なら同じ新聞図書費です。
金額ラインが問題になるのは、単価が高く長く使う「資料」を買ったときだけです。10万円以上の資料集などは、費用ではなく資産計上して減価償却する話になります(後述)。まずは「その本は何のためか」を先に見ましょう。
ケース別の勘定科目(一般書籍・資格本・高額資料・少額の本)
書籍を目的で分けると、使う科目がはっきりします。まず全体像を判定フローと早見表で押さえましょう。

書籍の目的別 勘定科目 早見表
| 本の目的・内容 | 使う勘定科目 | 具体例 |
|---|---|---|
| 事業の情報収集・実務の一般書籍 | 新聞図書費 | 専門書・ビジネス書・業界誌・地図・電子書籍 |
| 定期購読の新聞・雑誌 | 新聞図書費 | 日経・業界紙・年間購読の雑誌 |
| 資格取得・研修に直結する教材 | 研修費 | 試験の対策本・講座の指定テキスト |
| 全社員向けの図書・書棚の福利図書 | 福利厚生費 | 休憩室の書籍・社内文庫 |
| 単価10万円以上で長く使う資料 | 資産計上(工具器具備品等) | 高額な判例集・専門資料のセット |
| 少額でどこにも当てはまらない本 | 消耗品費/雑費 | 数百円の実務書・使い切りの小冊子 |
ポイントは、同じ「本」でも目的で科目が分かれる点です。「本だからとりあえず雑費」とまとめず、内容に合う科目を選びます。
事業の情報収集で買う本は「新聞図書費」
業務に役立つ専門書・ビジネス書・業界誌・電子書籍などは、新聞図書費で処理します。書籍の科目でもっともよく使う、基本の受け皿です。
紙か電子かは問いません。事業に必要な情報収集のための支出であれば、新聞図書費が自然な科目です。地図・年間購読料・オンラインのデータベース利用料も、情報を得る目的なら同じく新聞図書費でまとめられます。
資格取得・研修に直結する教材は「研修費」
セミナー・研修・資格取得に紐づく教材は、書籍でも研修費で処理するほうが実態に合います。「本の代金」というより「学ぶための費用」だからです。
たとえば簿記や宅建の対策本、受講している講座の指定テキストなどは研修費でまとめると、教育・スキル投資の金額がひと目で分かります。研修費の範囲や仕訳は研修費の勘定科目と仕訳(セミナー・研修費用の範囲)で整理しています。
単価が高く長期利用する資料は「資産計上」
判例集や専門資料のセットなど、単価が10万円以上で長期にわたり使う資料は、費用ではなく資産として計上し、減価償却する場合があります。書籍でも「消耗する経費」ではなく「価値の続く資産」とみなされるケースです。
なお青色申告をしている中小事業者などは、取得価額30万円未満なら一括で経費にできる特例(少額減価償却資産の特例)を使えます。年間300万円までという上限つきです(国税庁 No.5408・2026年時点)。判断の考え方は減価償却費の勘定科目と仕訳(資産計上の基準)もあわせて確認してください。
少額でどこにも当てはまらない本は「消耗品費・雑費」
数百円の実務書や使い切りの小冊子など、少額でどのグループにも当てはめにくい本は、消耗品費や雑費で処理して構いません。
ただし雑費が膨らむと中身が見えなくなります。金額がまとまるものは新聞図書費に寄せるのが基本です。消耗品費・雑費の使いどころは消耗品費の勘定科目と10万円基準や雑費の勘定科目と使える範囲の限界で整理しています。
新聞図書費・研修費・消耗品費の使い分け(迷ったときの判断軸)
「この本はどの科目?」と迷ったら、次の3つの軸で考えると振り分けやすくなります。
- 目的は情報収集か、それとも資格・研修に直結するか
- 単価は10万円以上で、長期にわたり使う資料か
- 私的利用(趣味の本)が混じっていないか
この順で見ていけば、科目はほぼ一つに絞れます。それぞれのポイントを補足します。
軸1:目的(情報収集か、資格・研修か)
まず本の目的を見ます。業務の情報収集なら新聞図書費、資格や研修に直結する教材なら研修費が出発点です。
判断に迷うのは、資格関連の実務書のようなグレーな本です。「日々の業務でも使う参考書」なら新聞図書費、「特定の講座・試験のための指定教材」なら研修費、と主目的で寄せると決めやすくなります。
軸2:金額(10万円以上で長く使う資料か)
次に単価を見ます。通常の書籍はそのまま費用です。一方、10万円以上で長期利用する資料集は資産計上の対象になり得ます。
「使い切る本か、長く価値が続く資料か」で線を引きます。ふつうのビジネス書が資産になることはまずありません。高額な専門資料のセットを買ったときだけ意識すれば十分です。
軸3:私的利用が混じっていないか
最後に、趣味や私用の本が混じっていないかを確認します。事業と関係のない小説・趣味の雑誌は経費になりません。
事業用と私用の両方に使う本(自己啓発書など)は、個人事業主なら業務ぶんだけを家事按分します(次章)。「事業に必要だと説明できるか」を基準にすると迷いません。
個人事業主は私的な本を家事按分、法人は原則全額経費
書籍を経費にできる範囲は、個人事業主と法人で考え方が変わります。
結論として、個人事業主は私的利用ぶんを家事按分し、事業割合だけを経費にします。法人は事業のために買った本なら、原則として全額を経費にできます。
