ポイントの消費税|付与・値引きした売り手の仕訳

ポイントの消費税

売り手がポイントを付与しても、消費税の課税売上は減りません。会計で売上の一部を契約負債に回しても、課税売上は販売額の全額です(国税庁の処理例)。ポイントを使わせたときは値引きとして扱い、対価から直接減らすか「売上に係る対価の返還等」として消費税を差し引きます(No.6359)。

この記事でわかること

  • ポイントを付与した時の消費税(会計の売上と課税売上がずれる理由)と、法人税で契約負債にできる要件(法基通2-1-1の7)
  • ポイントを使わせた時の2つの処理(対価から直接減額/売上に係る対価の返還等)と、販売促進費で処理した場合の扱い
  • 売り手のレシートの書き方が、買い手の仕入税額控除(No.6480)を左右する理由
  • 楽天ポイントなど共通ポイントの加盟店の処理(付与時の負担金は不課税・使用時の売上は全額課税)
  • 適格返還請求書と税込1万円未満の交付義務免除、税率が混ざるときの按分、税区分つきの仕訳例6本

公的情報源: 国税庁 タックスアンサー No.6480「事業者が商品購入時にポイントを使用した場合の消費税の仕入税額控除の考え方」(参照)/No.6359「値引き、返品、割戻しなどを行った場合の税額の調整」(参照)/国税庁「収益認識基準による場合の取扱いの例」平成30年5月(参照)

先に答え

ポイントを付与した時点では、消費税の処理は何も変わりません。11,000円(税込)で売ってポイントを付けても、課税売上は10,000円のまま。会計で売上の一部を「契約負債」に回す会社でも同じです。

消費税に影響が出るのは、お客さんがポイントを使った時です。自社ポイントの使用は値引きとして扱い、売上の消費税を減らします。販売促進費(課税仕入れ)として控除に回す形にはしません。

この記事の要点

  • 付与時の課税売上は販売額の全額。会計で売上9,025円・契約負債975円に分けても、課税売上げの対価は10,000円(国税庁の処理例・平成30年5月)
  • 自社ポイントの使用は値引き。対価から直接減らすか、売上に係る対価の返還等として差し引く(インボイスQ&A問70・No.6359)
  • レシートに「本体価額の値引き」と「支払方法としてのポイント」のどちらで出すかで、買い手の控除額が変わる(No.6480)
  • 共通ポイントの加盟店は、付与時に運営会社へ払う負担金が不課税、使用時の売上は全額課税(国税庁の一般的な処理例)。規約によっては課税になりうる
  • 値引き後の返還インボイスは、税込1万円未満なら交付義務が免除(インボイスQ&A問28・令和8年4月1日現在法令等の範囲)

目次

ポイントを付与したときの消費税

ポイントの消費税とは、売り手が付けたポイントと、お客さんが使ったポイントを、消費税の計算でどう扱うかの判定です。付与した時点では、ポイントはまだ何の取引にも使われていません。そのため課税売上は、実際に受け取った販売額の全額になります。

会計の売上と課税売上がずれる|国税庁の処理例

収益認識基準を使う会社は、付与したポイントの分を「契約負債」として売上から外します。国税庁の「収益認識基準による場合の取扱いの例」(平成30年5月)ケース1は、次の数字で説明しています(例は当時の税率8%)。

自社ポイント付与時の会計と消費税(国税庁の処理例ケース1・税込10,800円の販売に1,080ポイント付与)

項目会計・法人税消費税
売上として計上する額売上9,025円+契約負債975円課税売上げの対価10,000円
消費税額-800円
ポイント使用時(1,080円の商品)契約負債975円を売上へ課税売上げの対価1,000円・対価の返還等△1,000円

会計の売上は9,025円でも、消費税の課税売上は10,000円です。課税売上はポイントの付与で減らないので、会計ソフトでは契約負債の行も課税売上として集計し、合計が10,000円になるようにします。

法人税で契約負債にできる自己発行ポイントの要件

法人税でも、一定の自己発行ポイントは付与時に収益の一部を前受けとして扱えます。法人税基本通達2-1-1の7が要件を定めており、主なものは次のとおりです。

  • 販売の契約を結ばなければ受け取れない重要な権利であること
  • 発行年度ごとに区分して管理していること
  • 有効期限の経過など、やむを得ない事情以外で一方的に失わせられないと規約で定めていること
  • 1ポイントから使え、値引きする金額が明らかなこと(一定数に達しないと使えないもの・スタンプカードは対象外)

