祝儀の勘定科目は「誰に・誰から」で決まります。従業員へ出す結婚祝いは福利厚生費、受け取った祝儀は法人なら雑収入、町の祭りへ包む祝儀は寄付金が基本です。現金の祝儀に消費税はかからず不課税(国税庁 No.6157)。所得税基本通達28-5の2条件を満たせば、従業員側の給与課税もありません。
この記事でわかること
- 従業員・社員へ出す祝儀が福利厚生費になる条件と、慶弔規程がないとき給与に変わる仕組み(措置法通達 61の4(1)-10・所得税基本通達 28-5)
- 受け取った祝儀の科目を「誰から・誰が」の4象限で整理(法人=雑収入/個人事業主=事業の収入か贈与か)
- 祭り・町内会・神社へ包む祝儀の寄付金・交際費・雑費の判定(措置法通達 61の4(1)-2)
- 祝儀の消費税は支払側も受取側も不課税(No.6157・消費税法基本通達 5-2-14)。インボイスも課税売上割合も関係しない理由
- 支払側3本・受取側3本の仕訳例6本を、法人と個人事業主で分けた表で確認
公的情報源: 国税庁 所得税基本通達 28-5「雇用契約等に基づいて支給される結婚祝金品等」(参照)/租税特別措置法関係通達 61の4(1)-2・(1)-10・(1)-15(参照)/タックスアンサー No.5261「交際費等と福利厚生費との区分」(参照)/No.6157「課税の対象とならないもの(不課税)の具体例」(参照)/No.4405「贈与税がかからない場合」(参照)/No.5281「寄附金の範囲と損金不算入額の計算」(参照)
先に答え
祝儀の勘定科目は渡す相手と受け取る立場で3方向に分かれます。従業員へ出すなら福利厚生費、受け取ったなら雑収入、祭りや神社へ包むなら寄付金が出発点です。
取引先の結婚式や開店祝いへ持参する祝儀は交際費で、こちらは取引先の結婚祝い・香典の勘定科目で扱っています。この記事は社内・受取・地域行事の3つに絞ります。
この記事の要点
- 従業員へ出す祝儀は福利厚生費。慶弔規程などの「一定の基準」に従って支給する金品は交際費等に含まれない(措置法通達 61の4(1)-10(2)・No.5261)
- 従業員側は所得税基本通達 28-5の2条件(雇用契約等に基づく支給・社会通念上相当な金額)を満たせば給与課税なし。規程がなく特定の人にだけ出すと給与になる
- 受け取った祝儀は法人なら雑収入(法人税法 22条2項の無償による資産の譲受け)。個人事業主は事業に関するものだけ収入で、私的な祝儀は事業主借か記帳しない
- 祭り・町内会・神社への祝儀は寄付金が原則(措置法通達 61の4(1)-2)。主催者が取引先なら交際費、少額なら雑費も可
- 消費税は払う側も受け取る側も不課税(No.6157(2)・消費税法基本通達 5-2-14)
祝儀の勘定科目は「誰に・誰から」で決まる|3方向の判定フローと早見表
祝儀の勘定科目とは、結婚・出産・開店などのお祝いとして現金を渡したり受け取ったりしたときに使う科目で、相手と立場で福利厚生費・交際費・寄付金・雑収入に分かれます。金額の大小より先に「誰に出したか」「誰からもらったか」を確認します。
祝儀の勘定科目を決める判定フロー(支払側→受取側の順)
- 祝儀を「出した」のか「もらった」のかから分ける
- STEP1出した相手が自社の従業員・役員か慶弔規程など一定の基準に従った金額 → 福利厚生費/基準がない・特定の人だけ → 給与(役員給与)
- STEP2出した相手が取引先・得意先か結婚式・開店祝い・上場祝い → 交際費(別記事)
- STEP3出した相手が祭り・町内会・神社など事業に直接関係のない先か金銭の贈与は原則 寄付金。主催者が取引先なら交際費、少額で継続的なら雑費
- STEP4もらった側が法人か個人事業主か法人 → 雑収入/個人事業主 → 事業に関するものは雑収入(事業所得)・私的なものは事業主借
図:従業員なら福利厚生費、取引先なら交際費、地域行事なら寄付金、受け取ったら雑収入。消費税は全部不課税。
