課税仕入れの勘定科目と消費税区分|課税・非課税・不課税・対象外の判定

課税仕入れとは、消費税の課税対象となる仕入れや経費のことです。勘定科目は「仕入」「消耗品費」「外注費」など取引の内容で選び、消費税区分を「課税仕入れ(10%・8%)」にします。課税仕入れだけが仕入税額控除の対象で、免税事業者からの仕入れは経過措置により2026年9月まで80%、2026年10月からは70%しか控除できません(経過措置は2031年9月末で終了)。

「課税仕入れになる経費とならない経費の見分け方」「課税・非課税・不課税・対象外の判定」「インボイス制度での控除割合」まで、判定フローと仕訳例で整理します。

この記事でわかること

  • 課税仕入れとは消費税がかかる仕入れ・経費で、勘定科目は取引の内容で決まるという結論
  • 課税・非課税・不課税・対象外(免税)の4区分の判定基準
  • 課税仕入れが仕入税額控除の対象になる仕組みとインボイスの要件
  • 免税事業者からの仕入れは2026年9月まで80%・10月から70%に下がり、2031年9月末で終わる経過措置
  • 税抜経理と税込経理の仕訳例と、区分を間違えやすい経費の注意点

公的情報源: 国税庁「No.6451 仕入税額控除の対象となるもの」(参照)/国税庁「No.6209 非課税と不課税の違い」(参照)/財務省「令和8年度税制改正」(参照

結論を先に書きます

課税仕入れとは、消費税の課税対象となる仕入れや経費のことです。勘定科目そのものは「消耗品費」「外注費」など取引の内容で選び、そこに「課税仕入れ」という消費税区分をひも付ける、という2階建ての考え方になります。

判定のポイントは、支払いが「課税・非課税・不課税・対象外(免税事業者から)」のどれかを見分けることです。課税仕入れに区分したものだけが仕入税額控除の対象になります。

この記事の要点
  • 勘定科目は取引内容で決め、消費税区分「課税仕入れ」を別に設定する
  • 課税仕入れ=国内で・事業として・対価を得て行う課税資産の仕入れ・経費
  • 給料・支払利息・保険料・租税公課などは課税仕入れにならない
  • 課税仕入れは仕入税額控除の対象。控除にはインボイス(適格請求書)の保存が必要
  • 免税事業者からの仕入れは2026年9月まで80%・2026年10月から70%の経過措置。2031年9月末で終了

目次

課税仕入れとは|消費税がかかる仕入れ・経費

課税仕入れとは、事業者が国内で事業として、対価を支払って行う商品・サービスの仕入れや経費のうち、消費税の課税対象になるものです。相手が課税事業者かどうかにかかわらず、取引の性質で判定します。

国税庁も、課税仕入れを「事業者が事業として他の者から資産を譲り受け、借り受け、または役務の提供を受けること」と定めています(参考: 国税庁「No.6451 仕入税額控除の対象となるもの」)。仕入だけでなく、消耗品費・外注費・水道光熱費などの経費も含まれます。

ここで大事なのは、勘定科目と消費税区分は別物という点です。会計ソフトでは「消耗品費」という勘定科目を選んだうえで、消費税区分の欄で「課税仕入れ 10%」を選びます。勘定科目そのものが「課税仕入れ」になるわけではありません。

勘定科目の決め方に迷う場合は会計処理とは?流れ・個人事業主と法人の違い・勘定科目の決め方もあわせてご覧ください。

課税仕入れの勘定科目は「取引の内容」で決まる

課税仕入れに使う勘定科目は、何を買ったか・何のサービスを受けたかで決まります。代表的な科目と消費税区分を整理します。

支出の内容勘定科目消費税区分
商品・材料の仕入れ仕入・棚卸資産課税仕入れ 10%(8%)
文具・少額の備品消耗品費課税仕入れ 10%
業務委託・外注外注費課税仕入れ 10%
電気・ガス・水道水道光熱費課税仕入れ 10%
電車・タクシー旅費交通費課税仕入れ 10%
事務所の家賃地代家賃課税仕入れ 10%

飲食料品などは軽減税率8%が適用される場合があります。科目ごとの詳しい使い分けは消耗品費の勘定科目と仕訳|消耗品との違い・10万円基準外注費(業務委託費)の勘定科目と仕訳|給与との違いで解説しています。商品仕入れの扱いは棚卸資産の勘定科目と仕訳を参照してください。

経費全体の科目を一覧で確認したい場合は経費の勘定科目一覧・早見表が便利です。

消費税区分の4分類|課税・非課税・不課税・対象外の判定

支払いの消費税区分は、大きく4つに分かれます。このうち課税仕入れだけが仕入税額控除の対象です。

消費税区分は課税仕入れ(控除対象)・非課税・不課税・免税事業者からの4区分に分かれ、課税仕入れだけが仕入税額控除できる判定フロー図
図:消費税区分は課税・非課税・不課税・対象外の4つ。課税仕入れだけが仕入税額控除の対象になる