個人事業主は事業に使う割合だけを経費にする
自己啓発書や幅広い一般書など、プライベートでも読める本は、事業で使う割合を合理的に見積もって按分します。国税庁も、家事上の費用と業務上の費用が混在する場合は、業務に必要な部分だけを必要経費にできるとしています(国税庁 No.2210・やさしい必要経費の知識)。
たとえば仕事にも趣味にも使う本を「業務8割・私用2割」で使うなら、8割だけを経費にします。按分の基準(用途や利用状況)は記録して残しておくと安心です。仕訳の考え方は仕訳とは(借方・貸方の基本ルール)で確認できます。
法人は事業目的なら原則全額を経費にできる
法人が事業のために買った書籍は、原則として全額を経費にできます。業務に使う専門書・業界誌などは、事業に直接役立つため按分の問題は起きにくいです。
ただし、役員個人の趣味的な本(仕事と関係のない小説など)を法人の経費で買うと、役員賞与や給与とみなされるリスクがあります。事業との関連性を説明できる本に絞るのが安全です。
書籍の仕訳例【借方・貸方つき】
ここでは、代表的な書籍の仕訳を借方・貸方つきで示します。まず基本のイメージを図で確認しましょう。

仕訳例①:業務用の専門書を現金で購入
事業に使う専門書3,000円を現金で買いました。情報収集のための本なので新聞図書費で処理します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 新聞図書費 | 3,000 | 現金 | 3,000 |
普通預金から払うなら貸方を普通預金に、クレジットカード払いなら利用時に未払金を立てて後日の引き落としで消します。書籍の科目でいちばん基本になる仕訳です。
仕訳例②:資格試験の対策本をカードで購入
受講している講座の対策本4,500円をクレジットカードで買いました。研修に直結する教材なので研修費で処理します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 研修費 | 4,500 | 未払金 | 4,500 |
資格・研修に紐づく本を研修費でまとめると、教育費の合計がひと目で分かります。日々の実務にも使う本なら新聞図書費でも構いませんが、社内で科目のルールを決めておくと処理がぶれません。
仕訳例③:定期購読の年払いを前払費用で按分
業界誌の年間購読12,000円を10月1日に一括で払いました(12月決算)。翌期分は前払費用で按分します。
【支払い時】
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 新聞図書費 | 3,000 | 普通預金 | 12,000 |
| 前払費用 | 9,000 |
当期(10〜12月の3か月)分3,000円だけを費用にし、残り9か月分9,000円は前払費用に計上します。翌期に月数の経過に応じて費用へ振り替えます。年払いの購読は按分が抜けやすいポイントです。
仕訳例④:個人事業主が私用混在を家事按分
個人事業主が自己啓発書2,000円を事業用口座から買い、事業利用割合を80%と見積もりました。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 新聞図書費 | 1,600 | 普通預金 | 2,000 |
| 事業主貸 | 400 |
事業ぶん1,600円だけを経費(新聞図書費)にし、私用ぶん400円は事業主貸で処理します。私的利用が混じる本は、この家事按分を忘れないようにしましょう。
書籍の消費税(課税・電子書籍/海外は区分注意)
最後に、書籍の消費税を押さえます。税率と区分が本の形態で変わる点が注意どころです。
紙の書籍・雑誌は10%、定期購読の新聞は8%
紙の書籍・雑誌は標準税率10%の課税仕入です。支払った消費税は、原則として仕入税額控除の対象になります。
一方、定期購読契約に基づき週2回以上発行される新聞は、軽減税率8%の対象です(国税庁の軽減税率制度)。同じ「読み物」でも新聞と書籍・雑誌で税率が違う点に注意しましょう。
書籍・新聞の消費税 税率区分
| 本の形態 | 消費税の扱い |
|---|---|
| 紙の書籍・雑誌 | 標準税率10%(課税仕入) |
| 定期購読・週2回以上発行の新聞 | 軽減税率8% |
| 電子書籍・電子版の新聞 | 電気通信利用役務の提供(軽減税率の対象外・原則10%) |
| 海外事業者から直接購入する電子書籍 | 区分が変わる(下記) |
電子書籍・海外購入は区分に注意
電子書籍や電子版の新聞は、紙と違い「電気通信利用役務の提供」に当たります。定期購読の新聞であっても電子版は軽減税率の対象外で、原則10%になります。
さらに、海外事業者からネット経由で直接買う電子書籍は、国内サービスとは別ルールです(国税庁 No.6118)。事業者向けのサービスはリバースチャージ方式、消費者向けは相手が登録国外事業者であれば仕入税額控除ができます。
ただし課税売上割合が95%以上の課税期間などは、当分の間リバースチャージの申告が不要とされています。判断に迷う場合は顧問税理士に確認すると安全です。
よくある質問
書籍・本の勘定科目について、よく寄せられる疑問を整理します。
Q1:書籍・本の勘定科目は何を使えばいいですか?
