差し入れの勘定科目・仕訳|取引先は接待交際費、社員は福利厚生費、会議中は会議費

差し入れの勘定科目は相手で変わり、取引先へは接待交際費、自社の従業員へは福利厚生費、会議・打合せの最中に出すなら会議費を使います。飲食料品の差し入れは軽減税率8%(酒類・外食は10%)。全員が対象で社会通念上妥当な金額なら福利厚生費、特定の人へ高額だと給与(現物給与)として課税されます。

この記事でわかること

  • 差し入れの勘定科目は「誰への差し入れか」で決まるという大原則
  • 取引先へは接待交際費、会議・打合せ中なら会議費という使い分け
  • 自社従業員への差し入れは福利厚生費。給与課税される3つの線引き
  • 飲食料品の差し入れは軽減税率8%(酒類・外食は10%)と、税込・税抜の仕訳例
  • 交際費の損金算入の注意点(中小法人の年800万円・接待飲食費50%・2024年改正の1万円基準)

公的情報源: 国税庁タックスアンサー No.5261「交際費等と福利厚生費との区分」、No.5265「交際費等の範囲と損金不算入額の計算」、消費税の軽減税率制度(2026年7月時点)を参照

結論を先に書きます

差し入れの勘定科目に、ひとつの正解はありません。決め手は「誰に、どんな場面で渡したか」の一点です。

取引先や協力会社への差し入れは接待交際費、自社の従業員への差し入れは福利厚生費、会議や打合せの最中に出す茶菓・弁当は会議費を使います。差し入れる相手と場面で科目が変わる、と覚えてください。

この記事の要点
  • 取引先・協力会社への差し入れ → 接待交際費(会議・打合せ中なら会議費
  • 自社の従業員への差し入れ → 福利厚生費(全員対象・社会通念上妥当な金額が条件)
  • 特定の人へ高額・現金で渡す → 給与(現物給与)として源泉徴収の対象
  • 飲食料品の差し入れは軽減税率8%。酒類・外食(ケータリング等)は10%

目次

差し入れの勘定科目は相手で変わる|接待交際費・福利厚生費・会議費の早見

差し入れの勘定科目を相手別に分ける判定フロー。取引先は接待交際費、会議中は会議費、自社の従業員全員には福利厚生費、特定の人へ高額・現金なら給与
図:差し入れは相手と場面で科目が決まる(取引先=接待交際費/会議中=会議費/従業員=福利厚生費)

差し入れとは、頑張っている相手へ飲み物やお菓子・軽食を手渡す陣中見舞いのような支出です。金額で科目が決まるのではなく、渡す相手と場面で勘定科目が分かれます。

まずは全体像を早見表で押さえましょう。

差し入れの相手・場面別 勘定科目の早見表

差し入れの相手・場面主な勘定科目補足
取引先・協力会社へ手渡し接待交際費得意先への接待・贈答の性格
取引先との会議・打合せの最中会議費茶菓・弁当など通常要する範囲
自社の従業員(全員対象)福利厚生費社会通念上妥当な金額が条件
会議・研修中に社内で出す茶菓会議費相手が社内でも会議費でよい
特定の従業員へ高額・現金支給給与(現物給与)源泉徴収の対象

ポイントは、同じ「飲み物とお菓子の差し入れ」でも相手が変われば科目が変わるという点です。取引先か、自社の従業員か。この最初の分岐を外すと、あとの処理がすべてぶれます。

そして一度決めたルールは、社内で継続して使うのが鉄則になります。似た支出をそのつど違う科目に振り分けると、前年比較ができず、税務調査でも基準が曖昧と見られやすくなります。

取引先への差し入れは接待交際費|会議中なら会議費

取引先・協力会社への差し入れは、原則として接待交際費で処理します。得意先に対する接待・慰安・贈答その他これらに類する行為のための支出だからです。

国税庁はタックスアンサー No.5265「交際費等の範囲と損金不算入額の計算」で、交際費等を「得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」と定めています(2026年7月時点)。

工事現場やイベント会場への差し入れも、相手が取引先ならこの考え方に沿います。

会議・打合せの最中に出すなら会議費

同じ取引先向けでも、会議や打合せの席で出す茶菓・弁当は「会議費」で処理できます。会議に関連して通常要する飲食費は、接待とは区別されるためです。

判断の目安は次のとおりです。

  • 手渡しで置いていく差し入れ → 接待交際費(贈答の性格)
  • 打合せ・会議の場で一緒に飲食する茶菓・弁当 → 会議費

会議費と接待交際費の線引きは金額基準もからんで迷いやすい論点です。詳しくは会議費と交際費の違い|1人5,000円・1万円基準の判定で整理しています。取引先まわりの贈答全般の線引きは交際費の範囲・境界線ルールもあわせてご覧ください。