祝儀の勘定科目 早見表(相手・立場別・2026年9月時点)
| 場面 | 勘定科目 | 損金・経費 | 消費税区分 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 従業員・役員の結婚・出産祝い(慶弔規程あり・相当額) | 福利厚生費 | 損金 | 不課税 | 措置法通達 61の4(1)-10(2)・No.5261 |
| 従業員の祝い金(規程なし・特定の人だけ・高額) | 給与(役員は役員給与) | 給与として損金・従業員側は課税 | 不課税 | 所得税基本通達 28-5 |
| 取引先の結婚式・開店祝い・上場祝い | 交際費 | 損金不算入の枠あり | 不課税 | 措置法通達 61の4(1)-15(3) |
| 町の祭り・町内会・神社の祭礼への祝儀 | 寄付金 | 損金算入限度額あり | 不課税 | 措置法通達 61の4(1)-2・No.5281 |
| 祭りの主催者が取引先・得意先 | 交際費 | 損金不算入の枠あり | 不課税 | 措置法通達 61の4(1)-15(3) |
| 法人が受け取った開業祝い・創立記念の祝儀 | 雑収入 | 益金 | 不課税 | 法人税法 22条2項・No.6157(2) |
| 個人事業主が取引先から受け取った開業祝い | 雑収入(事業所得) | 総収入金額 | 不課税 | 所得税基本通達 27-5・34-1(5) |
| 個人事業主が友人・親族から受け取った結婚祝い | 事業主借(または記帳しない) | 事業の収入でない | 対象外 | 所得税法 9条1項17号・No.4405 |
表のとおり、消費税の列は全部「不課税」です。祝儀の論点は消費税でなく、法人税・所得税のどの科目に落ちるかにあります。
従業員・社員へ出す祝儀の勘定科目は福利厚生費|慶弔規程と所得税基本通達28-5の条件
従業員へ出す祝儀の勘定科目は福利厚生費です。租税特別措置法関係通達 61の4(1)-10 は「従業員等(従業員等であった者を含む。)又はその親族等の慶弔、禍福に際し一定の基準に従って支給される金品に要する費用」を交際費等に含めないと定めています。
国税庁 No.5261「交際費等と福利厚生費との区分」(令和7年4月1日現在法令等)も同じ文言で、例として結婚祝、出産祝、香典、病気見舞いを挙げています。退職した元従業員への祝い金も、この「従業員等であった者」に入ります。
「一定の基準」=慶弔規程があるかどうかで科目が変わる
通達の「一定の基準」に当たるのが慶弔見舞金規程です。結婚祝い3万円・出産祝い1万円のように、全従業員に同じ基準で支給する取り決めがあれば、福利厚生費で処理できます。
規程がなく、社長の判断で特定の従業員にだけ祝い金を渡した場合は、福利厚生費の根拠を失います。この場合は給与(役員なら役員給与)として扱い、従業員側の所得税・住民税の対象になります。役員給与は定期同額給与などの要件を外れるため、法人税でも損金になりません。
慶弔規程の有無と金額で変わる、従業員への祝儀の科目と課税(2026年9月時点)
| 支給の形 | 勘定科目 | 法人税 | 従業員側の所得税 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 慶弔規程に基づく結婚祝い3万円(相当額) | 福利厚生費 | 損金 | 課税しない | 措置法通達 61の4(1)-10(2)・所得税基本通達 28-5 |
| 規程はあるが役員にだけ50万円 | 役員給与(役員賞与) | 損金不算入 | 給与課税・源泉徴収 | 所得税基本通達 28-5 ただし書の「社会通念上相当」を外れる |
| 規程がなく特定の従業員に10万円 | 給与 | 損金(給与として) | 給与課税・源泉徴収 | 所得税基本通達 28-5 本文(雇用契約等に基づく祝金品=給与等) |
| 規程に基づく出産祝い1万円+祝電・花束 | 福利厚生費(花束は課税仕入れ) | 損金 | 課税しない | 現金は不課税・品物は課税10% |
