備品の勘定科目・仕訳|消耗品費と工具器具備品の分かれ目は10万円・40万円

備品の勘定科目は取得価額で分かれます。10万円未満なら「消耗品費」で全額経費、10万円以上は「工具器具備品」など固定資産にして減価償却します。青色申告の中小企業・個人事業主は特例で40万円未満まで一括経費にできます(年間300万円まで)。1年以上使うかどうかも判定の目安です。

「消耗品費と工具器具備品のどちらか」「10万・20万・30万の境目はどう分けるか」「一括で経費にできる特例は使えるか」まで、迷わない基準で整理します。

この記事でわかること

  • 備品の勘定科目は取得価額10万円が最初の分かれ目という結論と根拠
  • 消耗品費(費用)と工具器具備品(固定資産)の違いと選び方
  • 10万・20万・30万で変わる4段階の判定(一括償却資産・少額特例)
  • 金額別の仕訳の具体例(消耗品費・工具器具備品・少額特例)
  • 消費税・耐用年数の考え方など実務の注意点

公的情報源: 租税特別措置法67条の5・同施行令39条の28(e-Gov・2026年8月12日時点の現行条文)/国税庁「No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示」(参照)/国税庁「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」(参照

結論を先に書きます

備品の勘定科目は、取得価額と使用期間で決まります。10万円未満(または使用可能期間1年未満)なら「消耗品費」で全額をその年の経費にします。

10万円以上は原則として「工具器具備品」という固定資産に計上し、耐用年数にわたって減価償却します。ただし青色申告の中小企業・個人事業主は、特例で40万円未満まで一括経費にできます。

この記事の要点
  • 10万円未満・1年未満の備品は「消耗品費」で全額経費
  • 10万円以上は原則「工具器具備品」(固定資産)で減価償却
  • 10万円以上20万円未満は「一括償却資産」で3年均等償却も選べる
  • 青色申告の中小企業・個人事業主は40万円未満まで一括経費(年間300万円まで・常時使用する従業員400人以下)
  • 判定は1個(1組)あたりの税抜/税込金額で行う(経理方式に合わせる)

目次

備品の勘定科目は取得価額で決まる|10万円が最初の分かれ目

備品とは、1年以上使う器具・設備のうち取得価額10万円以上のもので、勘定科目は原則「工具器具備品」という固定資産で処理します。

机・椅子・キャビネット・応接セット・エアコン・パソコン・カメラ・工具などが備品にあたります。これらを買ったとき、金額と使う期間で科目が変わるのがポイントです。

備品は取得価額10万円未満なら消耗品費で全額経費、10万円以上20万円未満は一括償却資産、40万円未満は青色中小の特例で全額経費、40万円以上は工具器具備品で減価償却という判定フロー図(2026年4月1日以後取得分)
図:備品は取得価額10万円未満なら消耗品費、10万円以上は工具器具備品などで、青色中小は40万円未満まで一括経費にできる

最初の分かれ目は取得価額10万円です。10万円未満なら費用(消耗品費)、10万円以上なら資産(工具器具備品など)として扱います。

取得価額原則の扱い勘定科目
10万円未満全額その年の経費消耗品費
10万円以上固定資産にして減価償却工具器具備品

使用可能期間が1年未満のものは、金額にかかわらず消耗品費で処理できます。この10万円基準は法人・個人事業主で共通です(参考: 国税庁「No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示」)。

消耗品費そのものの範囲は消耗品費の勘定科目と仕訳|消耗品との違い・10万円基準を図解で詳しく整理しています。

消耗品費(費用)と工具器具備品(固定資産)の違い

備品の科目選びは、「費用」で処理するか「資産」で処理するかの判断です。この2つは決算書での位置も、経費になるタイミングも違います。

消耗品費はP/Lの費用で買った年に全額経費、工具器具備品はB/Sの資産で耐用年数にわたり減価償却するという対比図
図:消耗品費は費用で買った年に全額経費、工具器具備品は資産で耐用年数にわたり減価償却する

消耗品費は損益計算書(P/L)の費用です。買った年に全額が経費になります。工具器具備品は貸借対照表(B/S)の資産で、買った年に全額は経費にならず、耐用年数にわたって少しずつ減価償却費として費用化します。

項目消耗品費工具器具備品
分類費用(P/L)資産(B/S)
経費になるタイミング買った年に全額耐用年数にわたり分割
対象10万円未満・1年未満原則10万円以上
決算での扱いそのまま費用減価償却が必要