慶弔や陣中見舞いに近い差し入れ

取引先の開店祝いや現場の激励など、贈答・見舞いの意味合いが強い差し入れも接待交際費が基本です。品物として贈る場合は贈答品の勘定科目の考え方と共通します。摘要欄に「○○現場への差し入れ」と相手と目的を残すと、後から事業関連性を説明しやすくなります。

自社の従業員への差し入れは福利厚生費|給与課税になる線引き

従業員への差し入れが福利厚生費になるか給与になるかを比較した図。全員対象・妥当な金額・現物なら福利厚生費、特定の人だけ・高額・現金なら給与で源泉徴収の対象
図:全員対象・少額・現物なら福利厚生費、特定・高額・現金なら給与課税

自社の従業員への差し入れは、原則として福利厚生費で処理します。残業する社員への夜食、繁忙期の現場への飲み物やお菓子などが典型です。

ただし、福利厚生費として認められるには条件があります。国税庁のタックスアンサー No.5261「交際費等と福利厚生費との区分」を踏まえると、全従業員を対象に、社会通念上妥当な金額で提供することが柱になります(2026年7月時点)。

福利厚生費と給与(現物給与)の分かれ目

福利厚生費として扱えるかどうかは、次の3点で判断します。この3つを外すと、給与(現物給与)として源泉徴収の対象になります。

判定の観点福利厚生費(経費)給与(現物給与)
対象者全従業員が対象特定の人だけ
金額社会通念上 妥当な範囲高額・ぜいたく
渡し方現物で支給(差し入れ)現金を渡す

たとえば繁忙期に部署全員へ配る夜食は福利厚生費で問題ありません。一方、特定の社員にだけ高価な差し入れを続けたり、差し入れ代として現金を渡したりすると、給与課税の論点が出てきます。

「全員・少額・現物」なら福利厚生費、「特定・高額・現金」なら給与と覚えておくと迷いません。社内の飲食をともなう費用全般の線引きは福利厚生費になる?給与課税される?境界線ルールで詳しく解説しています。

社内イベントや懇親の差し入れ

社内の会議・研修中に出す茶菓は会議費、部署の懇親を兼ねた差し入れは福利厚生費と、場面で使い分けます。社内飲み会そのものの科目判断は社内飲み会の勘定科目を参考にしてください。

差し入れの仕訳例|税込・税抜と軽減税率8%

差し入れの仕訳を、相手別・経理方式別に示します。飲食料品の差し入れは軽減税率8%が基本になる点に注意してください。

取引先へ差し入れ(接待交際費・税込経理)

取引先の現場へお茶とお菓子を差し入れ(3,240円・税込8%)

借方金額貸方金額摘要
接待交際費3,240現金3,240○○現場への差し入れ(茶菓)

従業員へ差し入れ(福利厚生費・税抜経理)

消費税を区分する税抜経理では、仮払消費税を分けて計上します。飲食料品なので税率は8%です。

残業する社員へ夜食を差し入れ(5,400円・税込8%・税抜経理)

借方金額貸方金額摘要
福利厚生費5,000現金5,400夜食差し入れ(全員対象)
仮払消費税400消費税8%

会議中の茶菓(会議費・税込経理)

打合せ用に弁当を購入(4,320円・税込8%)

借方金額貸方金額摘要
会議費4,320現金4,320打合せ用弁当(○○社と)

酒類を含む差し入れ(10%)

差し入れにビールなどの酒類を含む場合、その酒類部分は軽減税率の対象外で10%になります。レシートで8%と10%が混在するときは、税率ごとに区分して記帳します。

差し入れの消費税は軽減税率8%が基本|酒類・外食は10%

差し入れの消費税で最も間違えやすいのが、飲食料品の差し入れは原則8%という点です。標準税率10%と早合点しないよう気をつけてください。

消費税の軽減税率制度では、酒類・外食を除く「飲食料品の譲渡」が軽減税率8%の対象です。お茶・お菓子・弁当・パンなどを購入して差し入れる場合は、この飲食料品の譲渡にあたります。出前・宅配(デリバリー)も軽減税率8%の対象です。

一方、10%になるのは次のようなケースです。

差し入れの内容消費税区分
お茶・お菓子・弁当・パンなど飲食料品の購入軽減8%
飲食料品の出前・宅配(デリバリー)軽減8%
ビール・日本酒などの酒類標準10%
ケータリング・会場での配膳をともなう飲食標準10%
店内で飲食する外食標準10%

差し入れは「買って渡す」形が多いため、基本は8%、酒類とケータリング・外食だけ10%と押さえておくと処理が安定します。

仕入税額控除を受けるには、税率区分が記載された適格請求書(インボイス)の保存が原則必要です。消費税の科目処理全体は消費税の勘定科目|仮払・仮受・未払消費税の仕訳で整理しています。

