固定資産除却損の勘定科目と仕訳|除却・廃棄の1円処理と消費税【2026年】

固定資産を除却・廃棄したときの勘定科目は「固定資産除却損」です。対価を受け取らないため、売却とは計算も消費税の扱いも変わります。直接法・間接法の仕訳、1円だけ残った資産の処理、損益計算書のどの区分に載せるかまで整理します。

この記事でわかること

  • 除却損の金額は「除却時の帳簿価額+撤去費用−処分見込価額」で決まるという計算の全体像
  • 直接法と間接法で仕訳の見え方がどう変わるかを、同じ数字で並べて確認できる
  • 償却が終わって1円だけ残った資産を除却するときの処理と、1円を放置したときに起きること
  • 除却損は不課税・撤去費用は課税仕入れ・廃材の売却は課税売上という消費税の3分割
  • 特別損失・営業外費用・販管費のどこに載せるかの判断軸と、有姿除却が認められる要件

公的情報源: 国税庁 法人税基本通達 第1款 除却損失等の損金算入国税庁 No.5410 減価償却資産の償却限度額の計算方法国税庁 No.6157 課税の対象とならないもの(不課税)の具体例

除却は「帳簿価額の確定」「撤去費用の税区分」「固定資産台帳からの削除」が同時に走るため、手作業だと抜けが起きやすい処理です。台帳と仕訳を同じ画面でつなぎたい場合は、会計ソフトの活用も選択肢になります。

結論を先に書きます

固定資産の除却・廃棄で使う勘定科目は固定資産除却損です。使わなくなった資産を帳簿から外し、そのとき残っていた帳簿価額を損失として計上します。

売却との違いははっきりしています。除却には対価がないという一点です。対価がないので、売却損益ではなく除却損になり、消費税も課税されません。本記事は対価のない除却・廃棄に絞って整理します。

この記事の要点

  • 除却損の金額は除却時の帳簿価額+撤去費用−処分見込価額。売却と違い受け取る対価がない
  • 仕訳は直接法なら資産を直接、間接法なら減価償却累計額を取り崩して落とす
  • 償却済みで1円だけ残った資産も、除却すればその1円が除却損になる
  • 消費税は除却損=不課税/撤去費用=課税仕入れ/廃材の売却=課税売上と3つに分ける
  • 損益計算書は特別損失が原則。金額が小さく毎期発生するなら営業外費用や販管費の実務もある
  • 壊さずに損金算入する有姿除却は、法人税基本通達7-7-2の要件を満たす場合に限られる

目次

固定資産除却損とは|対価を受け取らずに資産を帳簿から外す科目

固定資産除却損とは、使用をやめた固定資産を帳簿から取り除くときに、残っていた帳簿価額を損失として処理する勘定科目です。損益計算書の費用側に立ちます。

対象は建物・建物附属設備・構築物・機械装置・車両運搬具・工具器具備品といった有形固定資産が中心です。実務では「建物除却損」「機械装置除却損」のように、資産の種類ごとの補助科目を付けて管理する会社もあります。

その処分は除却損になるか

  • 使わなくなった固定資産をどうしたか
  • 1対価を受け取った売却=固定資産売却損益で処理する(本記事の対象外)
  • 2廃棄・スクラップにした除却=固定資産除却損。対価がないので不課税
  • 3現物は残すが二度と使わない有姿除却。通達7-7-2の要件を満たせば損金算入できる
  • 4今は休んでいるだけ遊休資産。再使用の可能性が残るため除却できない

分かれ目は「対価を受け取ったか」と「今後使う可能性が残っているか」

図:対価があれば売却、なければ除却。現物を残す場合は有姿除却の要件で判定する

除却と廃棄・売却・減損・資産除去債務の違い

似た言葉が多く、ここでつまずく人は少なくありません。5つを並べると整理できます。

用語何をしたか使う勘定科目対価
除却事業で使うのをやめ、帳簿から外した固定資産除却損なし
廃棄現物を物理的に捨てた(除却の代表例)固定資産除却損なし
売却第三者に売って代金を受け取った固定資産売却損・売却益あり
減損保有は続けるが収益性が下がった減損損失なし
資産除去債務将来の原状回復義務を先に負債計上資産除去債務将来支出