要件を満たさないポイントや、収益認識基準を使わない会社は、販売額の全額を売上にします。決算でポイント引当金を立てる場合も、消費税の申告には影響しません。

ポイントを使わせたときの消費税

お客さんが自社ポイントを使ったときは、その分を値引きとして扱います。消費税の処理には2つの形があり、どちらでも納める消費税は同じです。

自社ポイントを使わせたときの2つの処理(売り手・2026年10月時点)

処理中身課税売上根拠
①対価から直接減額ポイント使用後の金額を売上にする値引き後の金額インボイスQ&A問70②
②売上に係る対価の返還等全額を売上にし、ポイント分を売上値引として差し引く全額(返還等で調整)No.6359(2)・インボイスQ&A問70①

インボイスQ&A問70は、値引きが販売の前か後かで①と②を分け、「厳密な区分が困難である場合は、①と②のいずれの処理を行っても差し支えありません」としています。ポイント値引きはレジで同時に起きるので、多くは①で足りるはずです。

販売促進費で処理していたら|消費税の区分は値引き

会計上、ポイント使用分を「販売促進費」で処理する会社もあります。この場合でも、消費税の区分を「課税仕入」にして控除に回す形にはしません。国税庁の処理例では、ポイント使用分は「対価の返還等」として売上の消費税から差し引いています。

課税仕入れにすると、簡易課税や課税売上割合の計算で結果がずれます。課税仕入れに入れてよい取引の範囲は課税仕入れの勘定科目と消費税区分で確認できます。会計ソフトでは、販売促進費の科目のまま税区分を「課税売上の返還(売上値引)」にする設定があるかを確認してください。

売り手のポイント処理と消費税の判定フロー

  • そのポイントは誰が発行し、いつの処理か
  • STEP1自社ポイントを付与した課税売上は販売額の全額。契約負債を立てても減らず、引当金も影響しない
  • STEP2自社ポイントを使わせた値引き。対価から直接減額するか、売上に係る対価の返還等で差し引く
  • STEP3共通ポイントを付与した(加盟店)運営会社へ払う負担金は不課税(規約によっては課税)
  • STEP4共通ポイントで支払いを受けた(加盟店)売上は全額課税。ポイント分は運営会社への未収金

図:自社ポイントの使用は値引き、共通ポイントの使用は支払方法。売上の消費税の扱いが逆になる。

税率が混ざるときは税率ごとに按分する

軽減税率8%と標準税率10%の商品をまとめて売り、ポイントで値引きしたときは、値引額を税率ごとに分けます。国税庁 No.6480の例では、540円(8%対象)と550円(10%対象)の買い物に21円のポイントを使い、値引後を530円と539円としています。

値引額を税率ごとに分けずにレシートを出すと、買い手は税率ごとの控除額を計算できません。POSの設定で、値引きの按分が税率別に印字されるかを確かめておくと安心です。

レシートの書き方で買い手の控除が変わる(No.6480)

売り手がどう値引きを表示したかで、事業者の買い手が控除できる消費税が変わります。No.6480が分けている買い手側の「課税仕入れに係る支払対価の額」は、次の2通りです。

ポイント使用の表示と買い手の処理(No.6480の例・540円+550円に21ポイント)

レシートの表示買い手の課税仕入れ買い手の仕訳
①商品本体価額の値引き値引後の530円(8%)・539円(10%)消耗品費1,069円/現金1,069円
②支払うべき価額の値引き(支払方法)全額の540円(8%)・550円(10%)消耗品費1,090円/現金1,069円・雑収入21円(不課税)

No.6480は「商品購入時に発行されるレシートには、ポイント使用の態様に応じて『課税仕入れに係る支払対価の額』が表示されていると考えられます」としています。自社ポイントを値引きとして扱うなら、レシートも値引後の税率別金額を出すのが筋です。

共通ポイントの加盟店の消費税

楽天ポイントのような共通ポイントでは、ポイントを発行しているのは運営会社です。加盟店の処理は、国税庁の「共通ポイント制度を利用する事業者(加盟店A)及びポイント会員の一般的な処理例」が数字で示しています。

共通ポイントの加盟店の処理(国税庁の一般的な処理例・税抜経理)

場面加盟店の仕訳消費税
11,000円(税込)を販売し110ポイント付与現金等11,000/売上10,000・仮受消費税1,000課税売上10,000
付与した110ポイント分を運営会社へ支払うポイント費用110/未払金110不課税
220円(税込)の商品を販売、会員が110ポイント使用現金等110・未収金110/売上200・仮受消費税20課税売上200(全額)
使用された110ポイント分を運営会社から受領現金等110/未収金110-