| 退職した元従業員の結婚祝い | 福利厚生費 | 損金 | 課税しない | 61の4(1)-10「従業員等であった者を含む」 |
所得税基本通達28-5|従業員側が非課税になる2つの条件
所得税基本通達 28-5「雇用契約等に基づいて支給される結婚祝金品等」は次の書き方です。「使用者から役員又は使用人に対し雇用契約等に基づいて支給される結婚、出産等の祝金品は、給与等とする。ただし、その金額が支給を受ける者の地位等に照らし、社会通念上相当と認められるものについては、課税しなくて差し支えない」。
読み方は2段階です。本文は祝金品は原則として給与と言い、ただし書きが「社会通念上相当なら課税しない」と例外を置きます。つまり条件は次の2つです。
- 雇用契約等に基づいて支給されていること(慶弔規程・就業規則・労使慣行など、支給の根拠が会社側にある)
- 支給を受ける者の地位等に照らして社会通念上相当な金額であること(結婚祝いなら数万円台が目安。役員だから桁が変わる、とはならない)
「社会通念上相当」の金額に通達上の上限額はありません。実務では、慶弔規程に一般的な相場の範囲で金額を書き、全員に同じ基準を当てることで2条件を同時に満たします。福利厚生費の3要件(全員対象・相当額・現物でなく制度)は福利厚生費の勘定科目と仕訳、給与課税との境界は福利厚生費と給与課税の境界線で扱っています。
仕訳例1|法人が慶弔規程に基づき従業員の結婚祝い30,000円を現金で支給
仕訳例1|法人・慶弔規程あり・従業員の結婚祝い30,000円
| 借方 | 金額(円) | 貸方 | 金額(円) | 税区分 |
|---|---|---|---|---|
| 福利厚生費 | 30,000 | 現金 | 30,000 | 不課税(対象外) |
領収書は出ないので、慶弔見舞金申請書か結婚の届出、規程の該当条項の写し、支給記録を残します。証拠書類のそろえ方は香典・ご祝儀の証拠書類と同じです。
仕訳例2|個人事業主が従業員へ出産祝い10,000円を出した場合と、自分や家族への祝い金
個人事業主が雇っている従業員へ規程に基づいて祝い金を出した場合は、法人と同じく福利厚生費で必要経費です。
仕訳例2|個人事業主・従業員の出産祝い10,000円を事業用口座から支払
| 借方 | 金額(円) | 貸方 | 金額(円) | 税区分 |
|---|---|---|---|---|
| 福利厚生費 | 10,000 | 普通預金 | 10,000 | 不課税(対象外) |
個人事業主本人や、生計を一にする家族(青色事業専従者を含む)への祝い金は経費になりません。事業用口座から出したなら事業主貸で処理し、損益に入れません。事業主貸の使い方は事業主貸・事業主借の仕訳にあります。
受け取った祝儀の勘定科目|法人は雑収入・個人事業主は事業の収入か贈与かで分かれる
受け取った祝儀の勘定科目は、法人なら雑収入です。法人税法 22条2項は、益金に「無償による資産の譲受け」を含めています。開業祝い・創立記念・社屋落成のお祝いとして受け取った現金は、対価のない受取でも益金です。
個人事業主は「事業に関して受けたか」「誰からもらったか」で分かれます。取引先や法人から事業に関して受けた祝儀は事業所得の収入、友人・親族から私的に受けた結婚祝いは贈与で、事業の帳簿には載せません。
受け取った祝儀の処理|法人と個人事業主の違い
- 科目
- 雑収入
- 税
- 益金(法人税法 22条2項)
- 誰からでも
- 同じ扱い(個人からでも法人からでも益金)
- 消費税
- 不課税(No.6157(2))
- 事業に関して
- 雑収入(事業所得・所基通 27-5)
- 法人から私的に
- 一時所得(所基通 34-1(5))
- 個人から私的に
- 贈与。社会通念上相当なら贈与税もかからない(相基通 21の3-10)
- 消費税
- 不課税