除却は「会計上の手続き」、廃棄は「物理的な行為」という関係です。廃棄すればほぼ必ず除却しますが、後述する有姿除却のように、廃棄せずに除却する場合もあります。

減損は資産を持ち続けたまま帳簿価額を切り下げる処理で、除却とは別物。将来の撤去義務をあらかじめ負債に立てる資産除去債務とも混同しないでください。

固定資産除却損の計算方法|帳簿価額+撤去費用−処分見込価額

除却損の金額は、次の式で求めます。

固定資産除却損 = 除却時の帳簿価額 + 撤去・処分にかかった費用 − 処分見込価額

除却損は3つの要素でできている

  • 固定資産除却損の内訳
    • + 帳簿価額取得価額−減価償却累計額。除却日までの償却を済ませた後の残り
    • + 撤去費用解体・運搬・処分の外注費。税抜で加算する
    • − 処分見込価額売れる廃材・部品の見積額。貯蔵品などへ振り替える

図:除却損は帳簿価額に撤去費用を足し、値の付く廃材があればその分を引いて求める

帳簿価額は「除却日まで償却してから」確定する

見落としやすいのがここです。期首から除却日までの減価償却費を先に計上しないと、帳簿価額が実態より大きくなり、除却損が過大になります。

多くの会社は月割りで当期分を計上してから除却します。減価償却そのものの計算は減価償却費・減価償却累計額の勘定科目と仕訳で整理しています。

具体例の数字

以下、本記事はこの数字で統一します。

項目金額
機械装置の取得価額1,200,000円
除却日時点の減価償却累計額900,000円
除却時の帳簿価額300,000円
撤去・処分の外注費(税抜)50,000円
支払った消費税5,000円

処分見込価額がゼロなら、除却損は300,000円+50,000円=350,000円になります。

固定資産を除却したときの仕訳|直接法と間接法

仕訳は3ステップです。①除却日までの減価償却を計上する、②帳簿価額を落として除却損に振り替える、③撤去費用と廃材を処理する、という順に進みます。

直接法 と 間接法(同じ資産・同じ除却)

直接法
貸方に立つ
機械装置 300,000(帳簿価額のまま)
累計額
使わない
見え方
仕訳が短い。取得価額は追えない
間接法
貸方に立つ
機械装置 1,200,000(取得価額)
累計額
借方で 900,000 を取り崩す
見え方
取得価額と償却済み額が残る

図:除却損の金額は同じ。貸方に帳簿価額を出すか取得価額を出すかで見え方が変わる

直接法の仕訳(撤去費用あり)

直接法では、資産の科目をそのまま帳簿価額の分だけ減らします。

借方科目金額貸方科目金額
固定資産除却損350,000機械装置300,000
仮払消費税等5,000普通預金55,000

摘要:機械装置の廃棄(帳簿価額300,000+撤去費用50,000)。除却損350,000円のうち、帳簿価額300,000円は不課税、撤去費用50,000円は課税仕入れです。この分け方は消費税の章で詳しく扱います。

間接法の仕訳(撤去費用あり)

間接法では、積み上げてきた減価償却累計額を借方で取り崩し、貸方に取得価額を丸ごと出します。

借方科目金額貸方科目金額
減価償却累計額900,000機械装置1,200,000
固定資産除却損350,000普通預金55,000
仮払消費税等5,000

金額の合計は借方・貸方とも1,255,000円で一致します。累計額そのものの性質は減価償却累計額の勘定科目と仕訳で確認できます。

廃材や部品に価値があるとき|貯蔵品への振替

解体した資産から、まだ売れる廃材やスクラップが出ることがあります。この場合は処分見込価額を貯蔵品などの資産に振り替え、その分だけ除却損を減らします

処分見込価額を20,000円とすると、除却損は300,000+50,000−20,000=330,000円になります。

借方科目金額貸方科目金額
減価償却累計額900,000機械装置1,200,000
貯蔵品20,000普通預金55,000
固定資産除却損330,000
仮払消費税等5,000

