納税証明書の勘定科目|租税公課と支払手数料の使い分け・発行手数料の仕訳と消費税

納税証明書の発行手数料の勘定科目は「租税公課」または「支払手数料」で処理し、少額なら雑費も使えます。決めたら継続適用が原則です。税務署の手数料は書面請求で1枚400円(e-Taxのオンライン請求なら370円)、消費税は非課税仕入れとして扱います。

租税公課と支払手数料のどちらを選ぶかの目安、その1〜その4という種類ごとの手数料の数え方、経費にできる取得とできない取得の線引きは、このあと順に整理します。

この記事でわかること

  • 納税証明書の発行手数料の勘定科目は「租税公課」または「支払手数料」のどちらでも処理できる
  • 2科目の使い分けの目安(公的負担で揃える/手数料で揃える)と、決めたら継続適用する理由
  • 手数料は書面請求で1枚400円、e-Taxのオンライン請求なら370円。種類(その1〜その4)で数え方が変わる
  • 役所に納める手数料は消費税が非課税(非課税仕入れ)。税理士など専門家への報酬は課税10%で分ける
  • 融資・入札・許認可など事業目的の取得は経費、私的目的の取得は対象外という線引き

公的情報源: 国税庁「No.6201 非課税となる取引」(参照)/国税庁 e-Tax「納税証明書の交付請求について」(参照

結論を先にまとめます

融資審査や入札参加資格の申請で使う納税証明書。その発行手数料の勘定科目は、「租税公課」または「支払手数料」のどちらでも処理できます。どちらか一方を選び、社内で統一して使い続けるのが基本です。

税務署などに納める公的な手数料という性質を重視すれば租税公課、役務に対する手数料という性質を重視すれば支払手数料。唯一の正解はありません。会計ソフトの初期設定や顧問税理士の指定があれば、それに合わせれば十分です。

この記事の要点
  • 発行手数料の科目は租税公課 or 支払手数料。決めたら毎期同じ科目で継続する
  • 手数料は書面請求400円・e-Tax請求370円(1税目・1年度・1枚あたり/種類で数え方が変わる)
  • 役所に納める手数料は消費税が非課税(会計ソフトでは「非課税仕入れ」)
  • 経費にできるのは事業に関連する取得のみ。私的な取得は対象外

目次

納税証明書の発行手数料はどの勘定科目?

納税証明書の発行手数料の勘定科目を、租税公課と支払手数料のどちらでも可、税金でまとめるなら租税公課、手数料でまとめるなら支払手数料、少額なら雑費も可という順で示した判定フロー。
図:発行手数料は租税公課か支払手数料が基本、少額・少件数なら雑費も可。消費税は非課税仕入れ。

納税証明書とは、納めるべき税額や納税の有無を税務署などが証明する公的書類です。その発行手数料は「租税公課」または「支払手数料」で処理します。

どちらを使っても会計上・税務上の問題はありません。役所に納める手数料であれば、住民票や印鑑証明などと扱いは共通です。

少額かつ件数が少なければ「雑費」でまとめる事業者もあります。ただし雑費が膨らむと中身が見えにくくなるため、行政手数料が多い場合は租税公課か支払手数料で管理するほうが整理しやすいです。

支出の内容よく使う勘定科目
税務署の納税証明書(その1〜その4)の発行手数料租税公課 または 支払手数料
都道府県税・市区町村税の納税証明書の手数料租税公課 または 支払手数料
e-Tax(オンライン請求)で受け取る場合の手数料租税公課 または 支払手数料
税理士など専門家に取得代行を依頼した報酬支払手数料(報酬部分は課税10%)