図:法人は誰からもらっても雑収入。個人事業主は「事業に関するか」「法人か個人か」で事業所得・一時所得・贈与に分かれる。
個人事業主の「誰から×何のために」4象限
所得税基本通達 27-5 は「事業所得を生ずべき事業の遂行に付随して生じた収入」を総収入金額に入れると定め、通達 34-1(5) は法人からの贈与で取得する金品のうち「業務に関して受けるもの及び継続的に受けるものを除く」を一時所得としています。裏返せば、業務に関して受けた祝儀は一時所得でなく事業所得です。
個人から受けた祝儀は、所得税法 9条1項17号で所得税の対象から外れ、贈与税の側に移ります。相続税法基本通達 21の3-10 は「個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞い等のための金品」のうち社交上必要で社会通念上相当なものに贈与税を課さないとしており、国税庁 No.4405「贈与税がかからない場合」(令和8年4月1日現在法令等)も8番目に同じ項目を載せています。
個人事業主が受け取った祝儀の処理(誰から×何のために・2026年9月時点)
| 誰から | 何のために | 所得区分 | 勘定科目 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 取引先の法人 | 開業祝い・店舗移転祝い(事業に関して) | 事業所得 | 雑収入 | 所得税基本通達 27-5・34-1(5)かっこ書 |
| 取引先の個人事業主 | 開業祝い(事業に関して) | 事業所得 | 雑収入 | 同上(事業の遂行に付随) |
| 法人(取引先でない) | 個人的な結婚祝い | 一時所得(50万円の特別控除内なら税額なし) | 帳簿に載せない | 所得税基本通達 34-1(5) |
| 友人・親族(個人) | 結婚祝い・出産祝い | 贈与(社会通念上相当なら贈与税なし) | 事業主借(事業用口座に入れたとき)または記帳しない | 所得税法 9条1項17号・相基通 21の3-10・No.4405 |
線引きに迷うのは「取引先の社長が個人名で結婚祝いを包んだ」ような場面です。結婚は事業と関係のない私事なので、取引先からでも私的な祝儀は贈与の側で読みます。開業祝いや周年祝いのように事業の出来事へのお祝いは、相手が誰でも事業の収入です。
仕訳例3・4・5|法人の受取・個人事業主の受取・私的な祝儀の入金
仕訳例3|法人が創立10周年の祝儀として取引先から100,000円を受け取った
| 借方 | 金額(円) | 貸方 | 金額(円) | 税区分 |
|---|---|---|---|---|
| 現金 | 100,000 | 雑収入 | 100,000 | 不課税(対象外) |
祝儀袋の表書きと相手先を摘要に残します。雑収入の科目の使い方と消費税区分は雑収入の勘定科目と仕訳で扱っています。
仕訳例4|個人事業主が開業祝いとして取引先から30,000円を受け取った
| 借方 | 金額(円) | 貸方 | 金額(円) | 税区分 |
|---|---|---|---|---|
| 現金 | 30,000 | 雑収入 | 30,000 | 不課税(対象外) |
開業に対するお祝いは事業の遂行に付随する収入なので、事業所得の総収入金額に入ります。「開業祝い 〇〇商事」のように摘要へ相手を書いておくと、確定申告で説明できます。
仕訳例5|個人事業主が友人からの結婚祝い50,000円を事業用口座に入金してしまった
| 借方 | 金額(円) | 貸方 | 金額(円) | 税区分 |
|---|---|---|---|---|
| 普通預金 | 50,000 | 事業主借 | 50,000 | 対象外 |
私的な祝儀は事業の収入でないので、雑収入にしません。事業用口座に入金した事実だけを事業主借で説明し、贈与税は社会通念上相当な範囲なら課税されません(No.4405)。
会費制の結婚式・パーティーで集めた祝儀は預り金で相殺