その後この廃材を20,000円で売れば、対価を受け取る取引になるため課税売上として処理します。貯蔵品の位置づけは棚卸資産の勘定科目と仕訳もあわせてご覧ください。

除却は、減価償却の月割り計上・帳簿価額の確定・撤去費用の税区分・固定資産台帳の更新が一度に発生します。台帳と仕訳が別管理だと、資産だけ帳簿に残り続ける事故が起きやすい処理です。日々の取引から固定資産台帳までを1つにまとめたい場合は、クラウド会計で一気通貫にするのが近道です。

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「1円」だけ残った固定資産を除却するときの仕訳

耐用年数が終わっても、帳簿には1円だけ残ります。この1円が備忘価額です。除却すれば、この1円がそのまま固定資産除却損になります。

なぜ1円だけ残るのか

根拠は平成19年度の税制改正です。国税庁 No.5410では、平成19年4月1日以後に取得した減価償却資産について償却可能限度額と残存価額が廃止されたと説明されています。

そのうえで、耐用年数経過時に残存簿価1円まで償却できると示されています。

ゼロまで落とさないのは、帳簿上その資産がまだ存在していると分かるようにするためです。1円が台帳に残っていれば、現物の管理と突き合わせができます。減価償却の全体像は減価償却とはで確認できます。

備忘価額1円のライフサイクル

  • 取得から除却まで
  • 1耐用年数まで償却取得価額から毎期の減価償却費を積み上げる
  • 21円を残して償却終了現物が帳簿に残っていることを示す備忘価額
  • 3使い続けている間1円は落とせない。償却資産の申告対象にもなる
  • 4使用をやめて除却1円が固定資産除却損になり、台帳から消える

1円を落とせるのは「使うのをやめたとき」だけ

図:1円は使用中には落とせず、除却して初めて除却損になる

1円を除却する仕訳

取得価額300,000円の工具器具備品が償却済みで、帳簿価額1円のケースです。

直接法

借方科目金額貸方科目金額
固定資産除却損1工具器具備品1

間接法

借方科目金額貸方科目金額
減価償却累計額299,999工具器具備品300,000
固定資産除却損1

金額はわずかでも、この仕訳の目的は損失計上より「台帳から資産を消すこと」にあります。

個人事業主が1円を「雑費」で落とす処理をどう考えるか

「固定資産除却 仕訳 1円 個人事業主 雑費」という検索が多いとおり、個人事業主が1円を雑費で処理する例は実務でよく見かけます。金額が1円なので所得金額への影響はありません。

ただし、根拠から見ると科目名は本質ではありません。国税庁 No.2210 必要経費の知識には、次のように明記されています。

業務用資産の取壊し、除却、滅失の損失および業務用資産の修繕に要した費用は、一定の場合を除き必要経費になります

除却の損失は、もともと必要経費になる支出だということです。

大事なのは青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄からその資産を外すこと。翌年以降の台帳に残さないところまでが除却です。

科目を雑費にしても除却損にしても、台帳の更新が抜けていれば管理は崩れます。判断に迷う場合は、所轄税務署の事前照会(書面照会・無料)または顧問税理士にご確認ください。

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1円を残したままにすると、償却資産税の申告対象であり続ける

見落とされがちですが、除却は税額にも関わります。償却資産(固定資産税)の申告では、償却済みの資産であっても賦課期日に事業で使える状態なら申告対象です。

東京都主税局の固定資産税(償却資産)では、次の資産も申告対象と示されています。

  • 簿外資産及び償却済資産であっても、賦課期日(1月1日)現在において事業の用に供することができるもの
  • 遊休又は未稼働の償却資産であっても、賦課期日現在において事業の用に供することができる状態にあるもの

つまり使っていない1円の資産を台帳に残すと、償却資産の課税標準に乗り続けることになります。除却したら、翌年の申告で減少資産として届け出るところまでがひと続きです。

