キャンセル料・解約違約金の消費税は不課税か課税か|事務手数料だけ課税・区分なしは全額不課税・インボイス後の請求書と仕訳例4本

キャンセル料の消費税は、解約手続きの事務手数料にあたる部分だけが課税10%で、逸失利益の補償にあたる部分は不課税です。請求書で2つが区分されていなければ全額不課税として処理します(国税庁 No.6253・消費税法基本通達5-5-2)。解約違約金も同じ判定で、賃貸の中途解約違約金は不課税、明渡し遅延分は課税です。

この記事でわかること

  • キャンセル料が事務手数料(課税)・逸失利益の補償(不課税)・区分なし一括(全額不課税)の3つに分かれる理由を、通達5-5-2の本文で確認
  • 賃貸の短期解約違約金・サブスクの早期解約金・工事の中途解約金など解約違約金の消費税区分と、課税になる例外(明渡し遅延・原状回復費)
  • ホテル・航空券・JR・レンタカー・セミナー・ノーショー料など業種別14場面の早見表
  • インボイス後に受取側が書く請求書の区分記載例と、区分のない請求書を受け取った支払側の処理
  • 原則課税・簡易課税・2割特例・免税事業者の課税方式別の処理表、仕訳例4本、収益計上・損金算入の時期

公的情報源: 国税庁タックスアンサー No.6253「キャンセル料」(参照)/No.6261「建物賃貸借契約の違約金など」(参照)/消費税法基本通達 第5章第5節「役務の提供」5-5-2(参照)/同 第5章第2節「資産の譲渡の範囲」5-2-5(参照

先に答え

キャンセル料の消費税区分は事務手数料の部分だけ課税10%・残りは不課税です。名目が「キャンセル料」でも「違約金」でも判定は同じで、解約の時期に関係なく一定額を取る部分が事務手数料にあたります。

請求書や領収書に事務手数料と補償分の区分がなければ、全額を不課税で処理します。支払った側が勝手に一部を課税仕入れに分けることはできません。

この記事の要点

  • キャンセル料は3分法で判定する。事務手数料=課税10%/逸失利益の補償=不課税/区分なし一括=全額不課税(国税庁 No.6253・令和8年4月1日現在法令等)
  • 解約違約金は原則不課税。ただし建物の明渡し遅延分と原状回復工事費は課税(No.6261)
  • 「非課税」ではなく「不課税」。受取側の課税売上割合の分母にも入れない(No.6209)
  • インボイス後は、課税の事務手数料部分だけ適格請求書が要る。税込1万円未満なら少額特例で2029年9月30日まで帳簿のみで控除できる(No.6496)
  • 簡易課税・2割特例・免税事業者は、支払側の区分を分けても納税額は変わらない。受取側は課税売上に事務手数料部分を含める

目次

キャンセル料の消費税は事務手数料が課税・逸失利益の補償が不課税|No.6253の3分法

キャンセル料の消費税とは、予約や契約の解約で受け渡しするお金のうち、役務の対価にあたる部分を課税・損害の補償にあたる部分を不課税に分ける判定です。国税庁 No.6253「キャンセル料」(令和8年4月1日現在法令等)は、キャンセル料を次の3つに分けて扱いを定めています。

  • 解約に伴う事務手数料としてのキャンセル料 → 解約手続の役務の対価なので課税
  • 逸失利益に対する損害賠償金としてのキャンセル料 → 資産の譲渡等の対価に当たらないので不課税
  • 全額を区分せず一括で受け取るキャンセル料 → 全額を不課税

No.6253 が挙げる例は航空運賃です。解約の時期に関係なく一定額を取る部分は事務手数料で課税、搭乗区間や解約時期で金額が変わる部分は逸失利益の補償で不課税になります。

