現金出納帳の書き方|記入例と月末の締め方・繰越

現金出納帳の書き方

現金出納帳の書き方は、1行に1取引ずつ、日付・勘定科目・摘要・入金・出金・残高を書き、最初の行に前月からの繰越残高を置く形です。青色申告の法人は、取引の年月日・事由・出納先・金額と日々の残高を書くことが求められます。月末は手元の現金を数えて残高と合わせてから繰り越します。

この記事でわかること

  • 現金出納帳の列と、青色申告法人に求められる記載事項(出納先を含む)
  • 前月繰越から次月繰越まで1か月分を通した記入例
  • 預金の引き出し・預け入れ、社長の立替など迷いやすい取引の書き方
  • 月末の実査・締め方と、次ページ・次月への繰越の書き方
  • 残高が合わないときにどこから探すかの順番

公的情報源: e-Gov法令検索 法人税法施行規則 第54条・別表二十四(参照)/国税庁 No.5930 帳簿書類等の保存期間(参照)

先に答え

現金出納帳は、会社の金庫やレジにある現金の出入りを、起きた順に書いていく帳簿です。1行ごとに残高を出すので、帳簿の残高と手元の現金を、いつでも見比べられます。

書き方そのものは単純です。迷うのは、預金との出し入れ、社長が立て替えた支払、月末に残高が合わないときの3つ。最後の行の残高が、数えた現金と一致して初めて締まると考えると、書く順番が決まります。

この記事の要点

  • 1行1取引。同じ日に2件あれば2行に分ける
  • 青色申告の法人は年月日・事由・出納先・金額・日々の残高を書く(法人税法施行規則 別表二十四)
  • 預金から引き出したら現金の入金、預け入れたら現金の出金。預金の帳簿にも反対向きで記録する
  • 月末は金種表で現金を数えてから締め、次月繰越を書く
  • 現金出納帳は保存義務のある帳簿。法人は7年、欠損金が出た期は10年(国税庁 No.5930)

目次

現金出納帳とは|書く項目と青色申告法人の記載事項

現金出納帳とは、現金の入金と出金を日付順に記録し、そのつど残高を出す帳簿です。国税庁は、法人が保存しなければならない帳簿の例として、総勘定元帳・仕訳帳と並べて現金出納帳を挙げています(No.5930)。

市販の様式や会計ソフトの現金出納帳は、6〜7列で作られています。列ごとに書く内容は次のとおりです。

現金出納帳の列と書く内容

列書く内容書き方の例
日付現金が動いた日10/3
勘定科目相手になる科目通信費
摘要何に使った・何で受け取ったか切手代 84円×10枚
出納先支払った相手・受け取った相手○○郵便局
入金増えた現金16,500
出金減った現金1,100
残高その行の後に残る現金83,900

青色申告法人は「出納先」と「日々の残高」が要る

青色申告の法人は、仕訳帳・総勘定元帳など必要な帳簿を備え、決められた事項を記録します(法人税法施行規則54条)。現金については、取引の年月日、事由、出納先及び金額並びに日々の残高が記載事項です(同規則 別表二十四(一))。

一般的な様式の6列には「出納先」の列がありません。摘要に「○○郵便局 切手代」のように相手の名前を入れるか、出納先の列を足してください。

勘定科目は「相手の科目」を書く

現金出納帳の勘定科目の欄には、現金と反対側に来る科目を書きます。切手を買ったなら通信費、売上を現金で受け取ったなら売上高です。会計ソフトでは、この欄がそのまま仕訳の相手科目になります。

科目の選び方そのものは勘定科目とは?5区分と一覧で整理しています。

現金出納帳の記入例|1か月分を通して書く

小さな会社の10月の現金出納帳です。9月末の残高35,000円から始め、10月31日に数えた現金と照らして締めます。

現金出納帳の記入例(2026年10月)

日付科目・摘要・出納先入金出金残高
10/1前月繰越35,00035,000
10/2普通預金・引き出し・△△銀行50,00085,000
10/3通信費・切手代・○○郵便局1,10083,900
10/7消耗品費・コピー用紙・□□文具2,97080,930
10/10売上高・店頭の現金売上・A様16,50097,430
10/15旅費交通費・タクシー代・××交通1,80095,630
10/20立替金の精算・駐車料金・代表者80094,830
10/25普通預金・預け入れ・△△銀行60,00034,830
10/31次月繰越34,830
合計101,500101,500

前月繰越を除く10月の入金は66,500円、次月繰越を除く出金は66,670円です。35,000+66,500−66,670=34,830円が10月末の残高で、数えた現金と一致すれば締まります。

最後の2行が締めの書き方です。前月繰越の35,000円は入金の欄にも書いておきます。次月繰越の34,830円を出金の欄に書くと、入金と出金の合計がどちらも101,500円でそろいます。手書きの帳簿では、次月繰越を赤字で書き、合計の下に二重線を引く書き方が使われてきました。