なお課税標準額が150万円(免税点)未満なら課税されず、税率は100分の1.4です。

固定資産除却損は損益計算書のどこに載せるか

原則は特別損失です。臨時に発生し、金額も通常の営業活動から離れた損失にあたるためです。ただし実務では、すべてを特別損失にしているわけではありません。

どの区分に載せるかの判断

  • その除却損は臨時か、毎期起きるか
  • 原則特別損失設備の廃棄・工場の解体など、臨時で金額も大きい
  • 実務営業外費用毎期そこそこ発生するが、営業損益に混ぜたくない
  • 実務販売費及び一般管理費PC・什器の入替など少額で経常的。重要性が乏しい

判断軸は「金額の重要性」と「発生の経常性」。決めた基準は毎期そろえて使う

図:原則は特別損失。少額で毎期発生するなら営業外費用や販管費に入れる実務もある

特別損失・営業外費用・販管費の使い分け

区分選ぶ場面
特別損失臨時に発生し、金額も大きい工場設備の一括廃棄・建物の解体
営業外費用毎期発生するが営業損益から外したい機械の入替に伴う継続的な除却
販管費少額で経常的、重要性が乏しいパソコン・什器の入替

判断軸は2つだけです。金額に重要性があるかと、毎期経常的に起きるか。少額で毎期発生するものまで特別損失に並べると、かえって損益計算書が読みにくくなります。

一度決めた基準は毎期同じように使ってください。年度ごとに区分を変えると期間比較ができなくなります。

個人事業主の決算書には「特別損失」の欄がない

ここが法人と大きく違う点です。青色申告決算書の損益計算書には特別損失の区分がありません。そのため個人事業主は、経費欄のいずれかで処理することになります。

先ほどの「1円を雑費で落とす」という実務が広まっている背景も、この様式の違いにあります。様式に無い区分を無理に作る必要はありません。

固定資産の除却と消費税|除却損は不課税、撤去費用は課税仕入れ

ここは間違いが最も多いところです。結論から言うと、同じ「固定資産除却損」という科目でも、中身によって消費税の区分は分かれます

3つに分けて考える

内訳消費税の区分理由
除却した資産の帳簿価額不課税対価を受け取っていない
撤去・解体・処分の外注費課税仕入れ役務の提供を受けた対価を払っている
廃材・スクラップの売却代金課税売上対価を得て資産を譲渡している

国税庁 No.6105 課税の対象によれば、消費税の課税対象は「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等」に限られます。あわせて「無償で行われる取引は、消費税の課税の対象とはなりません」とも明記されています。

除却は誰にも売っていないため、この要件を満たしません。

課税対象外となる取引の具体例は国税庁 No.6157 課税の対象とならないもの(不課税)の具体例にまとめられています。

一方、撤去や解体を業者に頼めば、それは役務の提供を受けた対価です。国税庁 No.6451 仕入税額控除の対象となるものでも、外注費や修繕費は課税仕入れとなる取引に挙げられています。

会計ソフトに入力するときの注意

先ほどの直接法の仕訳を思い出してください。固定資産除却損350,000円のうち、300,000円は不課税、50,000円は課税仕入れでした。

科目が同じでも税区分は行ごとに分けて登録する必要があります。まとめて不課税で入れると仕入税額控除を取り損ね、まとめて課税仕入れで入れると控除を取りすぎます。

なお、後述する有姿除却も対価がないため不課税です。現物が動いていない以上、譲渡は起きていません。

除却の消費税は、1本の仕訳の中で不課税・課税仕入れ・課税売上が同居します。行ごとに税区分を切り替える作業は、件数が増えるほど負担が大きくなる部分です。日々の入出金から固定資産台帳、消費税の申告までをクラウドでつなげたい経理担当の方は、無料プランで自社の運用に合うかを試してみるのが近道です。

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有姿除却の要件と、除却損にならないケース

現物を壊さずに除却損を計上する方法が有姿除却です。ただし条件は限定的で、思っているより厳しく見られます。

法人税基本通達7-7-2が示す2つの類型

法人税基本通達7-7-2(有姿除却)は、次のように定めています。解撤・破砕・廃棄をしていなくても、帳簿価額から処分見込価額を控除した金額を除却損として損金算入できる、という内容です。