キャンセル料・解約違約金の消費税区分を決める判定フロー

  • 請求書・領収書・約款を上から順に確認する
  • STEP1実質が何かの対価か(使用中の家賃・出来高・修理役務など)対価なら名目が違約金でも課税(通達5-2-5・No.6261)
  • STEP2事務手数料と補償分が区分されているか区分なしで一括請求 → 全額不課税(ゴルフ場のキャンセル料の例)
  • STEP3解約時期に関係なく一定額の部分があるかその部分は事務手数料=課税10%(航空券の払戻手数料の例)
  • STEP4時期や区間で金額が変わる部分か逸失利益の補償=不課税。適格請求書は不要

図:まず実質が対価かを見て、次に請求書の区分の有無、最後に一定額かどうかで課税と不課税に分かれる。

通達5-5-2「解約手数料、払戻手数料等」の本文

No.6253 の根拠は消費税法4条と、消費税法基本通達5-2-5・5-5-2です。5-5-2(解約手数料、払戻手数料等)は次のように定めています。

「予約の取消し、変更等に伴って予約を受けていた事業者が収受するキャンセル料、解約損害金等は、逸失利益等に対する損害賠償金であり、資産の譲渡等の対価に該当しないが、解約手数料、取消手数料又は払戻手数料等を対価とする役務の提供のように、資産の譲渡等に係る契約等の解約又は取消し等の請求に応じ、対価を得て行われる役務の提供は、資産の譲渡等に該当する」

続く後段が実務の決め手です。「約款、契約等において解約等の時期にかかわらず、一定額を手数料等として授受することとしている場合の当該手数料等は、解約等の請求に応じて行う役務の提供の対価に該当する」とあり、時期に関係ない一定額=課税という線引きが通達の文言そのものです。

区分せず一括で受け取るキャンセル料は全額不課税

通達5-5-2の「なお書き」は、解約手数料に相当する部分と損害賠償金に相当する部分が混ざっている場合の扱いを定めています。区分して請求していれば手数料部分だけが課税ですが、「これらの対価の額を区分することなく、一括して授受することとしているときは、その全体を資産の譲渡等の対価に該当しないものとして取り扱う」とされます。

No.6253 はこの例としてゴルフ場の予約キャンセル料を挙げています。ホテルの「宿泊料の50%」やセミナーの「受講料の30%」も、事務手数料を別立てにしていなければ同じ扱いで、支払った側が一部を課税仕入れに分けることはできません

「非課税」ではなく「不課税」|課税売上割合に入れない

「キャンセル料 消費税 非課税」と検索されますが、正しい区分は不課税です。国税庁 No.6209「非課税と不課税の違い」によると、非課税は対価を得て行う取引のうち土地の譲渡や利子など政策的に課税しないもの、不課税は対価を得て行う取引に当たらないものを指します。

違いが数字に出るのは受け取った側の課税売上割合です。No.6209 のとおり、非課税売上は分母に入りますが、不課税の受取額は分母にも分子にも入れません。会計ソフトでは「対象外」「不課税」を選び、「非課税売上」を選ばないようにします。

解約違約金の消費税|中途解約は不課税・明渡し遅延と原状回復は課税

解約違約金の消費税は、契約を途中でやめたことへの補償なら不課税、実質が家賃や工事の対価なら課税です。判定は通達5-2-5(損害賠償金)の「その名称によらず実質で判定する」という考え方に沿います。

解約違約金・損害賠償金の消費税区分(2026年9月時点)

違約金・賠償金の種類消費税区分理由根拠
事務所・店舗の中途解約違約金(家賃◯か月分)不課税賃貸人の逸失利益の補填No.6261
住宅の短期解約違約金不課税同上(住宅家賃は非課税だが違約金は対価でない)No.6261・No.6209
契約期間終了後も明け渡さない期間の割増賃料課税10%(住宅は非課税)使用している期間の貸付けの対価No.6261
保証金から差し引かれる原状回復工事費課税10%賃貸人が行う工事役務の対価No.6261
事務所の明渡し遅滞で賃貸人が受け取る損害賠償金課税10%賃貸料に相当通達5-2-5(3)・No.6257
損傷した商品を引き渡して受け取る賠償金(使用可能な状態)課税10%資産の譲渡の対価に相当通達5-2-5(1)
特許権など無体財産権の侵害で受け取る賠償金課税10%使用料に相当通達5-2-5(2)
手付放棄・手付倍返しによる解約不課税解約に伴う損害賠償の性格通達5-2-5
売掛金の支払遅延に伴う遅延損害金非課税(利息の性格)金銭債務の遅延利息別記事(遅延損害金)

