材料費の勘定科目・仕訳|製造原価と仕入・消耗品費の違い【2026年】

材料費の勘定科目は、製造業では製造原価の「材料費」が基本で、仕入時は材料、消費時は仕掛品・製造間接費へ振り替えます。小規模事業や少額の補助材料は仕入高・消耗品費でも処理でき、期末の未使用分は棚卸で材料(資産)へ戻します。

この記事でわかること

  • 材料費とは、製品を作るために消費した材料の原価で、労務費・経費と並ぶ製造原価の3要素の1つ
  • 「材料費」という勘定科目を使うかは業種で変わる。製造業=材料費、小規模・非製造業=仕入高/消耗品費、建設業=完成工事原価の材料費(比較表で整理)
  • 材料費は直接材料費(主要材料費・買入部品費)間接材料費(補助材料費・工場消耗品費など)に分かれる
  • 仕訳は仕入時=材料/買掛金消費時=仕掛品・製造間接費/材料期末=未使用分を材料(資産)へ振替の3場面で押さえる
  • 材料の仕入れは課税仕入れとして、仕入れた期に仕入税額控除の対象になる

公的情報源: 国税庁 棚卸資産の評価方法国税庁 帳簿の記帳のしかた国税庁 仕入税額控除の対象となるもの

結論を先に書きます

材料費とは、製品を製造するために消費した材料の原価のことです。工業簿記では、労務費・経費と並ぶ製造原価の3要素の1つに位置づけられます。

ただし、すべての事業が「材料費」という勘定科目を立てるわけではありません。原価計算をする製造業では材料費を使いますが、小規模な事業や非製造業では仕入高や消耗品費で処理することも多く、業種と規模で選ぶ科目が変わります。

この記事では、業種別の勘定科目の使い分け、直接材料費と間接材料費の違い、仕入時・消費時・期末棚卸の仕訳、仕入や消耗品費との違い、消費税の扱いまで、順番に整理します。

この記事の要点
  • 材料費=製品を作るために消費した材料の原価。製造原価の3要素の1つ
  • 使う勘定科目は業種で変わる。製造業=材料費、小規模・非製造業=仕入高/消耗品費
  • 材料費は直接材料費間接材料費に区分し、消費時に仕訳で仕掛品・製造間接費へ振り替える
  • 期末の未使用材料は材料(棚卸資産)へ戻し、消費した分だけを費用にする

目次

材料費とは?製造原価を構成する費用

材料費とは、製品を製造するために消費した材料の原価です。鋼材や木材、部品、加工前の素材など、製品の一部になるものを消費したときの金額が材料費にあたります。

材料費は損益計算書の費用ですが、いきなり費用になるわけではありません。原価計算では、いったん製品の原価に集計され、その製品が売れて初めて売上原価として費用になります。

材料費は製造原価の3要素の1つ

製品を作るためのコストである製造原価は、大きく3つの要素で構成されます。

  • 材料費:製品に使う材料・部品の消費額
  • 労務費:製造にかかわる人の賃金・給料
  • 経費:材料費・労務費以外の費用(電気代・外注加工賃・減価償却費など)

このうち材料費は、製品そのものを形づくる材料の消費額を集計したものです。労務費や経費と切り分けて把握することで、製品1個あたりの原価を正確に計算できます。

「材料費」という勘定科目を使うとは限らない

ここが最初のつまずきポイントです。「材料費」は原価計算上の区分であって、どの事業でも同じ勘定科目を立てるわけではありません

原価計算を行う製造業では「材料費」や「材料」を使います。一方で、原価計算をしない小規模事業や非製造業では、材料の購入を仕入高や消耗品費で処理することも珍しくありません。

つまり、同じ「材料を買った」取引でも、事業の業種と規模によって選ぶ勘定科目が変わる、という点をまず押さえておきましょう。次の章で業種別に整理します。

材料費の勘定科目|業種別の使い分け(製造業・建設業・小規模)

材料費の勘定科目を、製造業(材料費)・建設業(完成工事原価の材料費)・小規模/非製造業(仕入高・消耗品費)の3グループで業種別に分類したツリー図。
図:材料費は総称。業種と規模で、材料費・仕入高・消耗品費に振り分ける。