会社が創立記念パーティーを会費制で開き、参加者から会費名目の祝儀を集めた場合は、雑収入でなく預り金や仮受金で受け、会場費・飲食費と相殺する処理も使われます。会費が実質的に費用の負担金だからです。
集まった会費が費用を上回った差額は雑収入、下回った分は交際費や福利厚生費(社内向け)で会社負担になります。相殺の記録として、参加者名簿と会費の受取記録、会場の請求書をセットで残します。
祭り・町内会・神社への祝儀の勘定科目は寄付金|交際費・雑費との3択判定
祭りへ包む祝儀の勘定科目は寄付金が原則です。租税特別措置法関係通達 61の4(1)-2「寄附金と交際費等との区分」は、事業に直接関係のない者への贈与について「金銭でした贈与は原則として寄附金とする」と定め、(2)に「神社の祭礼等の寄贈金」を交際費等に含まれないものとして挙げています。
町の祭りの御祝儀・御花・神社の祭礼への奉納金・町内会の盆踊りへの寸志は、この「神社の祭礼等の寄贈金」の仲間です。例外は、祭りの主催者が得意先・仕入先で、接待や関係維持のために出した場合で、このときは交際費になります(61の4(1)-15(3))。
祭り・町内会・神社への祝儀の3択判定
- 祝儀袋に「御祝儀」「御花」「奉納」と書いて地域行事へ出した
- 問1主催者・受取先は得意先や仕入先かはい → 交際費(措置法通達 61の4(1)-15(3))
- 問2広告掲載・看板・提灯への社名表示など見返りがあるかはい → 広告宣伝費(協賛金の記事へ)
- 問3見返りのない金銭の贈与かはい → 寄付金(措置法通達 61の4(1)-2(2)「神社の祭礼等の寄贈金」)
- 補足数千円で毎年の慣行的な支出か雑費や諸会費で処理する実務もある。寄付金の損金算入限度額の計算からは外れない点に注意
図:取引先なら交際費、見返りありなら広告宣伝費、見返りなしなら寄付金。少額を雑費にしても税務上は寄付金として計算する。
寄付金にすると損金算入限度額の計算に入る
法人の寄付金は、国税庁 No.5281「寄附金の範囲と損金不算入額の計算」(令和7年4月1日現在法令等)のとおり、資本金等と所得金額から計算した限度額を超えた部分が損金になりません。神社や町内会は「一般の寄附金」の区分です。限度額の計算式と個人事業主の扱いは寄付金の勘定科目と仕訳にまとめています。
個人事業主が町の祭りへ出した祝儀は、事業との関連が薄いと必要経費になりません。店舗のある商店街の祭礼で、店名入りの提灯が出るような場合は広告宣伝費として説明できます。
地域行事への祝儀・寄付・会費の勘定科目 早見表(2026年9月時点)
| 支出 | 勘定科目 | 法人税の扱い | 根拠・関連記事 |
|---|---|---|---|
| 町の祭りへの御祝儀(見返りなし) | 寄付金 | 一般の寄附金として損金算入限度額の計算 | 措置法通達 61の4(1)-2(2)・No.5281 |
| 神社の祭礼への奉納金・玉串料 | 寄付金(地鎮祭など事業行事の初穂料は別) | 同上 | 初穂料・玉串料の勘定科目 |
| 得意先が主催する祭り・イベントへの祝儀 | 交際費 | 交際費等の損金不算入枠 | 措置法通達 61の4(1)-15(3)・接待交際費の800万円ルール |
| 祭りの協賛金(社名入り提灯・パンフレット掲載) | 広告宣伝費 | 全額損金 | 協賛金・スポンサー料の勘定科目 |
| 町内会の年会費 | 諸会費 | 損金 | 町内会費・自治会費の勘定科目 |
| 数千円の慣行的な寸志 | 雑費(実務) | 税務上は寄付金として集計 | 61の4(1)-2 |
仕訳例6|町内会の祭礼へ祝儀10,000円を出した
仕訳例6|法人・町内会の祭礼へ御祝儀10,000円を現金で支出
| 借方 | 金額(円) | 貸方 | 金額(円) | 税区分 |
|---|---|---|---|---|
| 寄付金 | 10,000 | 現金 | 10,000 | 不課税(対象外) |