賃貸の短期解約違約金は不課税・原状回復費は課税(No.6261)

国税庁 No.6261「建物賃貸借契約の違約金など」(令和8年4月1日現在法令等)は、賃貸人が中途解約で受け取る数か月分の家賃相当額を「中途解約されたことに伴い生じる逸失利益を補填するために受け取るもの」とし、損害賠償金として課税の対象にならないと明記しています。

同じページで、保証金から差し引く原状回復工事費は「賃貸人の賃借人に対する役務の提供の対価」で課税、契約終了後に立ち退かない入居者から受け取る割増賃料は「貸付けの対価」で全額課税と定めています。退去時の精算書には不課税と課税が混ざるため、明細ごとに区分を分けます。敷金の科目と返還時の処理は敷金の勘定科目と仕訳で扱っています。

遅延損害金・手付金との違い

支払いが遅れたことへの遅延損害金は、解約の補償ではなく利息の性格を持つため、キャンセル料とは区分が変わります。支払側・受取側の科目と区分は遅延損害金の勘定科目・仕訳で整理しています。

手付金の放棄や倍返しによる解約は、通達5-2-5の損害賠償金にあたり不課税です。手付金そのものの科目(前渡金・前受金)と振替の仕訳は手付金の勘定科目・仕訳に任せます。

業種別 キャンセル料・違約金の消費税区分 早見表

業種別に見ると、キャンセル料の消費税区分は請求書に一定額の手数料が別立てで書かれているかで決まります。約款に手数料の定めがあっても、請求書で区分されていなければ支払側は全額不課税です。

業種別 キャンセル料・解約金の消費税区分(支払側の処理・2026年9月時点)

場面消費税区分判定のポイント根拠
ホテル・旅館の宿泊キャンセル料(宿泊料の20〜100%)不課税時期で率が変わる=逸失利益の補償。区分なしなら全額不課税No.6253
航空券の払戻手数料(時期に関係なく一定額)課税10%事務手数料No.6253
航空券の取消手数料(区間・時期で変動)不課税逸失利益の補償No.6253
JRの払戻手数料 乗車券220円・指定席特急券340円課税10%時期に関係ない一定額(JR東海 きっぷのルール)通達5-5-2
JRの払戻手数料 出発前日から30%(最低340円)請求側の表示による時期で変わる部分。領収書に税額表示があれば課税で処理通達5-5-2
事務所・店舗の短期解約違約金不課税逸失利益の補填No.6261
住宅の短期解約違約金(1年未満退去で家賃1か月分など)不課税同上No.6261
サブスク・SaaSの年間契約の早期解約金不課税残期間の逸失利益の補償。解約事務手数料が別立てなら課税通達5-5-2
携帯電話・光回線の契約解除料不課税期間拘束の途中解約の補償。SIM再発行など手続費用は課税通達5-5-2
工事・請負の中途解約(出来高部分の精算)課税10%完成した部分の役務の対価通達5-2-5
工事・請負の中途解約(残工事分の違約金)不課税得られたはずの利益の補償通達5-5-2
セミナー・習い事の受講キャンセル料不課税区分なしなら全額不課税。事務手数料の別立てがあれば課税No.6253
飲食店のノーショー料(無断キャンセル)不課税食材費相当でも一括請求なら不課税No.6253
レンタカーのキャンセル料(予約日からの日数で率が変わる)不課税時期で変わる部分。一定額の取消手数料が別立てなら課税通達5-5-2