交際費の損金算入の注意点|中小法人の800万円・接待飲食費50%

取引先への差し入れを接待交際費で処理するときは、損金算入の制限に注意が必要です。福利厚生費や会議費と違い、交際費等には税務上の上限があるためです。

法人の交際費等は、原則として全額が損金不算入です。ただし資本金の額などが一定以下の中小法人には、次のいずれか有利な方を選べる特例があります(No.5265・2026年7月時点)。

  • 年800万円まで全額を損金算入
  • 接待飲食費の50%を損金算入

差し入れの多くは供応をともなわない贈答的な支出のため、この「接待飲食費の50%」ではなく800万円の枠で管理するのが一般的です。差し入れが多い事業者ほど、交際費の年間累計を意識しておくと安心です。

2024年改正で1万円基準に引き上げ

会議費として扱える飲食費の判定には金額基準があります。1人当たり一定額以下の社外飲食費は交際費等から除かれ、会議費などで損金にできます。

この基準は2024年4月1日以後、1人当たり5,000円以下から1万円以下に引き上げられました。取引先との打合せで弁当を出すようなケースでは、この基準内なら会議費で処理できます。

ただし、供応をともなわず手渡すだけの差し入れは会議費の基準とは別です。原則は接待交際費(または贈答)である点に注意してください。

よくある質問

Q1:差し入れの勘定科目は何になりますか?

差し入れる相手で変わります。取引先・協力会社へは接待交際費、自社の従業員へは福利厚生費、会議や打合せの最中に出す茶菓・弁当は会議費を使います。金額ではなく「誰に、どんな場面で渡したか」で判断するのが基本です。

Q2:取引先への差し入れは接待交際費と会議費のどちらですか?

手渡しで置いていく差し入れは接待交際費、会議・打合せの席で一緒に飲食する茶菓・弁当は会議費です。会議に関連して通常要する飲食費は交際費と区別され、1人当たり1万円以下(2024年4月以後)の社外飲食費なら会議費で損金にできます。

Q3:従業員への差し入れが給与課税されるのはどんなときですか?

特定の従業員だけに高額な差し入れをする、または差し入れ代として現金を渡す場合です。福利厚生費として認められるには、全従業員が対象で、社会通念上妥当な金額を現物で支給することが必要です。この条件を外すと給与(現物給与)として源泉徴収の対象になります。

Q4:差し入れの消費税は8%ですか10%ですか?

お茶・お菓子・弁当など飲食料品の差し入れは軽減税率8%が基本です。出前・宅配も8%です。ただし、ビールなどの酒類、ケータリングや外食に該当するものは10%になります。レシートで税率が混在するときは区分して記帳します。

Q5:個人事業主の差し入れも経費になりますか?

事業のための差し入れであれば経費になります。取引先への差し入れは接待交際費、外注先・アルバイトなど自分以外の人への差し入れは福利厚生費や雑費で処理します。事業主本人だけのための飲食は経費になりません。摘要欄に相手と目的を残しておくと安心です。

まとめ:差し入れの勘定科目チェックリスト

この記事のまとめ
  • 差し入れの科目は「誰への差し入れか」で決まる(相手と場面で判断)
  • 取引先・協力会社へは接待交際費、会議・打合せ中なら会議費
  • 自社の従業員へは福利厚生費。全員対象・社会通念上妥当な金額が条件
  • 特定の人へ高額・現金で渡すと給与(現物給与)で源泉徴収の対象
  • 飲食料品の差し入れは軽減税率8%。酒類・ケータリング・外食は10%
  • 接待交際費は損金算入に上限(中小法人は年800万円か接待飲食費50%)

差し入れは金額が小さくても発生頻度が高く、相手を取り違えると科目がぶれやすい費用です。2026年時点でも「相手と場面で科目を選ぶ」「飲食料品は8%」という原則は変わりません。

給与課税の判定や交際費の損金枠は、個別の事情で結論が変わります。最終的な判断は顧問税理士など有資格者にご確認ください。経費全体の科目をまとめて確認したいときは経費の勘定科目 早見表も便利です。

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免責事項

※本記事は2026年時点の一般的な会計・税務の取り扱いを整理したものです。勘定科目の判定は事業内容や契約条件によって異なる場合があります。個別の判断は顧問税理士など有資格者にご相談ください。


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この記事を書いた人

会計事務所で10年以上、法人や個人事業主の帳簿づけと税務申告の手伝いをしてきたTanakaです。決算が近づくと、経営者から「この支払いはどの科目で処理すればいいですか」という電話を何度も受けました。答えは業種や会社の規模で変わります。そこを一つずつ、相手に合わせて説明してきました。

独立してからは、中小企業の経理担当者向けの研修や、freee・マネーフォワード・弥生の科目設定の相談にも応じています。教科書の説明は抽象的で、現場では「とりあえず雑費」で片づけてしまうことも少なくありません。このサイトでは、勘定科目の選び方の判断軸を、具体例をそえて整理しています。最終的な税務判断は、顧問税理士にご相談ください。

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