延滞税の勘定科目は「租税公課」で処理しますが、税務上は損金不算入で経費になりません。加算税・延滞金(地方税)も同じ扱いです。会計上は租税公課で費用計上し、法人税の申告で加算調整します。延滞税の税率は納期限から2か月まで年7.3%、それ以降は年14.6%が上限(特例で軽減)です。
「延滞税は租税公課でいいのか」「なぜ経費にならないのか」「本税や利子税・遅延損害金とはどう違うのか」まで、迷わない基準で整理します。
この記事でわかること
- 延滞税・加算税の勘定科目は「租税公課」だが損金不算入という結論と理由
- 会計上は費用計上し、法人税申告で別表で加算するという二段階の処理
- 本税・延滞税・加算税の区分と、それぞれの勘定科目
- 利子税・延滞金・遅延損害金との違い(損金算入できるものとの線引き)
- 消費税は不課税、個人事業主は「事業主貸」になる点など注意点
公的情報源: 国税庁「No.5300 損金の額に算入される租税公課等の範囲」(参照)/国税庁「No.9205 延滞税について」(参照)
結論を先に書きます
延滞税を納めたときの勘定科目は「租税公課」です。ただし、税務上は損金不算入で、いくら払っても課税所得は減りません。過少申告加算税・無申告加算税・重加算税などの加算税、地方税の延滞金も同じ扱いです。
処理の流れは2段階です。会計上は「租税公課」で費用に計上し、法人税の申告で別表による加算調整(自己否認)を行って損金から除きます。
- 延滞税・加算税の勘定科目は「租税公課」。ただし損金不算入で経費にならない
- 会計上は費用計上し、法人税申告で加算調整して損金から除く
- 追徴された本税は、法人税・住民税なら「法人税等」(損金不算入)
- 利子税や納期限延長の延滞金は損金算入できる(延滞税とは別物)
- 消費税は不課税。個人事業主が払う延滞税は「事業主貸」
延滞税の勘定科目は「租税公課」だが損金不算入
延滞税とは、税金を納期限までに納めなかったときに、本来の税額(本税)に加えて課される税金のことで、勘定科目は「租税公課」で処理します。

租税公課という科目自体は、印紙税や固定資産税など経費になる税金と同じです。しかし延滞税は、納付が遅れたことに対するペナルティのため、税務上は損金に算入できません。
損金不算入とされるのは、延滞税が「納税を怠らなければ発生しなかった支出」だからです。これを経費として認めると、ペナルティの効果が薄れてしまいます(参考: 国税庁「No.5300 損金の額に算入される租税公課等の範囲」)。
延滞税の税率は、納期限の翌日から2か月を経過する日までは年7.3%、それ以降は年14.6%が上限です。実際には特例により、これより低い割合が適用されます(参考: 国税庁「No.9205 延滞税について」)。
同じ「租税公課で処理するが経費にならない」税金には、法人税・住民税の本税もあります。税金ごとの経費可否は法人税は経費にならない?「租税公課」で落とせる税金と「法人税等」の違いで整理しています。
会計上は費用計上し、法人税申告で加算する(二段階の処理)
延滞税は、会計と税務で扱いが分かれる点が最大のポイントです。処理は次の2段階になります。
- 会計(帳簿) → 「租税公課」で費用に計上する
- 税務(法人税申告) → 別表四で「加算(損金不算入)」して課税所得に戻す
帳簿では、ほかの経費と同じように租税公課で費用計上します。費用として計上すること自体は正しい処理です。
その上で、法人税の申告書(別表四)で延滞税・加算税の金額を「加算」します。これにより、会計上は費用でも、税金計算上は経費に含まれない形に調整されます。この調整を「自己否認」と呼びます。
なお、延滞税を「租税公課」ではなく最初から損金不算入と分かる別科目(雑損失など)で処理する会社もありますが、科目名にかかわらず損金不算入である点は変わりません。集計しやすいよう、延滞税・加算税だけ補助科目を分けておくと申告調整が楽になります。
本税・延滞税・加算税の区分と勘定科目
税務調査などで追徴があると、「本税」「延滞税」「加算税」がまとめて請求されます。それぞれ勘定科目と損金の扱いが違うため、分けて把握します。

| 区分 | 内容 | 勘定科目 | 損金算入 |
|---|---|---|---|
| 本税(法人税・住民税) | 追徴された税金そのもの | 法人税、住民税及び事業税 | 不可(損金不算入) |
| 本税(法人事業税) | 追徴された事業税 | 法人税、住民税及び事業税 | 可(例外的に損金算入) |
| 延滞税・延滞金 | 納付遅延のペナルティ | 租税公課 | 不可(損金不算入) |
| 加算税・加算金 | 申告誤り等のペナルティ | 租税公課 | 不可(損金不算入) |
本税のうち法人税・住民税は「法人税、住民税及び事業税」(法人税等)で処理し、損金不算入です。延滞税・加算税は「租税公課」で処理し、こちらも損金不算入になります。
加算税には、過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税・重加算税があります。名称は違っても、いずれも租税公課で処理し、損金には算入できません。
仕訳例|延滞税・加算税を納付したとき
延滞税・加算税を事業用の普通預金から納付したケースを示します。本税と分けて仕訳すると、後の申告調整がしやすくなります。
ケース1:延滞税を納付した場合
延滞税1万円を普通預金から納付したケースです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 租税公課 | 10,000 | 普通預金 | 10,000 | 延滞税(損金不算入) |
摘要に「損金不算入」と入れておくと、決算・申告で加算漏れを防げます。
ケース2:本税と加算税をまとめて納付した場合
追徴の本税(法人税)8万円と過少申告加算税1万円をまとめて払ったケースです。科目を分けて仕訳します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 法人税、住民税及び事業税 | 80,000 | 普通預金 | 90,000 | 追徴本税 |
| 租税公課 | 10,000 | 過少申告加算税 |
ケース3:個人事業主が延滞税を納付した場合
個人事業主自身の所得税の延滞税は、事業の経費になりません。事業用口座から払ったときは「事業主貸」で処理します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 事業主貸 | 5,000 | 普通預金 | 5,000 | 所得税の延滞税 |
個人事業税の延滞金など、事業に関する税金の延滞は租税公課で処理しますが損金不算入です。個人事業税の扱いは個人事業税の勘定科目は「租税公課」!仕訳と必要経費への算入方法で整理しています。
利子税・遅延損害金との違い(損金算入できるものとの線引き)
延滞税と名前が似ていて紛らわしいのが、利子税と遅延損害金です。損金算入の可否が違うので区別します。