JR・航空券は「一定額の手数料」と「率で変わる部分」を分けて読む

JR東海の「きっぷの払いもどし(使用開始前)」によると、普通乗車券や自由席特急券は有効期間内なら一律220円、指定席特急券は出発日の2日前まで340円、前日から出発時刻までは30%(最低340円)の手数料です。220円・340円は解約時期に関係ない一定額なので、通達5-5-2の事務手数料にあたり課税で処理します。

前日以降の30%部分は時期で金額が変わるため、通達の文言上は逸失利益の側です。ただし鉄道会社が全体を「手数料」として一括表示しているときは、支払側が勝手に分けず、領収書に消費税額の記載があるかで判断します。出張精算で領収書が取れない場合の扱いは、通勤手当と同じく帳簿のみで足りる特例の対象ではないため、従業員に払戻証明書の保存を求めます。

工事・請負の中途解約は出来高と違約金を分ける

工事を途中で打ち切ると、精算金には2つの性格が混ざります。完成している部分の出来高相当額は、施工した役務の対価なので課税10%です。残りの工事で得られたはずの利益の補償として払う違約金は不課税になります。

請負業者が発行する精算書で「出来高精算 ◯円(税抜)+消費税」と「解約違約金 ◯円」を分けていれば、支払側もそのまま区分します。一括で「解約精算金」としか書かれていない場合は、通達5-5-2のなお書きに沿って全額不課税で処理し、必要なら業者に内訳の発行を求めます。

インボイス後の請求書の書き方と、区分のない請求書を受け取った側の処理

インボイス後もキャンセル料の判定は変わりません。変わるのは課税の事務手数料部分について適格請求書の保存が要る点だけで、不課税部分に適格請求書は不要です。

キャンセル料の請求書を 区分あり と 区分なし で発行した場合

区分あり(手数料1,100円+補償分10,000円)
受取側の課税売上
1,000円(税抜)
支払側の仕入税額控除
100円できる(適格請求書または少額特例)
補償分10,000円
両者とも不課税・課税売上割合に入れない
区分なし(キャンセル料11,100円)
受取側の課税売上
0円(全額不課税)
支払側の仕入税額控除
できない
登録番号・税額の記載
不要

図:区分を書くかどうかは受取側が決める。書けば手数料部分が課税売上になり、支払側は控除できる。

受取側が書く請求書・領収書の区分記載例

事務手数料を課税で扱う受取側は、請求書に税率ごとの区分を書きます。国税庁 No.6625 の記載事項に沿うと、次の形になります。

キャンセル料の請求書の記載例(受取側・適格請求書発行事業者の場合)

項目金額(円)消費税の扱い請求書への書き方
解約事務手数料1,000課税10%「解約事務手数料 1,000円(10%対象)」
上記の消費税額100「消費税額 100円」+登録番号 T+13桁
キャンセル料(逸失利益の補償)10,000不課税「キャンセル料 10,000円(不課税)」または「対象外」
合計請求額11,100税率ごとの区分を保ったまま合計を記載

不課税部分を「消費税額0円」と書くと非課税や免税と混同されるため、「不課税」「対象外」と明示しておくと支払側の入力が揃います。事務手数料を設けない事業者は、キャンセル料の全額を不課税とし、登録番号や税額の記載は不要です。

区分されていない請求書を受け取った側は全額不課税で入力する

支払側が受け取った請求書に事務手数料の区分がなければ、全額を「対象外(不課税)」で入力します。約款に「うち1,100円は手数料」と書かれていても、請求書や領収書で区分されていない限り課税仕入れにはできません(通達5-5-2 なお書き)。

逆に、登録番号と消費税額が記載された事務手数料部分は課税仕入れです。適格請求書発行事業者でない相手(免税事業者の個人講師など)からの事務手数料は、2026年9月30日までが仕入税額相当額の80%、2026年10月1日からは70%しか控除できません(国税庁 No.6498・令和8年度税制改正で見直し後の区分)。その後は2028年10月から50%、2030年10月から30%と下がり、2031年9月30日で経過措置が終わります。切り替え日をまたぐ判定手順は2026年10月1日のインボイス経過措置の切り替えにまとめています。