判定の順番はシンプルです。まず「国内で・事業として・対価を得て行う取引か」を確認し、そのうえで消費税がかかるかを見ます。

  • 課税仕入れ:消耗品費・外注費・家賃など、消費税がかかる仕入れ・経費
  • 非課税:土地の購入、借入金の利息、保険料、商品券など(消費税の性質になじまないもの)
  • 不課税(対象外):給料、株式の配当、寄付、税金の支払いなど、そもそも取引の対価でないもの
  • 免税事業者から:課税取引だが、相手がインボイス発行事業者でないため経過措置の対象

非課税と不課税は混同されがちですが、非課税は「本来は課税対象だが政策的に外したもの」、不課税は「そもそも課税の対象外」という違いがあります(参考: 国税庁「No.6209 非課税と不課税の違い」)。

課税仕入れになるものと、ならないものを整理すると次のとおりです。

課税仕入れになるものは仕入・消耗品費・外注費・水道光熱費など、ならないものは給料・支払利息・保険料・租税公課・土地という比較図
図:課税仕入れになる経費と、給料・利息・保険料など課税仕入れにならない支出の切り分け

給料や支払利息、租税公課は課税仕入れになりません。給与は「不課税(雇用契約による労働の対価)」、租税公課や寄付も対価性がないため「不課税」。支払利息・保険料・土地の購入は「非課税」です。ここを課税で処理すると、消費税の計算が過大になります。

課税仕入れと仕入税額控除の関係|インボイスと経過措置

課税仕入れが重要なのは、仕入税額控除の対象になるからです。仕入税額控除とは、売上にかかった消費税から、仕入れや経費で払った消費税を差し引いて納税額を計算する仕組みです。

2023年10月に始まったインボイス制度(適格請求書等保存方式)では、原則として適格請求書(インボイス)の保存がないと仕入税額控除ができません。取引先がインボイス発行事業者かどうかで、控除できる金額が変わります。

免税事業者などインボイスを発行できない相手からの課税仕入れには、経過措置が設けられています。控除できる割合は次のとおりです。

免税事業者からの仕入れは経過措置で2026年9月まで80%控除、2026年10月から70%控除、その後50%・30%と段階的に下がり2031年10月から控除不可となるタイムライン図
図:免税事業者からの課税仕入れは、2026年10月に80%から70%へ下がり、2031年9月末で経過措置が終わる
課税仕入れをした時期控除できる割合
2023年10月1日〜2026年9月30日仕入税額の80%
2026年10月1日〜2028年9月30日仕入税額の70%
2028年10月1日〜2030年9月30日仕入税額の50%
2030年10月1日〜2031年9月30日仕入税額の30%
2031年10月1日以降控除不可(0%)

つまり2026年10月1日から、控除できる割合が80%から70%へ下がります。当初は「2026年10月から50%・2029年9月末で終了」の予定でしたが、令和8年度の税制改正で4段階の縮減に変わりました(財務省「令和8年度税制改正」2026年・参照/制度の全体像は国税庁「インボイス制度」特設サイト)。

自分がいま何割かは、表を暗記しなくても判定できます。見るのは「その仕入れをした日」だけ。2026年9月30日までの支払いは80%、10月1日以降の支払いは70%です。

免税事業者との取引が多いほど、控除できない分の負担が増えます。なお、同じ免税事業者からの課税仕入れが1つの課税期間で1億円を超えると、超えた部分は経過措置を使えません(改正前は10億円)。そこまでの取引額がなければ、気にしなくて構いません。

控除できなかった消費税は、原則として仕入れた資産・経費の取得価額に含めて処理します(消耗品費なら消耗品費の金額に上乗せする、など)。

課税仕入れの仕訳例|税抜経理と税込経理

課税仕入れの仕訳は、税抜経理か税込経理かで書き方が変わります。消耗品を11,000円(本体10,000円+消費税1,000円)で買ったケースで見ていきます。

税込経理の場合

税込経理では、消費税を分けずに、支払総額をそのまま勘定科目に含めます。個人事業主で多い方式です。

税込経理では借方に消耗品費11,000円、貸方に現金11,000円を計上し消費税を分けないT字勘定図
図:税込経理では消費税を分けず、支払総額11,000円をそのまま消耗品費で計上する
借方金額貸方金額摘要
消耗品費11,000現金11,000消耗品購入(税込)

税抜経理の場合

税抜経理では、本体価格と消費税を分け、消費税を「仮払消費税」で計上します。法人や課税事業者で使われます。

借方金額貸方金額摘要
消耗品費10,000現金11,000消耗品購入(税抜)
仮払消費税1,000

税抜経理では、この仮払消費税が仕入税額控除の対象として集計されます。免税事業者からの仕入れで経過措置が適用される場合は、控除できない分(2026年9月までは20%、10月からは30%)を消耗品費などに振り替えます。