自社ポイントと違い、共通ポイントの使用は値引きではありません。会員がポイントという支払手段で代金の一部を払い、残りを運営会社が加盟店へ払う形です。そのため売上は全額が課税になります。

同じ処理例の注は、運営会社との取引を「対価性がないこと(消費税不課税)を前提とした処理」とし、「規約等の内容によっては、消費税の課税取引に該当するケースも考えられる」と書いています。負担金に手数料が含まれる契約なら、その部分は課税仕入れになりうるため、加盟店規約で中身を確認してください。

インボイスと適格返還請求書

ポイント値引きを「売上に係る対価の返還等」として処理し、相手が課税事業者なら、売り手は適格返還請求書を交付します。ただし税込1万円未満の対価の返還等は、交付義務が免除されます(インボイスQ&A問28・消費税法57条の4第3項)。

レジでポイントを使わせた場合は、値引後の金額で適格簡易請求書(レシート)を出せば足ります。返還インボイスが別に問題になるのは、請求書払いの法人取引で、後日ポイント分を請求額から差し引くような場面です。

ポイント値引きとインボイスの関係(2026年10月時点)

場面交付するもの備考
レジで自社ポイントを使わせた値引後の金額の適格簡易請求書税率ごとの値引後金額を表示
請求後にポイント分を減額した(税込1万円以上)適格返還請求書請求書と1枚にまとめることもできる
請求後にポイント分を減額した(税込1万円未満)交付義務なしインボイスQ&A問28
共通ポイントで支払いを受けた全額の適格簡易請求書ポイントは支払方法

ポイントの仕訳例6本|付与・使用・共通ポイント

仕訳は税抜経理・原則課税・標準税率10%の法人を前提にします。自社ポイントは1ポイント=1円です。

仕訳例1|11,000円(税込)を現金で販売し、1,100ポイントを付与した(収益認識基準なし)

借方金額(円)貸方金額(円)税区分
現金11,000売上10,000課税売上10%
仮受消費税1,000-

付与したポイントの仕訳はありません。決算でポイント引当金を立てる場合は「ポイント引当金繰入/ポイント引当金」を対象外で入力します。

仕訳例2|同じ販売を収益認識基準で処理した(ポイント分を契約負債へ)

借方金額(円)貸方金額(円)税区分
現金11,000売上9,009課税売上10%
契約負債991課税売上10%
仮受消費税1,000-

売上9,009円は10,000円×10,000/(10,000+1,100)で按分した額です。課税売上は10,000円のまま(国税庁の処理例ケース1と同じ考え方)なので、契約負債991円の行も課税売上10%で入力します。のちにポイントが使われて「契約負債/売上」に振り替えるときは、すでに課税売上に入れた分なので対象外で入力します。

仕訳例3|3,300円(税込)の商品で300ポイントを使わせ、3,000円を現金で受け取った(対価から直接減額)

借方金額(円)貸方金額(円)税区分
現金3,000売上2,727課税売上10%
仮受消費税273-

仕訳例4|同じ取引を売上に係る対価の返還等で処理した

借方金額(円)貸方金額(円)税区分
現金3,000売上3,000課税売上10%
売上値引273仮受消費税300課税売上の返還10%
仮受消費税27-

課税売上3,000円から対価の返還等273円を差し引くので、仮受消費税は300円−27円=273円。納める消費税は仕訳例3と同じです。会計ソフトでは「売上値引」の税区分を「課税売上の返還10%」にします。

300ポイント使用(3,300円の商品)を対価から直接減額した仕訳

借方

現金 3,000

貸方

売上 2,727(課税売上10%)

仮受消費税 273

図:自社ポイントは値引き。売上は値引後の3,000円(税込)で、消費税は273円。

仕訳例5|共通ポイント加盟店が、付与した110ポイント分を運営会社へ支払った

借方金額(円)貸方金額(円)税区分
ポイント費用110未払金110対象外

仕訳例6|共通ポイント加盟店で、220円(税込)の商品に会員が110ポイントを使った

借方金額(円)貸方金額(円)税区分
現金110売上200課税売上10%
未収金110仮受消費税20-

ポイント分の110円は、運営会社から後日受け取る未収金です。売上値引にはしません。

返金や値引き全般の勘定科目は返金の勘定科目と仕訳で、買い手としてカードのポイントを使った場合はクレジットカード手数料とポイントの仕訳で整理しています。

よくある質問

売り手のポイントと消費税でよく検索される6問です。

Q1:ポイントを付与したら消費税の売上は減りますか?