事務手数料が税込1万円未満なら少額特例で帳簿のみ

航空券の払戻手数料やJRの220円のように、事務手数料部分は少額になることがほとんどです。国税庁 No.6496 によると、基準期間の課税売上高が1億円以下または特定期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者は、2029年9月30日までの間の税込1万円未満の課税仕入れを帳簿のみの保存で控除できます。

帳簿には相手方の名称・日付・「払戻手数料(少額特例)」・金額を書きます。従業員に払わせた場合も、会社が負担した課税仕入れとして同じ処理です。出張旅費の帳簿のみ特例と混同しやすいので、通勤手当と同じ整理は通勤手当の消費税区分で確認できます。

課税方式別の処理|原則課税・簡易課税・2割特例・免税事業者

キャンセル料の区分を分ける意味があるのは、支払側では原則課税の事業者だけです。受取側は課税方式にかかわらず、事務手数料部分を課税売上に含めます。

課税方式別 キャンセル料・違約金の処理(支払側・受取側・2026年9月時点)

自社の課税方式支払った側(事務手数料部分)支払った側(補償部分)受け取った側根拠
原則課税(本則課税)課税仕入れ。適格請求書または少額特例で控除不課税。控除なし事務手数料は課税売上・補償分は不課税。課税売上割合の分母に補償分を入れないNo.6253・No.6209
簡易課税個別の控除計算なし。区分しても納税額は変わらない同左事務手数料は課税売上に含めて売上税額を計算No.6505
2割特例(2026年9月30日の属する課税期間まで)個別の控除計算なし同左事務手数料を課税売上に含め、その2割を納付No.6498
免税事業者控除なし。税込額をそのまま費用計上同左課税売上高の計算に事務手数料を含める(1,000万円判定)No.6498

受取側は事務手数料を課税売上高に含める

簡易課税や2割特例の事業者でも、受け取った事務手数料は課税売上です。売上税額が増えるため、手数料を別立てにするほど納税額は増えます。逸失利益の補償として一括で受け取る形なら課税売上は0円で、課税売上割合にも影響しません。

免税事業者が課税事業者になるかどうかの判定(基準期間の課税売上高1,000万円)でも、事務手数料部分だけを課税売上高に数えます。ホテルや教室の年間のキャンセル料が大きい場合、この区分の設計が納税義務の判定に効きます。課税仕入れの3区分(課税売上対応・非課税売上対応・共通対応)の考え方は課税仕入れの勘定科目と消費税区分で扱っています。

キャンセル料・違約金の仕訳例4本|支払側2本・受取側2本

仕訳は税抜経理を前提に、支払側2本・受取側2本を示します。科目は支払側が支払手数料(課税部分)と雑損失(不課税部分)、受取側が雑収入が一般的で、科目より税区分の付け方が納税額を決めます

航空券30,000円を取消し 払戻手数料1,100円+取消手数料6,000円を差し引いて返金

借方

普通預金 22,900

支払手数料 1,000

仮払消費税 100

雑損失 6,000

貸方

前払金 30,000

図:一定額の払戻手数料だけ課税仕入れとして仮払消費税を立て、時期で変わる取消手数料は不課税の雑損失に落とす。

仕訳例1(支払側)|出張の航空券30,000円を取消し、払戻手数料1,100円と取消手数料6,000円を引いて返金された

借方金額(円)貸方金額(円)税区分
普通預金22,900前払金30,000対象外
支払手数料1,000課税仕入 10%
仮払消費税100
雑損失6,000対象外

払戻手数料1,100円は税込1万円未満なので、少額特例の対象なら帳簿のみで控除できます。予約時に前払金で計上していない場合は、旅費交通費のマイナスで処理しても結果は同じです。前払金の計上時期は前払金の勘定科目と仕訳で整理しています。

仕訳例2(支払側)|事務所を1年で解約し、家賃2か月分の違約金400,000円を振り込んだ

借方金額(円)貸方金額(円)税区分
雑損失(解約違約金)400,000普通預金400,000対象外

No.6261 のとおり中途解約の違約金は不課税で、仮払消費税は立ちません。同じ精算書に原状回復工事費があれば、その分だけ修繕費として課税仕入れ10%で別行にします。