工具器具備品として計上した後の減価償却の仕組みは減価償却費・減価償却累計額の勘定科目と仕訳|直接法・間接法の違いで解説しています。

なお、ソフトウェアやアプリなど形のない備品は「無形固定資産」として別に扱います。詳しくはソフトウェアの勘定科目と仕訳は?資産計上の基準・耐用年数をご覧ください。

取得価額別の判定|10万・20万・30万の4段階

10万円以上の備品には、金額に応じて選べる処理があります。全体像は次の4段階です。特例を使うと早く経費化できます。

取得価額(1個・1組あたり)選べる処理勘定科目
10万円未満全額その年の経費消耗品費
10万円以上20万円未満3年で均等償却(一括償却資産)も可一括償却資産/工具器具備品
40万円未満(青色・中小)特例で全額を経費(年間300万円まで)消耗品費/工具器具備品(特例適用)
40万円以上固定資産で減価償却工具器具備品

10万円以上20万円未満:一括償却資産(3年償却)

この帯は「工具器具備品」で通常の減価償却をするほか、「一括償却資産」として3年で均等償却する方法を選べます。耐用年数より短く償却でき、償却資産税(固定資産税)の対象外になる利点があります。

40万円未満:少額減価償却資産の特例

青色申告をしている中小企業者等・個人事業主は、40万円未満の備品を全額その年の経費にできます(少額減価償却資産の特例)。40万円未満は2026年4月1日以後に取得した資産の基準で、それ以前の取得は30万円未満で判定します。対象は常時使用する従業員400人以下(特定法人は300人以下)、適用期限は2029年(令和11年)3月31日まで、年間の合計は300万円が上限です(参考: 国税庁「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」)。なお No.5408 は2026年8月12日時点でも「令和7年4月1日現在法令等」の内容で、30万円未満・従業員500人以下・令和8年3月31日までという改正前の要件を表示しています。金額・人数・期限は条文(租税特別措置法第67条の5・同施行令第39条の28)が正です。

40万円以上:工具器具備品で減価償却

40万円以上、または特例を使わない場合は「工具器具備品」で固定資産に計上し、耐用年数にわたって減価償却します。

仕訳例|金額別の具体ケース

金額別に代表的な仕訳を示します。判定は1個(1組)あたりの取得価額で行い、税抜経理なら税抜金額、税込経理なら税込金額で判定します。

40万円のサーバーを普通預金で購入した場合、借方に工具器具備品40万円・貸方に普通預金40万円を計上するT字勘定図
図:40万円のサーバーを普通預金で買ったときは借方に工具器具備品・貸方に普通預金を計上し耐用年数で償却する

ケース1:8万円のオフィスチェアを買った場合

10万円未満のため、全額を「消耗品費」で経費にします。事業用の普通預金から払ったケースです。

借方金額貸方金額摘要
消耗品費80,000普通預金80,000オフィスチェア

ケース2:25万円の応接セットを買った場合(青色・特例適用)

40万円未満のため、少額減価償却資産の特例で全額を経費にできます。科目は「工具器具備品」で計上し、決算で全額を償却する形が一般的です。

借方金額貸方金額摘要
工具器具備品250,000普通預金250,000応接セット(少額特例)

ケース3:40万円のサーバーを買った場合(固定資産)

40万円以上のため、「工具器具備品」で固定資産に計上し、耐用年数で減価償却します。

借方金額貸方金額摘要
工具器具備品400,000普通預金400,000サーバー

決算で耐用年数に応じた減価償却費を計上します。備品を含む経費全体の科目は経費の勘定科目一覧・早見表【2026年】でも確認できます。

備品の消費税・耐用年数の注意点

備品の処理では、消費税の経理方式と耐用年数の2点で迷いやすいので整理します。

  • 金額判定は経理方式に合わせる → 税抜経理なら税抜、税込経理なら税込で10万円・40万円を判定
  • 備品は課税仕入れ → 購入時の消費税は仕入税額控除の対象(要件を満たす場合)

同じ11万円(税込)の備品でも、税抜経理なら税抜10万円で「10万円未満=消耗品費」、税込経理なら11万円で「10万円以上=資産」と判定が変わります。どちらの方式かを先に確認してから科目を決めます。

耐用年数は資産の種類ごとに決まっています。たとえば金属製の事務机・椅子は15年、パソコンは4年などです。工具器具備品として計上したら、種類に応じた耐用年数で減価償却します。