摘要に「〇〇町内会 秋祭り 御祝儀」と書き、町内会からの案内状か回覧の写しを添えます。会計ソフトで雑費にした場合も、決算では寄付金の限度額計算に含めます。
祝儀の消費税は不課税|支払側も受取側もインボイス・課税売上割合に影響しない
祝儀の消費税は不課税です。国税庁 No.6157「課税の対象とならないもの(不課税)の具体例」(令和8年4月1日現在法令等)は、(2)に「寄附金、祝金、見舞金、国または地方公共団体からの補助金や助成金等」を挙げ、理由を「一般的に対価を得て行う取引ではないからです」としています。
消費税法基本通達 5-2-14「寄附金、祝金、見舞金等」も同じで、「寄附金、祝金、見舞金等は原則として資産の譲渡等に係る対価に該当しない」と書いています。払う側は仕入税額控除なし、受け取る側は課税売上でも非課税売上でもないので、課税売上割合の分母にも分子にも入りません。
祝儀まわりの消費税区分(支払・受取・現物の別・2026年9月時点)
| 取引 | 消費税区分 | 仕入税額控除 | 課税売上割合 | インボイス |
|---|---|---|---|---|
| 現金の祝儀を渡す(従業員・取引先・祭り) | 不課税 | なし | 影響なし | 不要 |
| 現金の祝儀を受け取る(法人・個人事業主) | 不課税 | — | 分母にも分子にも入らない | 発行不要 |
| 商品券・ギフト券を祝いとして渡す | 非課税(物品切手等の譲渡) | なし | 影響なし | 不要 |
| 花束・祝電・記念品を買って贈る | 課税10% | あり | — | 保存が必要 |
| 会費制パーティーの会場費・飲食費 | 課税10% | あり | — | 保存が必要 |
| 「祝金」名目でも実質が売上の対価 | 課税10% | — | 課税売上 | 発行対象 |
注意点は最後の行です。通達 5-2-14 のただし書きは、資産の譲渡等の対価を受け取りながら別途「祝金」の名目で受け取った金銭が「実質的に当該資産の譲渡等の対価を構成すべきもの」なら課税売上になるとしています。取引先が請求額の上乗せ分を祝儀の袋に入れてきたような場合は、名目でなく実質で判定します。
現金以外の祝いの品(生花・電報・商品券)の区分と、インボイスの要否は現金は不課税・生花は課税の整理で扱っています。「非課税」と書く解説を見かけますが、現金の祝儀は非課税でなく不課税です。納税額は同じでも、課税売上割合の分母に入れてしまう誤りを防ぐため、区分名は不課税(対象外)で入力します。
よくある質問
祝儀の勘定科目で実際によく検索される6問です。
Q1:従業員の結婚式に会社から出す祝儀の勘定科目は何ですか?
福利厚生費です。慶弔見舞金規程などの一定の基準に従って支給する結婚祝いは、租税特別措置法関係通達 61の4(1)-10(2)により交際費等に含まれません(国税庁 No.5261)。従業員側も、所得税基本通達 28-5 の「雇用契約等に基づく支給」「社会通念上相当な金額」の2条件を満たせば給与課税されません。規程がなく特定の従業員にだけ渡した場合は給与になります。
Q2:社員へのお祝い金は所得税がかかりますか?
規程に基づく相当額なら課税されません。所得税基本通達 28-5 は、結婚・出産等の祝金品を原則として給与等としつつ、「その金額が支給を受ける者の地位等に照らし、社会通念上相当と認められるものについては、課税しなくて差し支えない」と定めています。相場を大きく超える金額や、役員だけに出す高額な祝い金は給与課税と源泉徴収の対象で、役員分は法人税でも損金になりません。
Q3:会社が祝儀を受け取った場合の勘定科目は何ですか?
雑収入です。法人税法 22条2項は「無償による資産の譲受け」を益金に含めているため、開業祝い・創立記念・社屋落成などで受け取った祝儀は、誰からもらっても益金に算入します。消費税は対価のない受取なので不課税で、課税売上割合の分母にも分子にも入りません(国税庁 No.6157(2))。
Q4:個人事業主が受け取った祝儀は収入になりますか?