仕訳例3(受取側)|宿泊施設が前日キャンセルで宿泊料の50%=11,000円を一括請求し入金された

借方金額(円)貸方金額(円)税区分
普通預金11,000雑収入(キャンセル料)11,000対象外

区分せず一括で受け取っているため全額不課税です。課税売上高にも課税売上割合の分母にも入りません。雑収入の消費税区分の全体像は雑収入の勘定科目と仕訳で扱っています。

仕訳例4(受取側)|スクールが事務手数料1,100円(税込)+キャンセル料10,000円を区分して請求し入金された

借方金額(円)貸方金額(円)税区分
普通預金11,100雑収入(解約事務手数料)1,000課税売上 10%
仮受消費税100
雑収入(キャンセル料)10,000対象外

受講料を前受金で預かっていた場合は、返金額との差額をこの形で振り替えます。前受金の取り崩しは前受金の勘定科目と仕訳で確認できます。

収益計上と損金算入の時期|解約が確定した日が基準

受け取るキャンセル料・違約金は、支払を受けるべきことが確定した日の事業年度の益金です。法人税基本通達2-1-43(損害賠償金等の帰属の時期)は、確定日基準を原則としつつ、実際に支払を受けた日の事業年度に益金算入している場合はこれを認めるとしています。

支払う側は、解約が成立して金額が確定した日に費用計上します。決算日までに金額が確定していなくても、法人税基本通達2-2-13(損害賠償金)により、相手方に申し出た金額を未払金に計上すれば損金にできます。消費税の課税仕入れ(事務手数料部分)は、役務の提供を受けた日=解約手続が完了した日の課税期間で控除します。

キャンセル料・違約金の計上時期(2026年9月時点)

立場原則認められる例外根拠
受け取る側(益金)支払を受けるべきことが確定した日実際に入金した日の事業年度で益金算入法基通2-1-43
支払う側(損金)金額が確定した日決算日までに相手方へ申し出た金額を未払金計上法基通2-2-13
支払う側(消費税)事務手数料の役務提供を受けた日の課税期間消法30

よくある質問

キャンセル料と違約金の消費税で実際によく検索される6問です。

Q1:キャンセル料に消費税はかかりますか?

事務手数料の部分だけかかります。国税庁 No.6253 は、解約手続の事務手数料としてのキャンセル料を課税、逸失利益に対する損害賠償金としてのキャンセル料を不課税とし、両者を区分せず一括で受け取る場合は全額不課税と定めています。ホテルの「宿泊料の50%」のような時期で変わるキャンセル料は、原則として不課税です。

Q2:キャンセル料の消費税区分は非課税ですか、不課税ですか?

不課税です。非課税は土地の譲渡や利子のように対価を得る取引を政策的に課税しないもの、不課税はそもそも対価を得る取引に当たらないものを指します(国税庁 No.6209)。キャンセル料の補償部分は対価でないため不課税で、受け取った側の課税売上割合の分母にも入れません。会計ソフトでは「対象外」を選びます。

Q3:キャンセル料の請求書にインボイス(適格請求書)は必要ですか?

課税の事務手数料部分にだけ必要です。不課税のキャンセル料には登録番号や税額の記載は要りません。受取側が事務手数料を別立てにするなら、「解約事務手数料 1,000円(10%対象)・消費税額100円・登録番号」と「キャンセル料 10,000円(不課税)」を分けて書きます。支払側は、税込1万円未満の事務手数料なら2029年9月30日まで少額特例で帳簿のみでも控除できます(No.6496)。

Q4:消費税込みでキャンセル料を請求されたのですが、払う必要はありますか?