よくある間違いと注意点

課税仕入れの判定でつまずきやすいポイントを整理します。いずれも消費税の納税額に直結します。

  1. 給料や支払利息を課税仕入れにしてしまう
  2. 免税事業者からの仕入れを全額控除してしまう
  3. 非課税と不課税を取り違える

間違い1:給料・利息を課税にする

給料は不課税、支払利息と保険料は非課税です。これらを課税仕入れで処理すると、控除できる消費税が過大になり、納税額が過少になります。税務調査で指摘されやすいポイントです。

間違い2:免税事業者からの仕入れを全額控除

インボイスがない免税事業者からの仕入れは、原則として経過措置の割合(2026年9月まで80%・10月から70%)でしか控除できません。全額控除すると納税額が過少になります。

間違い3:非課税と不課税の取り違え

課税売上割合の計算では、非課税売上は分母に含めますが、不課税は含めません。区分を間違えると控除税額の計算がずれます。判断に迷う取引は、国税庁のタックスアンサーを確認するのが安全です。勘定科目の全体像は勘定科目一覧【B/S・P/L全網羅】でも確認できます。

よくある質問

課税仕入れの処理でつまずきやすい5問を整理します。

Q1:課税仕入れの勘定科目は何を使いますか?

取引の内容に応じた勘定科目を使います。商品なら「仕入」、文具なら「消耗品費」、外注なら「外注費」などです。そのうえで消費税区分の欄で「課税仕入れ 10%」を選びます。勘定科目そのものが「課税仕入れ」になるわけではありません。

Q2:給料は課税仕入れになりますか?

なりません。給料は雇用契約にもとづく労働の対価で、消費税の課税対象外(不課税)です。一方、同じ人手でも外注費は課税仕入れになります。給与か外注かの区分に注意してください。

Q3:課税・非課税・不課税・対象外はどう見分けますか?

まず国内で事業として対価を得る取引かを確認します。該当し消費税がかかるものが課税仕入れ、政策的に外されたもの(利息・保険料・土地)が非課税、そもそも対価でないもの(給料・寄付・税金)が不課税です。

Q4:免税事業者から仕入れると消費税はどうなりますか?

経過措置の対象になります。インボイスがないため、2026年9月30日までは仕入税額の80%、2026年10月1日からは70%しか控除できません。その後も2028年10月から50%、2030年10月から30%と下がり、2031年9月末で経過措置は終わります。控除できない分は仕入れた資産や経費の金額に含めて処理します。

Q5:控除できなかった消費税はどの勘定科目で処理しますか?

原則として、仕入れた資産・経費の取得価額に含めます。消耗品を買ったなら消耗品費に上乗せします。金額が大きく重要性が高い場合は「雑損失」などで処理する方法もあります。

まとめ:課税仕入れは「区分」で判定し、控除対象を見極める

最後に、課税仕入れのポイントを整理します。

この記事のまとめ
  • 勘定科目は取引内容で決め、消費税区分「課税仕入れ」を別にひも付ける
  • 課税・非課税・不課税・対象外のうち、課税仕入れだけが仕入税額控除の対象
  • 給料は不課税、利息・保険料は非課税で課税仕入れにならない
  • 控除にはインボイス(適格請求書)の保存が必要
  • 免税事業者からの仕入れは2026年9月まで80%・10月から70%の経過措置。2031年9月末で終了

課税仕入れは「勘定科目」と「消費税区分」を分けて考えると、迷いがぐっと減ります。まず取引内容で科目を決め、次に課税・非課税・不課税・対象外のどれかを判定する。この2段階を習慣にすれば、消費税の計算ミスを防げます。インボイスの経過措置や個別の判定に迷う場合は、最新の国税庁の情報を確認のうえ、税理士など有資格者に相談すると確実です。

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免責事項

※本記事は2026年8月時点の公開情報をもとに、消費税・勘定科目の一般的な考え方を整理したものです。税制・消費税の取り扱いは改正や個別の事情により異なります。個別の税務処理・消費税区分の判断は、最新の国税庁の公式情報をご確認のうえ、税理士など有資格者にご相談ください。


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この記事を書いた人

会計事務所で10年以上、法人や個人事業主の帳簿づけと税務申告の手伝いをしてきたTanakaです。決算が近づくと、経営者から「この支払いはどの科目で処理すればいいですか」という電話を何度も受けました。答えは業種や会社の規模で変わります。そこを一つずつ、相手に合わせて説明してきました。

独立してからは、中小企業の経理担当者向けの研修や、freee・マネーフォワード・弥生の科目設定の相談にも応じています。教科書の説明は抽象的で、現場では「とりあえず雑費」で片づけてしまうことも少なくありません。このサイトでは、勘定科目の選び方の判断軸を、具体例をそえて整理しています。最終的な税務判断は、顧問税理士にご相談ください。

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