科目の選び方よりも大切なのは、同じ性質の支出には同じ科目を継続して使うことです。前年比較や残高分析のしやすさにつながります。

租税公課と支払手数料の使い分け

どちらを使うかは、事業者の考え方や経理方針によります。判断の目安は次の2軸です。

  • 租税公課:税金や公的な負担金・手数料をまとめて管理したい場合に向く
  • 支払手数料:振込手数料や各種手数料と一緒に「手数料」で管理したい場合に向く

租税公課でまとめると、固定資産税・自動車税・印紙税などと同じ科目で公的支出を一覧できます。会計ソフトの多くも、行政手数料の初期設定を租税公課にしています。

一方、支払手数料でまとめると、振込手数料や仲介手数料と並べて手数料コストを横断で把握しやすくなります。バックオフィスの手数料を一括で見たい会社に向く方法です。

顧問税理士や会計事務所の指定がある場合は、それに合わせます。一度決めたら毎期同じ科目を使い続けるのが基本です。期によって科目が揺れると、決算書の見え方がぶれてしまいます。

種類(その1〜その4)と手数料の数え方

納税証明書には、証明する内容ごとに4つの種類があります。取得目的によって必要な種類が変わるため、まず何を求められているかを確認します。

納税証明書の種類と主な用途

種類証明する内容主な用途
その1納付すべき税額・納付済額・未納税額融資審査・許認可申請
その2所得金額融資・奨学金・扶養の証明
その3未納の税額がないこと入札参加資格・建設業許可
その4証明を受けようとする期間に滞納処分を受けたことがないこと各種許認可・登録

手数料は、税務署の窓口・郵送での書面請求なら1税目・1年度・1枚につき400円です。e-Taxを使ったオンライン請求で書面を受け取る場合は、1枚370円と30円安くなります(国税庁 e-Tax「納税証明書の交付請求について」)。

数え方は種類で変わります。その1・その2は「税目や年度の数 × 単価」、その3・その4は原則「1枚あたりの単価」です。複数年度・複数税目を求められると枚数が増え、手数料の合計も大きくなります。

なお、都道府県税や市区町村税の納税証明書は、各自治体の窓口で取得します。手数料は自治体ごとに異なり、200〜400円程度が目安です。勘定科目の扱いは税務署の証明書と同じで問題ありません。

仕訳例(納税証明書の発行手数料370円)

納税証明書の発行手数料370円は、借方が租税公課または支払手数料、貸方が現金で、消費税は非課税仕入れとして処理する仕訳例。
図:納税証明書(その3)の発行手数料370円は租税公課(または支払手数料)で計上し、非課税仕入れで処理する。

具体的な仕訳を見ておきましょう。借方は租税公課(または支払手数料)で揃えます。

入札参加資格の申請に使う「その3(未納の税額がないこと)」を、e-Taxのオンライン請求で取得し、手数料370円を現金で支払ったケースです。

借方金額貸方金額
租税公課(または支払手数料)370円現金370円

次に、融資審査のために「その1」を税務署の窓口で書面請求し、手数料400円を支払った場合も同様です。

借方金額貸方金額
租税公課(または支払手数料)400円現金400円

ポイントは金額の大小ではなく、科目を社内で統一しておくこと。少額でも件数が積み重なると、科目がばらつくほど後の確認が面倒になります。

消費税は「非課税」|専門家報酬は課税に注意

納税証明書の発行手数料は、消費税が非課税です。国や地方公共団体などが法令に基づいて行う事務の手数料は、非課税取引とされているためです。会計ソフトで入力する際は「非課税仕入れ」を選択します(国税庁「No.6201 非課税となる取引」を参照)。

支払手数料で処理する場合も、消費税区分は非課税のままです。支払手数料には課税の取引(振込手数料など)が混ざりやすいため、税区分を課税10%のままにしないよう注意します。ここを取り違えると、消費税の計算がずれてしまいます。

注意したいのが、専門家に取得を代行してもらうケースです。税理士・行政書士などに納税証明書の取得を依頼し、その報酬を支払う場合、報酬部分は課税取引(課税仕入れ10%)になります。

役所に納める手数料(非課税)と、専門家への報酬(課税)は分けて考えるのが鉄則です。請求書で「実費(非課税)」と「報酬(課税)」が分かれている場合は、区分して処理します。

経費にできる取得・できない取得の線引き

納税証明書の発行手数料を経費にできるのは、事業に関連する取得に限られます

融資審査・入札参加資格・許認可・補助金の申請・建設業許可・税理士登録など、事業上の必要があって取得した納税証明書は経費になります。個人事業主も、事業に必要な取得分は必要経費に算入できます。