請求側が事務手数料として課税で扱っていれば、消費税込みの請求も制度上は成り立ちます。支払側は登録番号と税額の記載があれば課税仕入れとして処理し、記載がなければ全額を不課税で処理します。通達5-5-2 は「約款等で解約時期に関係なく一定額を手数料として授受する場合」を課税の対価としており、時期で率が変わるキャンセル料に消費税を上乗せしているときは、内訳の説明を求めて構いません。

Q5:賃貸を1年未満で解約したときの短期解約違約金に消費税はかかりますか?

かかりません。国税庁 No.6261 は、建物賃貸借契約の中途解約で賃貸人が受け取る数か月分の家賃相当額を、逸失利益を補填する損害賠償金として不課税と定めています。住宅でも事務所でも同じです。ただし、保証金から差し引かれる原状回復工事費は賃貸人の役務の対価として課税10%、契約終了後も明け渡さない期間の割増賃料は貸付けの対価として課税(住宅は非課税)になります。

Q6:サブスクや携帯電話の早期解約金の消費税区分は何ですか?

不課税です。年間契約やプランの期間拘束を途中で解約したときの解約金は、残期間の逸失利益の補償にあたり、資産の譲渡等の対価に該当しません(通達5-5-2)。SIMの再発行手数料や解約事務手数料が別立てで請求され、税額と登録番号が記載されていれば、その部分だけ課税仕入れとして控除できます。

まとめ

キャンセル料・解約違約金の消費税区分を1枚に整理します。

この記事のまとめ

  • キャンセル料は事務手数料=課税10%・逸失利益の補償=不課税・区分なし一括=全額不課税の3分法(国税庁 No.6253・通達5-5-2)
  • 解約違約金は原則不課税。明渡し遅延の割増賃料と原状回復工事費は課税(No.6261)。名目でなく実質で判定する(通達5-2-5)
  • 区分は「非課税」でなく「不課税」。受取側の課税売上割合の分母に入れない(No.6209)
  • インボイス後は課税の事務手数料部分だけ適格請求書が要る。税込1万円未満は少額特例で2029年9月30日まで帳簿のみ(No.6496)
  • 簡易課税・2割特例・免税事業者は支払側の区分で納税額が変わらない。受取側は事務手数料を課税売上高に含める
  • 計上時期は受取側が確定日(法基通2-1-43)、支払側が確定日または申出額の未払金計上(法基通2-2-13)

キャンセル料・違約金の消費税 早見表(2026年9月時点)

場面消費税区分適格請求書会計ソフトの税区分
解約時期に関係ない一定額の事務手数料・払戻手数料課税10%必要(税込1万円未満は帳簿のみ可)課税仕入 10%/課税売上 10%
時期や区間で金額が変わるキャンセル料不課税不要対象外
区分なしで一括請求されたキャンセル料不課税(全額)不要対象外
賃貸の中途解約違約金・短期解約違約金不課税不要対象外
明渡し遅延の割増賃料・原状回復工事費課税10%(住宅の割増賃料は非課税)必要課税仕入 10%/課税売上 10%
工事の中途解約の出来高精算課税10%必要課税仕入 10%
工事の中途解約の違約金部分不課税不要対象外
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免責事項

※本記事は消費税・法人税の一般的な取扱いを国税庁の公開情報(2026年9月時点)に基づいて整理したものです。キャンセル料・違約金の区分は契約や請求書の内容により異なります。最新の法令をご確認のうえ、必要に応じて顧問税理士など有資格者へご相談ください。


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この記事を書いた人

会計事務所で10年以上、法人や個人事業主の帳簿づけと税務申告の手伝いをしてきたTanakaです。決算が近づくと、経営者から「この支払いはどの科目で処理すればいいですか」という電話を何度も受けました。答えは業種や会社の規模で変わります。そこを一つずつ、相手に合わせて説明してきました。

独立してからは、中小企業の経理担当者向けの研修や、freee・マネーフォワード・弥生の科目設定の相談にも応じています。教科書の説明は抽象的で、現場では「とりあえず雑費」で片づけてしまうことも少なくありません。このサイトでは、勘定科目の選び方の判断軸を、具体例をそえて整理しています。最終的な税務判断は、顧問税理士にご相談ください。

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