10月の現金出納帳の締め(記入例の数字)

入ってきた側
前月繰越
35,000
10月の入金
66,500
合計
101,500
出ていった側
10月の出金
66,670
次月繰越
34,830
合計
101,500
照合
帳簿の残高
34,830
金種表の合計
34,830
判定
一致=締めてよい

図:次月繰越を出金の側に入れると、左右の合計が101,500円でそろう。その前に、帳簿の残高と金種表の合計が一致していることを確かめる。

レシートは1枚1行で書く

レシートや領収書は、原則1枚を1行で書きます。同じ日に同じ店で2回買い物をしたら、2行です。摘要には、品名と数量、必要なら使った目的まで書くと、後から見て中身が分かります。

青色申告の法人では、少額の経費について科目ごとに日々の合計だけを書く方法も規則に書かれています(別表二十四(十四))。現金出納帳では行を分けておくと、月末の照合で探しやすくなります。

迷いやすい取引の書き方|預金・立替・私費

現金出納帳だけで完結しない取引は、相手側の帳簿にも反対向きで記録します。片方だけ書くと、どちらかの残高が合わなくなります。

迷いやすい取引と2つの帳簿への書き方

取引現金出納帳相手側の帳簿
預金から現金を引き出した入金(科目:普通預金)預金の帳簿に出金
現金を預金に預け入れた出金(科目:普通預金)預金の帳簿に入金
社長の立替を現金で精算した出金(科目:立替金・未払金など)立替を記録した時点の仕訳と消し込む
社長が個人のお金を会社の金庫に入れた入金(科目:役員からの借入など)借りた記録として残す

引き出しと預け入れは、会社のお金の置き場が変わっただけです。売上や経費にはなりません。それでも現金の残高は動くので、現金出納帳には1行書いておく必要があります。

立替の精算は精算書と金額を合わせる

社長や社員が個人のお金で払った経費を現金で返すときは、精算書の金額と現金出納帳の出金額をそろえます。精算書に領収書を貼り、現金出納帳の摘要に精算書の番号を書いておくと、後から追えます。

精算書の書き方と、インボイスを受け取ったときの扱いは立替金のインボイス対応|立替金精算書の書き方と記載例にまとめています。

会社の現金と社長個人の現金を混ぜない

小さな会社では、社長の財布から会社の支払をしたり、会社の金庫のお金を社長が持ち出したりしがちです。どちらも現金出納帳に1行ずつ書き、会社と社長の間でお金を貸し借りした記録として残します。

書かずに混ぜると、月末に数えた現金が帳簿と合いません。原因が分からないまま差額が積み上がるので、出し入れはその日のうちに記録してください。

月末の締め方と、次ページ・次月への繰越

月末の締めは、現金を数えることから始めます。帳簿の残高を先に見てから数えると、数え間違いに気づきにくくなります。

  1. その月の領収書・レシート・精算書を全部記帳し終える
  2. 金庫やレジの現金を、金種表で紙幣・硬貨の種類ごとに数える
  3. 金種表の合計と、現金出納帳の最後の残高を見比べる
  4. 一致したら、次月繰越を出金の欄に書き、入金側と出金側の合計をそろえる
  5. 翌月の1行目に「前月繰越」として同じ残高を書く

ページの途中で行が尽きたとき

手書きの帳簿で月の途中にページの行が尽きたら、最後の行を「次頁へ繰越」にして、それまでの入金と出金の合計を書きます。次のページの1行目は「前頁より繰越」とし、同じ合計と残高を写します。

ページをまたぐときの書き方(例)

行の位置摘要入金出金残高
1ページの最後の行次頁へ繰越101,5006,67094,830
2ページの1行目前頁より繰越101,5006,67094,830

ページの繰越は、月の締めではありません。入金と出金の合計をそのまま持ち越し、月末の締めの合計まで足し続けます。Excelや会計ソフトでは行が尽きないので、この書き方は要りません。

月末の締めの流れ

  • その月の領収書・レシート・精算書を全部記帳したか
  • STEP1金種表で現金を数える帳簿の残高を見る前に、紙幣と硬貨の枚数から合計を出す
  • STEP2帳簿の最後の残高と見比べる合わなければ、締めずに原因を探す
  • STEP3次月繰越を書いて合計をそろえる次月繰越を出金の欄に入れ、左右の合計を一致させる
  • STEP4翌月の1行目に前月繰越同じ残高を写し、翌月の記帳を始める

図:締めの前に、まず現金を数える。帳簿と現金が一致したことを確かめてから、次月繰越を書く。

残高が合わないときの探し方

帳簿の残高と数えた現金が合わないときは、差額の形から探す場所を絞れます。上から順に確かめると、早く見つかることが多いです。

差額の形と、まず疑う場所

差額の形まず疑う場所
1枚のレシートの金額と同じ記帳漏れ、または二重記帳
差額の半分の金額の取引がある入金と出金を逆の欄に書いた
9で割り切れる桁の入れ替え(例 1,800を1,080と書いた)
預金の引き出し・預け入れの額と同じ現金出納帳か預金の帳簿の片方だけに書いた
残高がマイナスになっている入金の記帳漏れ(現金がマイナスになることはない)