材料費の勘定科目は、「原価計算をするか」「材料が製品の主役か補助か」で使い分けます。業種と規模で振り分けると迷いません。まずは表で全体を整理します。

材料費の勘定科目 業種別 早見表

業種・規模仕入時の科目消費・費用計上補足
製造業(原価計算あり)材料仕掛品・製造間接費へ振替主要材料は材料費、補助材料は製造間接費
建設業材料貯蔵品 など完成工事原価(材料費)労務費・外注費・経費と並ぶ工事原価の一部
小規模・簡便処理仕入高購入時に費用原価計算をしない場合に採用
非製造業・補助材料消耗品費購入時に費用少額・重要性が低い材料

ポイントは2つです。製造業は「材料→仕掛品」と段階を踏むこと。そして小規模や補助的な材料は購入時に費用化してよいことです。順に見ていきます。

製造業:材料を仕入れ、仕掛品・製造間接費へ振り替える

原価計算を行う製造業では、材料を仕入れた時点で資産として「材料」に計上します。そして製造ラインで消費したときに、材料費として振り替えます。

このとき、直接材料費は「仕掛品」へ、間接材料費は「製造間接費」へ振り替えるのが基本です。製品に直接使う材料と、複数製品に共通で使う補助材料を分けて集計するためです。

倉庫にある未使用の材料は資産のまま残り、消費した分だけが原価に集計されます。この仕入→消費→振替の流れが工業簿記の核心です。

建設業:完成工事原価の材料費として集計する

建設業では、工事にかかったコストを完成工事原価として集計します。完成工事原価は、材料費・労務費・外注費・経費の4区分で構成されるのが特徴です。

現場で使う鉄筋・木材・生コンなどの資材が材料費にあたります。製造業と考え方は同じで、工事のために消費した材料の原価を材料費として把握します。

なお、下請けに工事の一部を任せる外注費は材料費とは別区分です。建設業は外注費の比率が高いため、材料費・労務費・外注費を混同しないよう区分します。外注費の扱いは外注費の勘定科目で整理しています。

小規模・非製造業:仕入高や消耗品費で処理する

厳密な原価計算をしない小規模な事業では、材料の購入を「仕入高」として購入時に費用処理することも認められます。手間の割に効果が小さい原価計算を省く、簡便な処理です。

また、製造ラインで使うネジや接着剤のような補助的で少額の材料は、重要性が低ければ消耗品費に含めることもあります。

ただし、この場合も期末に売れ残った在庫や未使用の材料は棚卸して、資産に振り替える必要があります。購入時に費用化したまま放置すると、その期の費用が過大になってしまうためです。仕入高との違いは仕入(仕入高)の勘定科目、消耗品費との違いは消耗品費の勘定科目で詳しく解説しています。

直接材料費と間接材料費の違い

材料費は、製品との結びつきの強さで直接材料費と間接材料費に分かれます。この区分は、製造間接費の配賦や原価管理の出発点になります。

直接材料費と間接材料費の分類

区分意味具体例消費時の振替先
直接材料費特定の製品にいくら使ったか直接わかる主要材料費・買入部品費仕掛品
間接材料費どの製品にいくら使ったか区分しにくい補助材料費・工場消耗品費・消耗工具器具備品費製造間接費

直接材料費(主要材料費・買入部品費)

直接材料費は、どの製品にいくら使ったかが直接わかる材料の原価です。製品の主役になる材料が該当します。

  • 主要材料費:製品の本体をなす材料(家具の木材、パンの小麦粉など)
  • 買入部品費:外部から購入し、そのまま製品に組み込む部品(ネジ付き金具、既製の電子部品など)

これらは特定の製品に直接ひもづけられるため、消費したときに「仕掛品」へ振り替えます。

間接材料費(補助材料費・工場消耗品費など)

間接材料費は、どの製品にどれだけ使ったか区分しにくい材料の原価です。複数の製品に共通で使われる補助的な材料が該当します。

  • 補助材料費:製品の補助に使う材料(塗料・接着剤・潤滑油など)
  • 工場消耗品費:製造で消費する少額品(軍手・研磨紙・洗浄剤など)
  • 消耗工具器具備品費:少額の工具・器具(ドリルの刃・測定治具など)