一方、住宅ローンの審査やプライベートの手続きで取った納税証明書は経費にできません。同じ書類でも、取得の目的が事業かどうかで判断が分かれます。

取得の目的経費可否
融資審査・入札・許認可・補助金など事業の手続き経費にできる
建設業許可・税理士登録など事業上の登録経費にできる
住宅ローン審査・私的な手続き経費にできない

判断に迷ったら「その取得が事業のために必要だったか」を基準にします。法人と個人事業主で科目の扱いは変わりませんが、個人事業主は事業分とプライベート分の線引きを、より明確にしておくと安心です。

よくある質問

Q1:納税証明書の発行手数料は租税公課と支払手数料のどちらが正解ですか?

どちらでも処理できます。公的な手数料として租税公課でまとめる方法と、手数料として支払手数料でまとめる方法があり、唯一の正解はありません。社内で統一し、同じ性質の支出には同じ科目を継続して使うことが大切です。

Q2:納税証明書の手数料はいくらですか?

税務署の窓口・郵送での書面請求は、1税目・1年度・1枚につき400円です。e-Taxのオンライン請求で書面を受け取る場合は370円になります。その1・その2は税目や年度の数だけ枚数が増え、その3・その4は1枚あたりで数えます。

Q3:発行手数料に消費税はかかりますか?

税務署や自治体が発行する納税証明書の手数料は非課税です。会計ソフトでは「非課税仕入れ」を選択します。支払手数料で処理する場合も税区分は非課税のままで、課税10%にしないよう注意します。

Q4:税理士に納税証明書の取得を頼んだ場合の手数料は?

税務署に納める発行手数料は非課税ですが、税理士など専門家に支払う報酬部分は課税取引(課税仕入れ10%)です。請求書で「実費(非課税)」と「報酬(課税)」が分かれている場合は、区分して処理します。

Q5:住宅ローンのために取った納税証明書も経費になりますか?

いいえ。経費にできるのは事業に関連する取得のみです。住宅ローン審査など私的な目的で取得した納税証明書は経費にできません。融資・入札・許認可など事業の手続きで取得した分だけを経費に計上します。

まとめ:納税証明書の勘定科目チェックリスト

納税証明書の処理は、最初に方針を決めてしまえば毎回迷いません。要点を整理します。

この記事のまとめ
  • 発行手数料の勘定科目は「租税公課」または「支払手数料」。少額なら雑費も可
  • どちらでも処理できるが、社内で統一し継続して使う
  • 手数料は書面請求400円・e-Tax請求370円。その1〜その4で数え方が変わる
  • 役所に納める手数料は消費税が非課税(非課税仕入れ)。課税10%にしない
  • 税理士など専門家への報酬部分は課税仕入れ10%で分ける
  • 経費にできるのは事業に関連する取得のみ。私的な取得は対象外

納税証明書の発行手数料は少額でも、融資や入札のたびに発生します。租税公課か支払手数料かを最初に決めて統一しておけば、消費税区分も含めて毎回迷わずに処理できます。専門家への代行報酬が絡むケースは、非課税の実費と課税の報酬を分けて処理しましょう。

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免責事項

※本記事は一般的な会計・税務の情報を整理したものです。勘定科目の選択や消費税区分は事業の実態や会計方針によって異なる場合があります。個別の判断は顧問税理士など有資格者にご相談ください。


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この記事を書いた人

会計事務所で10年以上、法人や個人事業主の帳簿づけと税務申告の手伝いをしてきたTanakaです。決算が近づくと、経営者から「この支払いはどの科目で処理すればいいですか」という電話を何度も受けました。答えは業種や会社の規模で変わります。そこを一つずつ、相手に合わせて説明してきました。

独立してからは、中小企業の経理担当者向けの研修や、freee・マネーフォワード・弥生の科目設定の相談にも応じています。教科書の説明は抽象的で、現場では「とりあえず雑費」で片づけてしまうことも少なくありません。このサイトでは、勘定科目の選び方の判断軸を、具体例をそえて整理しています。最終的な税務判断は、顧問税理士にご相談ください。

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