探しても原因が分からない差額は、いったん「現金過不足」などの仮の科目で受けて、帳簿の残高を実際の現金に合わせます。期末まで分からなければ、決算で雑収入か雑損失に振り替えるのが一般的な処理です。

現金出納帳の保存期間と作り方

現金出納帳は、法人が保存しなければならない帳簿です。保存期間は、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間で、青色申告で欠損金が出た事業年度などは10年間です(国税庁 No.5930)。

現金出納帳の作り方

作り方向いている会社注意点
市販の帳簿に手書き現金の取引が月に数件出納先の列が無ければ摘要に書く
Excel自社の科目で集計したい残高の式が壊れていないか毎月確かめる
会計ソフト仕訳まで一度に済ませたい現金の勘定の残高がそのまま出納帳になる

Excelや会計ソフトで作った出納帳を、紙に印刷せず電子データのまま保存する場合は、電子帳簿保存法の要件に合わせます。領収書の扱いとあわせて電子帳簿保存法で「紙の領収書」は捨てていい?で確認できます。

よくある質問

現金出納帳の書き方で迷いやすい6問です。

Q1:現金出納帳の一番最初の行には何を書きますか?

前月から繰り越した現金の残高を書きます。摘要は「前月繰越」、残高の欄にその金額です。会社を作って最初に書く月は、その日に金庫やレジにあった現金を数えた額から始めます。

Q2:法人の現金出納帳で必ず書く項目は何ですか?

青色申告の法人は、取引の年月日、事由、出納先、金額と日々の残高を書きます(法人税法施行規則 別表二十四)。一般的な6列の様式には出納先の列が無いので、摘要に相手の名前を書くか、列を足してください。

Q3:預金からお金を引き出したときはどう書きますか?

現金出納帳には入金として書き、科目は普通預金にします。同じ取引を、預金の帳簿には出金として記録します。お金の置き場が変わっただけなので、売上にも経費にもなりません。

Q4:月末の締め方を教えてください。

先に金庫やレジの現金を金種表で数え、帳簿の最後の残高と一致するかを確かめます。一致したら次月繰越を出金の欄に書き、入金側と出金側の合計をそろえます。最後に、翌月の1行目へ前月繰越として同じ残高を書けば完了です。

Q5:ページの途中で行がなくなったらどうしますか?

最後の行を「次頁へ繰越」にして入金と出金の合計と残高を書き、次のページの1行目に「前頁より繰越」として同じ数字を写します。月の締めではないので、合計は月末まで足し続けます。

Q6:現金出納帳は何年保存すればいいですか?

法人は、確定申告書の提出期限の翌日から7年間です。青色申告で欠損金が出た事業年度などは10年間になります(国税庁 No.5930)。領収書やレシートも、同じ期間の保存が要る書類です。

まとめ

現金出納帳の書き方の要点です。

この記事のまとめ

  • 現金出納帳は、現金の出入りを日付順に記録し、行ごとに残高を出す帳簿
  • 青色申告の法人は年月日・事由・出納先・金額・日々の残高を書く(施行規則 別表二十四)
  • 1行1取引。最初の行に前月繰越、最後に次月繰越
  • 預金の引き出し・預け入れは預金の帳簿にも反対向きで記録する
  • 月末は現金を数えてから締める。合わなければ差額の形から探す
  • ページの繰越は月の締めではない。合計は月末まで足し続ける
  • 保存期間は7年、欠損金が出た期は10年(No.5930)

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免責事項

※本記事は現金出納帳の一般的な書き方を、e-Gov法令検索の条文と国税庁タックスアンサー(2026年10月時点)に基づいて整理したものです。記入例の金額・相手先は説明のための例です。帳簿の様式や保存の方法は会社の状況で変わる場合があります。必要に応じて顧問税理士など有資格者へご相談ください。


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この記事を書いた人

会計事務所で10年以上、法人や個人事業主の帳簿づけと税務申告の手伝いをしてきたTanakaです。決算が近づくと、経営者から「この支払いはどの科目で処理すればいいですか」という電話を何度も受けました。答えは業種や会社の規模で変わります。そこを一つずつ、相手に合わせて説明してきました。

独立してからは、中小企業の経理担当者向けの研修や、freee・マネーフォワード・弥生の科目設定の相談にも応じています。教科書の説明は抽象的で、現場では「とりあえず雑費」で片づけてしまうことも少なくありません。このサイトでは、勘定科目の選び方の判断軸を、具体例をそえて整理しています。最終的な税務判断は、顧問税理士にご相談ください。

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