書籍・本の勘定科目は、新聞図書費が基本です。事業の情報収集のために買う専門書・ビジネス書・業界誌・電子書籍は、紙でも電子でも新聞図書費で処理します。ただし「本だから新聞図書費」で固定ではなく、目的によって研修費・消耗品費・資産計上にも分かれます。資格や研修に直結する教材は研修費、少額でどこにも当てはまらない本は消耗品費や雑費、単価10万円以上で長く使う資料集は資産計上、という具合です。まず「何のための本か」を見て、内容に合う科目に振り分けるのが基本です。
Q2:新聞図書費と消耗品費はどう使い分けますか?
情報や知識を得る目的の本は新聞図書費、その本が事業の情報収集と直接結びつかず少額の場合は消耗品費で処理します。実務では、事業用の書籍・雑誌・新聞はまず新聞図書費に寄せるのが基本です。数百円の使い切りの小冊子など、専用科目を設けるほどでもない少額の本は消耗品費や雑費でも構いません。ただし雑費・消耗品費が膨らむと決算書で中身が見えなくなるため、金額がまとまる書籍は新聞図書費で独立させたほうが管理しやすくなります。一度決めた科目は継続して使うことも大切です。
Q3:資格取得の本は新聞図書費と研修費どちらですか?
資格や研修に直結する教材は研修費、日々の業務にも使う参考書は新聞図書費で処理するのが自然です。たとえば受講している講座の指定テキストや、特定の試験のための対策本は、研修費でまとめると教育・スキル投資の金額がひと目で分かります。一方、資格に関連していても日常の実務で幅広く使う実務書なら、新聞図書費でも問題ありません。どちらか迷うときは「その本の主目的が学習・受験か、それとも日常の情報収集か」で寄せると決めやすくなります。社内で科目のルールを決めておくと、担当者が変わっても処理がぶれません。
Q4:高額な書籍やセットの資料は経費にできますか?
通常の書籍はその期の経費(新聞図書費など)にできますが、単価が10万円以上で長期にわたり使う資料集などは、費用ではなく資産として計上し、減価償却する場合があります。書籍でも「消耗する経費」ではなく「価値が続く資産」とみなされるためです。ただし青色申告をしている中小事業者などは、取得価額30万円未満なら年間300万円まで一括で経費にできる少額減価償却資産の特例を使えます(国税庁 No.5408)。ふつうのビジネス書が資産になることはまずなく、高額な専門資料のセットを買ったときだけ意識すれば十分です。
Q5:個人事業主は趣味の本も経費にできますか?
事業と関係のない趣味の本(小説・趣味の雑誌など)は経費にできません。事業用と私用の両方に使う本(自己啓発書など)は、業務で使う割合を合理的に見積もって家事按分し、その事業割合だけを経費にします。たとえば仕事にも趣味にも使う本を業務8割・私用2割で使うなら、8割だけを新聞図書費などで経費にし、残りは事業主貸で処理します。国税庁も、家事上と業務上の費用が混在する場合は業務に必要な部分だけを必要経費にできるとしています。按分の基準は記録して残しておくと安心です。
Q6:電子書籍や海外で買った本の消費税はどうなりますか?
電子書籍や電子版の新聞は「電気通信利用役務の提供」に当たり、紙のように軽減税率の対象にはならず原則10%です。紙の書籍・雑誌も標準税率10%で、定期購読・週2回以上発行の新聞だけが軽減税率8%になります。さらに海外事業者からネット経由で直接買う電子書籍は国内サービスと別ルールで、事業者向けはリバースチャージ方式、消費者向けは相手が登録国外事業者であれば仕入税額控除ができます(国税庁 No.6118)。判断に迷うときは登録番号を請求書で確認し、顧問税理士に相談すると安全です。
まとめ:書籍の勘定科目は「何のための本か」で決まる
書籍・本の勘定科目のポイントを最後に整理します。
- 書籍・本の勘定科目は新聞図書費が基本。ただし目的で研修費・消耗品費にも分かれる
- 情報収集=新聞図書費、資格・研修=研修費、少額=消耗品費/雑費
- 単価10万円以上で長く使う資料は資産計上(青色は30万円未満の特例あり)
- 個人事業主は私的な本を家事按分し、事業割合だけを経費にする
- 消費税は書籍・雑誌10%・定期購読新聞8%。電子書籍・海外購入は区分に注意
書籍でつまずきやすいのは、「本だからとりあえず雑費」とまとめてしまうことです。「何のための本か」を先に見て目的で振り分ければ、科目はほぼ迷いません。関連記事もあわせて確認してください。
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免責事項
※本記事は国税庁等の公開情報をもとに整理した一般的な情報です。個別の会計処理・税務判断(書籍代の科目選択、資産計上の要否、家事按分の割合、電子書籍・海外購入の消費税区分、軽減税率の適用など)は、所轄税務署の事前照会(書面照会・無料)または顧問税理士にご相談ください。