事業に関して受けた祝儀は事業所得の収入で、勘定科目は雑収入です(所得税基本通達 27-5・34-1(5))。開業祝いや店舗移転祝いがこれに当たります。友人や親族から受けた結婚祝いなど私的な祝儀は贈与で、所得税法 9条1項17号により所得税の対象外です。社会通念上相当な金額なら贈与税もかかりません(相続税法基本通達 21の3-10・国税庁 No.4405)。事業用口座に入金したときだけ事業主借で記帳します。
Q5:町内会のお祭りに出した祝儀の勘定科目は何ですか?
寄付金が原則です。租税特別措置法関係通達 61の4(1)-2 は、事業に直接関係のない者への金銭の贈与を原則として寄附金とし、「神社の祭礼等の寄贈金」を交際費等に含まれないものとしています。法人では寄付金の損金算入限度額の計算に入ります(国税庁 No.5281)。祭りの主催者が得意先で関係維持のために出した場合は交際費、社名入りの提灯や広告掲載の見返りがある場合は広告宣伝費です。
Q6:祝儀に消費税はかかりますか?
かかりません。現金の祝儀は対価を得て行う取引でないため不課税です(国税庁 No.6157(2)・消費税法基本通達 5-2-14)。払う側に仕入税額控除はなく、受け取る側の課税売上割合にも影響せず、インボイスも不要です。花束や記念品を買って贈る場合はその購入代金が課税仕入れ(10%)、商品券は非課税になるので、現金と品物を分けて入力します。
まとめ
祝儀の勘定科目を、支払側と受取側の両方から1枚に整理します。
この記事のまとめ
- 従業員へ出す祝儀は福利厚生費。慶弔規程などの一定の基準に従った支給が条件(措置法通達 61の4(1)-10(2)・No.5261)。基準がない・特定の人だけ・高額なら給与
- 従業員側は所得税基本通達 28-5の2条件(雇用契約等に基づく支給・社会通念上相当な金額)で非課税。役員に高額なら役員給与で損金不算入
- 受け取った祝儀は法人なら雑収入(法人税法 22条2項)。個人事業主は事業に関するものだけ雑収入(事業所得)、私的な祝儀は事業主借か記帳しない(所法 9条1項17号・No.4405)
- 祭り・町内会・神社への祝儀は寄付金が原則(措置法通達 61の4(1)-2)。主催者が取引先なら交際費、見返りがあれば広告宣伝費
- 消費税は支払側も受取側も不課税(No.6157(2)・消費税法基本通達 5-2-14)。「非課税」でなく不課税(対象外)で入力する
祝儀の勘定科目 早見表(2026年9月時点)
| 場面 | 勘定科目 | 消費税区分 | 押さえる条文・通達 |
|---|---|---|---|
| 従業員・役員の結婚・出産祝い(規程あり) | 福利厚生費 | 不課税 | 措置法通達 61の4(1)-10(2)・所基通 28-5 |
| 従業員の祝い金(規程なし・高額) | 給与・役員給与 | 不課税 | 所基通 28-5 本文 |
| 取引先への祝儀 | 交際費 | 不課税 | 措置法通達 61の4(1)-15(3) |
| 祭り・町内会・神社への祝儀 | 寄付金 | 不課税 | 措置法通達 61の4(1)-2(2)・No.5281 |
| 法人が受け取った祝儀 | 雑収入 | 不課税 | 法人税法 22条2項 |
| 個人事業主が事業に関して受け取った祝儀 | 雑収入(事業所得) | 不課税 | 所基通 27-5・34-1(5) |
| 個人事業主が私的に受け取った祝儀 | 事業主借 | 対象外 | 所法 9条1項17号・相基通 21の3-10 |
免責事項
※本記事は法人税・所得税・贈与税・消費税の一般的な取扱いを国税庁の公開情報(2026年9月時点)に基づいて整理したものです。「社会通念上相当」な金額の判断や寄付金の損金算入限度額の計算は、事業者の状況により異なります。最新の法令をご確認のうえ、必要に応じて顧問税理士など有資格者へご相談ください。