減りません。付与した時点で課税売上は販売額の全額です。国税庁の処理例(平成30年5月)では、会計の売上を9,025円と契約負債975円に分けても、課税売上げの対価は10,000円のままとしています。

Q2:ポイント値引きの消費税は売上値引きですか、販売促進費ですか?

消費税の区分は値引きです。自社ポイントを使わせた分は、対価から直接減らすか、売上に係る対価の返還等として売上の消費税から差し引きます(No.6359)。会計で販売促進費の科目を使っていても、課税仕入れとして控除に回す形にはしません。

Q3:ポイントで支払われた分に消費税はかかりますか?

自社ポイントなら、その分は値引きなので消費税はかかりません。共通ポイントなら支払方法の一つなので、ポイント分も含めた全額が課税売上です(国税庁の一般的な処理例)。

Q4:共通ポイントの負担金(ポイント費用)の消費税区分は?

国税庁の一般的な処理例は、加盟店が運営会社へ払うポイント相当額を不課税として扱っています。ただし同じ例の注に「規約等の内容によっては、消費税の課税取引に該当するケースも考えられる」とあるため、手数料が含まれる契約なら規約で中身を確認してください。

Q5:ポイント値引きに適格返還請求書は必要ですか?

レジで使わせた値引きなら、値引後の金額で出す適格簡易請求書で足ります。請求後にポイント分を減額し、売上に係る対価の返還等として処理する場合は適格返還請求書が要ります。税込1万円未満なら交付義務は免除されます(インボイスQ&A問28)。

Q6:ポイント引当金は消費税に影響しますか?

ポイント引当金は影響しません。会計上の見積りで、資産の譲渡等の対価ではないからです。契約負債を立てても課税売上は販売額の全額のままで、消費税が動くのはお客さんがポイントを実際に使った時です。

まとめ

売り手のポイントと消費税を1枚に整理します。

この記事のまとめ

  • 付与時の課税売上は販売額の全額。契約負債を立てても課税売上は減らず、ポイント引当金も影響しない(国税庁の処理例ケース1)
  • 法人税で契約負債にできるのは、法基通2-1-1の7の要件を満たす自己発行ポイントだけ
  • 自社ポイントの使用は値引き。対価から直接減額か売上に係る対価の返還等で、どちらでも税額は同じ(問70・No.6359)
  • 販売促進費で処理していても、消費税は課税仕入れにしない
  • 税率が混ざる値引きは税率ごとに按分し、レシートに値引後の税率別金額を出す(No.6480の例)
  • 共通ポイントの加盟店は、負担金が不課税・使用時の売上は全額課税。規約によっては課税になりうる
  • 請求後の減額は適格返還請求書。税込1万円未満は交付義務免除(問28)

売り手のポイントと消費税 早見表(2026年10月時点)

場面消費税の扱い会計ソフトの税区分
自社ポイントを付与した課税売上は全額課税売上10%(契約負債の行も含める・引当金は対象外)
自社ポイントを使わせた(直接減額)値引後の金額が課税売上課税売上10%
自社ポイントを使わせた(返還等で処理)売上に係る対価の返還等課税売上の返還10%
共通ポイントの負担金を払った不課税(規約次第で課税)対象外
共通ポイントで支払いを受けた全額が課税売上課税売上10%
ポイント引当金を計上した影響なし対象外
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免責事項

※本記事はポイントに係る消費税・法人税の一般的な取扱いを国税庁の公開情報(2026年10月時点)に基づいて整理したものです。ポイントの性質はポイント規約・加盟店規約の内容により異なります。最新の法令をご確認のうえ、必要に応じて顧問税理士など有資格者へご相談ください。


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この記事を書いた人

会計事務所で10年以上、法人や個人事業主の帳簿づけと税務申告の手伝いをしてきたTanakaです。決算が近づくと、経営者から「この支払いはどの科目で処理すればいいですか」という電話を何度も受けました。答えは業種や会社の規模で変わります。そこを一つずつ、相手に合わせて説明してきました。

独立してからは、中小企業の経理担当者向けの研修や、freee・マネーフォワード・弥生の科目設定の相談にも応じています。教科書の説明は抽象的で、現場では「とりあえず雑費」で片づけてしまうことも少なくありません。このサイトでは、勘定科目の選び方の判断軸を、具体例をそえて整理しています。最終的な税務判断は、顧問税理士にご相談ください。

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