これらは特定の製品にひもづけにくいため、消費時に「製造間接費」へ集計し、あとで各製品へ配賦します。

材料費の仕訳例|仕入時・消費時・期末棚卸

材料費の仕訳は、仕入時・消費時・期末棚卸の3場面で押さえると整理できます。ここでは原価計算を行う製造業の仕訳で見ていきます。

仕入時の仕訳(材料を資産で計上)

材料を仕入れたときは、資産として「材料」に計上します。まだ消費していないため、この時点では費用になりません。

材料50万円を掛けで仕入れた場合の仕訳は次のとおりです。

借方金額貸方金額
材料500,000買掛金500,000

運賃や引取手数料などの材料の付随費用(材料副費)がかかった場合は、原則として材料の取得原価に含めます。

消費時の仕訳(材料費へ振替)

直接材料20万円を消費したときの仕訳を示すT字勘定。借方 仕掛品200,000円、貸方 材料200,000円。
図:材料の消費時のT字勘定。直接材料費は仕掛品、間接材料費は製造間接費へ振り替える。

製造ラインで材料を消費したときに、材料から材料費(仕掛品・製造間接費)へ振り替えます。ここで初めて材料費が計上されます。

直接材料20万円を製品の製造に投入した場合は、次のように仕掛品へ振り替えます。

借方金額貸方金額
仕掛品200,000材料200,000

補助材料など間接材料を5万円消費した場合は、製造間接費へ振り替えます。

借方金額貸方金額
製造間接費50,000材料50,000

このように、直接材料費は仕掛品、間接材料費は製造間接費へ振り分けるのが基本です。

期末棚卸の仕訳(未使用材料を資産に残す)

期末には、倉庫に残った未使用の材料を数えて資産に残します。原価計算では、材料勘定の残高がそのまま期末の材料在庫になります。

消費額は「期首材料+当期仕入−期末材料」で計算します。たとえば期首0円・当期仕入50万円・期末在庫10万円なら、当期の材料消費額は40万円です。

小規模事業で仕入時に費用化していた場合は、期末に未使用分を資産へ戻します。この考え方は棚卸資産の勘定科目と同じで、消費した分だけを費用にする点が共通します。

材料費と消費税|材料の仕入れは課税仕入れ

材料費と消費税の関係はシンプルです。材料の仕入れは課税仕入れとして、仕入れた期に仕入税額控除の対象になります。

材料を税込55万円(うち消費税5万円)で仕入れた場合、税抜経理方式では次のように仮払消費税を計上します。

借方金額貸方金額
材料500,000買掛金550,000
仮払消費税50,000

この5万円の仮払消費税は、仕入れた事業年度の仕入税額控除の対象です。期末に材料が未使用で残っていても、原則として仕入れた期に控除済みのままで、在庫分を翌期へ繰り越して控除し直すことはしません。

なお、免税事業者から課税事業者になった年などは、期首在庫の材料にかかる消費税を調整する特例があります。事業者区分が変わるタイミングでは、税理士に確認しておくと安全です。

材料費を処理するときの注意点

材料費の処理で迷いやすいポイントを整理します。

  1. 原価計算をするかで科目を選ぶ(製造業=材料費、小規模=仕入高・消耗品費)
  2. 直接材料費と間接材料費を区分し、消費時に仕掛品・製造間接費へ振り替える
  3. 期末に未使用の材料を棚卸し、消費した分だけを費用にする
  4. いったん決めた処理方法(科目・原価計算の有無)は継続して使う

とくに大切なのが期末の棚卸です。仕入時にすべて費用化していると、売れ残りの材料まで費用になり、その期の利益が実態より小さくなります。国税庁の帳簿の記帳のしかたでも、期末棚卸で在庫を資産に振り替える処理が求められています。

また、処理方法を毎期変えないことも重要です。ある年は材料費、翌年は消耗品費、と科目を動かすと、期間比較ができず税務調査でも指摘されやすくなります。

よくある質問

材料費について、よく寄せられる疑問をまとめます。

Q1:材料費の勘定科目は何を使えばよいですか?

業種と規模で変わります。原価計算を行う製造業では、仕入時に「材料」、消費時に直接材料費なら「仕掛品」、間接材料費なら「製造間接費」へ振り替えます。建設業では完成工事原価の「材料費」として集計します。原価計算をしない小規模事業では「仕入高」で購入時に費用処理し、少額で補助的な材料は「消耗品費」に含めることもあります。いずれの場合も期末に未使用分を棚卸して資産に残します。

Q2:材料費は仕入とどう違いますか?