  1. 使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産
  2. 特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、その製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性がほとんどないことが明らかなもの

ポイントは「今後使う可能性がない」ことが客観的に認められるかです。「当面は使わない」程度の遊休資産では要件を満たしません。電源や配管を切断した記録、生産中止の稟議書などを残しておくと説明がしやすくなります。

ソフトウエアも除却できる

無形固定資産だから除却できない、と説明されることがありますが、ソフトウエアには専用の定めがあります。同じ通達の7-7-2の2(ソフトウエアの除却)です。

物理的な除却や消滅がなくても、帳簿価額を損金算入できる場合があるという定めです。認められるのは次の2つ。

  • データ処理の対象業務が廃止され、そのソフトを使わなくなったことが明らかな場合
  • ハードウエアやOSの変更で別のソフトに移り、従来のソフトを使わなくなったことが明らかな場合

販売用の原本ソフトも、社内稟議書や販売流通業者への通知文書で今後販売しないことが明らかなら対象になります。

建物を壊しても除却損にならないことがある

こちらは逆のパターンです。国税庁 No.5401は、建物の敷地を建物とともに取得したケースを扱っています。

取得後おおむね1年以内に取り壊しに着手するなど、初めから土地を利用する目的だったことが明らかな場合。このときは建物の帳簿価額と取壊費用を、土地の取得価額に算入します。

つまり損失として当期に落とせません。土地は減価償却しないため、費用化のタイミングが大きく変わります。

ただし、当初は建物を使う目的で取得したものの、やむを得ない理由で断念したときは別です。1年以内の取壊しでも、その事業年度の損金に算入できるとされています。

除却の事実をどう残すか

除却損が否認される多くの原因は、「本当に処分したのか」を示す資料が無いことです。次のような資料をセットで残してください。

  • 廃棄業者の廃棄証明書・処分証明書
  • 産業廃棄物を出した場合のマニフェスト(管理票)の控え
  • 撤去業者の見積書・請求書・支払記録
  • 除却前後の写真(設置場所と撤去後の状態)
  • 使用中止や生産中止を決めた稟議書・議事録
  • 固定資産台帳の除却記録(除却日・帳簿価額)

法人の帳簿書類は保存期間が決まっています。国税庁 No.5930 帳簿書類等の保存期間では、確定申告書の提出期限の翌日から7年間の保存が定められています。

固定資産台帳もその「帳簿」に含まれます。なお青色欠損金が生じた事業年度は10年間です。

少額資産で除却の判断が要るかどうかは、固定資産と消耗品の境界線少額減価償却資産の特例もあわせてご確認ください。

よくある質問

固定資産除却損について、実務で頻出する質問を整理します。

Q1:固定資産除却損の勘定科目は何を使いますか?

「固定資産除却損」を使います。損益計算書の費用側に立つ科目で、原則は特別損失に区分します。管理の都合で「建物除却損」「機械装置除却損」のように資産の種類ごとの補助科目を設ける会社もありますが、集計上はいずれも固定資産除却損です。対価を受け取って手放した場合は除却ではなく売却となり、固定資産売却損益で処理します。

Q2:帳簿価額が1円の資産を除却したら、いくら計上しますか?

1円です。耐用年数が経過しても備忘価額として1円が残るため、除却するとその1円が固定資産除却損になります。間接法なら、減価償却累計額を取得価額マイナス1円で取り崩し、貸方に取得価額を出します。金額はわずかですが、この仕訳の目的は損失の計上より固定資産台帳から資産を消すことにあります。台帳に残したままだと、償却資産の申告対象として扱われ続けます。

Q3:固定資産除却損に消費税はかかりますか?

除却損そのものは不課税です。除却は誰かに売る取引ではなく、対価を受け取っていないため、消費税の課税対象である「対価を得て行う資産の譲渡等」に当たりません。一方、撤去や解体を業者に依頼した費用は役務の提供を受けた対価なので課税仕入れになります。廃材やスクラップを売って代金を受け取れば、そちらは課税売上です。1本の仕訳の中で税区分が分かれる点に注意してください。

Q4:除却損は特別損失と営業外費用のどちらに入れますか?