よくある間違いと注意点

実務で見かける誤りを整理します。いずれも決算・申告に影響するため、最初に押さえておくと安心です。

  1. 10万円以上の備品を消耗品費で全額経費にしてしまう
  2. セット購入を1点ずつに分けて10万円未満に見せる
  3. 特例の対象でないのに40万円未満を全額経費にする
  4. 税込・税抜の判定基準を取り違える

間違い1:10万円以上を消耗品費にする

最も多い誤りです。10万円以上は原則として資産計上が必要です。特例を使わずに全額経費にすると、過大な経費計上として指摘される可能性があります。

間違い2:セットを分割して判定する

応接セットやパソコン一式など、1組で機能するものは組単位で判定します。机と椅子を別々の伝票にして10万円未満に分けることはできません。

間違い3:特例の要件を確認しない

40万円未満の一括経費は、青色申告の中小企業者等・個人事業主だけの特例で、年間300万円の上限もあります。白色申告では使えません。

間違い4:税込・税抜を取り違える

判定金額は経理方式に合わせます。方式を取り違えると境目付近の備品で科目がずれます。判断に迷う場合は、顧問税理士に確認するのが安全です。

よくある質問

備品の処理でつまずきやすい5問を整理します。

Q1:備品の勘定科目は何ですか?

取得価額で分かれます。10万円未満(または1年未満)は「消耗品費」で全額経費、10万円以上は原則「工具器具備品」という固定資産にして減価償却します。青色申告の中小企業・個人事業主は特例で40万円未満まで一括経費にできます。

Q2:消耗品費と備品(工具器具備品)はどう使い分けますか?

金額と使用期間で分けます。10万円未満や1年未満なら費用の「消耗品費」、10万円以上で1年以上使うなら資産の「工具器具備品」です。資産は買った年に全額経費にならず、減価償却で分割して費用化します。

Q3:15万円の備品はどう処理しますか?

10万円以上20万円未満なので、工具器具備品で減価償却するほか、3年均等の「一括償却資産」も選べます。青色申告の中小企業・個人事業主なら、少額減価償却資産の特例で全額経費にすることも可能です。

Q4:40万円未満なら必ず全額経費にできますか?

いいえ。全額経費にできるのは、青色申告をしている中小企業者等・個人事業主が対象で、年間300万円までという上限があります。白色申告の場合は使えず、原則どおり資産計上が必要です。

Q5:金額判定は税込と税抜のどちらですか?

採用している経理方式に合わせます。税抜経理なら税抜金額、税込経理なら税込金額で10万円・40万円を判定します。方式によって境目付近の備品の科目が変わるため、先に方式を確認します。

まとめ:備品は「10万円と40万円」で科目が変わる

最後に、備品の勘定科目のポイントを整理します。

この記事のまとめ
  • 10万円未満・1年未満の備品は「消耗品費」で全額経費
  • 10万円以上は原則「工具器具備品」(固定資産)で減価償却
  • 10万円以上20万円未満は「一括償却資産」で3年均等償却も選べる
  • 青色申告の中小企業・個人事業主は40万円未満まで一括経費(年間300万円まで・常時使用する従業員400人以下)
  • 判定は1個(1組)あたり・経理方式に合わせた金額で行う

備品は「10万円」で費用か資産かが分かれ、「40万円」で特例が使えるかが決まります。まず金額と経理方式を確認し、青色申告なら特例の活用も検討しましょう。耐用年数や特例の適用に迷うケースでは、最新の国税庁情報を確認のうえ、税理士に相談すると確実です。

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免責事項

※本記事は2026年時点の公開情報をもとに勘定科目の一般的な考え方を整理したものです。税制・特例・耐用年数は改正により異なります。個別の税務処理・申告判断は、最新の国税庁の公式情報をご確認のうえ、税理士など有資格者にご相談ください。


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この記事を書いた人

会計事務所で10年以上、法人や個人事業主の帳簿づけと税務申告の手伝いをしてきたTanakaです。決算が近づくと、経営者から「この支払いはどの科目で処理すればいいですか」という電話を何度も受けました。答えは業種や会社の規模で変わります。そこを一つずつ、相手に合わせて説明してきました。

独立してからは、中小企業の経理担当者向けの研修や、freee・マネーフォワード・弥生の科目設定の相談にも応じています。教科書の説明は抽象的で、現場では「とりあえず雑費」で片づけてしまうことも少なくありません。このサイトでは、勘定科目の選び方の判断軸を、具体例をそえて整理しています。最終的な税務判断は、顧問税理士にご相談ください。

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