利子税は、延納(納税の分割)や申告期限の延長を認められたときにかかる利息にあたる税金です。ペナルティではなく利息の性質のため、損金算入できます。同じ「遅れ」でも延滞税とは扱いが正反対です。
遅延損害金は、取引先への支払遅延や借入金の返済遅延で相手に払う損害金で、そもそも税金ではありません。取引上の費用なので、勘定科目は「支払利息」や「雑損失」で損金算入できます。
| 種類 | 性質 | 勘定科目 | 損金算入 |
|---|---|---|---|
| 延滞税・加算税 | 税金の納付遅延・申告誤りのペナルティ | 租税公課 | 不可 |
| 利子税 | 延納・期限延長の利息にあたる税金 | 租税公課 | 可 |
| 遅延損害金 | 取引・借入の遅延で相手に払う損害金 | 支払利息・雑損失 | 可 |
「延滞税=損金不算入」「利子税・遅延損害金=損金算入」と覚えておくと、決算での判断に迷いません。
よくある間違いと注意点
実務で見かける誤りを整理します。いずれも法人税の申告に影響するため、最初に押さえておくと安心です。
- 延滞税・加算税を経費にしたまま申告し、加算調整を忘れる
- 延滞税を課税仕入れ(消費税の対象)にしてしまう
- 利子税や遅延損害金まで損金不算入にしてしまう
- 本税と延滞税・加算税を1本の仕訳にまとめて区分できなくなる
間違い1:加算調整を忘れる
最も多い誤りです。租税公課で費用計上したまま加算調整をしないと、本来より課税所得が少なく申告され、後日の指摘対象になります。摘要に「損金不算入」と残しておきましょう。
間違い2:消費税の対象にしてしまう
延滞税・加算税は税金であり、対価性がないため消費税は不課税です。課税仕入れにしないよう、消費税区分は「不課税」または「対象外」を選びます。
間違い3:利子税まで不算入にする
利子税や納期限延長の延滞金は損金算入できます。延滞税と同じ扱いにして加算すると、払いすぎの税額になります。
間違い4:本税と混ぜて仕訳する
本税は「法人税等」、延滞税・加算税は「租税公課」と科目が違います。1本にまとめると区分できず、申告調整が難しくなります。判断に迷う場合は、顧問税理士に確認するのが安全です。
よくある質問
延滞税の処理でつまずきやすい5問を整理します。
Q1:延滞税の勘定科目は何ですか?
「租税公課」で処理します。ただし税務上は損金不算入で経費にはなりません。会計上は租税公課で費用計上し、法人税の申告で加算調整して損金から除きます。
Q2:延滞税はなぜ経費にならないのですか?
納付が遅れたことへのペナルティだからです。経費として認めると罰則の効果が薄れるため、法人税法で損金不算入とされています。加算税や地方税の延滞金も同じ理由で損金不算入です。
Q3:延滞税と加算税は勘定科目が違いますか?
同じで、どちらも「租税公課」です。過少申告加算税・無申告加算税・重加算税などの加算税も、延滞税と同様に租税公課で処理し、いずれも損金不算入になります。
Q4:利子税や遅延損害金も損金不算入ですか?
いいえ。利子税は延納・期限延長の利息にあたる税金で損金算入できます。遅延損害金は取引や借入の遅延で払う費用で、支払利息などとして損金算入できます。延滞税とは扱いが逆です。
Q5:個人事業主が払う延滞税はどう処理しますか?
自分の所得税の延滞税は事業の経費にならないため、事業用口座から払ったときは「事業主貸」で処理します。所得税と同じく、個人にかかる負担として扱います。
まとめ:延滞税は「租税公課で計上→申告で加算」
最後に、延滞税・加算税の勘定科目のポイントを整理します。
- 延滞税・加算税の勘定科目は「租税公課」。ただし損金不算入で経費にならない
- 会計上は費用計上し、法人税申告で別表加算して損金から除く
- 追徴された本税(法人税・住民税)は「法人税等」で損金不算入
- 利子税・遅延損害金は損金算入できる(延滞税とは別物)
- 消費税は不課税。個人事業主の延滞税は「事業主貸」
延滞税・加算税は、租税公課で費用計上したうえで法人税の申告で加算するのが基本です。利子税や遅延損害金のように損金算入できるものと取り違えないよう、摘要で区分しておくと確実です。判断に迷うケースでは、最新の国税庁情報を確認のうえ、税理士に相談すると安心です。
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免責事項
※本記事は2026年時点の公開情報をもとに勘定科目の一般的な考え方を整理したものです。税率・税制は改正により異なります。個別の税務処理・申告判断は、最新の国税庁の公式情報をご確認のうえ、税理士など有資格者にご相談ください。