材料費は製品を作るために消費した材料の原価で、加工して製品の一部になります。一方、仕入(仕入高)は販売目的で外部から購入した商品で、原則として加工せずそのまま販売するものです。加工の有無が分かれ目です。ただし原価計算をしない小規模事業では、材料の購入を簡便的に仕入高で処理することも認められています。

Q3:材料費と消耗品費の違いは何ですか?

材料費は製品の材料そのものの原価で、直接材料費・間接材料費として原価計算に集計します。消耗品費は事業運営で短期間に消費する少額の物品の費用です。製造で使うネジや接着剤などの補助材料も、金額が少なく重要性が低ければ消耗品費に含めることがあります。厳密な原価管理をする場合は間接材料費、簡便に処理する場合は消耗品費、と考えると整理できます。

Q4:直接材料費と間接材料費はどう見分けますか?

特定の製品にいくら使ったかが直接わかるかどうかで分けます。製品の本体をなす主要材料費や、そのまま組み込む買入部品費は直接材料費で、消費時に仕掛品へ振り替えます。塗料・接着剤などの補助材料費、軍手・研磨紙などの工場消耗品費は、どの製品にいくら使ったか区分しにくいため間接材料費とし、製造間接費へ集計します。

Q5:小規模な事業でも材料を仕入れたら棚卸は必要ですか?

必要です。仕入時に仕入高や消耗品費で費用処理していても、期末に未使用で残っている材料は棚卸して資産に振り替えます。棚卸をしないと売れ残りの材料まで費用になり、その期の利益と納税額が実態とずれます。消費した分だけを費用にするのが原則です。

Q6:材料の仕入れにかかった消費税はどう扱いますか?

材料の仕入れは課税仕入れとして、仕入れた事業年度の仕入税額控除の対象になります。期末に材料が未使用で残っていても、原則として仕入れた期に控除済みのままで、在庫分を翌期に繰り越して控除し直すことはしません。ただし免税事業者から課税事業者になった年などは、期首在庫の材料にかかる消費税を調整する特例があるため、区分が変わるときは税理士に確認すると安全です。

まとめ:材料費は「業種・区分・棚卸」で押さえる

材料費のポイントを最後に整理します。

この記事のまとめ
  • 材料費=製品を作るために消費した材料の原価。製造原価の3要素の1つ
  • 使う勘定科目は業種で変わる。製造業=材料費、小規模・非製造業=仕入高/消耗品費、建設業=完成工事原価の材料費
  • 材料費は直接材料費(仕掛品へ)間接材料費(製造間接費へ)に区分する
  • 仕訳は仕入時=材料/買掛金消費時=仕掛品・製造間接費/材料期末=未使用分を材料へ振替
  • 材料の仕入れは課税仕入れとして仕入れた期に仕入税額控除の対象になる

材料費は、科目そのものより「消費した分だけを費用にする」考え方が実務では大切です。期末の棚卸を正確に行えば、材料費と利益、ひいては納税額のズレを防げます。

取引や在庫が増えてきたら、仕入と在庫を連動できる会計ソフトに任せるのが現実的です。材料の受払や棚卸の集計を支援してもらえば、原価計算の負担を抑えつつ精度を保てます。


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免責事項

※本記事は国税庁の公開情報をもとに整理した一般的な情報です。原価計算の要否、材料費・仕入高・消耗品費の区分、事業者区分が変わる際の材料在庫にかかる消費税の調整など、個別の会計処理・税務判断は、所轄税務署の事前照会(書面照会・無料)または顧問税理士にご相談ください。


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この記事を書いた人

会計事務所で10年以上、法人や個人事業主の帳簿づけと税務申告の手伝いをしてきたTanakaです。決算が近づくと、経営者から「この支払いはどの科目で処理すればいいですか」という電話を何度も受けました。答えは業種や会社の規模で変わります。そこを一つずつ、相手に合わせて説明してきました。

独立してからは、中小企業の経理担当者向けの研修や、freee・マネーフォワード・弥生の科目設定の相談にも応じています。教科書の説明は抽象的で、現場では「とりあえず雑費」で片づけてしまうことも少なくありません。このサイトでは、勘定科目の選び方の判断軸を、具体例をそえて整理しています。最終的な税務判断は、顧問税理士にご相談ください。

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