原則は特別損失です。臨時に発生し、通常の営業活動から離れた損失にあたるためです。ただし、パソコンや什器の入替のように少額で毎期発生するものまで特別損失に並べると、損益計算書が読みにくくなります。金額の重要性が乏しく経常的な除却であれば、営業外費用や販売費及び一般管理費で処理する実務もあります。一度決めた基準は毎期同じように適用してください。

Q5:使わなくなっただけで捨てていない資産も除却できますか?

法人税基本通達7-7-2の有姿除却に該当すれば、解体や廃棄をしていなくても帳簿価額から処分見込価額を引いた金額を損金算入できます。対象は、使用を廃止して今後通常の方法で事業に使う可能性がないと認められる固定資産と、特定製品専用の金型等で生産中止により将来使う可能性がほとんどないものです。「当面使わない」だけの遊休資産は要件を満たしません。適用の可否は状況によるため、顧問税理士にご確認ください。

Q6:除却した資産から出た廃材に値が付くときはどう処理しますか?

処分見込価額を貯蔵品などの資産科目へ振り替え、その分だけ除却損を減らします。帳簿価額300,000円・撤去費用50,000円・処分見込価額20,000円なら、除却損は330,000円です。その後この廃材を実際に売却したときは、対価を受け取る取引になるため課税売上として処理します。廃材に値が付かない場合は振替が不要で、帳簿価額と撤去費用の合計がそのまま除却損になります。

まとめ:除却は「損失計上」と「台帳整理」の両方

固定資産除却損のポイントを、最後に整理します。

この記事のまとめ

  • 除却損は帳簿価額+撤去費用−処分見込価額。対価がない点が売却との決定的な違い
  • 仕訳は直接法なら資産を直接、間接法なら減価償却累計額を取り崩して落とす
  • 償却済みの1円も除却すれば除却損。放置すると償却資産の申告対象として残る
  • 消費税は除却損=不課税/撤去費用=課税仕入れ/廃材の売却=課税売上の3分割
  • 損益計算書は特別損失が原則。少額で経常的なら営業外費用・販管費の実務もある
  • 壊さずに落とす有姿除却は要件が限定的。廃棄証明・写真・稟議書で事実を残す

除却は損失を計上して終わりではありません。固定資産台帳から資産を消し、翌年の償却資産の申告まで直して初めて完了します。帳簿だけ直して台帳が残っていると、使っていない資産に課税が続きます。

判断に迷う取引は、処分の事実が分かる資料と決定の経緯をセットで残しておくと、後の確認がスムーズです。

固定資産は「取得→減価償却→除却→台帳整理」まで追いかける必要があり、資産の数が増えるほど手作業では抜けが出ます。日々の仕訳と固定資産台帳、決算書までを1つのデータでつなぎたい方は、まず自社の資産数で無理なく回るかを確かめてみてください。

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免責事項

※本記事は国税庁・地方自治体等の公開情報をもとに整理した一般的な情報です。除却の事実認定・損金算入の可否・消費税の課税区分など個別の会計税務判断は、所轄税務署の事前照会(書面照会・無料)または顧問税理士にご相談ください。


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この記事を書いた人

会計事務所で10年以上、法人や個人事業主の帳簿づけと税務申告の手伝いをしてきたTanakaです。決算が近づくと、経営者から「この支払いはどの科目で処理すればいいですか」という電話を何度も受けました。答えは業種や会社の規模で変わります。そこを一つずつ、相手に合わせて説明してきました。

独立してからは、中小企業の経理担当者向けの研修や、freee・マネーフォワード・弥生の科目設定の相談にも応じています。教科書の説明は抽象的で、現場では「とりあえず雑費」で片づけてしまうことも少なくありません。このサイトでは、勘定科目の選び方の判断軸を、具体例をそえて整理しています。最終的な税務判断は、顧問税理士にご相談ください。

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